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3月4日

 今日も早起き出来た、寝室からそのままドイツへ繋ぐ。


「おはよラウラ」

「おはようイデリーナ、あんま寝てない?眠そう」


「バレたか、悪い癖が出ちゃって、コレ書いてた」


 それは妖精達の絵、写実的だけどボカす所はボカして特定は出来ない。

 だとしても、このまま挿し絵で使えるレベル。


「くれ、書いてくれ、挿し絵」

「絵本の?嫌よ、見せる為のじゃ無いし」


「上手いのになんでよ」


「なんか、また不幸が起こりそうじゃない?縁起悪いって」


「そんな呪いみたいな、取り敢えず読むだけ読んでみてよ」

「それなら良いけど」


 イデリーナと共に下へ降りると、ペンを走らせるマティアスと、その髪を弄る妖精の姿があった。


 妖精は髪の毛が好きらしい。


《あ、おはよう》

「完結してるのあるかね。つかコレ、良くないか」


《わぁ、凄い。昨日の今日で、良いね、凄く良い》

「でしょ、挿絵にと説得中、何か無いか」


《荒いのなら。ラウラはまだ見ないでよ、はい》

「おう、ソラちゃん翻訳宜しく」

《了解》


 義体のソラちゃんに出て来て貰い、ドイツ語へ変換した文章をタブレットへ出力。


 義体ソラちゃんをガン見し、気もそぞろになりながらも、イデリーナは何とか読み終えてくれた。


「なるほどね、うん、書かない」

「なんで」


「コレって、ラウラの事でしょう、やっぱり不吉な事は絡ませたくないの。でも、ラフとかイメージなら貸して上げる、そうしたら、近い絵師を紹介してくれるかもだし」


「話は、大丈夫っぽい?」

「うん、だから絵はちゃんとした人にお願いして。絵は趣味なの、私はあくまでも魔道具職人だから」


「残念、でもありがとう、ラフとかスケッチまた見せてね」

「うん、勿論よ」


 薬のカタログを貰い、空間を閉じる。

 身支度やら朝食の準備をして、マティアスとサンドイッチを食べる。


 今日は曇り、容量は高値のまま。




 サウナへ入ってから、薬のカタログを見る。

 珍しいのは痛み止め等の発泡錠、それと昔懐かしい水で溶かすドライシロップ。


 ビタミン剤豊富、だがデカい、小指の第一関節まであるのなんてザラで、薬剤カッターも種類がある。

 ハーブティーも多いし、大人用の咳止めシロップが有るのも良い。


 健康になってもこういったのは気になる、特に味が。


「マティアスさんや、大人用の咳止めシロップは美味しいですか、こういうの」

 《麻酔系が入ってると苦くて臭くてマズい、入って無い方がまだ美味しいけど、両方薬っぽい感じ》


「のみたい」

《喉痛いの?》


「味見」

《食いしん坊、麻酔入りは処方が無いとダメだよ。麻酔無しなら良いけど、健康な時に飲むものじゃないし》


「せめて匂いだけでも」

《それだけならまぁ、買いに行く?》


「いく」


 街の中心部へ車で向かい、薬局へと入る。


 奥が調剤薬局だそうで、奥へ行くに連れて強い薬に。

 自然と1番手前が子供用となる。


 サプリやハーブも手前側。

 しかも棚毎に商品が分かれてるので迷わないし、聞かなくて済むのが良い。

 具合悪い時に最適。


 面白いのは乳歯生えかけ用の軟膏、歯茎に塗るらしい、ムズムズ愚図るのが軽くなるんだとか。


《シロップだとコレがメジャーかな、ジャンルはサプリ。コッチは薬の範囲だけど、処方箋無しで大丈夫》

「両方欲しい」


 その流れのままで行くと麻酔薬入りシロップを発見したが、空箱。


 半年以内の再購入は病院へ行かないと不可能だそうで、薬局に保存されてるお薬手帳をチェックしてからの購入になるんだそうだ。


 運送にしても規制か禁止薬物は、全て購入時点で薬局からチェックを受ける。

 代行でも同じ、運送屋側で処方箋を受け渡し、新品のみ1個人1本限りの運送を可能としている。


 特に子供用の代行が多いらしく、慣れた味じゃないと飲まない子も多いので、親が子供の為に代理購入を頼む場合が多いらしい。

 代行で許されてる項目の1つ。

 大人用と子供用なら2本の購入が可能だが、麻酔薬入りは指定調剤薬局への処方箋が無いとダメ。


 何で税関問題がとも思ったが、輸入代行も行うので難しい問題もあるのかと納得した。


 にしても、個人にかなりの責任が掛かりそう、ちょっと腰が引ける。


《買う?お金の事?》

「運送屋って、責任重大だと思って」


《代行はね。だけどラウラなら、一緒に行動すれば問題ないと思う。って言うか、治せるでしょ》

「それな」


《そうそう、悪用されなさそうだし、そこまで心配しなくても良いかなって》

「悪用例をネットで漁ったのか」


《まぁ、念には念を》


 出入り口付近のレジで会計を済ませ、車へ戻る。


 マティアスの話しでは、薬事法関連で試験が難しくなったらしい。

 処方箋の受け渡しも最近の法改正で取り入れられた事だそう、一部利用者の違法入手経路になっていたからだとか。


 その最近と言っても数十年は前の事で、一応機関としての機能は正常そう。


「なら大丈夫か」

《それでも代行はしない方が良いって書いてあったよ、ペンキを買うだけの代行のハズが、中身を確認したらヤバい薬だったから逃げて通報したとか。新規客じゃ無かったのにって》


