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第七話 truth!

 日本 神奈川 地下基地内―― A.M11:46 11月 28日



「……は?」


 何を、言ってるんだ? コイツは、巫山戯ているのか? 俺が、天使? 


「違う……!」

「違う! 俺が天使!? どう見ても人間だろうが! あぁ!?」


 怒り心頭。この一言で済む。それだけの怒り。ただそれだけ。


 何故ここ迄怒っているのか? それは自分でも理解が追いつかない……。


 俺はただ衝動に任せ、怒りのままにコイツの胸倉を掴む。そして問い詰める。


「……その怒りだ」

「あ!?」

「何故……そこまで“怒る”のかね……?」

「人間だと自分が理解しているならば……無反応だと思うのだが?」

「………」


 図星だ…。確かにその通りだ。別に俺は天使では無い。だからここで怒りに身を任せる必要は無かった…。だが、何故か無性に腹が立った…。まるで心を見透かされたようで気味が悪い。


 俺はコイツの胸倉から手を離す。まだ少し感情が昂ぶっている。息を切らしながらコイツを睨みつける。


「フゥ……別に鎌かけた訳でもないさ」

「だが、“マトモな人間”で無い事は分かって欲しいがね……」


 人に嫌な事しておきながらこの笑顔だ。流石に腹が立つ。


 だからといって暴力を振ってみればコイツは使人かもしれないし……他の“コイツら”が黙って無いだろうし……。


 取り敢えず兎に角話を聞く事にした。


「……その前に現状を知る必要がある」

「今の世界の現状について、質問はあるかな? スカーフェイス君」


 こっちに質問するな…何ては思いはしない。むしろ質問したい事は山程あるのだから。近くにあった椅子に座り、問いかける。


「あの赤い“モヤモヤ”は何処へ消えたんだ……?」

「ああ……Angel bloodか、我々は“霧”と呼んでいるのだが……まぁいい」

「霧については自然消滅したよ。あれ等は全て天使の意のままに操れる特殊な気体だからね。大方、他の国や町を襲いに行くからもう一度霧を肉体に収納したんだろう……」


 あの赤いのは肉体に収納なんて出来るのか……?


 それも気にはなるが、まだ質問は沢山ある。


「次だ……他の人達は?」

「神奈川区の人間か? 彼らは“連れ去られた”か、或いは殺されたか……」


 ……連れ去られた? 


「ちょっと待て? 連れ去られた? なんの為に?」

「簡単だよ……」


 不敵な笑みを浮かべ、コイツはこう言った。


「一部の天使はね、人間を生きたまま食べたり……性的行為に走るのさ……」


 ――刹那、おぞましい答えが返って来る。


「……ウッ!」


 口を塞いだ。聞かなければ良かったと後悔している…。

 

「ハハハハハ! 驚いたかい? これが現実さ!」


 どうかしてやがる…! そんな現実すらコイツには眼中にすら入らいのか……?


「ハァ……ハァ……フゥ……」

「最後に…『天獄』って何なんだよ……」

「いつもそうだ……この単語に引っかかる……」

 

 思い出した事が一つある……。


 『天獄』は誰も“見た事が無い”。


 分かっている事があるとすれば…“地獄の様な場所”……それだけだ。


 ただ……いつもそうだ。


 この単語は……孤児院の時から頭に引っ掛かる。


「教えてくれよ……何で皆彼処に送られる理由があったのか……」


 コイツは何処か不思議そうな顔だ。


「そう言えば君ら二人は貧困層だったね……」

「まずは天獄の“中身”を教えよう……」

「天獄と言うのは、この世界の隣側、即ち統制者が全世界の首都内で創り上げた別の空間だよ」

「だから誰も見れなかった」


 ……もう別の空間だとか言われても、何とも思わない。


 むしろ、それ位の理由でまだマシだ。


 次の言葉に耳を傾ける。


「次は、何故、貧困層だけが連れて行かれたのか……」



「それはね……君達貧困層が“みーんな使人かもしれないからさ”……」




※※※ ※※※



 時間が止まる感覚、その事実が俺の心を刳り抜いたのだと、気付くのに時間は掛からなかった。



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