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1月30日

ドリームランド・序章。

 



 昔、良く夢で行った場所はいつも夕焼けで、穏やかで静か。

 見覚えがあるんだけど、知らない場所で、不思議な場所。


『お嬢ちゃん、久し振りだね』


「あ!おじさん!久し振り!」

『どれどれ、抱っこさせておくれ、どれだけ大きくなったかな?』


「へへ、21才になりました」

『そうかそんなに、それでもお嬢ちゃんは小さい時のまま、変わらないね』


「ありがとうおじさん、今日はお祭りはある?」

『あぁ、今日もあるよ、一緒に行こうか』


「うん」


 真夏の夕陽が射し込む高架下のタクシー乗り場には、ハッピを着た体格の良い男達が組体操の騎馬を組み並んでいた。

 丁度2台、車道に並んで待っている。


『今日はコレに乗ってくよ、直ぐ着く』


 ハッピ姿の男の背中に2人で乗ると、気持ち悪い程にヌルヌルと超高速で裏道を抜け、川沿いを進む。

 他に車も無く、あっという間に目的地に近づいた。


 赤い橋を渡ると、吾妻橋の交差点。

 通りの向かいには神谷バー、斜め右には金色のうんち。


 今日は年に1度のカーニバル。

 サンバのダンサーにひょっとこも、ごちゃ混ぜに車道いっぱい踊ってる。


「変なの」

『そうだね、他にも踊りを知ってるかい?』


「花笠音頭とか、跳人はねととか?」

『あんなやつかい?』


「そうそう、あれが跳人、跳び跳ねてるでしょ」


『あっちは一糸乱れぬ踊りだね』


「大きい太鼓を鳴らして、鈴を付けて笛と鐘を鳴らして練り歩くんだ。どっちの花笠も素敵でしょ」

『そうだね、綺麗だ』


 跳人達は跳び跳ねながら右方向へ、花笠音頭は左へと理路整然と進んで行く。

 カラフルな祭りにそぐわない、焦げ茶色のどす黒い何かが、目端で増えていく。


「ねぇおじさん、変なのが居る、焦茶色の人、怖い」


『いつもの様に、目を合わせちゃダメだよ』


 いつもならその言葉で目が逸らせたのに、今日は視線が逸らせない。

 強い磁力が反発する様に、合わす以外の抵抗が強くて外す事が出来ない。


「ダメ、見つかった」

『じゃあ掴まって、飛んで逃げよう』


「何処に逃げるの?」

『近くに楽しい場所はあるかい?』


「遊園地があるよ!」

『じゃあ行こう、どっちだい?』


「そっち、真っ直ぐに行けば見えると思う」


 変な顔をした人達が立ち尽くす通りを抜け、遊園地に辿り着いた。

 おじさんにピンク色のチケットを買って貰い、中に入る。


『もう大丈夫、何に乗りたい?』


「あの落ちるやつ楽しいよ」

『じゃあ乗ろう』


 ゆっくりと上がり、ビルや塔が見え始め、地上を少しずつ見下ろしていく、そうかと思うと早い速度で地上にフワリと急降下。

 また上がっては降りて、絶妙な浮遊感がたまらなく好き。


「ふわってするのが好き」

『あぁ、楽しいね』


「ねぇ、まだ居る、下に居るよ、黒いの」


『そうだね、アッチは動物園かい?』

「うん、上野の動物園、パンダ居るんだって」


『よし、じゃあこのまま見に行こう』

「また飛ぶの?あれ怖い」


『大丈夫さ、しっかり掴まって』


 アトラクションから飛び出すと、高いビルの側面を足場にもう1回跳躍。

 さっきと違い自由落下のスピードはとても早いので怖い、跳躍の重力で体が重く感じる、おじさんのコートを掴む手に力が入らない、すり抜けて離れそうになる。


「怖い、飛んでっちゃいそうになる」

『しっかり掴まえてるから大丈夫、ほらね。もう着くよ』


 動物園の広場に着くと、目の前には猿山。

 動物園なのに獣臭さが無くて静か、人擬きも少ない。


「猿は煩いから好きじゃない」


『何が好き?』

「ふわふわのすべすべの可愛いのがいい、キリンも好き。鷹も梟も好き、猫も」


『そうか、ならあそこで触れるみたいだよ』


 すぐ近くのふれあい動物園には、リスにウサギにモルモット、ライオンの赤ちゃんに猫もいた。

 お互いに毛繕いをしたり、寝転んだりと警戒はしていない。


「食べちゃわないの?」

『小さい頃から一緒だから食べないんだよ』


「そうなんだ、ふわふわ」

『そうだね、どの子が好きだい?』


「黒くて毛の長いあの子が良い、昔近所に居た子そっくり」

『はい、抱っこしてごらん』


「ちっちゃい」

『そうだね、まだ赤ちゃんだ』


「おうちで飼えたら良いのにね」


『今もまだ飼えないのかい?』


「うーん、多分飼える、今は違うとこに居るから」

『また引っ越したのかな?』


「違う、新しい所に来たの。神様も精霊も居るの」

『嫌な場所かい?』


