第十三話 求愛。
日本 神奈川 荒廃したビル街―― P.M1:30 11月 28日
「――――カッカッカッ! 最高ぅ!」
カマエルはこちらを見て、ケラケラと笑う。
見ててもかなり腹が立つ程の笑いだが、圧倒的な狂気が怒りを感じさせなかった。
「……勝てるかしら、これ」
「――――使人の姉チャン、俺とヤリあうかぁ? あっちの意味じゃねえからな」
茶化すカマエルが、より恐ろしく感じてしまう。アスカは心の中で早く誰か来てくれとまで願った。
(誰か助けて……!)
「――――にしても、今の人の物共はなかなかいい文化をしてるじゃねえか」
「――――助け合いの精神……素晴らしいぜ!」
カマエルは腕を組みながら建物を見回す。目をキラキラと輝かせ、珍しいものを見るかのように。
(……チャンス?)
今攻撃したら倒せる。そんな確信がアスカにはあった。
しかし上手くいくだろうか? 相手は“部隊”の中でも最強のソウマと同等のテツヤを一発で向こうのビルに吹っ飛ばしている。そんな相手に隙は……ある、今だ。
「――――いやぁ、ホントに進歩したなぁ……」
「――――そう思わ……」
「さっきからうっさいわ!」
殴った。アスカは一瞬ともとれる程の速度で走り、カマエルが振り向いた時にはアスカは既に殴る体制に入っており、そのままカマエルを殴り飛ばしたのだ。
しかし、これで終わる訳がない。
「吹っ飛べーー!!」
更にヤクザキックでカマエルの腹を蹴り飛ばした。ヤクザキックを喰らったカマエルは格ゲーの如く後ろ側に吹っ飛んだ。
「どうよ! このバカタレ!」
勝ったと確信したアスカは、満面の笑みではしゃぎまくり……
「ざまァ見ろ! バァーカ! アホー! イカれポ○チ!」
可愛い女の子が使っては駄目な汚い言葉を吐きまくっていた。だが――
「――――そんな言い方は無いだろう?」
何故か後ろ側から、アスカが吹っ飛ばした筈の“バカタレ”から声が掛かった。
「……じょ、冗談ですよ」
アスカは大量の汗を流しながら、凄い顔で後ろを振り返ると ――
カマエルが、目の前にいる。ケラケラと笑いながら ――
「――――お休みの時間だぜ、使人の姉チャン」
無慈悲なカマエルのパンチは、アスカの鳩尾に直撃した。
「ウッ……」
アスカはよろめきながら倒れる……倒れてからはピクリとも動かなくなくり、この場につかの間の静寂が訪れる。
「――――……あと三人」
カマエルは残りの三人を、“見極める”べく、歩みだす。その顔は、先程の道化のような笑顔でなく、真剣な表情をしている。
「――――……全てはこの星の為に」