「こわいこわい」

《ね、調べず通報もせずにバレたら、免許剥奪と刑罰付きだからね》


「見極めとか難しいじゃんかよ」

《らしいね、常連の商品をいかに確認するかとか、接客もだし》


「ちょっと嫌になってきたかも」

《受かったらマニュアルは配布されるらしいしから、大丈夫だと思うよ。はい、到着》


「リタ家」

《ボトルの写真見せようかと思って》


「あぁ、ナイス」


 家に入ると3人が暖炉の周りでお茶をしていた、そしてその中心には赤い妖精。


 普通に、クッキー食べてる。


「あ、お帰り、見て見てこの子、可愛いでしょ」

「なんで」

《林檎の芽が出てな、次の日に居たんだ。何かの見間違いかと思ったんだが》

《ビニールハウスですものね、迷い込んじゃったと思ってたのよね》

《真っ赤で綺麗な子、太陽みたいだね》


《だろう、だから林檎の妖精だろうって言ってるんだが》

「なら白いんじゃないのって、林檎の花は白だし」

《そうそう、言っても聞かないのよね、名前も林檎(オメナ)ちゃんだし》

《嫌がってないなら合ってるのかも》

「かもね」


《あ、写真見せようと思ってたんだ、ほら》

《おぉ、土も湿ってるし、大丈夫そうだな》

「助かりました、ありがとうございます」

「半分のサイズで試してみたいかも」

《あら、良いわね》


「ふふ、ウッキにお願いしないとね、2人共お昼食べてく?」

《食べるー》


 旦那さんにも見えたそうで、無事解決してた。

 なんだ、良かった。


 今日はキノコ入りサーモンスープ、パスタも入ってかなりトロミがついてる。

 少しクリームシチュー寄りで、コレも好き。


「アレからどう?」

《良い子で勉強してるよ》

《マティアス、邪魔して無いわよね?》

《ちゃんと食わせてるのか?》


 過保護。

 子供が大事だとしてもだ、過保護な気がする。


 皆でスープを完食してしまったので、マティアスのリクエストでお手軽サンドイッチを出させられた。

 マティアスは気に入ったら暫く食べ続ける人らしい。

 それはわかる。


 バターたっぷりに焼いた玉子焼きサンド、普通なのに好評。

 焼いた卵を挟むのは珍しいそうなので、戯れに作った厚焼き玉子サンドを少し出すと、更に喜ばれた。


 ウッキはオムサンドと勝手に名付け、リタのメニューに取り入れられる事となった。

 喜ぶハードルが低過ぎる。


「流石イギリスね」

「あ、イギリスにあるか知らんよ、ウチだけかもだし」

《ふふふ、あるわよね、家の味って》

《オートミールキッシュはな、苦手だ》

《何それヤバそうなんだけど》


 どの家庭内でも魔改造は行われるらしいが、肉じゃがレベルの魔改造料理は無さそう。


 そもそも、ココの日本に有るのだろうか、歴史が微妙に違うのだから無いかもだし。

 実は凄い管理社会で、デストピア化してたら困る。


 少しハラハラしながらも無事に食事を終え、家へ帰る。

 肉じゃがが無いのすら分らないんだから、日本の話しもイギリスの話しも控えよう。


《故郷が懐かしい?》

「いや、どうなってるのかなって。歴史と料理って紐付いてるから、無いのが有ったらどうしようかと」


《あー、そっか。気を使うよね、迂闊に話せないし》

「うん、面倒だ」


【マティアス看護師長、来客呼び出しです。マティアス看護師長、ラウラ治療師へ来客、尋問官の来客ですので、至急…】


 家まで後半分の所で呼び出しが入った、先ぶれも前触れも無しにルーカスが来たのか。

 何の用だろう。




 基地へ向かうと入口付近にハンナが見えた、何だろうか、何かしたか。

 したな。


 取り敢えず耳飾りは外し、車を降りた。


「こんにちは」

《ハンナです、初めまして》

『ご挨拶頂いたと言う事は、治療師様で宜しいでしょうか』


「はい」

『では少しお話を伺いたいので、ホテルまで御同行願えますか』


《あの、私、一応保護者的な事をさせて頂いてるんですが、随行させて頂いても良いですか?彼女は未成年なので》


『分りました、では先行します』


 若いのにしっかりしてて面倒そうな付き添いの指示の元、マティアスの車に乗り付いて行く。

 無言のままに暫く走ると、ルーカス達が泊まっていたホテルとは違う場所へと到着した。