「ううん、良い所。みんなやさしい、でもたぶん、いつか、戦わなきゃいけない」


『そうか、誰とだい?』


「他の世界のなんか、わかんない」

『それは大変だ、何か困っていないかい?』


「ある!治したり壊したりしないといけない、でも練習台が無いから困ってる」

『何を壊して治すんだい?』


「ひと、だから、自分の腕を」

『大丈夫、今はちゃんと両手があるだろう?ほら、お手てをこちょこちょこちょ』


「ふふふふふ」


『仲間やお友達は居るのかな?』

「カールラとクーロン、ソラちゃんも一緒なの」


『おやおやおや、これは』

「ソラちゃんはね、ヨグ=ソトースがくれた」


『そうか、ヨグに会ったのか』


「うん、会った?のかな?光ってて見えなかった、喋ったら消えちゃって、後は扉の隙間からソラちゃんが出てきた」


『入らなかったんだね、そうか、君には鍵が無いから』


「鍵?」

『ドリームランドへの鍵さ』


「その鍵はどうやったら手に入るの?」


『うーん、怖い思いをしないと手に入らないんだ、沢山逃げたり戦わないとならない』

「やる!練習する!沢山殺して、沢山治す!」


『そうか…よしじゃあ、鍵を探しに行ってみるかい?』


「良いの?おじさんお仕事は?」

『はははは、お仕事は一旦終わったから大丈夫』


「何で一緒に行ってくれるの?」


『暇だからかな、気まぐれ旅には楽しい事もあるからね』

「そっか、楽しいもあるんだ」


『そうだよ、魔法か何かは使えるかい?』


「うん、森つくったー、治すのは練習中、後は物を出したり移動したりとか。ソラちゃん出ておいで」

《はい、お呼びですか主》


「盾を出して」

《はい》


『うん、使いこなせてるね、それなら大丈夫、戦えるね』


「うん、勝ったけど、痛そうだった」


『そうかそうか、きっともう治ってるよ』

「うん!お薬あげた、タケちゃんに」


『偉いね。じゃあ先ずは、あの森に行ってみよう、ガグとガーストを見付けたら倒すんだよ。剣はあるかい?』

「いっぱいあるよ!どんなのが良い?」


『一番強いのが良いよ』


「わかんない」


『うーん…じゃあ、どんな剣が好きかな?』

「綺麗なの」


『どんな感じだい?』


「薔薇の長いの」


 薄紅色の薔薇の飾りと、柄が彫られた持ち手が自分の胸から生えてきた。

 引く度に薔薇の花が零れ落ちる、勢い良く全て引き抜くと、それは自分の腕より長いフェンシングの剣の様な物。


『エペとサーブルの中間みたいだ、綺麗だね、そしてとっても強そうだ』


「初めて見た時から持ってみたかったんだ、強くて早くてしなやかで、とっても綺麗な剣」

『良い武器だ、いつでも出せる様に腰に鞘を着けると良い』


「うん、良いでしょこのベルト、神様に作って貰った」


『格好いいね、その杖はマーリンのかい?』

「うん、クエビコさんのもあるよ!会えないかなぁ」


『マーリンならココの住人だ、きっといつか会えるさ』


「そっか、おじさんのもあげる、逆刃刀」


『お、ありがとう、じゃあ行こうか』


「うん」


 おじさんに抱えられ何回かジャンプ、着いた場所は。

 鬱蒼と大木が繁る森、標識はあるが字は読めない。


『ここは迷いの森、始まりの場所だよ』


「道が、案内板しか無いんだね」

『飛べる道具は持ってるかい?』


「何も無い…いつもカールラとクーロンの背に乗ってるから」

『そうか、誰かが持って無いかな?飛ぶ箒や靴なんかを』


「わかんない、カールラ怒ってるかも」

『どうしてだい?』


「自分の腕を切っちゃったから」


『それでももう繋がっているだろう?ほら、ちゃんと感触がある』

「うん、でも誰か話してる」


『そうか、じゃあ行っておいで。次はこの森の入り口で待ち合わせだ』


「ごめんねおじさん」

『大丈夫、待ってるよ』






「桜木さん、痛いですか?大丈夫ですか?」


 目を覚ますとキャンプ場では無く、エイル先生の診察室だった。


 ショナも居る。


 怒られる。


「ごめんなさい、自殺とかじゃ無くて、試しにと」

『怒らないから落ち着いて、自分で試そうとしたんだよね?』


「はい、ごめんなさい」

『治す為に?』


「はい」

『魔王に試せば?』


「失敗したら不便だし、双子達が悲しむかと」

『アナタが傷付いたら、誰かが悲しまない?』


「うーん…バレずに治せれば良いかと、追い込めば出来るかと」


『でも少し失敗して、こうなってるじゃない…相談してくれたら良かったのに、そしたら勿論止めなかった。普通は止める、普通は、よ?私達は人智を越えた存在。ショナ君が許さなくても私は許す、そして褒める。良く自分で試した』


