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5月19日(火)

日付を跨ぎましたよ。

 日付を跨ぎ、大國さんと黙食。

 昨日作った料理を差し出すと、黙って食べている。


「本当に、俺で良いんだろうか」

「先ずは飯の感想をくれよ、頑張って作ったんだから」


「すまん、何処かで買ったのかと」

「上手いお世辞で。大國さん強いんでしょ、なら大國さんで良い」


「鈴藤程は強く無い」

「アレは魔道具、魔剣のお陰。竹刀でやったら余りの弱さにビビるぞ、素体の能力は大國さんの方が強い」


「道具を使いこなすのも強さの1つだと思うが」

「使いこなせたらね。前はコントロール出来なくなって人を怪我させたから、こなせてませんな」


「だから魔剣なのか」

「みたい。でも大國さんは強いから大丈夫やろ」


 食後の休憩に5分、準備に10分、そうして特別室での睡眠に入る。

 先ずは大國さんに透明な鍵を使用し、そして自分も握り込む。






《あら早いじゃないのさ》

「おう、少し食っただけだからさっさと終わらせる」

「宜しくお願い申し上げます」


《せいちゃんも鈴藤もお前を信じてるそうだから、上手くやっておくれよ》


 大國さんにも透明な鍵が出現、バリバリに和模様なのがまた良い。

 そして鍵は白く輝き、光りの粒となって話し始めた。


【名前を】


雲英(きら)


 大國さんが空中に雲英(きら)、と書くと。

 精霊は了承したのか大國さんの中へと入って行った。


「はい、終わり、帰るよ」

「どう帰れば」


「さっきの鍵を思い出して、それを握る」


 イメージは上出来、その鍵を握ると大國さんは眠りについた。

 そしてシバッカルはまだ少し話しがあるらしく、コチラに手招きしている。


《あの子達は良いのかい?》

「追々、選ばせる。良いよね?」


 ツグミに撫でながら話し掛けると、指先を甘噛みしたり気持ち良さそうに撫でられたりと拒否は示していない。

 豹もライオンも、大きく撫でるとお腹を見せてくれた。


《それもアンタが対価を支払ったんだろ、心配だよ》

「なにが?」


《低値に慣れて貰っちゃ困る、それ相応に害があるんだ。あまりヒヤヒヤさせないでおくれよ》

「うい」






 鍵を握り起きた。

 低値の弊害、シバッカルの忠告の意味が今、分かった。

 ココではどうやら吐き気として出るらしい、悪循環だ。


 眠っていた時間は15分も無い、消化しきれてないのに吐き気が酷い。

 眩暈も、身動きが取れない。


「鈴藤、大丈夫か」

「起きてる、低値障害だ」


 手足の血管まで細くなり、応急処置として首に中心静脈カテーテルと呼ばれる点滴の針の留置が行われた。

 エリクサーは自前を出し、流して貰う。


 せいちゃんは、ずっと低値障害だったのだろうか。


「鈴藤」

「大丈夫、稀に良くある」


「すまない」

「何事も経験だ、心配なら手でも揉んでくれ、意識を分散させたい、何も無いと吐きそう」


 目を瞑り、右手を摩る大國さんの感覚へと意識を集中させる。

 あぁ、月読さんに聞かないと、せいちゃんは何で低値障害だったか、聞かないと。







 次に目を覚ましたのは15分後、隣の大國さんが真っ青。

 月読さんまで居るし、どした。


『鈴藤、話せる?』

「なに、どした」


『ふふ、少し脈が遅くなって、意識を失っていたのよ』

「マジか、失神したのか、寝てんのに」

「吐き気はどうだ?」


「もう大丈夫、ありがとう。それより、せいちゃんはずっと低値障害だったのか」


『そうよ、拡張させる為に親がね、本来は禁止事項なのよ』

「何で、何で誰も止めなかった」


『普通に育つべきだと、親元に置いたままにしていたの。でも、親は容量の大きさに気付いて、大物になる可能性を見出してしまったのよ。実の子に、まさかそんな事をするとは思わなかったの。隠され、騙された』