 閑散としたホテル内を進み、貸し切りの会議室へと辿り着いた。


 無機質で何も無いせいか、緊張感が増していく。

 マティアスは壁際の椅子へ、そして正面に2人が座った。


 マジで尋問されるんだ。


『では、始めさせて頂きますね。お名前は?』

「ラウラ・エリクセン」


《職業は》

「基地の治療師」


『この基地へ来る前は、どの様に過ごされてましたか?』

「浮島で過保護に過ごさせて貰ってました」

《もう少し、詳しくお願いします》


「魔力が低値になり易いので、食べては泉に入るなどして過ごしてました。妖精や神々と居たと思ってます」

《その場所の名前は》


「名前は無いです、ただ浮く土地に住んでただけです」

《マーリンとは》


「師匠です、治療の魔法の師匠」

《そこにずっと居たんですか?その前はありますか?》


「前の名は、アヴァロンでした」

『小さい頃はどんな子だったんですか?』


「病弱でした、今も少し」

『学校、勉学はどの様に学んでいましたか』


「殆ど家の中です」


《言語学習はどの様に》

「会話です、なのでココの字を読むのに苦戦してます、マティアス看護師長に、かなりサポートして貰って、何とか生活出来てます」


《では、読める字は?》

「英語がほんの少し、日常生活の範囲内ならですが」


《日本の知識は何かありますか》

「調味料の醤油なら、料理に使ってます。家で靴を脱ぐ文化だとか、入浴には良く浴槽を使うとか、ですかね?合ってます?」

『スパの事ですね、良いスパが沢山あるそうですね』


《低値でブルーラグーンへ行ったそうで、もう回復されましたか?》

「はい、測ります?」


『では、失礼します』


 数値は出ない、高値である事だけが表示された。


 表示されないだけで、数値の記録は取られてるのかも知れないが。


《良かった、低値は抜けてらっしゃるんですね》

『閾値を越えても不具合は起きますが。コチラの基地の徽章を付けた治療師が治療して周ったそうですね、広範囲を短期間に、大勢を治したそうで』


《それは私がお答えしますね、既にコチラにも多数の問い合わせがあって対処してたんですが。軍の上層部にも報告しましたが、元々、徽章はかなり昔に1つ無くしているんです、当時の治療師が持って行ったらしいと。それと合わせて、先程の計測器で確認できるかは分りませんが、治療師様にそこまでの容量があるとは思えないんです、ラグーンでの計測値を確認して頂ければ分ると思いますが、治療をほぼしていないにも関わらず、かなり危険な域だったんですから。大規模な移動は無理かと》


『そう仮定したとして、ラグーンから帰って、どの様に回復したんでしょうか』

「貰ったエリクサーで、ケチってたんで。お金が無いから」

《ふふふ、マーリンはお金を持たせてはくれなかったんですね》


「ですね。無印は安く買い叩かれると聞いたんで、もう良いかと、ケチらず飲みました」


《エリクサーの製造はマーリンから?》

「いいえ、エイル先生です。ヴァルキリーだと言ってました」

『北欧のヴァルキリー?』


「はい、本人はそう言ってました」


《妖精を見た事は?》

「無いんですか?」

 《悪意があったり、悪い心の持ち主には見えないんですよね》


『それで、見た事は』

「ありますよ、普通に浮島に居ましたし。ココらへんは居ないですよね、何ででしょうね」

《狩られたって御伽噺があるんですけど、それが本当なら、その子孫には見えないのかも知れませんね》


「緑色の妖精ですかね、絵本の」

《そうなの!今回尋問する問題になった治療師様には、黒い妖精が一緒に行動してたそうなんですよ》


「蝶々羽根ですか?トンボ羽根ですか?」

『それが、バラバラなんですよ。蝶々みたいだって仰る方も、トンボ羽根だって仰る方も居て』


「その方と似てますか」

《残念な事に誰もお顔を拝見してなくで。ただ、黒髪だったそうなんです》

『ベールで顔を隠したまま、妖精を連れていたそうです』


「それって魔道具なんじゃ無いですかね、妖精が居る様に見える幻惑魔法を発動するみたいな。顔を隠してる事を怪しまれない為に、目立つ何かを付けるって、詐欺師の仕業じゃないんですか?」


