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6:二重生活での友人との時間

日曜日でありながら配信者として休みを取った遥。

それは彼なりの優しさか、一途との時間を割くためのものであった。

土曜きのうは一途のやつがバイトで忙しかったみたいだけど日曜きょうなら遊べるんじゃないか?

平日はいつも配信で遊ばなくなったけどさすがに友人との時間を作りたいものだ。


一途いっとにラインで昨日の夕方ラインしたところ、OKスタンプがきた後、12時にお昼を持ち込んでくると返事が来た。


「お昼に来る前に掃除でもしておくか」


配信と大学生活にかまけてだいぶ部屋が散らかっている。配信用に買ったマイクもキャプチャーボードも片づけとかないとまずいよな。掃除機をかけつつ、配線をまるめていつもの配信セットを隠す段ボール箱にシュートを決める。


「やべ、洗濯乾いてないじゃん」


下着や大学で着る服が乾いていないのはワンチャン大丈夫だけど、女物の下着とかはまずい。

いや、ディティールにこだわるあまり一回あいつとばったり会った時に着てしまったんだがこれを干しているのは非常にまずい。あいつは俺が女装趣味に目覚めたって思ってるんだからこれを見たらもっと引いてしまうだろう。


クローゼットに下着類をいっぱい干してあるハンガーを押し込んで凌ごう。

パソコンに占領されたテーブルをきれいにふきんできれいにする。普段一人でいるときは構わないけど誰かに見られるなら隅々まで掃除しておきたい。こういう面倒くさい性格だからVtuberを始めたときも女装し始めたんだと思う。男のオレが女の子になりきっていたらいつかバレる。そう思ったから女の子の研究はした。メイク、スカート、タイツ......。すべてが俺の血となり肉となった。幸い、オレは何着ても違和感のない顔に生まれたのが救いだ。


フローリングワイパーで仕上げをしているとインターホンがなった。

12時きっかり、こういうときは時間に遅れないのか。



「おまたせ、ワック買ってきたぜ」


ハンバーガーとポテトの良い匂いを袋から漂わせてドヤ顔で笑う一途いっとを中に入れて座らせた。

袋から自分の分のポテトとダブルチーズバーガーを取り出す。


「おお、サンキュー」


「食べる前に、金。返すっていったろお前」


そうだった。オレは通学カバンから財布を取り出して550円を彼に渡した。


「ほい、食べてヨシ!」


「オレは犬かよ」


肘をついてハンバーガーを口にする。ケチャップとチーズそして牛肉パティが広がった後、独特の油の後味が背徳感をそそらせる。ポテトはそれ以上に塩気が混ざり口の中はジャンクにまみれている。



「家で食べるワックって店で食べるよりうまくね?」


オレがつぶやくと一途いっとはぶっきらぼうに笑う。


「いつもどおりだろ」


ハンバーガーの包みとポテトの入っていたやつを持ち帰り袋に丸めて捨てた後、手を洗って二人で格闘ゲームをした。いろんなゲームから集められた大乱闘はオレの十万ボルトがさく裂して圧勝した。


「お前それ次無しな」


一途は口ではヘラヘラしてるけど目が笑ってねえ。手ぇ抜くのも嫌だし、使ったことない剣士でも選ぶか。そうすると今度は一途のピンクの悪魔が大躍進。見事オレから一勝奪った。以前の配信では無敗だったんだけどなぁ、腕落ちたかな。大乱闘した後はゲーム大全で遊んだりもした。


「お、もうこんな時間か。俺帰るわ」


「18時? 近いんだからもうちょいやろうぜ、ルドー」


「勝ったけど、ありゃ二度とやりたくねえよ。疲れたから帰るよ」


そりゃそうだと言って笑って別れた。

あいつも帰ったころだし、今日はなんもないし、エゴサでもするか。


オレは神野エルのアカウントを立ち上げ、【#エルアート】で検索してみた。自分のファンアートを書いてくれる人たちはみんなこぞってこのハッシュタグでやってくれる。それを俺はリツイートといいねをおしまくる。もちろん、コメントもつける。


「お、かわいいイラストあるじゃん! 【かな】さんでいいのかな? 」


そこには『かな』と書かれたアカウント名の人が書いたエルちゃんのかわいさにハートマークに指がいく。コメントを付けてリツイートしてみた。


『かわいーーー! FAありがとね!!!!』


すると数分も立たずに返信が帰ってきた。


『普段はJINくんばかり書いてるんですけど、コラボしたときにかわいいお声だったので書きました。喜んでもらえてうれしい!』


確かにその子のアカウントを見ると眼鏡イケボのVtuber「JIN」のイラストが多かった。確かにこれは筋金入りのファンだし、うまい。オレにもこういうファンが欲しいな。オレのファンと言ったらブログも書いている【一途な一号】さんくらいだ。絵師って中々現れないんだな。

少し落胆したまま、一日の疲れを取るお風呂を沸かした。



大学での生活が慣れ始めたころ、二人に共通の友人ができ始める。


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