「ばかやろう」


『あぁ、本当に馬鹿野郎よね。気付いた時には、もう、体が食べ物を受け付けなくなりかけていたの、そこを馬頭観音に助けられた』

「こんなに神様が居るのに、なにしてた」


『狐も何も近寄れない、普通の家族と言う事や信頼を逆手に取られてしまった。半年、あの子は食べられなくなってしまった、精神的にも肉体的にも、霊的にも』

「半年か、悪かった、バカは撤回する」


『それでもよ、馬鹿である事に変わりは無いのよ。回復に何年も掛かってしまった、本当に、少し目を離し、家庭や個人を尊重してこの様よ。今でも後悔してるわ』

「改善は?もう起こらないのか」


『親と言う権利を取り上げ、家族へ介入したの。そして今後も、清一の要請が無い限り一切の変更は無いわ』


「極端だけど、もうそうするしか無いよな。1ではね、子供が小さい時はグループで行動するんだって、常に誰かの家に昼寝しに行ったり、食事をしに行ったり。少し大きくなっても大して変わらなくて、皆で持ち寄って食事をするんだって。そこには子供だけ来ても大丈夫で、そうやって、子供の様子を他の人が見れる環境らしい」


『そう、良い環境ね』

「しかもさ、そういうのが嫌なら、そういう人達の居場所も別に用意されてるから、偉いなって思う。だから、情報あげるんだから、頑張れ」


『勿論、頑張るわ』

「それと、せいちゃんには暫く内緒ね、倒れたなんて怒られる」


『ふふ、はいはい。顔色はが随分とマシになったわね』


 吐き気も完全に収まったので、点滴しながら飲みながら、食事も取る。

 もっと言うと、泉に浸かりながらが1番なのだが。


「月読さん、回復早まる場所、教えて」


 まだ夜は肌寒い事も有り、温泉場が候補として出された。

 その中にはスクナさん由来の、道後の神社内の温泉が入っていた、家で眠っていたスクナさんを起こし、共に向かう。




『今度は何をしたの』

「ちょっとね、少し焦ったわ」


『もう、今度からは気を付けてね』


 境内にはスクナさんが一緒なので、そのまま転移出来た。

 そして真夜中だと言うのに、巫女さんが温泉まで案内してくれる。


 にしても境内に温泉て、しかも入りながら飯食って良いのかね。


「食べちゃ不味いのでは?」

『いいよ、非常事態だもの』


 大きいスクナさんが点滴を調節してくれている。

 遠慮する元気も無いので、言われるままにエリクサーを飲もうとすると止められた。


「なんで」

『出来立てあげるから、食べて待ってて』


 思わず表情にマジかと出てしまったのだが、加減はするからと仙薬作りを始められた。


 マジか、まぁ、仕方無い。


 咀嚼する元気が無いので、納豆味噌汁に米をぶち込み飲み込むスタイル。

 半身浴と点滴と猫まんま、不健康だか何なのか。


 こういう時用に、茶漬けセットを別に作っておこう、後、中華粥も。


『ふう』

「え、月読さん」


『試しに大國に送って貰ったの。うん、良い湯ね』

「ふぇい」


『自前の食事だそうだけれど、そんなに大量に作っては疲れるでしょう』

「まぁ、でも気晴らしにもなるので」


『でも、猫まんまばかり食わせるのも気が引けるわ。後で何か作らせるから、何が良い?』

「お茶漬けセットですかね、炊いた米はあるんで、出汁とオカズのセットみたいなのが欲しいです。後は中華粥」


『普通の粥は嫌いなのね』

「はい、食べ飽きました」


『ふふ、清一もそうなのよ。あの子の好きな店の味を用意させるわ』

「ありがとうございます」


 ズルズルと納豆丼や鶏出汁茶漬けを飲み込んでいると、仙薬が出来てしまった。


 久し振りで、少しビビッちゃう。


『大丈夫だってば、加減するって言ったでしょ』


 確かに、色も味も緑茶か青汁程度でほの甘い。

 なのにちゃんとキラキラしてる。


「苦味と渋さが殆ど無い、ほんのり甘いし飲み易い。ありがとう」

『いえいえ、いつものお礼も入ってるから』


「にしても毎回思うんだが、逆上せる気配が無いのよな」

『今は特に脈が遅いからだと思う。鈴藤は慣れてるから普通にしてるみたいだけど、結構重症だよ?』


「死にかけ?」

『うん、かけてた』


「マジか」

