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6月18日(木)

 目を開けると、目の前には井縫さん。


「おはようございます、昨夜は失礼しました」


「いや、コッチこそ巻き込んで気付かんで、すみませんでした。でも、言ってくれたら良かったのに、皆も」

「心配が過ぎる程度と甘く見てたので、口留めさせて頂きました」

《面白いモノが見れたのぅ》

『あぁ、じゃのう』

《うん、青春であったな》


「青春て、つか居るのか、中つ国にも君等が」

《ふふ、どうじゃろなぁ》

『どうじゃろなぁ』

《突くな突くな、こそばゆい。源流はそう変わらんのだ、月読神らの許可さえ有れば、左程の不便は無い》


「それで、皆が教えてくれるってか」

《まぁまぁ、お詫びに今日は仙薬作りをしようぞ》

『じゃな、スクナは下じゃて』

《余り撫でるな、蛇に戻ってしまう》


「あら、別に良いのに、多分」


《ほれ、毛の無い、お前の好きでは無さそうな格好だぞ》


「夏場は有り」

《涼じゃな》

『じゃろう』


「撫でるなら何処が良かろうか」

《首の後ろだ、ソコだソコ》


「ほう」

《誰でもでは無いぞ、他の蛇に不用意に触るでないよ》


「あいよ、うりうり」


「お邪魔して申し訳無いんですが、計測は」

「あ」


 計測。

 低値。


「ダメそうだとは聞いてますが」

「ですな、風呂で飲むかいな。じゃあね白蛇さん」

《おうおう、また頼む》


 食欲は有るが、低値はマズいので温泉で軽くエリクサー。

 つまみは里芋。


「ベスクさんや、今は美味しく感じないんでしょうかね」

《そうですね》

「中域まではやめて下さい」


「でも、腹は減らんの?」

《ココは魔素が濃いので問題無いですよ》


「そう、井縫さんは入らんのか」

「溢れると困るので」

《ふふ、吸い上げて差し上げましょうか》


「見たい」

「キラキラされても直には飲ませませんよ」

《残念ですね》


「サービス精神の無いヤツめ」

「そう言ったサービスは有料です」


「おいくら万円」

「5億」


「たっか」

「ほら、飲んで下さい。今日は何にも無いんですから、少しは自由に過ごさないと」


「えーじゃあダラダラする」

「ケバブ良いんですか、行かなくて」


「それは行く」


 ただその前に中つ国のお城へ。

 血液検査。




《どうも》

「あら、先生時間帯変わった?」


《はい、留学しようと思いまして》

「そうでしたか、何処へ?」


《日本へ、静蘭(ジンラン)の事も有りますし、アナタに来て頂くのもご不便だろうと》

「いや、そんだけの事で」


《では、担当を変えましょうか?》

「えー、眼福減るのも困るんだが、マジでか、そうか」

《ふふ、アナタって俗物的で好きよ》


「おぉ、おはようございます女媧さん」

《おはよう、心悦(シンユエ)も気に入らないの?》


「いや、気に入るも何も」

《やはり、ウブじゃ無いとダメなんでしょうかね》

《残念ねぇ、もう諦めましょうか》


「いや、何を言ってらっしゃる?」

《夜のお遊びを始めるのでしょう?勢い余って誰かより、私のシンユエなら安心だと思ったのだけれど》

《ご安心を、女媧様を母と慕っているだけですので》


「いやいや、何となくは把握したが、宛てがわれても、精神科医なんだし」

《プライベートは自由よね?》

《はい、精神科医として診れなくとも、医師は医師。血液内科も見れますのでご安心を》


「おう?そんな飢えて見える?」

《いいえ、でも守りは必要なんじゃなくって?膜のお守り》

《全然ストライクゾーンなのでご安心を》


「最初から?」

《昨日ね、どうかとは話したわ。このままだと仙人達までアナタに何かあげそうなんだもの、困るでしょう?》

《ヤれるかヤれないかの判断は最初にしました、つい癖で》


「はぁ、何も無いと安心してたのに」

《嫌ならハッキリ言って頂いて構いませんよ、交代の事も》

《そうそう、範囲内でなら選べるもの》


「せいちゃんを食べちゃうか危惧してるんかね、腐っても襲ったりしないのに」

《ほら、喜ばないだろうと言いましたよね、私》

《違うのよ、ただね、選択肢は多く提示したいの、本当よ?》


「選ばんと言ったのに」

《下手をしたら誘蛾灯が全開になっちゃうのよ?》

《凄いでしょうね、灯台レベルの誘蛾灯》


「それはちょっと想像が至らんのだが、先生、日本語出来るの?」


《あぁ、昨日は面倒だったので知らんぷりしました》

「めっちゃ流暢、はぁ、ファニー好きでしたか」


《麗し過ぎる方が苦手なだけですよ》

静蘭(ジンラン)にも色々と教えてあげられると思うのだけれど、ダメ?気に入らないなら他の子の用意も有るのだけれど》


「ふふ、それには興味有るかも」

《じゃあ来て頂戴な》

《行ってらっしゃいませ》


 半分冗談だったんだが、マジでご用意されていた。

 ボーイッシュな女性から、フェミニンな宦官まで、抱けるか抱けないかだけでの選考で、コレだけ手を上げてくれる人が居ると知れたのは有り難いんだが。


《やっぱり、あの子でしょう?》

「そう見れば、そうですが」


《ふふふ、メンクイ》

「そうですよー、そこは弁えませんもん」


《あのね、他にも理由が有るの。ココ、霊元が少ないの、だからアナタから出る霊元を引き出してしまってるらしくって、それも有って疑似的な循環が起きかけた可能性が有るって。ごめんなさいね、また迷惑を掛けて》


「いや、稀有な体質なのでそこはご心配無く、マジで宛てがう必要も無いので、大丈夫ですよ本当」

《それは別、宛てがうも何も、聞く前に向こうから聞いて来たんだもの》


「珍獣ハンター」

《もう、臍曲り、福神社であの子は好意を示したのでしょう?神々の反応を見た?》


「見た様な、見て無い様な」

《もー、手間の掛かる子》


「ごめんねお母ちゃん、こんなヘンテコで」

《良いの、良いのよ、でも心配だから、誰か側に置かせて、お願い》


「それは、はい」

《やった!ふふふ、私の勝ちね、じゃあ飛行機で心悦(シンユエ)を送るから、あ、荷物をお願い出来るかしら?》


「あいよ」


 女媧さんと共に先生の部屋に行き、準備を手伝う。


 手荷物カバン1つと、衣装箱が2つ。

 だけ。


《お願いします》

「身軽過ぎ」

《このカバンと衣装箱に入るだけのモノしか置けない決まりなの》


「ほいよ」

《ふふ、じゃあそろそろ帰った方が良いわ、またココが吸い上げ始めてしまったら困るもの》

《私はまだ少し用が有りますので、ではまた向こうで、宜しくお願いしますね》


「うい」


 玉は返さないでも良いそうで、そのまま脇道から帰った。

 血液内科ねぇ、ならあの病院に行くかしら、でもな。




「お帰りなさいませ」

「おう、追い出された、吸われちゃうぞって」


「霊元の事ですよね」

「他になにが、あぁ、そこまで知ってるのか」


「はい、灯台レベルの誘蛾灯になりかねないと、それに伴い」

「膜の保護者ね、ガードするのが必要じゃ無いかと、もう妊娠の心配無いから良いが、ホイホイヤるかよ阿呆か」


「では、そつなく、時にハッキリと断る練習ですね」

「あぁ、天才だな君は、成程」


 でもそれはせいちゃんに覚えて欲しい事だが。


 向こうで約に立つか?

