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3月1日

 とうとう月が変わってしまった。


 結局眠れずに下へ降り、今はソファーに座っている。

 夜の方が元気なのは、特に冬の北欧では不利なのだが。

 身体が低値を抜けた途端、何故に元の夜行性の体質に戻るのか。


 不便で弱くて、何だこの身体は。


 もうエリクサー作るか、夜に乗じて治すか。

 そうなるとエリクサーしか無いじゃないか、なんだもう、何かムカつくぞ。


「機嫌が悪いです」

《急に、どうしたの?怒られたから?》


「いや、違うと思うけど、そうなのかな。体質が夜型で、不便だと思ったらイライラした」

《眠れる方法は?》


「あるけど少なからず夢見ちゃうし、向こうをコントロールするのって難しいから避けてる」

《消費しないなら良いんだけど、コントロールが難しいのはなぁ》


《僕がお手伝いしましょうか?》

「お、寝かしつけてくれる?」


《はい》


 ベッドへ戻り、妖精に言われた通り部屋を暗くし羽根を眺める。


 ひらひらと舞う羽根から、鱗粉の様にキラキラとした魔素が舞う。

 その魔素が固まり大粒となって、ゆっくりと空中に漂い、瞬く。






 凄い、寝てた。


 瞬きをしただけと思いきや、時間は既に朝の8時。

 助かる、マジ感謝。


「ありがとう、そしておはよう」

《おはようございます》


「毎回思うんだが、潰れるか心配になる」

《眠ってる時は空気より軽くなるので大丈夫ですよ、挟まったりもしないので安心して下さい。心配なら今度僕が眠ってる時に試してみて下さい、スルスル抜けるのがマティアスは楽しいらしいですよ》


「仲良しだなぁ、今度やってみます」

《はい》


 下へ降りると、キッチンで湯を沸かすマティアスの姿があった。


 そう言えばもう低値を抜けてるのに、何で居るんだ。


「何してる」

《おはよう、朝食にパスタを茹でようかと》


「おはよう、もう低値を抜けたのに何故居るのか」

《え、今そこ?執筆に良いからとか?》


「なら良いか。材料は?味付けは?」

《リタのなんだけど、トマトとキノコ…》


 油にスライスしたニンニクを入れて香りが立つまで火にかけ、生のキノコを加えてしんなりするまで炒めてから、瓶詰のトマトソースを入れ煮立たせる。


 茹で時間半分のパスタを入れ、水気を飛ばして味見して終わり。

 レシピはシンプル。


「うん、がんばれ」

《待って、見ててくれるだけでも良いから》


 先ずはニンニクを焦がしかける、キノコがしんなりする前に瓶を入れそうになる、そして最後は何故か弱火で水気が飛ばなくなりそうになる。


 レシピに書かれてない基本がブレブレ、初心者あるあるを網羅するとは。


「面白かった、美味しそうじゃん」

《ニヤニヤして、助けてくれなかったら絶対変になってた》


「火加減が書いて無いし、ニンニクは焦げるって知らないんだもんな、仕方無い」

《ニンニクが焦げ易いの知ってるけど》


「食べないの?レーヴィは?」

《レーヴィは食べて来るって、だから片方はラウラのなんだけど》


「良かった手を出しして、いただきます」


 さっぱりしててナポリタンに近いけど、酸味は控え目で美味しい。

 瓶が既に調理済みなのだろうか。


 半分食べた辺りで粉チーズを振る。

 美味い、パルメザンチーズ有能。


《チーズ良いね、美味しい》

「流石リタ」


《ね。足りないよね?》

「パンだな、食べる?」


《うん、少しだけ》


 ハムとキュウリと卵焼きのシンプルサンド、耳は落として無いのでパスタのソースに付けて食べる。

 マティアスはバターで焼いた卵が気に入ったそうで、4つ切りにしたモノの2つ目を食べている。


「これこそマティアスでも作れるだろうに」

《卵を焦がしそう》


「バターたっぷりで焦げる隙は無い、ハズ」

《うーん、出来るかなぁ》


「卵焼きは練習あるのみ」


 だが今朝は練習に付き合う時間が無いので、また今度。


 今日は南部へ治療しに行くが、兵士からの情報で、大きな街に他の治療師が居るらしいので避ける事に。


 ケミヤルビ、ポシオ等の内陸中心部の町へ行く事になった。


 今日は家から直接向かう。

 ベールを被り、妖精を頭に乗せて。




 昨日と同様に徽章を付けて歩いていると、何処からともなく声が掛かり、治療の列が出来た。


 妖精が見える人は視線が常に頭の上に行ってしまうのが面白い、悪戯半分なのもあり妖精もご機嫌。


 お昼が近づくとご飯をご馳走しようとしてくれる人が多くなるのだが、マティアスの言いつけに従い飲食は避け、僅かな時間の合間に軽くエリクサーで補給。




 1日掛けてサボンリンナまで行き、折り返す。

 今度は隠匿の魔法を使い、一気に家の近くまで戻った。


 ソラちゃんに周囲を確認して貰ってから、魔法を解除し家へ入る。


《お帰り、サウナ準備してあるけど、ごはんは?》

「作ったの?」


《ううん、待ってた》

「ですよね、先にサウナ行くわ、盛り合わせで良いかい」


《うん》


 時間はもう21時、疲労感は皆無。

 容量は高値、数の暴力で魔素の回復が出来た。


 今度からはオーロラには魔除けの鈴をと注意したが、どれだけ広まるか。


 シャワーを浴びて、マティアスが用意してくれたサウナへ入る。

 妖精もサウナが好きらしいが、数分で窓ガラスから出て行った。


 空腹感は有るので、サウナからテラスへ向かい食事をする。


 今日もオーロラは無し。


 身体が冷え切る前に、食べ掛けを持って中で食べる。


 まだ眠くないが、活動量が量なので妖精に寝かしつけて貰う。


 妖精のプラネタリウムが、ゆっくりと瞼を落とさせる。

《マティアス》《スズランの妖精》

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