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第一話 転生勇者と転生魔王

転生勇者と転生魔王。


二人に前世の記憶はない。


ただ時々、変なデジャヴに悩まされている……。






✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎




勇太ゆうたは小さい頃から”棒”を振り回すことが好きだった。


細長い物を見つけると、とにかく片っ端から振り回すクセがあった。


幼少期は微笑ましく思えていた行動も、六歳を過ぎた頃からは見過ごすことが出来ないくらいに危険な行為になっていく。


みかねた両親は勇太を近所の剣道道場へ通わすことにした。


道場で思う存分に竹刀を振り回せば勇太も満足するだろうと考えたのだ。




道場に入門した勇太は同年代の子供の中では既に頭ひとつ抜けた存在だった。


身のこなしも軽やかで、竹刀の捌き方も群を抜いていた。


勇太はみんなから褒められて得意になっていたのだが、入門して1ヶ月が経ったころに変な噂を聞くようになる。


ーー師範のお孫さんでとびきり強い女の子がいるらしい。






麻央まおは道場師範の孫娘。


物心ついた頃からいつも竹刀を持って生活してきた。


当然、道場でも飛び抜けた才能を発揮する。


師範の孫娘であり小さい頃から竹刀に慣れ親しんできたのだから、自分が一番強いのは当たり前だと思っていた。


だが、もうすぐ七歳の誕生日を迎えようとしていた頃、麻央は変な噂を聞くようになる。


ーー最近入門してきた男の子がむちゃくちゃ強いらしい。






二人が初めて顔を合わせたのは、麻央の七歳の誕生日だった。


(アイツが うわさの……)

(あのこが うわさの……)


お互いに相手のことは何も知らなかったにも関わらず、初めて会った瞬間に”例の噂の子”だと分かった。


二人は睨み合いながら無言のまま近寄っていく。


わずか七歳の子供二人が道場の雰囲気を一変させた。


いつも笑顔の指導員もこれは只事ではないと察する。


道場全体がピリピリとした緊張感に包まれ、みんなヒヤヒヤしながら二人の成り行きを見つめる。




「オレが ゆうた だっ!」

「そうなのね。わたしが まお よっ!」






((あれっ…………?))




緊迫した二人の胸の内に、今まで経験したことない不思議な感覚が湧き上がってきた。


((なんだろう…………))


うまく言葉では言い表せない妙にモヤモヤした感覚。




険しい表情で道場の真ん中に歩み寄った二人だったが、自己紹介を終えた二人は気の抜けた表情で視線を泳がせた。











ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




此処とは異なる世界。


今とは異なる時代。


この異世界では七つの種族が百年にわたって戦争を繰り広げていた。






勇者は人族最強。


百年に一人の逸材と言われるほどの抜きん出た実力の持ち主。


彼こそが長きにわたる戦争を終結させてくれる存在だと期待されていた。


周囲からもてはやされて育ってきた勇者は、多少自惚れていた。自分が世界最強であると。


だが、勇者が十八歳を過ぎた頃、変な噂を耳にするようになる。


ーーこの世界で最強なのは魔族の王であると。






魔王は魔族最強。


七つの種族の中で、魔族は最強の種族である。


魔族の王である魔王は魔族最強なのはもちろんのこと、この世界で最も強いと謳われている存在。


それに、歴代の魔王の中でも最強との呼び声も高い。


だが、ある日を境に変な噂を耳にするようになる。


ーー人族の勇者がむちゃくちゃ強いらしい。






ある日、人族最強である勇者が単独で魔王城へ乗り込んできた。


初対面の二人は無言のまま王の広間の中央で激しく睨み合う。




((こいつ……!))


強者は強者を知る。


目を合わせただけで、相手の実力が手に取るように分かった。


お互いに本気で相手をするのに不足は無いことを察する。




「オレが勇者だっ!」

「そうか。俺が魔王だっ!」






勇者と魔王の長きにわたるライバル関係。


その出会いの瞬間だった。











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