『マジ』


「ソコまでは初めてだ」

『ギリギリはソコ、良く覚えといてよね』


「あい」

『うん』


 コレはマジで危なかった、ケチったワケでは無いのだが、今後はケチらずに行こう。

 少なくとも、3日間の食事では満タンには成らないとは分かったんだし、うん、落ち着くまで仙薬だ。


 スクナさんに例のヤカンを要求されたので、出して渡すと土瓶へと注ぎ始めた。

 両方とも見た目の質量を超えた容量を注ぎ、受け入れている、マジックを見てる気分。


 ある種コレがストレージ代わりなんだろうか、ならストレージバックの普及は早いかも。


 そんな事を考えボーッとスクナさんの仙薬作りを眺めていると、今度は湧いた土瓶からヤカンへと仙薬をドボドボと注ぎ始めた。


 つい見ちゃう、脳味噌が更に空っぽになりそう。


『ふふ、不思議よね』

「マジック、魔法より不思議」

『魔法の方が不思議だよ』


「あんな、1でな、ストレージバック有ったのよ。魔力が有れば誰でも使えるの、それ普及出来ないかしら、現品1つある」


『待って待って頂戴よ、1つしか無いのよね?』

「誰に渡せば普及するかな」


『人間が作ったのよね?なら今度の旅行先で見せたら良いわ、最新の人間を揃えるのだから』

「神様も居る?解析は神様の方が良いと思う」


『言っておくわ。じゃあ、そろそろ帰る支度をするかしらね』

「送るよ、それ位なら楽勝」


『大丈夫よ、ゆっくりしとい頂戴。あ、それと特別室を稼働させたから、今度はそこを使うと良いわ』


 大國さんと鈴藤限定の部屋、仮設ではあるが今度からそこを使って移動して良いらしい。

 従者省庁設立までの仮設なんだとか。

 マジで創るんか。


「マジか」


『ソロモン王が創るのに、日本が創らないのは可笑しいでしょう』

「にしても、表向きはどうするの」

『鈴藤は嫌なの?』


「いや、良いとは思うけど」

『でしょ、じゃあゆっくりしていって頂戴』

『さ、目を閉じて』


 ほんの少し、目を閉じただけで。






 時間にして30分程眠っていたらしい。


 休憩にトイレに行き。

 また温泉で暖まっていると、体がやっとポカポカしてきた、そして猛烈な眠気。


「布団で寝たい」

『用意させてあるから上ろうか』


 今度はスクナさんの案内で座敷に敷かれたお布団で、しっかり眠った。






「今、何時」

『6時半とかかな』


 計測、低値。


「あー」

『はいダメー、今日は湯治だね』


「うい」


 点滴にも緑色の仙薬は、中々に毒々しくて笑える。

 再び湯に浸かりながら、仙薬を何杯か飲んでいると今度はアマテラスさんがやって来た、全裸で。


《顔色が良さそうで安心したわ》

「神々は平気で混浴しますね」


《ココは混浴だもの》

「にしてもだ、おはようございます」


《はい、おはよう。食事は取れると聞いていたのだけれど》

「食えます、お腹減ってます」


《なら、大國、いらっしゃい》

「はい」


「おはよう大國さん」

「おはよう」


 ストレージから中華粥と茶漬けセットが出て来た。

 うん、使いこなしてる。


《コレで目いっぱいらしいの》

「あら、いやでも、まぁ、期待させてすまんかった」

「いや、容量と比例するそうだ、問題無い」


《それと、大國のはアナタとは違うそうなの。だから、彼女を宜しくね》

「ええよ」


《ありがとう》


 中華粥は熱々、少し冷ましてから一気飲み。

 それからもう1杯、今度は味わって食べる。


 ホタテの貝柱の出汁、美味し。

 トッピングのザーサイに、刻んだ煮卵やピータンにアヒルの卵の塩漬け、美味しい。

 蛤のオイスター煮はソースだけでもイケるし、貝柱のXO醤和えは酒のつまみにも良いし、マジ美味い。


「せいちゃん良いモノ食ってる」

《気に入って貰えたみたいで良かったわ、他には何が良い?》


「どしましたか、急に」


《お給料だけじゃ足りないだろうってなったのよ、かといって高額は目立つ。なら、こうするしか無くて》

「財源は」


《ポケットマネー、スクナ彦の》

『いっぱいあるみたい』

「みたいって」


『慰謝料?お布施?入った』