 立つか、自分は向こうに残る側だし、中つ国の様な、こういった事にも想定せねばいかんのよな。


 ある意味と言うか、普通に勉強にはなるか。

 せいちゃんに助言も出来るしな。


「お店が開くまで時間が有りますが」

「あぁ、回復させます」




 また温泉に入りながらエリクサー。

 ケバブ屋が開くまで湯に浸かり、エリクサーがぶ飲み。


 11時、ケバブ屋へ鈴藤で向かう。

 井縫さんは後から車で来た、ケータリング業者の偽装の為。


 お持ち帰りを作って貰ってる間、店内で丼を食べながら待つ。


 ふと思ったのは、誘蛾灯の機能のせいでイスタンブールは立ち入り禁止だとしたら、あの人だか神様の言う事は正しい。


 安全な場所に危険を呼び寄せる誘蛾灯なんて、そら来て欲しくも無いわな。


『お代わり如何ですか?』

「あ、今度はピタサンドを下さい」


 コーラもサービスでお代わりをくれた、有り難い。


 品物達を受け取りながら、もし夜に余ったら買い取ると約束して、出来上がりを持って車へ向かう。

 便利。


 そのまま車を走らせて貰い、病院へ。


 血液採取、もうそんなに城に出入りする事も無いだろうと、ベスクちゃんに睾丸の再接続の提案をしたのだが拒否された。

 こんな短時間の為に代償払うなんて、ベスクちゃんもそこそこドMだろうに。


 検査結果発表。

 良好、何故か問題は無いらしい。


 考えられるのは、身体の他の部位から代理ホルモンが分泌されている可能性が有るらしい。

 ちょっと興味は有るが、神の神秘に触れて良いものか。


 更に詳しい検査を保留し、病院の駐車場から鏡で月読さんにエジプトへの渡航を打診。

 身体の事も有ってか非公式ながら即日入国が許可された、コレにも井縫さんが付く。


 そして車中からエジプトへ。




 指定された川のほとりに向かうと、鳥頭の女神が居られた。


 イシスさんかしら。


《いらっしゃい、もう分かってるかしらね》

「お邪魔します、イシスさんでしょうか」


《えぇ、さ、どうぞ》

「有り難うございます、あの、本名は無しでしょうか」


《そうよ、真名は大切だもの》

「じゃあ、チャラ男で、コッチはワンコ」


《あら、ふふ、そう、ふふふふ》

「凄い笑ってらっしゃいますが」

「真名禁止だから、いつものあだ名を出した」


「あぁ、知ってたならもう少しマシなあだ名を考えましょうよ」

「え、面倒、向こうのはどうするかな。向こうと同じでも良いでしょうか、もう1つの方の名」

《えぇ、勿論》


「なら、チェリ子で。ワンコ、もう1個のはチェリ子な」

「あぁ、はい、了解です」

《ふふ、可愛いワンコ、うふふふ》


 年上キラーワンコ、イシスさんのお気に入りになったらしい。


 向こうと同じ様に川を下る、ただ、今回は凄い眠い。






「チャラ男さん」

「あ、すまん、寝ちゃった」


「俺もです、すみません」

「すみません、イシスさん」

《良いのよ、そうなる様になってるの、一応安全の為にね。どうぞ》


「ほう、お邪魔します」

「お邪魔致します」

『クヌムと』

《ヘケト》

『エイボンだ』


「御冗談を、エンキさん、どうしてココに」

『はっは、やはり俺を知っているか、うんうん、向こうの俺はどうだった』


「良い男でした」

『そうかそうか、良く会いに来てくれた』


「お待たせしてすみません、何も問題無いのが問題でして、ココ」

『おうおう、風通しが良くなったか。それで、問題が無いと』


「はい、向こうのエンキさんのお陰で健康になり、性も止められました。でも、今回は更に物理的にも取っちゃった、でも健康で、出来たら解明したいと」

『構わん、差し当たって何処からか代理ホルモンが出てるんだろう。良いだろう、お前の体だ、お前が思う様に役に立たせなさい』


「はい、有り難うございます。もう1つの方を診て頂いても?」

『おう』


 イシスさんとヘケトさんに布で囲って貰い変身、服は少しブカブカだが、いつも通り。


「チェリ子です」

『あぁ、そうか、だからか、大変だったろう』

《良いのよ、痛みは仕方無いもの、ね?》

《そうです、治療の一環と捉えるべきです》

『膜もだと聞いた、そう思い詰めるな。お前はお前の手で、ココまで成れたのだから』


『そうだぞ、向こうの俺が手塩に掛けた子は俺の子でも有る、好きに生きたら良い。そうだな、融合させるのも有りだぞ』

《それは、望んで無いわよね?》

《帰るのが前提でしょうから》

『だな、だが少し興味が湧いた様だ』


「ちょっと」

《ふふ、なら向こうでもお願いしてみてご覧なさい》

《そうですよ、お試しもきっと楽しいかと》

『後で似姿だけ作るかな』

『そうだな、ココでは拝めんだろう』


「すみません、良い所だとは思うんですが」

《良いんですよ、それこそ他の者が言う様に、他の星の命まで犠牲となるなら背負えませんから》

《ですね、アナタは居るべき場所に帰るだけですよ》