《確かに、ですが何かを搾取したとかは無いみたいなんですよ》

「コレからじゃ無いんですか、下地を作って、これから巻き上げるのかも知れません。それかトンボ羽根と蝶々羽根の妖精を付けた人物が最低2人以上居るとか、1人と思わせるには良い技法かと思います。1人で行ったんなら、凄いってなるでしょうし」


『詐欺師に詳しいんですね』

「騙されない様にって、コチラではそういう教育は無いんですか?」

《私はそこまで詳しくは、因みにどういった教育なんですか?》


「お話しです。改心した詐欺師を中心に面白おかしく、時にシリアスに話が繰り広げられるんです。公的機関と連携し、嘘や詐欺をプロが暴くお話しなんで、凄いスカッとして切なくて、面白いんですよ。主人公の男性は大概心の闇を持つイケメンに描かれてて、恋愛も少し絡んで、それがまたいじらしい」

《何それ読みたい》


「何処にでもあるかと思ってたんですけど、無いんですね、話すには可能ですよ」

《良いなぁ、聞きたい》

『それはまた今度でお願いします』

《では、今回の件は、ラウラ治療師では無いと言う事で宜しいですかね?》


「ちょっと待った、有るって言ったら報奨金とか有ります?それとも罰なんですかね?」

《理由によると思うけど、国連で働けるわよ、一緒にどう?》

『ちょっと、ハンナさん』


「お給料はどんなんですか?」

《話しても良い?》


『歩合制ですので、アナタで無いなら次の場所へ早々に移動したいんですが』

《えー、少しゆっくりしてよ。お母さんに会いに行きたいんだけど》

「前も聞いたなぁ」


《もしかしてルーカスに会った?》

「はい、身分証を頂きました」


《えー、会いたかったなぁ、お母さんにも。スペインなんかで無駄な休暇取らされる位なら、ココで休暇が欲しかったぁ》

「え、国連ってそんな酷いんですか。じゃあ嫌だなぁ」

『あ、いえ、その様な、お給料も休みも待遇に合った分配で』


《私って有能だからしょうがないんですって、それでもよ、もしかしたら明日、お母さんが》


 本気で、大粒の涙を流している。

 唇を噛みしめ、ぼろぼろ、ポロポロ。


「あの、疲れてるのは勿論なんですけど、もしかしたら体調が悪いのかもですし、少し診させて頂いても」

《前の尋問官の方は盲腸になってましたからね、寒さと暗さで自律神経が不調になってるのかも知れません》

『あ、はい、部屋を取ってはありますので、ご案内致します』




 ハンナの部屋は2階の角、その斜め前が付き添いの兄ちゃんの部屋。


 絶妙な距離感がキモイ。


 マティアスのフォローで体に異変が無いなら、サウナに入らせてはと。

 先ずは部屋で軽めのチェック。


「大丈夫か」

《ごめんね、ありがとう。ちょっと泣いて困らせようと思ったら、止まらなくなっちゃって》


「やりおる。にしてもマティアスがあの兄ちゃんのフォローに行くのが意外だった」

《私がお願いしたの、向こうが、まだマティアスから聞き出そうと思ってたみたいだから》


「人身御供」

《まぁまぁ、取り敢えずは下のサウナに行きましょ》


 斜め向かいの部屋へ連絡すると、了解を得られたらしい。

 部屋の前を通る時も、マティアスは大丈夫そうだったらしいので、下のサウナへと向かった。


 眼鏡で確認するとキラキラしてた。

 不思議。


「マティアス、本当に大丈夫かな」

《魔法の呪文も教えといたから大丈夫だと思う。それにしても、凄い目立つ事をしたわよね、件の治療師様》


「根っからの治療師なのか、容量が足りなかったんじゃ無いんですかね」

《普通に考えたら移動で使ってるだろうし、恥ずかしがり屋の治療師ってだけなんだろうけど。良い看板を見付けたって騒いでるのが居るみたい、自分の派閥に入れ込みたいらしいの。無理矢理にでも、御使いの嫌疑を掛けてでも欲しいって、漏れ聞こえてる位だし》