「失敗してごめんなさい」

『そもそも気を使い過ぎ、それに普通の民でそんだけ熱心なら、召喚者じゃ無くても助ける。熱心な人は大好きよ。にしても神経を治すのは痛かったでしょ、大体の医神は麻酔なり麻痺の魔法使ってるの』


「あぁ…相談すれば良かったです、ごめんなさい」

『うん、それで宜しい』


「でも1つ言い訳を、誰かに言ったらワザとケガするんじゃないか心配で…」


『しないしない、わざわざ腕を切り落とす奴なんて、ロキ位なもんよ』

「クレイジー」

「桜木さんもですよ」


「ごめんなさい」


「理由を聞いた今は怒ってませんけど、それでも納得はいかないです」

「いや、怒ってるじゃないの」


「憤ってます。いつからこんな事を考えてたんですか」

「昨日?の前髪切った辺り。どの位眠ってた?」


「今は30日の3時過ぎです。髪切ったら腕切るって、どうすればそうなるんですか」

「いや、そのまんま。髪を切るみたいに腕も切って、治せば良いんだ、みたいな」

『アハハハハ、そう、そうなの、ふふふふっ…最初は指でも良かったんじゃ無い?』


「指で成功しても次は結局、腕に行ったと思うから、最初から腕をと」

「そんな単純な」


「単純バカですよ、期待し過ぎ。誰かを治そうとして失敗したら落胆されたり、責められるのが嫌だから、言わなかった」

『まぁまぁ、どうどう。ショナ君、召喚者とか英雄って大体はこんな感じらしいから。慣れなさい』

「えぇ…はい…でも、桜木さん、本当にそれだけなんですか?」


「おう、他意は無い。きっとこれからも自分で実験出来るのは、自分にしちゃう。料理と一緒、不味いの出したくないだけ」

「安心と不安が同時に…」


「そこまで不安に、もしや家族の事が引っ掛かってる?」

「はい、あんな乱暴な物言い、何かしらあると思ってしまいますし」


「ごめんな、家庭環境が複雑でちょっと、今は上手く話せる自信が無いけど、いつか誰かにちゃんと話す」


『ハッキリ言って、直ぐ死のうとしそうだから心配なんじゃない?』

「え、凄い生きたいんですけど」


『でも死ねば世界の救済になる、だと?』

「しんじゃうなぁ」

「少しは即答せずに悩んで欲しいんですが」


「なんで、被害が50億と1なら1で済ませたいじゃん」

『おタケの全員生き残らせるってのも好きだけど、ね』


「でも、クソ50億と良い子2千なら、2千選ぶかも」

『分かる。ねぇ、ショナ君は考えた事ある?そんな事』


「それは…軍人である以上は全員救うとしか」


『まぁ、それで良いのよ、信念と倫理を曲げなくても良い。ただ、その逆の信念もあるって理解はして欲しいな』


「そんな偏ってる?他の召喚者もこんなもんじゃ?」

「そうかも知れませんが、コチラの人間にしてみれば偏ってます」


『でね、世界はそこを補う為に召喚者を喚んでると、私は思ってるのよ。多様性と変化。何も、戦って救うだけが召喚者じゃないんじゃないかって』


「急に壮大な」


『マジマジ、ワクチンの様であったり、発展や進歩の促進剤であったり、そうした変化の為のスイッチ。それで、悪い召喚者も良い召喚者も居るんじゃ無いかなって。ショナ君はどう思う?』


「…良くない召喚者に関しては、世界も万能では無いので、稀に召喚に失敗しているんじゃ無いか、というのが一般的な見解です」


『そうね、それもあるかも知れない。で、本題なんだけど、人々にとってハナは良い召喚者では無いかも知れないのよね。だからショナ君は、このハナの思想が全く受け入れられないなら他の召喚者に付くべきだと思うの、オススメはおタケね、思想も合ってるし』


「良い召喚者ではありたいけど。そうだね、それが良いと思う。これからも驚かせる事をする、絶対。でも話し合いには応じる、間違いは正したいから。でも、合わないのはしょうがない」