『まぁ勿論、居てくれたら嬉しいが』

『無理強いは出来ん、なんせ向こうの俺の所にまで行ったのだろう?ん?』


「ですね、無茶なお願いを良く聞いて下さいました」

『おうおう、だがやはり、手放したくは無いのぅ』

《まだお時間はあるそうですよ、今日はこの位で》

『ココは少ない方だ、またの機会にな』

《そうね、ココで転移なさいな、またね》


「はい、有難う御座いました。行こうかワンコ」

「はい」


 ブカブカの服では不便なので鈴藤へ、そしてエジプトから浮島へ。


 一服。




「ふぃ、お疲れ様、検査して良いって」

「なんか、親子みたいでしたね」


「向こうの俺が手塩に掛けた子なら、俺の子も同然だって言ってくれた。ちょっと向こうより若いから、確かにそうかも。向こうはお祖父ちゃんって感じだし」

「親子ゴッコって虚しく無いですか」


「別に、血の繋がりが全てなら夫婦は家族に成れないでしょうよ、流石に臍曲りでもそこまでは言わんよ」

「そうなんですかね、殆どが仮面夫婦に見えますよ」


「ワシよりネジ曲がってる、その鬱憤は、生きてるならご両親にぶつけるべき、死体遺棄手伝ってやろうか?」

「そう答えますか」


「魔王なら殺すかゾンビにでもするんかね」

「さぁ、凌遅刑の状態で持って来るんじゃ無いですか」


「君、素質あるね、どうよ魔王連盟にご加入しては」

「それは流石に上にブッ殺されるかと」


「なら親は良いのか」

「ダメですよ、だから俺の代わりに殺してくれる位は無いと、配下にすら成れないかと」


「あぁ、そこは会って話してみないと」

「無駄かと、2人共に出家して別の家庭を築いて、俺の事なんて忘れた感じでしたよ、顔見ても何の反応も無かったですし」


「あぁ、会いには行ったのね」

「名乗りもしませんでしたけどね」


「興味有るわ、見目良さそう」

「良いですよ見に行っても」


「じゃあ行くべか」




 暇潰しにと先ずは井縫さんの母親の家へ。

 井縫さんには頭上から観察していて貰う。


 お母さんは作務衣を着た可愛らしい感じ、寺の奥さんと言った感じ、とことん巫山戯てみるべか。


《あらお若い方で、本日はどの用な?それとも何か、そうだ、ご案内致しましょうか?》

「井縫侑翔君の恋人、彼氏をしております鈴藤紫苑と申します、本日はご挨拶をと」


《え、あ、え、その、あの子は、元気ですか?》

「顔、分からないんですか、この前会ったそうですよ。可哀想に」


《え、来たんですか?》

「らしいですよ、自分を捨てた癖に楽しそうに、幸せそうに生活してるって、呆れてました」


《違うんです本当に》

「そうなんですか?お伺いしても?」


《あの、あの子の写真、見せて頂いても?》

「どうぞ」


《あぁ、通り過ぎた時、幻覚だって思ったんですよ、そう、この子ですか。あぁ、そこでね、見たんですよ》

「そうでしたか、それで」


《そうね、お茶を淹れましょうね、向こうへどうぞ》


 誤魔化すでも無く縁側で素早くお茶を淹れ、お菓子を置いてから隣に座った。


 曰く、次代の為に見せしめとして島流し状態で、子供から引き離されたと。

 髪は伸ばしては居るがれっきとした尼で、自分はただの下働き、ご家族はココの尼さんのご家族だそう。


 偶に家族ゴッコをさせて頂いてはいるが、今でもずっと子供の事は考えているんだと。

 嘘は無し。


 なんだ、こんなもんか。


「誤解される様な事をしたのでは」

《子供と楽しそうに遊んでいるのを見られたんでしょうかね、でもそこは変えられません、ココの子に悪いですから》


「ご家族の居ないお寺に行かれては」

《それも希望しましたが、まだ悪く思われたく無いのかと怒られてしまいました。それを受け入れられて無いのを指摘された様で、踏み留まりました》


「伝えませんよこの事」

《良いんですよ、私達親子の問題で不仲になられても困りますから。私も言いませんから、仲良くお過ごし下さい、どうかあの子を、宜しくお願い致します》


「はい、じゃあ、失礼します」

《はい、他にも悩み事が有れば、いつでもいらして下さいね》


 羽衣を出して近くの山のてっぺんへ。

 なんだ、つまらん。


「つまらん、ただの良い人だったわ」

「そうですか」


「ほれ外したぞ、ただの良い人だった」

「そうですか」


「アレは尼さんの家族で、自分は居候だとさ」

「伝えないんじゃ無いんですか」


「読唇術か、コレ以上聞きたく無いなら次に案内せい」

「はい」




 次は函館のお寺。


 人の多い場所、クソイケメン僧侶、お婆ちゃん達に囲まれてる。


「クッソイケメンやんけ、でも君は母ちゃん似だな」

「そうですかね、昔は良く似てるって言われてケンカばっかでしたよ」


「赤子は父親の保護を得る為に父親に似るんよ、笑顔もそう、気に入られる為に笑うんよ、庇護下から外れたら死んじゃうからね、生まれた時から必死に媚び売って、生かさせて貰ってる」

