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82:EPEX始めました!

一途は今日も配信をいていた。

彼は順調にVtuberとしての目標を達成しようとしていた。

 「ったぁ! 負けたぁ!!」


【紅蓮らいがー】「初心者でここまで来たのはいい方だと思われ」

【ふろしき】「ちこくちこく~」

【修羅の人】「ほんとに初心者かい? ビギナーにしては動きがよきでした」



【YOU LOSE】と表示されたゲーム画面を表示しながら俺はさきほどのEPEXの戦いの反省会を始める。初心者ということもあり、奇抜な銃を選ばずにN:ソルジャーリボルバーっていう武器にして正解だったな。ショットガンとか火力ありそうなんだけど、近距離じゃないと当てるの難しそうだし......。


「さて、気を取り直してもう一狩りいくかぁ......。次はてっぺん狙うぞぉ」


【ふろしき】「EPEXのシングルマッチ?」

【とまとまと】「今ランクマッチやで。ビギナーの」

【修羅の人】「連携プレイを想定してコンビネーションマッチもあり」


EPEXには3つの戦いがあることで有名だ。一つはランクに関係なく3人制のチームを組んで相手チームと拠点占拠を目指すシングルマッチ。2つ、個人個人がバトルロイヤル方式でランクアップを目的に勝ちあがるランクマッチ。そして、3つ目は二人チーム10組がレイドエネミーと言われる巨大生物の討伐を狙いポイントの高いチームが優勝するコンビネーションマッチ。 コンビネーションは最近実装されたらしいけど、楽しそうだしやってみるか。


「そうだねえ......。じゃ、いっちょ潜ってみっか。コンビマッチ」



そういって俺は、コンビネーションマッチの方でプレイヤーとのマッチを待ちつつ自分のキャラを選択する。今回は別の役職、トラッパーを使ってみる。近距離武器でけん制しながら、罠を設置して一網打尽にするのが得意らしい。

【きんぐごぼう】「マッチングしたっぽい?」

【紅蓮ライガー】「おお! トラッパーか! 初心者ではむずいってきくけど大丈夫?」


「大丈夫、大丈夫。お、始まるぞおお!」


ローディング画面に入り、いよいよ飛行機が飛び立つ画面に切り替わった。向かいには自分のバディとなるプレイヤーがいた。キャラクターの頭上に名前が書いていたが別に知り合いでもなんでもなかった。


「よろしくおねがいします!!!」


相手はソルジャー。どちらも近接系ではあるが攻撃は最大の防御っていうし、なんとかなるでしょう。

相手プレイヤーが降りたい意思表示をエモートで出していたので、地上へと降り立った。


「よいしょっと。まずは武器確認! Nレア:ハンドガンかぁ......。ないよりマシ?」


【きんぐごぼう】「おうふ......。自衛にもならん」

【修羅の人】「このままつっこむNレア縛りというのもあってだな」


「Nレア縛り......。やってみるかぁ?」


オレは縛りという言葉になぜか興味を持ってしまった。だが、それで勝ったら面白んじゃないかという好奇心ただ一点で決行することにした。 大きなフィールドに小さな拳銃ひとつ。だが、この戦いは二人一組。ソロなら自分が死んでもいいが、勝手なことをしたら相手のランクに傷がつく可能性もある。


「いや、コンビでやってるからやめとこう。どこか別のポイントまで引っ張ってもらって、そこで相手迎えようと思います!」



【修羅の人】「おけ」

【きんぐごぼう】「相手に配慮できる子、えらい」

【ふろしき】「えろい」

【紅蓮らいがー】「えろいのは間違いない」



「いや、エロくはねえだろ」



プランクトンたちと漫才をしつつ、アイテムを探していく。だが、ハンドガン以外のものが見つからないまま敵と遭遇してしまう。ここは、シールド特攻の出番だ。

シールド特攻は武器がなかったり、弱いときにシールドポーションを飲みまくって相手に特攻して殴って相手の武器を手に入れる方法だ。まあ、その分HP削られるし、割と嫌われるプレイだ。