「そんな話を聞かせて宜しいのか」

《勧誘した手前、最低限の告知はすべきじゃない?まして未成年で世間を分かって無い、お金欲しがる子には、お金も良いけど面倒もあるって教育よ、教育》


「ありがとうございます、ルーカスの付き添いから何か聞いてる?」

《うん、ルーカスに付き纏うムカつくがめつい女が居るから、厳しめに尋問しろってメモがあったわ》


「えぐぅ、おじちゃん良い様にしてやるって言ってくれたのに」

《らしいわね、そうなるとあの人は除外になるんだけど、搾るにはまだなのよ》


「国連行ったら何か手伝える?」

《遠慮するわ、国連と関わらないでくれた方が楽だし、安心だもの》


「でもよ、何か出来ぬかね」

《運送屋の勉強は良いの?》


「半々、少しどうでも良くなってきた。それに今でも自己採点でまぁまぁだし」


《じゃあ、少し手伝ってくれない?》

「話しによる」


 ハンナ曰く、尋問官に随行する人は除外出来るんだそうだ、そも随行人はウソを見抜かれると承知した真面目な人間ばかりである事が条件なんだと。

 そして見抜かれ無い様に、任務の詳しい話しは全く知らされていない。


 そもそも伝書紙が伝令書として其々に来る、両方共に任務前の必要事項のみが記載されている。

 随行者には任務後の内容もセットで届けられていて、任務完了の連絡後に開封可能となる。


 そうなると伝令係、伝書紙を書く者が先ず怪しい。


 ただ、伝令係だけの行動でも無い気がすると。

 書き上げた伝令を確認する者が居る、その者も怪しいと。

 最後に1番怪しいのが検閲係だが、宛先も氏名も隠された状態での検閲であり、ランダムな輪番制で常に2人組であるからして、不可能だとは聞かされているとか。


 上へ行く程に、遠ざかる程に怪しいが。


 そこへ近寄るのは難しく、厳しい。


《だから、ルーカスのお嫁さんとして、外部から情報が取れないかなって》

「いけるかぁ?もう妨害が入ってるんだぞ?」


《前提として、敵にとって使い勝手が悪いからだと思うの、従順で弱いの程良いのよ》

「コントロールしたがってるから、それはあるだろうけど」


《アナタからルーカスへ縋って、付け入る隙を知らせたらどうかって》

「結婚させてやるから、言う事を聞けと誰かが何かを指示するかもと」


《合わせて、私からも意外と従順で良い子だってアピールする》

「それでもダメなら」


《今回の件を名乗って欲しい。勿論、普通の治療師として、有能な事のアピールする》

「博打だけど、楽しそう」


《ただ、かなり上からの話しってなると、お願い出来ないの。状況は最悪よね、辞めて亡命しなきゃだし》

「何処に?」


《日本よ、スイスの本部から地理的にも離れてるし、ギフテッドにも魔法使いにも理想郷だって聞いてるから》

「大丈夫かよ本当に」


《自分の国を信用出来ないの?》

「デストピア、完全な管理社会の可能性を危惧してる。あんな狭い土地に人が犇めき合うなんて無理だろうし」


《そんな心配の仕方を、どんな世界だったの?》

「それはまた今度で。とにかく亡命が日本ならちょっと考えたい、そも日本に飛ばされなかった理由があるかもだし、そうで無くとも、御使いにシビアだって聞くから、行くのを躊躇ってるし」


《同行しなくても良いのに》

「心配、寧ろ、なんでそう楽天的で居られるかね」


《魔獣が居なくて、ご飯が美味しくて、サービスが良くて、綺麗な四季があるって、もうそれだけで大概の事は我慢出来そうじゃない》

「魔獣は、近い将来かなり何とかなるらしいよ、国境付近は変わらずだけど」


《あ、えっ、そうなんだ、えー、うーん》

「美味しいは、運送屋が何とかするんで」


《でも、雪ばっかよりマシじゃない?》

「北の方は雪がちぞ、積雪量がヤバい、3㍍とかぞ」


《え、歩けないじゃない》

「そうだぞ、田舎の方は除雪が間に合わんから、最悪はマジで引き籠る」


《じゃあ、南の方なら》

「台風が毎年上陸、虫デカい、クソ暑い」


《じゃあ真ん中》

「人多過ぎ」


《嫌いなの?》

「嫌いじゃ無いけど、デメリットは何処でもあるでしょう。ウツヨキに帰れないのは寂しく無いのか」


《過労よりマシ》

「それなぁ、でも、亡命先でどう働くの」


《パン屋さん》

「夢見がち」


《お金は溜めてるもん》

「降ろせなくさせられるだろうに」


《そこは大丈夫》

「なら良いけど、向こうで大変になっても助けられんよ」


《大丈夫、家族で何とかするわ。家族で何ともならないなら、それが運命だって諦めるから》

「ぐぬぅ」


《それで、どうする?》

「少し相談させて欲しい、もっと良い方法があるかもだし」


《マティアスね》

「おう、他にも居るから大丈夫、今日中に連絡する」


《うん、ありがとう。居座れる様に意地でも仕向けるわ》




 サウナを出て、今度は軽い脱水症状になったと言う事で見事に宿泊となった。

 車で基地まで戻りレーヴィを回収、早速家で作戦会議となった。


「どうでしたか」

《普通、相談には乗ってたけど、普通に真面目な人》


「そうか、ハンナ的にも大丈夫らしいから無視で。後は伝書紙を書く伝令係か、その確認をする上の人が目下の怪しい所。システムがしっかり運用されてるなら、検閲係は怪しくても手出しが出来ない筈らしい」