《偏屈の成り立ちはそう言う所じゃったか》


「科学的に解説してるだけだし」

《愛も情も無いのう》


「笑顔無しで育てると無表情で、蘭ちゃんみたいに成るらしいよ。笑顔が対価、報酬はお世話。笑顔は脳の報酬系にも関与してるんだとかね」

《頭でっかちん》

「気付かれましたが、どうしましょうか」


「君と気付くかねぇ、楽しみだなぁ」

「嫌な笑い方を」

《お主そっくりじゃよ、ワンコ》


『お若い方に来て頂けるとは、観光でいらして頂けたのでしょうか?』

「はい、新婚旅行の下見に、ね?」

「はい、来年までにはと考えてます」


『そうでしたか、失礼ですが、お寺の方で?』

「いえ、彼がココに興味が有っただけなので」

「神社仏閣巡りが好きなもので、御朱印頂けますかね?」


『そうでしたか、お預かり致します。案内もお持ちしますね、少しお待ち下さい』


「鈴藤さん、俺の立場、まぁ、良いんですけど」

「友達と巫山戯たとかで良いべ、凄い動揺してたな」

《どの事に、じゃろうな、くふふふ》


 そうして井縫さんでは無く、鈴藤にパンフレットを渡して来た。


 そして何かの紙も、知らんふりをしてお寺を出る、どっかに入るべか。


「ちょっとご休憩しましょうかね、吸える所ねべか」

「調べてみますか」


 喫茶店と調べた筈なのだが、海鮮丼が普通に有るし、アワビカレーって。


 取り敢えず食べちゃおう。


「もう何でも美味い気がするわ、人の不幸も相まって、しかも眼福とはな」

「はぁ、楽しんで頂けて何よりです」


「なんだ、友達ですってバラすか?」

「いえ別に、どうでも良いです」


「ほう。お姉さん、あの寺のイケメン坊主さん知ってる?」


 お店のお婆ちゃんも知っていて、その旦那さんも知ってる有名人だとか。

 何でも地元じゃ有名なイケメンお坊さんなんだと、ただ写真が嫌いなので口伝で広まったんだとか。


 腐っても犬神の家系、顔出しNGとは。

 お母ちゃんも写真で関係者か、ちゃんと確認してたし。


 ならこの紙はなんだろな、早く見たいな。


「ウキウキしてますね」

「だって海老食えたし、買い物したいし、あ、トイレ行くわ」


「はい、会計しときますよ」


 おトイレで紙をご確認、携帯の電話番号だけ。

 なんだろか。


 番号は携帯に登録し、紙は後で処分しよう。


「ふぃー、海老買うか、干物買うか」

「車じゃ無いんですから加減して下さいよ」


「好きな食い物なに」

「いぬ」


「赤肉か、食べた事無いな」

「イカ」


「じゃあイカ買おうか、イカスミ、イカスミパスター」


 鮮度が良いと思しきイカを発泡スチロール箱1つ買い、電柱から浮島へと戻った。


 後は、どう料理するべか。


 せいちゃんの家はなぁ、なんか皆は近付いて欲しく無さそうだし、大國さんかね。




 大國さんへご連絡、先ずはメールで起きてるかの確認、無反応、玄関を覗く、女物の靴は無し。


「俺は遠慮しときます」

「そう?じゃあね、お昼寝でもしてておくれ」


 後は勝手に台所を使わせて貰う、見守り君を局所的に発動し、音を遮断。


 うん、便利。


 何割かはお刺身に、もう何割かはイカリング用、パエリア、パスタ用と仕込む。


 炊き込みご飯も良いな、それと塩辛か、イヤ、寄生虫怖いしホイル焼きだな。




 一通り仕込み終えるともう17時過ぎ、台所を片していると大國さんが起きて来た。


「音がしなかったんだが」

「【見守り解除】音消してたんだわ、すまんね、台所を使ってた。片付けナウよ」


「それは別に良いんだが、何で清一の家じゃ無いんだ。ケンカか?」

「いや、なんか皆、会わせたくなさそうだから」

《は、違うぞバカモノめ、あまり心を寄せて持っていかれては困ると言うただけじゃろうに》


「は、ただの小枝だと思ったら、何してんのクエビコさん」

《連絡係りじゃ、どうしてそう誤解しおる》


「だって、宛てがうの許可してんじゃん」

《数少ない似た境遇の者をとの配慮だったんじゃが、気に入られるのは計算外じゃ》

「モテモテだな」


「望んで無い、望んで無いモノが手元にあるのもまた苦痛。南無三」

《まぁ、そうじゃろうが、向こうもそう強くは出ぬじゃろう》


「福神社の事を知らんのか」

《ほう》

「何かされたのか?」


「知らんなら良い、ウブでも無いし、大した事無い」

《気になるんじゃが、ほれ大國》

「いや、言いたく無いなら良い、手伝う」


「大丈夫、なんもされてないし、お仕事の準備しとくれやすー」

《いけずじゃ》

「分かった」


 大國さんがお風呂へ行ったので、片付けを中断しベランダで一服。


 ウーちゃんのお陰で苦情の心配いらず、便利に使ってすまんね。


『ワンコの家族、面白かった?』

「いや、全然、普通そうだし、つまらん。同じ境遇を期待してたのに、アレは愛されてるんだもん、つまらん」


『そうだね、あの女性、泣いて報告してたもの、良い人だよね』

「もう蘭ちゃんだけかもな、それもな、お母ちゃんには愛されてたかもだし、1人は好きだけど同族の知り合い位は欲しかった」


『君みたいに育つかな』

「ワシより良い性格して、強くて、それこそ星を担えるんじゃねぇの」


『やさぐれだ、やさぐれてる』

「そうそう、変な日本語覚えて、可愛いなおい」


『ふふ、あ、もう上がったみたい、コッチ見てる。心配そう』

「何も無いのにな、皆過保護過ぎ、行ってくるわ」


『うん、またね』


 ウーちゃんとお別れし、部屋へと戻る。

 確かに心配そうだが、何か変に言い訳するのもな、無視しよう。


「お料理は向こうでするよ」

「いや、ココで構わない、俺も待機だ」


「なら余計、移動します」

「使った対価、味見」


「おう、ホイル焼きかますぞ」


 アルミホイルに肝とゲソ、バターに味噌、少しのお酒と醤油、それをオーブンへ。


 炊飯器ではイカスミのパエリアモドキ、あぁ、イカスミ汁も作るべか。


 大國さんは剣のお手入れ、ワシ手入れして無いのよな、何か見て貰おうかしら。


 そうして片付けを終え、イカスミ汁のレシピチェック、簡単過ぎ、豚肉無いから省くけど、イカスミ便利食材かよ。


 顆粒だしだけ、簡単、旨すぎる。


「いただきます」

「うい、ちゃんと感想言えよ」


「うまい」

「なー、豚肉省いたけどイケるよなぁ」


「冷凍なら有るが」

「良いよ、後で買って入れるから」


「まぁ、コレでも美味いしな」

「なー」


 それからお次はホイル焼き、少し味見し米を解凍し始めた。

 分かる。


「美味い」

「コレもバターと酒と味噌と、あ、調味料お借りしました」


「おう、酒が飲みたくなるな」

「分かるぅ、何なら〆よ、最高の気分で帰れる」


「向こうの店の味か」

「んだ、良い店だったわ」


「今度、そういう店に連れて行こうか」

「マジか、誰呼ぶ?よもぎちゃん飲めるべ、忍さんも呼ぶか」


「ふ、清一が僻みそうだな」

「どうかね、弁えてる所あるし、もう大丈夫っしょ」


「もう飽きたか」

「飽きた飽きた、新しいオモチャを見付けたから終わり」

《だから、そう捻くれるで無いよぅ》


「楠が本来だと知られて目覚められたら困る、大勢を犠牲にしてもワシは帰るぞ」

「性別が反対なら、同じ選択をするんだろうか」


「えー、作る」

《それが1番困るんじゃよ、お主に移行する事になる》


「移行?」

《本当に、お主が循環装置になってしまう》


「それは受精の段階?出産の時?」

《出産じゃ、お子が生後7日目の夜、身柱になり、ゆっくりと人々の記憶から消えていく》

「だから死んだ事にして戸籍からも葬る」


「まぁ、義父が居た方が良い場合も有るしな。そこを切り抜けられたら良いが、もう受精段階でココに縛られそうやな」

