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9:俺と彼女の推しが似てる(?)

すいません、話数ミスった。

さっきの10話だわ。

3限の講義室にいくと押崎さんが先に前に俺が座っていたところに座っていた。彼女が俺に気づくと手招きして座らせた。清廉で、少し妖艶な黒のワンピース。彼女の笑みはそれに合わず屈託のない笑顔を浮かべている。


俺が座ると彼女はスマホを取り出してつぶやきをみせてきた。


「明日、ジンくんとエルちゃんコラボするんだって! ほんと楽しみ」


「そうだったね。そういえば、ジンくんっていつもどんな配信をしてるの?」


「えっ、興味あるの? ジン君は」


そういって彼女はジン君がいつもFPSゲームを中心に配信をしていること、気の向いたときに質問コーナーを気だるそうにやっていること、なによりもコラボが少ないことが有名ということをつらつらと噛まずに言い放ち、生年月日や血液型、好きな食べ物まですべてを語りつくした。


「押崎さんって俺に負けず劣らずの筋金入りだね。仲良くなれてほんとによかったよ」


不器用に笑みをこぼすと彼女はスマホを取り出して自身の顔を隠した。なんかまずかったかな?

彼女の態度は時々おかしい。大胆に踏み込んでくると思ったらすぐに引いたり、近づこうにも向こうから離れてくるような距離感を感じる。


「私も、一途くんと仲良くなれてほんとによかった。だって......」


そういった途中で講義開始のチャイムがなった。


「後でいうね」


そういって彼女は黒板の方をみた。


いや、俺は集中できないんですけど??

なにを言いたかったんだ? やっぱり遥なのか? 遥に会える手助けをしてしまったのか、俺は!!

韓国語が頭に入ってこないよ! 人とか口みたいな形の文字がたくさん並んでる。いつも以上に頭に入ってこない。[안녕하십니까? おげんきですか? ]と書いてみるけど、こちとら不安だよ。


ノートにはびっしりと韓国語とそれに対応した言葉が羅列されていく。黒板に書かれたことをそのまま書いていく。外国語だと先生のテストに出るといったところを星でマークをつけることしかできない。


チャイムがなった。やっとだ。いつもよりも時間が流れるのが遅く感じた。



「あ、あのそれでさ......。さっきはなにを言おうとしたの?」


「え? うん、怒らないで聞いて欲しいですけど、実は私、一途くんが推しに似てるから話そうと思ったの!! だって、授業中に眼鏡かけてるよね? その表情がすごいジンくんでさ、でもジンくんじゃないってことは分かってるよ。実は密かに写真も撮ってまして、変に関わろうと思わなかったんだけどどうしても気持ちが抑えられなくて......。気持ち、悪いよね」



「いや、まあ勝手に写真撮られるのはいい心地しないけど、そんなにジン君に似てる?」


「似てます! 見てください!!」



そういうと彼女は写真を見せた。そこには俺の横顔とくだんのジンくんの横顔が映っていた。うーん、自分ではわからないものがある。自分がジンくん並みにイケメンだとも思ったことがないし、彼女の思い込みと言うこともある。それでも、俺は彼女と疎遠になりたくない。大学に入って初めての友達。ハル以外のVtuberを熱く語れる同志。



「全然似てねえじゃん。まあ撮ってるもんは仕方ないし、どう使うかは聞かない。ちゃんと許可を得てから撮影するなら構わないよ」


「なんと寛大な......。やっぱりジンくんに似てる人が一途くんでよかった。じゃあ記念の一枚!」


といいつつもとてつもない連写音、俺でなきゃ見逃しちゃうね。

盗撮されていたことについては、いい心地はしないとはいったものの本音は悪い気はしていなかった。だって、自分の写真を見てうれしがってる女の子がいれば童貞はみな喜ぶものだろう。それが可愛い女の子ならなおさらだ。ただ、この奥にあるこそばゆいモヤモヤは彼女と関わる限りずっと続きそうだ。


色々話していると彼女の推しに対する熱意が伝わる。俺を通してジンを見ようとしているのもその一つなのだろうか......。


「ねえ、講義が終わったら私の家でジンくんについていっぱい話すのってどう?」


「ヘッ!? は、はい!?」


「じゃあ、私の推し部屋見せますね!! こて実質ジン君を家に呼ぶことなのでは? フフフ」


今のって......。冗談だよな? 違うの?

次回は、

な、なんと一途が押崎さんの家にお呼ばれですとーー!? 


※遥と一途の交互でパート分けしていましたが次回は変則的になります。

帳尻合わせとして次々回は2話連続で遥のパートをやる予定です。(そして......)

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