「これからも相談しないでこんな事をしちゃうんですか?」

「いや、今回は浅はかだった。今後は少なくとも神様達なり精霊なりには絶対相談する、事前告知する」


「それなら少しは安心なんですが…ご自分を、もう少し大切にして頂きたいんです」


「してる、結構してる方、何なら向こうでより全然してる。ショナこそ大事にしてる様に見えない、休暇は切り上げちゃうし、仕事ばっかやんけ」

「それは事情が。そも仕事が生き甲斐ですし、食べてく為でもありますし」


「それこそ限度があろうよ、プライベート皆無っぽいじゃん」

「ありますよ」


「休みに何してた」


「実家に顔を出して、夕方には帰って資料を読み込んで…家事とかを映画を観ながら片付けて、修練場で練習したり…備品点検とか」

「ほらぁ」

『あらー、恋人とか友人に会うとか無いの?』


「ここ数年は無いですね。同期や友人とは時間が合わないですし、急な呼び出しがあったら迷惑を掛けてしまうので」

『凄い仕事人間』

「生き甲斐とまで言い切ったし…ご趣味は?」


「映画鑑賞と読書です」

「特に召喚者シリーズの」


「…はい」

『根っからの従者ね…』


 変な空気の中、小さなノック音がした。

 磨りガラス越しの頭には角、魔王が来たのだろう。


『はいはーい、起きたわよ、元気元気、心配無いわ』

「ごめんね魔王」


『治療魔法の良い練習方法がつい思い付いちゃって、直ぐに試しちゃっただけよね?もうしないわよね?』

「はい、その通り、もうしません」


「今度から遠慮せず私を練習台にして下さい」

『それは嫌だからこうしたのよね、今回は痛みの遮断方法をミスしちゃっただけで、他の方法を探すらしいからもう大丈夫、安心して』


「はなちゃん、本当にもうしませんか?」

「しない、ごめんなさい」

『よし、じゃあアヴァロンで療養命令です、満タンにしてごらんなさい』


「はい、ありがとうございました」




 真夜中のヴァルハラからアヴァロンへ向かうと、ドリアードが大手を振って出迎えてくれた。


 怒る前の優しいお母さんかよ、怖い。


「桜木さん、他は誰も知りませんから安心して下さい。エイル神のご配慮です」

「申し訳ない…次はドリアードに怒られるのか…」


「それがそうでも無くて…」

《よう帰ったのぅハナ!実に潔しじゃ!》

『僕は少し怒ってる、僕の目の前でしてくれたら良かったのに』


「ごめん、スクナさん。止められるかと思って」

『当然止める。だが、説得してくれても良いだろう』


「やもたてもたまらず」

『手術や治療には準備が必要だ、今回は説得も準備の1つ』

《上手くいって今は治っておるのだから、良いでは無いか~熱心で我は大好きじゃぞ》


『熱心なのは良い、準備が甘いのが良くない』

「ごもっともです、申し訳ない」


『反省したか?ちゃんと準備をするか?』

「はい、します」


『良い、許そう。だが罰として、万能薬の摂取、軽食後に湯治、睡眠と行って貰う』

「はい、ありがとうございます」


 特別に不味く濃い万能薬を数㍑飲み干し、スクナさん作の薬膳鍋で口直し。


 掛け湯後、睡眠前の僅かな湯冷ましに脱衣場の外で横になった。


「お疲れ様です、部屋を暖めてありますけど、冷まし過ぎないで下さいね」


「はい」

《ショナはご主人の従者やめちゃうの?》


「え?」

《だってなんか嫌な感じする》

「あー、やっぱり?」


「いや、そんなつもりは無いですけれど…嫌になったのは自分であって、桜木さんを嫌になったりしてませんよ」

《でもショナはまだ怒ってるみたい、カールラに怒ってる?》


「誰にも怒ってませんよ、自分にモヤモヤしてるだけです」

「すみません」


「いえ、桜木さんは召喚者様なんですから、立場を弁えるのは僕の方で…」

「さては柏木さんに報告したな」


「はい、少し驚いてましたが」

「ごめんよ、監督不行き届きで怒られなかった?」


「それは大丈夫です、魔王も報告してくれましたから」

《カールラもしたのー》


「ありがとうね、カールラ」


『ハナ、そろそろ部屋へ戻ろう』




 カールラはいつも以上にベタベタ、そしてショナは部屋の片隅で落ち込んでいる。


 すまん。


「ショナ、落ち込まれると眠れない」

《ご主人も感じる?》


「すみません、少し考え事をしてて」

「なに」


「そもそも、もう僕は桜木さんを止められ無いんですよね。あの模擬戦を全力で仕掛けられたら、僕は秒殺ですし。その隙きにご自分の腕を切り落とされなかっただけ、マシなのかなと思って」