「おらあああああ!!! アサルトがなんぼのもんじゃあああ!!」



相手が乱射するアサルトを正面から受けるも、減るHPは通常の半分ほど。自分の操るキャラの周りには青白い球体が張り巡らされている。これが多分シールドなのだろう。俺は目の前にいる相手に突っ込んで殴りまくる。相手は近距離すぎて銃を持てないらしく、棒立ちしている。しばらく殴っていると相手は倒れてしまいアイテムをすべて地面に落とした。


「おし! 相手倒したぁ!! おっしゃあ、レア:アサルトゲットォ! みんなはあまりマネしちゃだめだよおおおおお!!!?」


アイテムを入手してすぐに離れようと前進すると急に目の前で爆発した。まだシールドポーションの効力が切れていなかったおかげでギリギリ生き残れたものの、かなり危ない状況だ。HPのゲージが赤色まで秒読みというくらいだ。


【ジンジャー・エール飲みたい】「お、やってるやってる」

【ふろしき】「あぶな」

【紅蓮らいがー】「いらしゃい」

【修羅の人】「トラッパーがいるな。気を付けて」



俺はすぐに周りをぐるぐると見渡した。すると奥の廃墟に人影が見え始める。バックパックを背負っているキャラのようだったが、たしかそういう背負いものをしているのはトラッパーくらいだった気がする。


「多分、あいつだな。おし、足元に気を付けて狙うわ」



トラッパーの撒く地雷は適当にプレイしているとわからないが、よく観察すると地面が多少盛り上がっている。それを避ければ姑息な罠ハメ野郎の元にたどり着けるというわけだ。


【修羅の人】「周りに人がいなさすぎる。マップ確認した方がいいかも」

【ふろしき】「範囲狭くなってね」


ゲーム画面右下のミニマップを見るとコメントの通り、安全地帯の範囲が狭くなっている。バリアのようなものがこちらに迫っているのを見るに、トラッパーは範囲の狭くなっている方へと俺を誘導しようとしていたのだ。


「ここで待ち伏せしてたら当然くるじゃろ」


【紅蓮ライガー】「来るじゃろw」

¥1000【個人勢応援隊】「遅れました! プランクトンからの餌付けですw!」



「スパチャありがとう! また後で読み上げますね! あ、あいつ戻ってきた!」


先ほど俺をフィールド外に誘い込もうとした敵は、地面に爆弾を投げ捨てながらけん制してこちらに向かって前進してくる。だが、俺はそんなものにハマるほどお人よしじゃない。俺は、バックしつつ相手の胴周りに当たるようにアサルトを連射していく。だが弾の数にも限りがある、慎重にかつ大胆に相手の懐をかち割る必要があるな。



「おら待てい! 武器置いてけ! レアアイテム置いてけこらぁ!!」


相手は撃たれまいとぴょんぴょんとジャンプするが、そんなものは滑稽なダンスにすぎない。俺はアサルトを構えてジャンプの降りた瞬間を狙う。このゲームには少しジャンプとジャンプの間の時間にコンマ数秒の待機時間がある。それを狙えば簡単にダウンを取れる。


「おらああああ!!! アイテム置いてけやボケェ!」


【個人応援隊】「妖怪アイテム置いてけ?」

【修羅の人】「初めの武器が弱すぎたからね。仕方ないね」



あっという間に敵はダウンして地面に倒れていく。倒れたキャラの元に向かうと、その頭上には知っている名前が書かれていた。


「えええ? エルちゃん? 本物? でも、もうやっちまったから仕方ねえ! お疲れ様です!!」



正直、驚きが勝っているがオレはブレずに【神野エル@ゆーらいぶ】と書かれたプレイヤーを屠った。

だが、その報酬はあまりにも絶妙だった。Aレア:ソードとAレア:デュアルサブマシンガン......。

 まあ、ないよりはマシだと思い、俺はソードをもらい受けて中心の方へと駆け抜ける。





運悪く一途に倒された遥。彼もまたジンと組み一位を狙おうとしていた。

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