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第六話 hell! hell! hell!

んー…

 日本 神奈川―― A.M11:00 11月 28日



「何だこりゃ……?」


 彼女……いや、“アスカ”が名前を言ったすぐにマンホールの中へ入った。マンホールの中は思ったよりも綺麗だ。まるでいつも清掃されている様な程に壁も綺麗に仕上がり、流れる水もそこまで汚くは無い。


 流石にこれにはたまげたのが本音。驚きの顔で見渡していく。普通ならこういう所に“天使”やあの“なり損ない”がいそうなのだが……?


「いつも使われてたのか?」

「此処のマンホールだけ特別なのよ。此処は政府が使用しているから」

「政府は何をしてたんだ?」


 素朴な疑問をアスカに返す。そうしたらアスカは止まり……こちらに体と顔を向けて仁王立ちでこう言う。


「いい!? 此処は一度目の“災厄”の後に作られた政府の地下主要基地への道なのよ!」


 どことなくアスカが笑顔になっている……気がする。その後も…何故か基地内部の兵器情報まで熱く語られ……。


「……ついでに言っとくと! 此処の基地から殆どの対天使兵装及び薬品が作られたのよ!」

「……薬品? 兵器? そんなにあったのか? 初耳だぞ?」

「そりゃ政府……あ」


 まさか、いやそれは……口を滑らせてしまったのか? いや、ちょっと……ププ……ククク……


「ハハハハハハ! マジかよ! ハハハハ!」

「着いてからとか言いつつぅ〜プハハハ!」

「ク……ブフッ」

「笑うなー!!」


 いや、流石にこれは笑うだろう。腹を抱えてトウマも俺も笑っていた。今思えばそこまで笑う事が出来なかったのに…笑う事が出来ればこうも…。


「もう! せっかくのキャラが台無しよ……!」

「何か言ったか?」

「何も!」


 全く、悪かったての。だが、少し打ち解けただけでこうも関係が進むのは驚きだ。


 そうして歩いてゆく内に、どんどん周りの綺麗さが良くなってゆく。そして、巨大な扉の前で止まった。


「此処から……その基地へ?」

「そうなるわね」


 正直緊張する。基地内の人間の一部はアスカ曰く、私と同じ様な使人がいる。との事だ。あんな力を持つ人間が、まだ何人もいる。その事だけで、少し冷や汗が出た。


「行くわよ……」


 アスカがスカートポケットからカードを取り出し、横のカードリーダーにスラッシュした。するとどうだろう。扉がゆっくりと重厚な音と共に開き出した。


「……す、すごい」

「うぉぉ……すげえ」


  それはまるで庭園のような場所だ。空のような風景がガラス張りに見え、温かい空気が何処からか流れ出ているのだろうか? そして、そこに更に扉がある……が、先程と形が少し違う様だ。


「あの扉は勝手に開いてくれるわよ?」

「じゃあ……あの中が?」

「まぁ、そう言う事ね。」


 そこまで進み、扉が開いた。そして、そこには…… ――――


「んー?」

「………」

「お……?」

「生存者が二人……一人が…なる程……」


 えらく機械的な部屋だ。先程とまるで違う。これは所謂司令室とか言う奴だろうか? 路上に落ちてたロボット漫画で見たような場所なので少し興奮している自分がいる訳だが……。

 

 それだけではなく、勿論何人か人もいるようだ…。一人は“黒髪で、眼鏡を掛けた長身の黒いロングコートを着こなしているキツそうな男”だ。


「チッ……」


 相当他の人の事を嫌ってそうだな……。


「だーれ?」


 もう一人は……白髪の可愛らしい女の子だ。それに季節感をまるで感じさせないピンク色のTシャツに白のハーフジーンズを着ている…本当にアスカのような力が持っているのだろうか…。


「ホッホッホッ……若いのぉ……」


 もう一人…。かなりの初老に見えるが……和服を着ており、どこか威厳に満ち溢れているようにも見えるが……先程の女の子と違い、こちらは何か、力を持っている気がする。


「ほう……君達が生存者か……」


 最後は…軍隊の偉いさんが着るようなスーツに胸ポケットに付いている勲章…それに纏まった髪型をしている落ち着きがある男だ。でも…こいつは…何かヤバそうな奴だな…。今もずっとニコニコな顔を絶やさない辺り…かなり…。


「帰還しました…“長官”」

「うむ、ご苦労」


 軍隊らしい仕草と言動。そして笑顔のまま。この佇まいからしてかなり強者と見れる。


「それで、君達は朝野に助けられた生存者二人組…そこのスカーフェイス君が……なるほど」


 ………スカーフェイス? 俺の傷跡の事だろうか? …今思えばこの顔の傷も何で“出来たんだろうな”。助けられた時からあったらしいが…。


「り、リョウ君……」

「何だ?」

「こ、此処の人達……“何か変だよ”……」

「“何か”…?」


 …『宣言』の時もそうだがトウマは少し“特殊”な人間だ。トラウマで言語障害になってからというもの、アイツは“他人の見られたくない感情”に入り込める用になったらしい…。たがらこそ、トウマは常に俺以外の人間には疑いの目を向けていた…。今でこそアスカには向けて無いものの最初は向けていた。


「ではスカーフェイス君。私の話を聞いては貰えるだろうか?」


 軍服の男が俺に問いかける。俺はその声を耳に傾けている。……しかし、何故か異様な程にまで“嫌な予感”がする。先程のトウマの言葉で尚更本能が警戒している。心臓の鼓動が何故か早まっている。まるで、今から言う言葉に怯えているかのように。


「では、スカーフェイス君……いや……“特異天使”…」





「“お前は誰だ”?」





 ……は?



 何? 何て? ナンテ?



       ナンテ言っ■?




――5― ――主よ― ――0― 9――― ―58― ―――2



          カエロう


  

『事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである。』………(フリードリヒ・ニーチェの名言)

 

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