「そこまでサイコクレイジーじゃないんだが」


「そうですけど、でももう全てにおいて、止められない立場になってしまったなって」

「口で止めれば良かろう」


「いけますかね」

「ダメなら泣き落とし」


「次からはそうします」

「おう、おやすみ」


「はい、おやすみなさい、桜木さん」






 とうとう夢の続きは見れなかった。


 スクナさんの濃い万能薬のお陰か、今度は空腹感で起床し、万能薬を少々、そして朝食が始まった。


 ショナが作ってくれたタケちゃん直伝の中華粥でお腹を馴らし、タマゴサンド、昨日のクリームキノコパスタ、焼きおにぎり、お付けもの、お鍋と食べていった。


「ちょっと顎が疲れてきた」

「ですよね、柔らかい物を選んだんですけど、量が量ですから」

『後は万能薬だな、休憩に日向ぼっこだ』


 少しお昼寝してはエリクサーを飲み、小腹がこなれては飯を食い。


 作業の様な修行の様な飲食はパッと見は拷問に近いけれど、そこまで苦でも無い。

 美味いから。


「桜木さん、辛く無いですか?」

「美味しいので平気」


「ゴクゴク飲んでますけど、どんな感じなんですか?」

「喉が乾いてて飲むけど潤わない感じ、お腹もさほど溜まらないからイケる。飲む?」


「遠慮しておきます…僕は多分、吐いちゃいます。容量越えると出ちゃう体質なんで」

「上から下から?」


「ですね。子供の頃に温泉地で発光しつつ嘔吐したのが初めてらしいです、記憶としては兄が突然光ったのを良く覚えてます」

「学校で突然とか恥ずかしそう」


「そうなんですよ、早退する時に凄い光ってるから可笑しくて可笑しくて…あ、子供は災害時などの捜索用にと最初に発光魔法が刻まれるんです、魔法の暴走の捌け口にもなりますし。昔は浮遊の魔法が暴走したりして、危ない事件もありましたから」


「それは危ない、吐くだけで済むなら良いんだけどな、慣れてるし」


「桜木さんの場合は想定が難しいんですけど、僕の様に体調不良として出るんじゃないかと」


『そうだな、湯中り同様に頭痛や眠気かも知れない』

《じゃが魔法の暴走も有り得る、が、危なくなれば我が吸い取るからの、安心せい》




 それからも怒涛のエリクサー&湯治、ショナの手料理で満腹感を感じられる様になってきた。


 身体に変化は無い、怠さがあったみたいだと後で自覚はしたが、今は良い感じ。


『良い子だ、愚痴1つ言わずに偉いぞ』

「濃いのに比べたら天国、効くけどアレは辛い」

『うんうん、アレに懲りて魔力が底を着く事が無いように』


「はい、肝に命じます」



 

