第二話 Reincarnation…
日本 神奈川―― A.M7:30 11月 28日
「馬鹿じゃないの?<人間>がアレに勝てる訳無いでしょ?」
どこか、そう冷酷に少女は告げた。リョウは困惑していた。突如として現れた少女、それに飛び蹴りをかました事に驚きを隠せなかった。
「てか早く逃げなさいよ! 馬鹿!」
少女はそう言ってリョウを突き飛ばした。リョウは満更でも無いような顔をしている。それもそうだろう。急に突き飛ばされたのだから。
(口が悪い女だな…! 助けてもらったのはありがたいけど……!)
リョウは心の中で愚痴りながらも助けた事には恩を感じていた。リョウはトウマを担ぎ、すぐにこの場を離れた。それからいい瓦礫群があったのでそこの近くの瓦礫の所に隠れた。瓦礫の隙間から少女と天使のいる方向を覗いていた。
「ね、ねえ、もっと離れないの?」
トウマは恐る恐るリョウに言った。今にも死ぬかもしれない恐怖で一杯なのだろう。今すぐに離れたがっている。
「ワリィ……少し我慢してくれよな」
そこからかなり離れ、少女の方では天使と相対していた。少女は構えず、ただ天使をじっと見つめ、天使もまたずっと見つめている。
「――お前もか……邪魔をするのは…?」
「ええ、そうよ。なんか悪い?」
side change
天使はどこから発しているかわからない声で彼女にそう問うた。彼女は邪魔する事に対してはも何も感じ無いのだろう。即答していた。
天使は手の平を彼女に向けた。恐らく、あれは『確実に殺す』つもりだ。機械のモーター音の激しさが何よりもの証拠だ。あれはヤバイ。それに手の平の光がビルを破壊したとき以上に輝いている。
「――……………死ね!」
光線が彼女に放たれた。……いや、これは正確には放たれたかどうかも分からない程の早さだったの“だろう”何故それが分かったのかと言うと…
彼女はそこにいなかったからだ。
彼女はいつの間にか天使の真横にいた。光線は何kmも先の瓦礫群に直撃し、大爆発を起こした。それは空爆されたかのような爆発でこっちにも瓦礫が飛んでくる程だ。だが、どれほど瓦礫が来ようと、それよりも彼女の方に目が向いていた。
「―――!?」
「遅過ぎでしょ…私はあなたの側に近づいただけよ…?」
彼女は拳を握りしめた。そして
「せいッ!!!」
「―――■■■■■!?」
彼女は天使を殴り飛ばした。それも素人の様な殴り方だ。ただ拳を相手に当てつけるような、そんなパンチ。なのにそれは天使のバリアをも破壊して天使を吹き飛ばした。
「ふぅー……やっぱ運動はキツイわね……」
リョウはその光景に対して驚きの余り言葉に出てしまった。
「マジかよ……」
俺は驚愕の表情と言葉を漏らした。これは流石に驚くなと言われても無理だろう。トウマだって驚いている。これまで驚きは何度も感じて来たがここまでの驚愕はなかっただろう。 思わず小便を漏らしそうになった。
それは、まるで夢のようだった。あの天使が彼女が持つ人外じみた力で吹き飛ばされたのだ。だが……一転し、俺はある意味恐怖していた。“何故あんな事が出来るのか”と、それは殴り飛ばした事では無く、糸も簡単に躊躇も無く、“殴ったこと”にだ。普通はそんな事は出来ない物なのだから。喧嘩の時でもそれは躊躇する物なのだから、やはりどこかおかしいのだろう。と考えていた。
「―――ば、馬鹿な……有り得ない……こんな事があってたまるか!“種としての人の者”がここまで強い訳が無い!」
天使は叫んだ。だが、自分が思うに彼女は“人間かどうかも怪しい”存在だ。現に彼女はミサイルでも吹っ飛ばない様な化物を“パンチ一発”で吹き飛ばしたのだから。そんな有り得ない光景は人間が見ても、はたまた天使が見ても驚愕する事だ。
「あるんじゃない? 現実に起きた事なんだかから認めなさいよ」
彼女は天使にまたも冷酷に告げた。彼女も天使の言葉が分かるのだろう。天使達は人間に純粋な力で負けた事が無い。そもそもそれは人間からすれば自殺行為でしかない事も分かる。だからこそ天使は動揺していた。
天使は立ち上がり、状況を打破すべく、その髑髏のような顔からある『宣言』をした。
「――ならば、全力を出すまでだ……!!」
そう告げると天使は翼を広げ、呪文のような言葉を発しだした。体からは黄色い光が発され、その光は今にも爆裂しそうだ。
「―――生誕を祝福せよ!!!!」
―――そして光は止んだ。新たな“誕生”と共に。
「―――さぁ……続きだ!!」
機械仕掛けの天使は“人に近く”なり、その翼は“6枚”と化した。背筋は猫背じみたそれと違い、真っ直ぐとした物であり、髑髏の様な顔では無く、目玉が出来上がり、ドロドロの様な肌が出来上がり、機械の爪は短くなった。そして背中の翼の付け根には謎の紋様が浮かび上がっていた。その紋様は風でたなびくローブから少し見えるくらいだろう。
「ああ……」
自分の目がいい事に少し後悔していた。もう、疲れていた。“全て楽にしてあげたい”そう思った。だが……
争いは終わりそうに無い。何時も、其れは永遠に“終わりを告げぬ”限り。