《その意見は多いんじゃ、じゃからコレ以上側に居ては苦しかろう》


「なんだ、失敗すると思うてか」

《いや、成功しても、身柱の運命から逃れられるか分からんのじゃよ。じゃから》


「だから惹かれない様に、足りない何かを補おうとしてくれてるのね、ワシにも、せいちゃんにも」

《他国のには言うておらん、他の神々の思考を妨げてはならんからの、自由に発想してこそじゃ》


「そら無表情にもなるわな大國さん、思春期に全部聞いたん?」

「あぁ、暴れん坊で、清一は覚えてないが無理をさせて寝込ませた事が合った、その時にだ」


「何したん」

《時期が悪かったんじゃよ》

「秋口、室内プールに行ったんだ、それで肺炎に」


《まぁアレで発覚したんじゃし、怪我の功名じゃよ》

「おう、そう思いなさんな、悪い事でも良い切っ掛けになったんだから、功名と思え、もう食わさんぞ」

「それは困る、努力する」


《あぁ、すまんが野暮用じゃ大國》

「分かった、居てくれて構わなが、鍵は掛けて行く」

「おう、適当にするわ、有難うね」


「おう、じゃあ」

《またの》


 循環が成功すれば大丈夫だと思ったのに。


 つか、出動なら何でワシに連絡来ないのかしら。

 出動とは違うんかしら、まぁ、自由にすべきならするか。




 取り敢えずは携帯を取り出し、井縫父へ掛けてみる。

 直ぐ出た、何の用だろうか。


「あの、ご用はなんでしょ」

【少し話がしたいんですが】


「ですよね、いつ何処に行けば?」

【もう寺の正門は閉めたので、裏口から来て貰えないでしょうか】


「了解です、1時間以内には伺います」


 洗い物を済ませ、炊けたパエリアモドキを1膳だけ取り分け冷蔵庫へ。

 そうしてゴミの処理もして、電気を消し、お寺へと向かう。




 電柱から少し歩き、鍵の掛かっていない裏の門を開ける。


 縁側に佇むイケメン坊主、年がな、もっと若かったらクラっと来たかも知れん。


 いや、髪さえ有ればワンチャン有りか。


『あの子のご同僚でしょうか』

「はい、お世話になっております。今はスサ隊所属です」


『ご年齢を伺っても』

「あの人とほぼ同い年です」


『あの子は、私の、私達の事を話しましたか』

「いけ好かんそうですよ」


『そうですか。似ていますか』

「お母様の方が似てらっしゃる」


 二の腕を触られた瞬間に何かしらの警戒心が湧き上がった、それと同時にソラちゃんが武器を両手に頭上から出現し、井縫父の凶行を止めた。


 衆道は不味いだろうよお坊さん。


『失礼しました、神仏の加護が有る方とは』

「なんでこんな事を」


『少しコチラにすら気が有るのかと、試させて頂きました、大変失礼致しました』

「子供を守る為?」


『そう信じて頂ければ幸いかと』

「まだお仕事をされてますか」


『はい、せめてもの償いにと別働隊にて、この容姿を利用させて頂いております』


「ただのお友達なのでご安心を、誂いに来ただけですから。それと、イケると思ったのは事実、それを分かったのは犬神が憑いてるからですか」


『それと、長年の勘、視線や仕草ですかね』


「井縫さんは良く思っておりませんが」


『偽装とは言え結婚していますからね、無理も無いでしょう。因みに言うと、相手は仕事仲間です』

「猫山さんちゃうよね」


『はい』

「あー良かった」


『そこまでご存知でしたか』

「そこだけ、アナタがクソ親父だと期待したのに、とんだ無駄骨でした、しかも襲われかけるし」


『心配が過ぎました、お許しを』

「それとワシ人間じゃ、この子は精霊。鈴藤紫苑です、どうも」


『あぁ、お噂はかねがね。新星が入ったと』

「チャラ男?」


『はい』

「あー、笑うと似てる、だから笑わんのね」


『笑いませんか』

「親の血を抜きたいと。それに変に忠誠心に厚くて、猫山スマイルするし、直ぐ怒るし、イカ好きで心配性で、臍曲りの歪な子ですけど、アナタを知ったら、真っ直ぐになっちゃうんでしょうね。残念だ、本当に残念」


『知らないままで良いかと、和解出来る可能性を考えるより、知られない方が苦しいですから』

「母ちゃんも良い人でさ、つまらん。期待して来たのにつまらん、全部言うからな、仲直りでも喧嘩でもせい愚者共が」


『あの、本当に失礼しました、どうかあの子を』

「うっさい、両親共に同じ事を言うな、さようなら」


 境内からそのまま海岸へ。




 綺麗な浜、ムカつくな。


「鈴藤さん」

「うっさい、アッチ行け、幸せ者、バカ、クソが」


「和解なんてしませんよ」

「偽装結婚でもか」


「っしません」

「詰まるなバカが、アッチ行け阿呆」


「すみません、期待を裏切りました」

「ザルリサーチが、クソ、クズ、あほ、かす」


「すみません」

「アッチ行け」


《あー、喧嘩してるぅ》


「アーニァ、どうしたんよ」


《ほら、お魚取りに来たのよー》

「そっか、皆は元気か?」


《元気よー、シオンは元気無いねぇ?ごはん足りてる?》

「足りないなぁ、食べに行っても良い?」


《わぁ、おいでおいで、皆で食べようねぇ》

「おう、井縫は帰れ、じゃあな」


 返事を待たずに真珠の指輪を付け、海へと入った。


 アーニァに手を引かれながら、海の境界をくぐる。


 オレンジ色の海と暗い岩礁、その強烈なコントラストに目を瞑る。


 目を開け顔を上げると、そこはユグドラシル、誰も来れない場所。




『あら、いらっしゃい』

《イカ料理と交換ね》

《それも良いですけど、真水を浴びましょうね、そのままではベタベタしますよ》

「どうも、お邪魔します」


 ナイアスの川の河口まで行き、体と服を真水で洗い流す。

 ソラちゃんに乾かして貰い、焚き火へ当たる。


《喧嘩してたのよー?》

《仲が良いと喧嘩する事も有るらしいわよ》

『でも、喧嘩は無い方が良いわ』

「ね、何も無いのが1番良い」

《ふふ、ロキはケンカ吹っ掛けマンですからね、アナタも、その役割りなのでしょう》


「見てますか、動向を」

《いいえ、ミーミルが望まない事ですから、コレは私の予測ですよ》


「じゃあ帰れるかってのは」

『そこは確認して貰いました、ただ循環の状態は見れず、帰還だけです』


《お家、帰りたいの?》

《遠いお家、私もミーミルも見えない場所》

『ココに住みます?』

《そうですね、もう住んじゃいましょうか》

「有り難う御座います、でも食べたら帰ります」


《帰りたく無さそうよ?ケンカのせい?》

『私が怒ってあげましょうか?』

《違うのね、孤独なの、同じ個体が居ないんだもの、音痴のクジラと一緒よ》

《良い声だと思うんですけどね》

「帰れても、こんなに孤独なんだろうかと思うと、少し不安。似た個体は居るけど、育ちも何も違い過ぎる」


《私もよ?》

『ふふ、私も』

《でもそれも違うのね、そう、あの子は、静蘭(ジンラン)て言うのね》

《素敵な名前ですね》

「良い子よ、前向きだもの」


《いつか会えるかなぁ》

『そうね、いつか』

《それは楽しみにしておくわ》

《送りますよ、さ、ココに居たらあっという間に時間は過ぎてしまいますから》


 バルドルに背中を押され、川へと向かう。


 人間は人間の世界に帰るべきなんだろう。


「お邪魔しました」

《まだ、アナタが愚痴を言うべき人間が存在しているそうです、その残弾が尽きたらお伺いしますが。ココで召し上げられたくは無いのでしょう?私は手が早い方ですから、さっさとお逃げて下さい》


「ふふ、そうします。有り難う御座いました」

《いえいえ、ではまた》


 浮島へ着いたが誰も居ない、一安心。


 それにしても笑顔で冗談を言われるとは。


 さぁ、どうすべか、そうか、先生か。


 でも、誰に連絡先を聞けば?