《運用のチェックがどうかだよね》

『そもそも監査が手を入れてる可能性もありますよね』


「ほうほう」

《そういうのが上手く機能してるならね、機能して無いなら検閲係が1番だし》

『連携がなされてる可能性を考えると、検閲係と伝令係ですよね、字や文章、声すら似せてるんですから』


《最悪は上司と検閲係と伝令係が仕組んでるって事になるよね》

「する意味よ」


《良かれと思って、自分から見た良い人間を宛がいたいか》

『コントロールの為の結婚か』

「嫌がらせ?」


《あー、アンチギフテッド派か、でもまだ居るのかなぁ》

「居るんかい、そんな組織が」

『究極の差別主義派なんですが、自分達こそ無差別主義者だと。平等を邪魔する全てが悪だとして、大昔に欧米で流行ったらしいんですよね』


《そうそう、白い三角頭巾被って酷い事件起こして。まぁ、それで亜人もギフテッドも結束したのは良かったけど、嫌な事件だったねぇ》

「何か聞いた事ある気もするが、今もまだその派閥は居るの?」

『思想や宗教は中々消えませんからね、団体は主要メンバーが亡くなり解散しています。個の活動はあるそうですが、メンバーは監視対象ですから動けない筈です』


「お詳しい」

『手配書は頭に入れてますからね、この国に現れたら射殺ですから』


「は」

《テロリストと同義だからね、思想を歪めて揺るがして扇動する悪い人達、ラウラも運送屋になるなら覚えないとね》

『そうですね、3ヶ国なら100人程度でしょうか』


「聞いてないよ」

《本の最後に書いて無い?》


「何処よ」

『ほら、ここですよ』


 取引国の指名手配犯の顔を暗記する事は絶対条件です、なお名前は複数使用されているモノも覚えているとなお良い。


 小さい、明記が最後で、しかもとってつけたみたいな。


「街中に張り出されてるのは良く見てたけど、暗記って」

『あまり街中に張り出しては景観が損なわれますし、警官が常駐し巡回して無い場所も有りますから』

《調べたんだ、日本の事とかイギリスの事、ココとの違いだけだけど。ココでは軍が警官の代りだと手が回らないから、国民でも最低限の指名手配犯は覚えて、身を守る一端を担ってるんだ》