 それから暫くして、ドリアードがイチャイチャして来た。

 機嫌が良いのは良いんだが。


《うむ、ほんに良い子じゃ。娯楽を提供してくれるわ、熱心だわ…あの量を飲めるとは、ソレだけでも神々に愛されるぞぇ、ふはははははっ》

『あぁ、本当に飲みっぷりが堪らないな、春雷巡る春の空の様だ』

『クエビコはいつも見れるのが羨ましい、僕もハナに付いて行こうかな』


「別に良いけども…満タンはまだかな?」


『それが少し良く分からない、先程まではそろそろかと言う気配だったのに』


「僕の方もさっきから機械がエラーばかりで、一旦中止しますか?」

《まだイケるじゃろ~》

「万が一満タンになったらどうするの?」


《我が吸い上げるか、それでもダメなら草木でも生やせば良いのじゃ!どんどんと森をふやすのじゃー!》


「あの…もう草が繁ってるのは、大丈夫なんでしょうか?」


《あれ、本当じゃ!ぶははは!我では無いぞ!あははははは!》

『ハナ、飲むのは中止、どうやら溢れてるようだ。急いで消費して』


「お、おう」


 練習用にと家の前にドリアードが撒いていた綿の種を、片っ端から成長させていく。


 真っ白な綿がポンポンと出来上がって行くと、どこからともなく現れた妖精達が収穫してくれている。


 小さい羽の生えた妖精から、羽の無い成人女性型の妖精まで


 無償で動いている、歌いながら踊りながら。


《まぁ!これは一体…》

《ハナから養分が漏れておるのじゃぁ~》


《あぁ、魔素が漏れて…》

『急いで消費させて要るが、間に合わ無いかも知れない。最悪は隔離が必要だ』

『すまない、我々の失態だ。取り合えずこのドリアードをだな』

《嫌じゃ!離れとう無い!》


《我が儘言わないで下さいドリアード》

《一緒が良いのじゃ!》


《…これから島を切り離します。ハナ、少し早いですがプレゼントですよ、受け取って下さいね》


「ごめん、ティターニア」

《いえ、謝らないで下さい、島の譲渡は独り立ちの記念にと元々計画していたのです。誰でも来られますから、皆さん共に仲良くして下さいね》


「うん、ありがとう」




 ティターニアが何かを唱えると、轟音と共に地面に亀裂が入り。

 粉塵が上がると柵の向こうが切り離されていく。


 オベロンに羽交い絞めにされながらも、ドリアードが枝葉を伸ばすが、コチラ側の結界に弾かれてしまった。


 どんどんと地面が離れ、あっという間にドリアード達が見えなくなった。


『すまないハナ、こう漏れると思わなかった』

『そう落ち込むなスクナ、本当にこやつには想定外が多い』


『そうだろうか、膜が薄い理由を考えるべきだった。膨らみ透過する性質があったんだ、良く考えれば、想定できた筈』

「それはきっと結果論さね、薄いから膨らむなんてあったの?」


『僕は知らない、クエビコは知ってるか?』

『英雄に多いらしいがな、実物は初めて見る』

「ほら稀じゃん。クエビコさんは影響無いの?」


『ワシは大丈夫だが、スクナはいずれ大きな影響が出るだろう。ほれ、今にも泣きそうなのが良い証拠だ』


『ないてない』

『泣きそうだと言ったんだ、ワシに任せて帰れ』


『まだないてない』


「スクナさん、魔力回復ありがとう。収まったらまた手伝って?」


『ここで投げ出すのは嫌だ』

「違う違う、経過観察。様子見」

『そうだ、付きっきりだったんだ。医者の不養生をする気か?昨夜のお説教が霞むぞ』


『…分かった。クエビコの所に行くから、ちゃんと経過報告するんだぞ』

「おうよ、任せて」


 スクナさんは木の影に消え、カールラとショナ、クエビコ杖だけとなった。


「カールラは大丈夫?」

《ご主人と離れるのイヤなの、何でもするから離れるのはイヤなの》


「不味い感じですね」

「な」

『あぁ、どういう規則性があるのか』


「ベッタリなだけなら良いんだけど」

「これから先どう出るか」


「ショナは大丈夫?」

「魔道具があるので何とか」


『カールラ。アヴァロンやヴァルハラへ行き皆に報告すると良い、ドリアードがアレでは使い物にならんだろう』

「そうそう、お願い。直ぐまた会えるから」

「そうですね、衛星軌道からも外れて通信出来なくなる可能性がありますし、連絡係をお願いします」


「カールラにしかお願い出来ない、ヴァルハラのエイル先生にも一応報告して来て欲しいし」


《ほんと?やくたつ?》

「おうよ、大活躍して来て欲しい」


《分かった!がんばる!》




 カールラが元気良く飛び立つと、いよいよアヴァロンは見えなくなり、島が海上まで移動している事に気付いた。


「海だ…何でクエビコさんは大丈夫なの?」

『あぁ、本体が影響を受けて居ないからだろうか。外国での権限制限の影響もあるのかも知れん』

「じゃあ僕は連絡して来ますね」


「通信出来るの?」

「出来なくなる可能性があるかも、と言っただけですから」


「やるね、いってらっしゃい」


【主、宜しいでしょうか】


「はいはい」


【島の中央にある樹へ移動して下さい、島の認証システムと接続します】


 この島1番の大木、さくらんぼの樹へ少し移動すると、ソラちゃんが出したタブレットが再起動を始めた。


 アップデートマークがグルグルしている。


『この木が島の守りになるのか』

「桜じゃなくてさくらんぼなのな」


【再起動完了、土地の拡大に魔力を使用する事を提案します。この木への魔力使用で拡充可能です】


「おうよ」


 その木へ魔力を注ぐと、島全体にまで広がり、柵の向こうでは土が湧き出て地面が広がっていった。


 何処からともなく濃霧が湯気のように立ち上ぼり、雨を降らせ地面を潤す。

 全体の植物が衰退を繰り返しながら、島は大きくなっていった。




「桜木さん、冷えて来ましたし休憩して下さい、家に入りましょう。

『そうだな、少し休むべきだろう』

「ふぇい」


 家に入るとショナが暖炉に火を追加してくれていた、家が無かったら今頃は野宿だ。


 ありがたい。


「お茶を淹れますね」

「うん。一応クエビコさんに改めて聞くけど、何が起きてるの?」


『スクナ曰く、容量を越えた結果、魔素が溢れたのだろうと。魔法の暴走では無く、指向性を持った魔素に還元された状態で溢れた、感情の増幅のオマケ付きでな』


「うーん?スクナさんもう大丈夫なの?」


『もう大泣きだ、やっとそこまで聞き出したんだ。詳しくはエイル神にでも聞くと良い』


「では、向こうと繋ぎますね……」


【ハナ!おめでとう!面白いリミッターだね!】


「おう、エイル先生ありがとうございます。カールラは行きました?」


【うん、耐性があるみたいでもう落ち着いてるわ。ドリアードは、まぁ気にしないで】


「ご迷惑お掛けします」


【良いのよ!通過儀礼みたいなもんで、皆が通る道だし】

「そうですよ、この世界では転生者の方々以外は全員通る道ですから」


「そう?…じゃあ今回の解説をお願いしても?」


【あいよ!普通は魔法が暴発する暴走系が多いの、私もソレで武器が勝手に動いて大変だった。次はそもそも体が受け付けずに拒絶するタイプ、下痢嘔吐や、体内に魔石が出来ちゃうなんて事もあるわね】