 思案の結果、鏡で月読さんへご連絡。


【櫂に改名したらどうかしら?】

「あぁ、じゃあ副業の方は櫂で、舟渡櫂」


【ふふ、良いわね、そうしましょう。それで、何かしら?】

「読めば良いのに」


【あら良いの、じゃあ、誰かに話したい?お医者様かしら】

「正解、連絡先を知らんのです」


【良いの?迫られちゃうかも知れないわよ?】

「最終兵器が有るのでご心配無く」


【それもそうね、じゃあ蘭ちゃんがもう知っている筈よ、顔を見に行ってらっしゃいな】

「うい、有り難う御座いました」


 浮島からランちゃんの家の近くの電柱へ、少し歩いて家に。

 インターホンを押すも返事無し、試しに河瀬の部屋を押すと、出た。


【おう、姉ちゃん来てる】

「マジか、会わせろ。つか蘭ちゃん居るかね」


【言うと思った、蘭ちゃんも一緒だ、どうぞ】

「どうも」


 もう、気になるのは葵ちゃんと会わないかどうか。

 あ、手土産、和菓子で良いかしら。


『どうぞ』

「お邪魔します、つか蘭ちゃんに開けさせるかね」

「おう」


「どうも、鈴藤紫苑です、独身です」

「どうも、姉の恭子です」

「ダメだぞ、もう婚約者も居るんだからな」


「おめでとうございます」

「有り難う御座います、チャラ男さん」

「くくっ」

『今さっき教えてた』


「お前なぁ」

「ウブちゃんよりマシだろう」

「ふふふ」

『ウブちゃん、ちょっと恥ずかしい』


「そうね、まだ世間一般的にはね」

「学校の先生なんだ、助かったよ姉ちゃん、マジで」

「有り難う御座います」

『うん、有り難う御座います』


「良いんですよ、お勉強と言うより常識のお話しでしたし」

「でも助かった、マジ有り難う。もうそろそろかな」

『婚約者が迎えに来る』

「おぉ、迎えに来るなんてイケメン」


「しかも車、歯科医」

「たはー、勝てんな」

『お給料?』


「全部だろうな、免許無いもの」

「あー、やっぱり取ろうかなぁ」

「どうせなら、運転手付きの相手にしなさいな、ふふ」


「精進します」

『あ、来た』


「おうよ、はいはい、じゃあ下まで行きますねー」

「じゃあ、失礼します」

「はい」

『さようなら』


「送ってくるからまっとれ」

「おう」


『今日の』

「おぉ、凄いなぁ、手は痛く無いか?目は辛く無い?」


『無い、大丈夫、少し、海の匂いがする』

「だろう、ちょっと入った、臭い?」


『海の匂い、(にお)い、(くさ)い?』

「あぁ、海によるなぁ、臭い海も有る、海藻たっぷりの所とかは臭い」


『じゃあコレは良い匂いかも』

「そっか、遊園地に、海も行かないとな」


『それとちょっと、煙の匂い』

「バレたか」


『うん、お父さんの匂い?近い、あの人はお父さん?』

「血の繋がりが無くてもお父さんと呼ぶ事は有ります、逆に血の繋がりが有っても呼ばない事も有ります。アノ人とか、アレ、とか」


『父親の勉強して、良く分からなくなった』

「家族って難しいのよ」


「は、人の部屋でイチャイチャして」

「コレは親愛のハグをされてる、つかワシからなんもしてないの分かるでしょうに」


「まぁ、蘭ちゃんが抱き付いてるようにしか見えんが、なんでそうなる」

「なんでだろうか」

『匂い嗅いでた、海の匂いがする』


「お、ほんのり、くせぇ」

『臭くない、河瀬は相性悪い』

「だな、初対面から悪いものな」


「ぐっ、で、なんだ」

「いや、蘭ちゃんに、精神科医の先生の連絡先をと思って」

『今日来た、はい』


「コッチでも確認済みだ、問題無い」

「よし、ほい、出るべかなぁ」

『ご飯かも』


【はい、どちら様でしょうか】

「こちら台湾カステラの販路を手掛けています、舟渡櫂と申しまして」


【紫苑さんですか、どうしましたか?】

「なんだ、声を変えたつもりなのに」

「くふ、失敗してやんの」

『先生は凄い人なんだって』


【ふふ、静蘭(ジンラン)の声が聞こえましたね】

『今、さっき、聞かれたから教えた』

「おう聞いた、お時間有りますか、伺いますよ」


【では、待ち合わせをしましょうか】




 出掛けている途中だそうで、1つ先の駅から少し歩いた場所にある業務用スーパーで待ち合わせ。

 来たばかりなのか、入口近くで物色していた。


「お待たせしましたかね」

《いえ、見始めたばかりですよ、楽しいですね色々有って》


「自炊されますか」

《はい、静蘭(ジンラン)にも教えるので、今日はその下見です》


「お部屋はもう?」

《ココら辺ですね、近過ぎても良くないので》


「買わないんですか?」

《まだ仮住まいですから》


「成程」

《もう大人ですから好みも有りますし、そうだ、お部屋選びもお手伝いして頂いても?》


「良いですよ」


 先生と見て回りながら買い物カゴへ物を入れる、でも、何処で料理しようか。

 楠の家はガス台無いし。


《浮かない顔ですね?》

「調理場がね、手狭だと大変でして」


《あぁ、大食漢でらっしゃいますものね、ですがご同居の方はお手伝いして下さらないんですか?》

「いや、してくれますけど、あんま居ない方が良さそうなんで、もう控えようかと」


《意外ですね、お好きなんですか》

「そうじゃなくても体質がね、離れる良い頃合いかと」


《そうやって、付け入る隙を見せるなんて酷ですよ、気が有るって言いましたよね?》

「ん?あぁ、すみません。立て付けの悪いもんで、隙間風ビュービュー入っちゃうんですわ」


《それどころか凄い吸引力で吸い込んでますよ、気を付けて下さいね》

「すみません、自重します。お会計してきます」


 自分に気が有る人間への接し方なんぞ学んだ事も無いので、こう諌めてくれるのは有り難いんだが。


 なんか、つい申し訳無さが出てしまう。

 こうやってうっかりヤッちゃうんだろうか。

 想像出来ん。


《お夕飯、一緒に如何ですか》

「喜んで」


 これまた小洒落た隠れ家的なイタリアンバル、ガッツリしたメインからタパスまで色々有る、ライスコロッケうま。


 城内では特別な時以外は禁酒、そして禁煙。

 外で飲む分には良し、持ち込み禁止だそうでロゼワインを喜んで飲んでいる。

 お付き合いで自分も1杯。


 所作が綺麗、眼福の極み。


《お部屋、見て頂けますかね》

「あぁ、はい」


《見惚れてはくれるんですね》

「見るのは好きですから、接近は別ですが」


《何がダメなんでしょう》

「ふふ、この間取りはね、お風呂が狭過ぎる」


《一緒に入る前提で?》

「面白い事を。ゆっくり湯に浸かるの楽しいかと」


《そういう笑顔、好きですよ》

「ありがとうございます、お代わり如何ですか」


《私、お酒弱いんですよ》

「えー、見えなーい、つか赤くもならんし」


《ですよね、弱い方が羨ましい》

「1本開ければ酔えますか」


《多分、お付き合い下さいね》


 イカスミパスタやジェノバリゾットをおつまみにワインを頂く、サラミに生ハムオリーブと。