《ふふ、引っ張れたから、設立したの》


「あー、あぁ、良いんですか」

『良いよ、いっぱい使って経済を回してね』

《お願いね》


 お願いされても、特に必要な物は無いし。

 経済を回すって、良く買うのは菓子折り位しか無いんだが。


「困る」

《今直ぐじゃなくても大丈夫よ、ただ、そういう心積もりで居て頂戴。はい、現金、遠慮は無用よ》

『塗り絵、買おう?』


「了解です」


 そうしてアマテラスさんは大國さんと帰って行った。

 回復したら、取り敢えずは買い物か。


 測定、中域。


『出来たら高値まで持って行きたいんだけど』

「取り敢えずトイレ」


 食後の休憩を経て、もう暫くココで療養する事となった。


 そしてお布団で仮眠。







 起床はお昼前、中域。


 晴れ、暑い。


 留置したカテーテルを取って貰い、お散歩と買い物と食事をする事になった。


 ご当地うどん屋を巡り、和菓子を買い漁る。

 海外の人に和菓子は古典的かも知れないが、消えモノだし、美味しいから良いでしょう。


 あちこちで買い食いをしても、どんなに腹の皮が突っ張ろうとも、溢れる気配は無い。

 本当に、ギリギリアウトだったのだろう。


 経済を回せとの事なので、個人とお土産用にタオルを購入。


 そして丸ごとみかんシャーベットがあったので、買い占める勢いで買った。

 だって、30度近いんですもの。


『一気に全部食べたらダメだからね』

「流石にそれはせんよ、お腹痛い痛いになっちゃうもの」


 そして神社へ戻り、改めて巫女さんや禰宜さん達にお礼を言い、海外のお土産品を渡し、家へと帰った。


『お帰りなさい』

「あれ、寒い」


『今日も雨ですよ』

「愛媛行ってた、はい、お土産」


『ありがとうございます、お昼は食べました?私もう食べてしまったんですけど』

「食べた、お昼寝しに帰って来た」







 ソファーで少し横になるつもりが、オヤツの時間まですっかり眠ってしまった。

 せいちゃんのお布団が掛けられてる、良い匂い。


『本当に、オヤツの時間に起きますね』

「食いしん坊だからだろうか」

『腹時計』


 道後土産の和菓子をオヤツに仙薬を1杯、ついでに測定。

 高値。


 気を使って呼び出しが無いのか、偶々か。


 後で大國さんに連絡しようか、その前に晶君か。


「ちょっと出掛けてくる、スクナさんは待っててね」

『うん、無理しないでね』




 玄関から玄関へ、晶君の家の様子を窺う。

 お勉強中らしい、一旦脱衣場へと移動し部屋へ向かってノック。


「忙しい?」

『いえ、大丈夫です。研修前の予習をしてただけなので』


 そうして晶君から、この世界の情報を再び得たが。

 もう既に知っている事や、想定通りの事が多く真新しい情報は無かった。

 真っ先に渡せよ河瀬め。


 ただ、イギリスからの情報はかなり良かった。

 妖精や魔法の事まで書いてある。

 詳しい要項は書かれてはいなかったらしいが、何かしらの条件を以てして魔法が行える事、事故や事件を防ぐためにも、国内限定である事等が書かれていたそう。


 だからマーリンも海外じゃ移動魔法使えなかったのね、にしても神様まで使えないのは不便じゃ無かろうか。


「ありがとう。仕事はいつから?」

『明日からですが、暫くは在宅での研修で。体力の心配をされていますので、丸1日仕事とはいかなそうです』


「あら、忙しいのにすまんね。他にしたい事は?趣味は何?」

『特には、ただ、キャンプをしてみたいとは思います』


「なら道具を揃えないとね、お金は?」

『寄付金の殆どを復帰祝いとして返還して頂けたので、かなり余裕がありますから大丈夫です』


「へー、脱退したの?」

『いえ、アナタに救って頂いた場所なので。信者名簿には名前がまだ在りますが、戻るつもりはありません』


「ほんの少しだけ、内情を探って貰おうかと思ったんだが」

『何か憂いが?』


「ワシが現れて、悪い方向に変化しないか心配してる。ある意味実績を得たワケだし、力を得たも同然だから。翠ちゃんは良い子っぽいけど、集団である以上は暴走は警戒しないとだし」