「ありがとうだけど、マジかよ、1国30かよ」

《共通のが殆どだから、50とかかな》


「ゲロでそう、ハンナにイキっちゃったやん、向こう手伝ってたら落ちるぞコレは」

『精霊さんに手伝って貰うのは難しいんですか?』

《可能です》

《便利》


「何か、ズルやん」

《それで指名手配犯捕まえられるなら、大いにズルして欲しいんだけど》

『そうですね、強いから通報の際の心配も少なくて済みますし』


「ええんか」

《うん、私より確実に強いし》

『じゃあ、早速お願いしますね』


 レーヴィの大きな手にいっぱいのチラシの束、分厚い、手が届かん。


 カラーと言えども、100は越えてるっぽいが。


「100か?」

『はい、全部だと300位ですかね』


「バカか、全部暗記してんのか」

『定期的に見直してるんで大丈夫かと。ただ、いきなり僕でも全部は無理でしたよ』

《ある意味犯罪者マニアだよね、新規の手配犯の紙が来ると嬉しそうだもん》


『喜んではいませんよ、ただ頑張って覚えないとなって思って、意気込んでるだけですし』

「兄弟揃って特殊なご趣味で」


『趣味じゃ無いんですってば、見逃すのが嫌なだけで』

《真面目が高じて》

「こうなるかぁ」


『巡回の為でもあるんですからね、覚えて無いのに巡回する意味あります?』

「威嚇」

《街のお助け屋さん、スタック救出人》


「タイヤ交換早そう」

《早いよ、軍の仕込みだもの》

『だけじゃ無いんですよ、だから詐欺師等の検挙率も高いんですから』


「田舎だと思って舐めてると鷹の目が居るとかトラップやん」

《そこだよね、犯罪者は都会を避ける》

『国柄なんですかね、田舎の方が検挙率が高いんですよ』


「手配書は後で見るから預からせてくれ。時を戻そう、偽造犯を探る方法を頼む」

《強制的に囚人のジレンマを起こさせたら?つついて秘密裏に内部調査を動かさせるとか》

『機能してる前提ですね』


「機能してるかの運用テストとか無いのかね、訓練みたいなの」

《どうだろう、ありそうだけど、無いからこうなってるのかもなんだし》

『もしかしたら、テストとして実行されているのかも知れませんね。機能しているかのテストを悪用されている可能性もあるかと』


「あぁ、映画で見たな、どこぞの組織が言い訳してたヤツ」

《監獄実験の事?》


「それもか、まぁ、そういうのだ」

『なら国連の盗聴事件ですかね、民間が電話やネットから遠ざかった一因でもありますから』


「じゃあ、テストが悪用されてる可能性も有り、上が認識してるかは把握出来ないで宜しいか」

《それと、何処まで上の人に直訴出来るかだよね》

『軍でもそうですね、何処まで上の人間と話が出来るかの確認が必要かと』


「確認してそれが敵側なら即死しそう」

《読めるなら回避は可能だろうけど、何かしらの魔道具を使われたら危ないよね》

『確認の場に引き摺り出すのも難しそうですね』


「居るなぁ、強いのが居る、だけど協力してくれるかだ」

《ロウヒ?》


「いや、少し相談してくる」




 伝書紙を書き上げ、外へ出て飛ばす。

 行先はトール、今は何処だろうか。


 聞きかじりの移動魔法の法律に則りたいが、道路を飛んでくれないので、良く周りを見ながら伝書紙の後を追う。


 国境方面へ飛んだのでヒヤヒヤしたが、クーサモへ下降し、街の外れの宿へと辿り着いた。

 窓をノックする伝書紙をトールが手に取り、手紙を開くと周囲を見回し始めた。


『居るのかラウラ』

「あい、聞こえておりますか」


『あぁ、余程の職人の物なんだろうな、俺でも居場所が分らんとは』

「マジっすか、褒めときます。所で、お力を貸して頂きたく」


『ならサウナだ、来い』


 宿のサウナへ入るトール、その後をコートを付けたまま入る。


 タオル付けてくれて一安心。


「んで、国連の事で少しお尋ねしたい」

『知っている限り言おう』


「国連の伝書紙が偽造され、一家がコントロールされかけてました。事を荒立てたくないと静観の姿勢でしたが、覚悟を決め探るそうです。なので、そちらで先ずは探れませんか」


『検閲係には不正防止のシステムが合った筈だが』

「事は20年以上前からです、短い文章の改変から始まりを確認しました。今度は月日が流れ、その子供が結婚の介入をされ、コントロールがなされようとしています。物証としては、直近の家族との分断行為の証拠があります」


『昔のは燃え尽きるタイプだからな、だが証拠が残る今でも行われてるとは、焦りか油断か。継続しているのはその一家だけか?』

「そこは未確認です、何せ他との接触は不味いので」


『それもそうだな。目星は目下検閲係、その者の上司か、伝令係か』

「はい、それと監査や内部調査の人間が悪用しているとも考えています」


『内密な訓練の、運用テストの悪用か』

「はい」


『お前は国連に突っ込む気は無いんだな?』

「少数の内部犯なら穏便に済ませようと思います。ですが問題が上で有れば有る程、その家族が危ないので、そうなった場合には介入しようかと」


『ほう、ヤル気か』

「待つのは苦手なので、何か出来る事に対してワクワクしてます」


『分るぞ、待つのはムズムズして敵わんよな』

「ですよね、ソワソワしちゃう」


『よし、ではその一家の事を詳しくだな』

「そも今日、その一家の姉が来まして……」


 先ずは今日の事を告げ、一家の能力を告げると、暫く考え込んだ。


「難しそうですか」

『ロキが生きてるとあってはな、国連に怪しい動きが有るなら調査するしか無いんだが』


「ロキの仕業と思ってますか」

『分らん、関わって無いかも知れんし、関わっているのかも知れん。国連も身内に疑いが有るとなれば、動かざる終えんだろうが』


「アホが良かれと思ってやってたとかなら、凄い脱力する」

『あははは、ロキの疑いも重なるワケだしな。だがココ最近の出来事ならその可能性もあるが、人間や亜人にとっての20年は長い。そう長く同じ事があるならば、明確な意思の元に行われ、意思が継がれている可能性すらある』