 とうとう1本開けてしまった、しかも殆ど先生が飲んでるのに、顔色が変わらんとは。


「ちょっと酔った顔が見れると期待したのに」

《久し振りなので酔えるかと思ったんですが、白酒に比べたらジュースでしたね》


「それは流石に付き合えんわ」

《じゃあ酔う所を見せて頂いても?》


「無理ですね、襲っちゃいそうなので」

《まだ酔うのが怖いですか?》


「そらもうね、いつだってビクビクしてますよ」

《そこも可愛らしいですよね、強いのに弱くて、落差が愛らしい》


「普通は靡くんでしょうね、良いなぁ、靡きたい」

《しちゃえば意外と、すんなり帰れるかも知れませんよ?》


「イヤだなぁ、合わせる顔が無くなっちゃうもの」

《そんなウブな方が向こうにも?》


「神聖視してるっぽいのも居るし、それで士気が下がられてもね、他にも理由は沢山有りますよ」

《じゃあ、そこも含めて納得頂ける様に、更に頑張らないといけませんね》


「自分の為にそこまで身を砕かないで貰えませんかね、そこまでして貰っても嬉しく無い」

《本当に冷めて枯れて、だから私が宛てがわれたのも有るんですよ》


「一喜一憂しちゃうので、遠慮したいんですが。そうすべきなんですかね」

《お若いから知らないだけかも知れませんが、喜びだけで済む場合も有るんですよ》


【井縫からの着信が有りますが、ケバブの事かと】


「すみません、少し電話に出てきますね」

《ええ、どうぞ》


「ケバブ?」

【はい、店の近くの駐車場に居ます】


「了解、今行く」

【はい】


「すみません、少し用事が出来まして」

《じゃあ、コチラをお渡ししておきますね。行ってらっしゃい》


 今日2回目の謎の紙、取り敢えずは現金と交換で受け取り、裏道へ。


 そうして電柱から車の中へ。




「おまた、じゃ、行ってくるわ」


 お店に向かいケバブを受け取る。

 ガッツリ作っといてくれても良かったのに、今日の売れ残り分だけ。

 しかも半端はサービスしてくれたし、もっとがめつくても良いのに。


 それとも、信用無いからか。

 だな、今度頼む時は、ある程度前払いにすんべや。


 大きな紙袋を抱え店を出ると、曲がり角で井縫さんが待っていた。

 何やら言いたげだけど、もう謝られても困る。

 怒っては無いのだし。


「持ちます」

「どうも」


「アレに迫られたそうで」

「試し行為だ気にするな」


「すみません」

「もう良いよ、他意が無いのは分かってるし」


「それでも、俺は和解しません。事情を聞いて直ぐに帰りましたし」

「意地っ張り」


「はい」

「はいじゃ無いが。まぁ、真意が分かっても今までの時間は覆らんよね、そう思って生きてた時間が長いんだもの」


「はい」

「好きにしたら良いさ、つか怒って無いからね、拗ねただけです」


「ですよね」

「おう」


「じゃあ、車を返しに行くんで」

「いや、病院に行きたいんだが。検査して貰う」


「良いんですか」

「検査の内容によるがね」


 そのまま再び病院へ車を走らせて貰う。

 合間にエリクサーがぶ飲みとアルコール代謝を行い、病院に付くと先ずは尿検査から。


 そうして今後の検査内容を聞いた。

 どうやら副腎で代理ホルモンが製造されてるのではとの事、なので生検、細胞を採取しての検査となる。


 序に前立腺の検査も加えられた、間違っても前立腺や精嚢からホルモンが出ていたら癌に掛かりやすいと。


 お尻はちょっと初めてなので、ちょっと、準備も有るし。


 躊躇っていると、既に摘出した睾丸の生検を提案された。

 それは大丈夫、もう切り離されてるし。


 コレを体外で治したら精子出来るのかしら。

 不意の思い付きを口にすると、そのまま実行してみてはとなった。


 ビーカーの中をエリクサーで満たし、睾丸を1つ入れる。

 それから細胞をゆっくり圧す。


 最初はそれほどの動きを見せなかった細胞が、圧す力を増やすと閾値を超えたのか急激に動き始めた。

 そして増殖し、移動すると立派な精子が誕生。


 身体にも作用してないか血液検査で確認、その横でビーカーから取り出された睾丸が生理食塩水で洗われ、注射器が刺さる。


 結果は成功。

 このまま急いで凍結保存へと移行、ちょっと思い付きの方が大事になってる。


「コレも幻肢痛って言うんでしょうかね」

「ツンとしたか」


「はい、良く平気ですね」

「だって何も無いもん」


 医学に役立てて頂ける事を前提に、片玉を提供する事になった。

 再び精子を作成し、液体を吸い出された後の玉は再びエリクサーへ沈められた。

 エリクサーに入ってる限りは傷まないらしい、永久金玉、ヤバいなワシの身体。


 その片手間に前立腺の細胞採取の準備、自分の腸液を大量に出させ、浣腸もして準備完了。


 麻酔無し、胃カメラで使う様な器具が入った後、チクッとし、ジンジン来た。


 もうお婿に。


「もうお婿に行けないとか言い出そうとしてませんか」

「顔に書いてた?つか腸内見た?綺麗じゃね?」


「書いてますし見てませんよ」

「は、貴重な腸内を、何で見ない」


「何でって、普通見ないでしょうよ」

「ココまで付き添っといて冷たく無い?酷い、こんな姿見といて中を見ないなんて」


 次は背部から副腎の生検、コレは痛覚を遮断しメスで切ってから細胞採取。


 出血も特に無し、そのまま目の前で治す。

 感嘆の声と共に拍手が起きた。


 下半身丸出しじゃ無ければ喜んで応えるのに。


 全ての処置が終わったと言われたので、井縫さんにも出て行って貰い、準備を終えて廊下へ。


 成人スクナさんが来たかと思うと、隣の部屋に自分だけが呼ばれた。


『提供しちゃったって聞いたけど、どうするつもりなの?』

「最悪は性転換させて、ワシが帰ってから人工授精させれば良くない?」


『んー、引き戻される可能性が有るかもよ?』

「あー、でもアレか、好かれないとダメか」


『うん、その問題も有るし、どう性転換させる?』

「魔道具とワシの技、修行とか誤魔化して、最悪は人格も変える」


『それで生きて喜ぶかな』

「子供は嫌いじゃ無いでしょう」


『そうだけど、相談させて欲しい』

「もちよ、でもそれ以外の子づくりは一切認めない、ただ兄弟姉妹が欲しい場合は可」


『うん、分かった。じゃあもう帰って大丈夫だよ、お疲れ様』

「おうよ、じゃあね」


 廊下へ出て駐車場へ。


 帰るって、何処へ。


 そうして駐車場から警視庁の駐車場へ車を移動させ、特別室へ。


 取り敢えずは浮島へ。


 一服。




「不意に来る突拍子の無さは、何処から来るんでしょうか」


「一応、自分なりに道筋立てて考えた結果なんだが」

「そうですか」


「おう。初めてってどんな感じ?相手次第で上手く出来るもん?」

「ほら突拍子も無い事を」


「だって、もう処女じゃ無いし、うぅ、ヤッてみても良いだろうって言われるし、どうなの?」