『では、ほんの少しだけ探ってみますね』

「ありがとう。ただ、警戒されない様に程良くで。教団が悪い方向に行っても簡単に逃げられる程度、無理は絶対にダメ」


『はい。一応、向こうへ渡した情報をお教えしますね』


 現在の所は晶君に仕事への復帰を望み、転々としているらしい。

 偶に連絡は有るが、安否確認や常識の確認が主で、何をしてるかは分らないと伝えてあるそうだ。


 うん、嘘は無いし良い感じ。

 今後もそうやって情報を小出しにし、次の連絡では、仕事の片手間で良ければ何か出来る事は無いかと聞くと。

 中々に処世術が出来るお方、医局とかで得たのかな。


「そう言う処世術は医局とか、病院で?」

『親です、実の親では無いのですが。少ししか血の繋がらない私を引き取り、育ててくれました。私と同じ病で亡くなりました、実の親もです。義母は別の、流行り病で亡くなりました』


「親戚は?」

『連絡先も何もかも処分してしまったので。ただ、状況が落ち着いたら会いに行こうとは思っています』


「なら一緒にキャンプしたら良いよ、確実に距離が縮まる」

『はい』


 晶君には出来るだけ早く良いキャンプ用品を買い、キャンプをする様にと言いつけ、部屋に戻った。


 晶君の病気が遺伝なら、晶君が治療方法を確立してくれたら万々歳なのだが。

 今度、願掛けでもしとこうか。




「ただいま」

『お帰り、せいちゃんが探してたよ』


「ありがとう」


 部屋を出て、リビングでお仕事をしているせいちゃんの前に座る。


 雨は基本的に在宅らしい、流行り病の影響ではあるんだろうが、労働環境は0より良さそう。


『お帰りなさい。今さっき話を聞いたんですが、北欧の』

「すまんね、付き添いするかは任せる」


『そうなんですか?アマテラス様からは付いて行く様にとの連絡だったんですが』

「あら、でもだ、どうしたい?」


『今回は仕事ですし、行こうと思ってます』

「じゃあ、行こうか」


 今回は日本の航空会社、プレミアムエコノミー。


 日付は、明日。

 明日て。


『そうなんですよね、明日なんです』

「自分も急な方だけど、これもまた急な」


『ですよね、洗濯とか大丈夫ですか?』

「おう、ちょっと回すわ」


 洗濯機を回し、ソラクマちゃんに乾かして貰う。


 可愛いのだが申し訳ない感じもするので、人形か何かを探そうか。


 スマホで調べてはみたものの、やはり大きいサイズは特注品らしい。

 中古市場を探すも見つからない、一旦諦めプラトンへ予備のスベスベ毛布を買いに行く。


 店舗の片隅に結構良い具合のスベスベがあったので購入、コンビニで新商品とタバコを買い足し帰宅。


 家に帰ってからは、雨のベランダで一服。


 お風呂に入って、夕飯まで仮眠。






 今日の夕飯は少し寒いので鍋焼きうどん、冷凍うどん神。

 具はネギと鶏肉と落とし卵、土鍋でグツグツ熱々。


『うどん苦手じゃありません?』

「意外と平気、うどん滅多に出なかったもの」

《何の話しなの?》

『病院食の話しだと思う』


「それよりパン、嫌いにはならなかったけど、扁桃炎か何かでパンは地獄だった」

『そんな時に、そんなメニュー出るんですか?』


「新しい病院だからとか言われた気がする、うどんなんてレア、激レア、当たりよ」

『コレは好きなんですけど、冷蔵のうどん苦手なんですよ、お粥と同じ理由なんですけどね』


「伊勢うどんは?」

『素うどんが苦手なだけで、それは多分、大丈夫かと』


「冷蔵うどんを倍になる位に茹でて、甘辛タレで釜玉にすると、ほぼ伊勢うどんらしい」


 釜玉には温玉か生卵かで分かれてみたり、キツネ蕎麦だかタヌキ蕎麦のどちらかの具が関西関東で違ったかお互いに混乱してみたり、そうしてゆっくりと夕飯を終えた。


 今日はせいちゃんも早寝をするそう。


 試しにと鍵を出そうとしたらしいが、上手く出て来てくれないらしい。


『イメージって言われましても』

「見て、ほれ」


『簡単そうに』

「向こうで練習する?」


『すみません、お願いします』


 布団に横になったせいちゃんに鍵を差し出す、腕を上げ、触れた瞬間に眠りに落ちた。

 腕も勢い良く落ちた、受け止めたけど、危ない。


「あぶね」

『次はもっと顔の前に持ってったら良いと思う』


「確かに」


 そして火の元や戸締まりを確認し、自分も布団で眠りについた。

「大國さん」《シバッカルさん》『月読さん』『スクナさん』《アマテラスさん》『せいちゃん』『晶君』《淡雪》

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