「組織的な可能性も有ると」

『偶々、親子2代でアホなのかも知れんが。まぁ、大きいと思って対峙するのには問題あるまいよ』


「もっと早く相談すべきでしたかね」

『自分で言うのもなんだがな、ロキの事を知っていなければ動いたか怪しい。動くべき時が来たんだ、ココは勘と流れに任せて動く』


「それで後悔はしませんか」

『しない方が後悔するタチだと、後悔はしてないと言い聞かせるんだ。言い聞かせ、奮い立たせなければいけない、無茶でも無理でもだ』


「じゃあ、その一家の情報を渡します、弟がルーカスで見える子、今街に居るハンナって可愛い子はお姉ちゃん。ウツヨキには母親のシーリー、亜人のラルフ」

『よし、若い子の為にも頑張らんとな、俺が見付けて言い出す方向で行くぞ。大丈夫か?暑くは無いか?』


「うん、大丈夫、がんばれおじいちゃん」

『おう、お前もな。さ、もう出るか、今日は帰ると良い』


 トールの後を追い外まで出て、そのまま帰路に着いた。


 事がデカくなりそうだけど、凄い小さかったらどうしよう、大きくしただけじゃん。




 そのまま家に入り隠匿の魔法を解く、2人はサウナだと妖精が教えてくれた。


 どうしよう、本当に小さい事件なら恥ずかしいな。


《お帰り、コート脱がないの?》

「実は、小さい、大した事無い事件だったら。ただ事を大きくしたバカになる、と不安に思っています」


『国連の伝書紙の偽造ですよ?小さいワケが無いじゃ無いですか』

《犯人が小物でも、機能してない国連の問題は大問題だよ》

「そうか、なら言うけど、トールが協力してくれるかも」


《は、え、国連と繋がってるの?》

「らしい、自分が気が付いた事にするって言ってくれた」

『小さな問題で煩わすなとでも言われたんですか?』


「いや、めっちゃノリノリだけど、少し心配になっただけ。ハンナに報告してくるが、この作戦で良いだろうか」

《うん、良いと思う、かなり上に伝わると思うし》

『ですね、本人が訴えるより良いかも知れません。取りこぼしや残党が居ても、後で処理出来ますからね』


「おう、じゃあ行ってくる」




 再び隠匿の魔法を使い、今度は空間移動でホテル近くまで接近し、窓をノックした。


 可愛いネグリジェ。


《居るの?》

「うん、サウナへお願い」


 当然軽い脱水症状を起こした彼女を心配し止める随行者、恋心があるのを隠せないからか隠しもしてない。


 ハンナも少し罪悪感があるのか、少し押し負けそうだったが、何とか僅かな時間を勝ち取れた。


 サウナは貸し切り、なんせお客が居ないのだから。


《ごめんなさいね》

「良いさね、モテる女は大変そうだ」


《本当に、全然興味ないのに困るのよね、可愛い女の子が好きなのに》

「そっちかぁ」


《あら、ルーカスとかラルフから聞いて無いの?》

「いや、何も」


《そういう事だから、宜しくね》

「お、おう。んで、神様から協力を取り付けた、トールから」


《え、は、なんで》

「え、いや、国連と関われるって聞いたから」


《うそ、マジで、こわい》

「なんで」


《だって、嘘ついてばっかだから、会ったら怒られるかもだし》

「真面目か、何でギフテッドや加護持ちは恐れるかね」


《だって、嘘を見抜いて暴くのは神様の仕事だって、絵本で。だからその仕事を勝手にしてるから、怒られそうだなって。聞こえてないフリも、嘘の範囲だと思うし》

「何処の絵本さね」


《カナダの方の英語の、凄い怖いの。地獄の絵が凄い怖いの》

「良いおじちゃんだぞ、気さくで、今回もノリノリ。マティアスも会った事ある、冗談が好きな良い人だよ」


《そうなんだ、ルーカスが居たらなぁ。私はその時に思ってる事しか聞こえないから》

「どうする?」


《うん。って言うかもうお願いしちゃってる感じよね》


「断りには直ぐに行けるよ」

《ううん、お願いします》


「あいよ、じゃあね」

《うん、またね》




 夕飯が少し遅くなってしまったが、マティアス達は待っていてくれた。

 バーベキューと共に。


《牛好きでしょ?》

「ありがとう、ヤバいな、急に空腹きた」

『お米も炊いてみましたよ、お口に合うと良いんですけど』


「貴方が神か」


 至れり尽くせりにより、問題が小さいかどうかの不安は消えた。

 後は、問題がどこまで大きくなるか。


 だが今はお醤油と西洋ワサビでステーキを食べる事に集中、塩も良いけど、焼肉のタレを解禁。


 米と肉、美味い。

 ソーセージにはパン、香ばしく焼いたパンで挟んでケチャップとマスタード。


 ビールが飲めたら、きっと美味しく感じられるだろうに。


 今日は夜食は無し、どうにもお昼寝出来ないと眠い。


 本当に成長期なんだろうか、それともまだ溜まるというのだろうか。

 今は兎に角満腹で、軽くシャワーを浴びて、何とかベッドへ行くだけ。

「イデリーナ」《マティアス》《ソラちゃん》

「リタ」《宿屋のウッキ》《宿屋のムンモ》『レーヴィ』


久し振りの『トール』《ハンナ》


『眼鏡随行官』

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