「人によるとしか」

「なんだ、恥ずかしいか」


「そっちはどうなんですか」

「女子はねぇ、意外となんもって派と痛かった派で分かれる感じ。そこはオープン、あ、普通に出来た子が言い淀むな、成程ね」


「そうですか」

「冷たいなぁ。あ、キャバクラ行こうか、ワシ1人は良くないって言われてるし」


「結託して聞き出す気ですね、行きません」


「そんな大事な思い出か、成程」

「ノーコメントです」


「あーぁ、つまんないなぁ。どうしたら聞き出せる?」

「ヤるギリギリのラインのスパイスになると確定したら、普通は言う可能性が高まるかも知れませんけど」


「じゃあ、誘蛾灯の使い道はソレだな」

「極悪人」


「だって、何か目標無いとつまらんでしょうよ、広めるんじゃ無いし、良いべさ」

「本当に分かってます?どうなるか」


「なにが?」

「何がって、一般人には精霊すら迂闊に出せないんですよ」


「鎌鼬さんに罪を擦り付ける、こう」

「それでも心配なんですよ、ウブと熟れ感がアンバランスで」


 地面へ手を翳すと、井縫さんからは見えないであろう空間から、ソラちゃんが小刀や先の細い凶器を空中へ乱舞させた。

 さながらシャドーボクシング状態。

 それを見ても心配とは。


 なんだ?ウブに見えるからか、弱そうに見えてるのか。


「大丈夫、死なない死なない」

「そこの基準の話じゃ無いんですけど」


「じゃあ何よ」


「少しは、一般人の気持ちになっては貰えま」

「あぁ、晶君も居たか、ちょっと行ってくる」




 忘れてたワケでは無いのだが、部屋を覗いてみる。


 玄関よし、お風呂場良し、井縫さんとお別れし、洗面所からノック。


『こんばんは』

「こんばんは、キッチン貸して、少し調味料も」


『はい、どうぞ』


 休憩にと調理を手伝って貰う事になった。


 手際が良い、そうだ、よもぎちゃんて手も有ったか、次はよもぎちゃんやな。


「ありがとう、この前はお疲れ様でした」

『いえ、それより体は大丈夫なんですか?』


「ココだけ残した、自刃の痕よ」

『もう本当の神様ですね』


「人間だと嫌?」

『いいえ、ただ神様で居てくれた方が安心はします。人間は大変でしょうから』


「あー、まぁ。あ、初めての時の事を聞きにきたんだけど、言うの恥ずかしい?」

『ふふ、そうですね、凄く幸せでした』


「おー、初めて聞く感想かも」

『好きな人と初めての事が成功した事、達成できた喜び、お互いを自分のモノだと意識する様になって征服感も満たされ、しかも快楽まで付けば。多幸感はひとしおかと』


「好き合ってるから?初めて同士だから?」

『両方ですかね』


「ほー、はー、幸せ者め、羨ましいぞ、良いぞ、なんかもっと聞かせて」

『そうですね……』


 甘酸っぱい青春の思い出。

 違う大学に行く事になって改めて関係をどうするか尋ねた、最初は頑張ると言っていた彼女も物理的な距離に耐えられず、お別れする事に。


 そうして前妻さんと出会い、結婚。

 それなのに今度は病気のせいで。


「看取って貰いたいとは?」

『思いましたけど、彼女は若かったので。若い時程、時間は大切ですから、その選択のお陰で彼女の子も見れましたし』


「お、マジか」

『知り合いに話しをして、画像だけですよ、知らせる気は無いので』


「あんな、片玉を提供したのよ、医学への貢献と思って。それは考えなかったの?精子の冷凍保存」

『もし子供が病気になっても、死体になっていたら提供出来るモノが有りませんから。何も出来ない状態で後悔したく無かったので、それは断りました』


「打診は有ったのね」

『はい、万が一を考えエゴは通せませんでした。生きた父親が居る方が、子供の選択肢は増えますから』


「良いな、晶君の子供に生まれたかった」

『私は厳しいですよ、タバコの害悪を科学的に叩き込みますから』


「子供の為でしょう?」

『はい、そして他の方法を提示します、歌ったり楽器を覚えさせたり、運動も、水泳は確実ですね』


「もう何で晶君の子に生まれなかったんだろ」

『きっと、こうなる為なんでしょう、私の子では世界を救えないでしょうから』


「いや、イケる、違う方法で。転生者として生まれて、色々開発して、幸せにする。梅酒味の金平糖良くない?ワインとか」

『良いですね、アルコール分が無ければ、お酒が飲めない病気の方に人気になるかと、量の調節も楽でしょうし』


「そっか、ロシアンティーにも良いかなぁ、だとブランデーか、お砂糖の原料も変えれば糖尿病でもいけないかな」

『そうですね、そんなお砂糖が有ればですけど』


「そこが役立たずなのよね、希少糖の化学記号を覚えて無いもの」

『その情報にも価値は有りますよ、将来性の無い研究には投資が集まりませんから。そちらの世間に広まっていると言う事は、確立される確約が有るも同然です。もう既に、後の転生者や転移者の役に立ってるんですよ』


「そうだと良いけど、確認出来ないものな」

『大丈夫、ちゃんと見届けますから』


「おぉ、頼みます」

『はい』


「ついでに泊めてくれる?」

『良いんですか?一応男なんですけれど』


「だからなのだが、そちらもイケますか」

『まだ試した事は無いですが、頑張りますよ』


「あら、今日はちょっとお尻の検査をしたばかりなので、それは後日でも?」

『冗談ですよ、それより検査とは?』


「両方取ったのに数値が安定してるので、何処かで代理でホルモンが出てるかもと、で、前立腺と副腎の生検を」

『そうでしたか、ご苦労様です。でも、本当に宜しいんですか?こんな場所で』


「屋根が有るもの。そうだ、近所に銭湯有るかね」

『はい、お付き合いしますよ』




 出来上がった食べ物達をしまい、片付けを後回しに銭湯へ。


 名入りタオルを1つ買い、石鹸一つで全身を洗い湯船へ。

 熱め、最高。


 あれからちゃんと鍛えてるのか、晶君は年より綺麗な体をしてる。


 こう見るのもアカンとは、犬神家の人々恐ろしいわ。


「兄ちゃんええ体しとるやないの」

『恐れ入ります、鍛えさせて頂いてますから。そちらも、引き締まってらっしゃいますね』


「最近なんもしとらんわ、サボってるな、明日から本気出す」

『是非、寝る前の激しい運動は安眠を妨げますからね』


 湯上がりに炭酸ジュースを1本。


 少し生ぬるい夜風に当たりながら帰宅、お布団を敷かせて貰い、後片付けへ。


 晶君はお勉強の再開、眼福目当てで回復させたんじゃ無いのだが、眼福。


 そして眠くなる前に先生へメール。

 待っては無いだろうが、また明朝にとだけ送った。


「おやすみ」

『はい、おやすみなさい』


 コチラを向いてニコリと笑うと、パソコンと本とノートの往復へと戻った。


 働く父親の背中とは、こう言う事を言うんだろうか。

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