「ショナの魔石…」

「桜木さん、僕には出来ませんよ」


「上下派め」


【あら、ショナは拒絶系なのね。で、ハナのは放出系、入ってもそのまんま魔素を出すから、癒しの神々に多いわね、飲食物も摂れない程に弱った者を癒すの、私もソレが良かったなぁ】


「なんか感情の増幅がオマケされてるらしいんですが」


【そうそう、放出系かもと思ったけれど。私は勝手に特殊系って分類してるの、魔素以外の何かを出して汚染したり、吸い上げ続けたりするタイプもあるし。直接診ていないから憶測なんだけど、他人に影響を与えるタイプかも、大罪の1人もそうらしいわね。本人も他人も無自覚なのが多いから、ロキのバカとかマジ大変だったし】


「それのミックス?」


【そうね、特殊系はミックスも少なくないかな。ロキは拒絶系のミックスだったから、全然分からなかったのよ】


「そんなにロキさんは問題児?」


【もうね…悪い子じゃ無いんだけど、トール位しか制御が効かなくて、大人が遠ざけてたのよ、実際に会った時も、突拍子も無い感じで私も納得したけど】


「親近感」


【ふふふ…ね、まだ接触は無いの?】


「まったく」


【珍しい…遠慮してるなら偉いわね、今度褒めてあげないと】


「あの、どの程度で収まるんでしょか?」


【観察して、どの分類か見極めたいからなぁ…消費してから1日様子見が理想なんだけど。勿論、急ぎなら魔素を風で飛ばす子でも派遣するわ、離れて使うから凄い突風になるけど、草木が壊滅する程度に】


「1日かぁ…」

「桜木さんの休暇日って事で、1日様子見してからでも良いのでは?休息と言う名の修行でしたし」


【らしいわね、ふふ。今度こそ、ちゃんと休まないと】


「じゃあ、分類把握したいのでそうします」


【うん、じゃあ何かあったら連絡頂戴ね】


「はい、ありがとうございました」


「桜木さん、違和感は無いですか?もしかして拒絶系も入ってるかもと思って」

「なんも、無自覚」


「ならタブレット学習しましょう、調べ物が色々と途中だって言ってましたよね?」

「お、そうします」


 昨今話題のロキさんを調べると、空飛ぶ靴をお持ちらしい。


 貸してくれないだろうか、せめて現物を見たいが、接触してくれん事にはなんとも。


『所で従者、お主は大丈夫なのか』

「あ、魔道具がどうとか言ってたけど、影響受けてるの?」

「多少は、でも魔道具以外にも魔法で抵抗してますし、大丈夫です」


「本当に?」

「はい、ダメになる前に言います」

『では判定はスクナが行うそうだ、任せておけ』


「お、ありがとう」

「はい、ありがとうございますスクナヒコ様、クエビコ様」


 タブレット学習も程々に、そこらの植物を育てたり、トイレに行ったり、お茶したり。


 そしてまたタブレット学習に戻る、を繰り返していると夕飯の時間になった。




 夕飯は抜かない方が良いとスクナさんからの忠告で、魔素が減らされたメニューが出て来た。


 ホットドッグにピザ、インスタントラーメンと実にジャンク。


「何で魔素少なめ料理がコレなのか、つか量は良いのか」


「加工が多いと魔素が減るんです、お口に合うかどうか分からないので数種類出しました。たまに食べると美味しくて…好きなんですよね僕」


「うむ、凄いジャンク、懐かしい味だ…」


「魔素少なめって、安心してつい食べ過ぎちゃうんですよ」

「拒絶系には死活問題だもんな」


「そうなんですよ、遠い親戚が内臓に石が出来ちゃって、地獄の様な苦しみを味わったって…」


「恐ろしい…上限て落ち着かないの?」


「年齢と共に上昇し、老化と共に下降します。小学生位で傾向が分かるので、その範囲内で摂取してますね。かといって滞留しても良くないので、魔法を使う機会が無い人専用の大会を、自治体が定期的に開催してます」


「生活に密着してんな、魔法」

「そうですね。逆に桜木さん達の世界が魔法無しで発展してるのが不思議です…因みに、その機械も一般的に普及してるとまでは言いませんが、着けてる人もそれなりに居ますよ」


「やっぱコレ高い?」

「大丈夫ですよ、どんな上限解放かで保険割合が変わるので。一部の国では高価だそうですが、我が国は大丈夫です」


「大事にせんと…低値で鳴るって言ってたけど、上限では鳴らんかったね」


「暴走系専用での試作機でしたから、多くは暴走系と拒絶系が殆んどなんです。因みに拒絶系を一緒に着けると、干渉して機能しないんだそうです」


「暴走系では無いって事?」


「はい、試作機が正常に機能してるんであれば」


「数値は省庁に送られて無いの?」


「送ってあります、返事待ちで…もしかしたら、もう改良に着手してるのかも知れません」


「コッチの心配は無いのか」


「神々が付いてらっしゃいますから、安心してそこは省いちゃってるんでしょうね、研究班はそんな方が多いんですよ」


「なるほど、そういうの嫌いじゃない」


 会話の合間に、暖炉の焚き火から出るパチパチと跳ねる音と、たまに吹く風の音だけが室内に響く。


 ドリアードも神獣も居ないのは、病院以来だ。




「静かだ…」

「ですね、いつもはドリアードや神獣が賑やかにしてますし」


「ね…そうだ、クエビコさん。放出系とか特殊系の人って?」

『…源や信長、ロビンフットにアーサー王は知っているか?』


「武党派ばっか」

『あぁ、ジャンヌもそうだったらしいが、予測でしかない。実際に分類が行われ始めたのは近代だ』


「マーリンは?」


『不明だ、そもそも噂話しか入らん、秘匿事項なのだろう』


「そっか、そっか…ソラちゃんは大丈夫かな?」


《はい、異常ありません》


「じゃあ、今は雨も止んだみたいだし、綿やるか」

「では、僕は少し業務連絡してから向かいますね」

『ワシも少しコヤツと話しが有る』


「おう」


 ショナに渡されたランタンを持ち、土地拡大と共に広がった綿花畑へ向かった。


 うっすらと綿に包まれた、小さな種を成長させていく。


 花の影で休んでいた妖精達が楽しげに動き出した、祭の様に歌い踊っている。


 オマケの影響なのだろう。


『あの、こんばんは…』

「わ、ナイアス、来て大丈夫?」


『はぃ…少しだけなら…様子を伺いに参りました…』

「ありがとう」


『綺麗ですね…雪みたいで…』


「ね、ほんとに」

『あの…他の種と、紡ぐ道具を……手慰みにと思いまして…綿操りなのですが…』


「お、ありがとう。コツがいりそう」

『はぃ、使い方はですね…』


 中々難しいが、慣れると種がポロポロと気持ち良く取れ落ちて行く。

 編むのは好きだが紡いだのは初めてだ、次は染色か。


「楽しい、ありがとう」

『いぇ…ではそろそろ、失礼致しますね…』


 種はどうしたもんか、あんまり無造作に増やしても何だし。


 ショナとクエビコさんはまだか。




『紡いでいるのか、上手いもんだな』

「まだまだ、種はどうしよう?」


『油でも搾って使えば良いさ。金が心配なら、そこのサフランでも繁殖させたら良い』

「お!金儲け!」

「もう、お金の事を気にし過ぎですよ」


「そらそうよ、救って返済して自由の身になって、気ままに暮らす」


「…それで、何処に住むんですか?」

「何処かを行ったり来たり、暖かいのと涼しいのを…ホテル暮らしも良いよね」


「日本なら何処が良いですか?」

「南と北に、冬に南国に行ったり…お祭り巡りしたいな」


「良いですね、でしたらこの綿で浴衣を仕立てるのも良いんじゃないですか?」

「良いね、お布団も……何入力してんの」


「桜木さんの好みを、関係者以外は見れないので安心して下さい」

「プライバシー…」


「大丈夫です、極一部の関係者のみですから。それに、精神科医に掛かって貰う下準備ですから、我慢して下さい」


「え、やっぱ掛かる?」

「何回かは面談して頂きます、柏木さんよりも上の方からの命令ですので」


「良いけどせめて、現象系とかの人にして、過去を探る系はちょっと」


「分かりました、伝えておきますね」


 それから暫く黙って綿の成長に力を注いだ。

 確かに、いきなり腕を切り落とす奴の人格は確かめたいもんだろう。


『もう夜も更けてきている、休んだらどうだ』


「うーん、売ったら少しは足しになるかなぁ」

「どうでしょう、種は加工しなければいけないですし」


「次は人件費か…」

「それは一旦置いといて、そろそろ寝る準備をしましょうね桜木さん、温泉の設定を変更してから入って下さい」


「はい」


 効能的にはもう含鉄泉は不要になったので、変更。

 炭酸泉へ。


 シュワシュワを期待したが、まったりしたお湯だった。


 魔素も最低値なので、こう、あまり効果を感じない気がするが。

 ショナも入るし、まぁ良いか。


 お風呂の後に、精神系の項目を調べた。


 向こうの知識ベースらしい、独自なのが無いのは、良いんだか悪いんだか。


「桜木さん」

「へい、寝ます」

『おじさん』

「ショナ」『エイル先生』「魔王」《ドリアード》『スクナさん』《カールラ》『クエビコさん』《ティターニア》『ナイアス』

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