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第一話 異世界転生~1日目からトラブル、ヒロイン、またトラブル~

冒険物処女作です。

誤字脱字、文法ミス、その他ご指摘お待ちしております。

日曜日の朝、公園のベンチに腰掛けながら、ポカポカとした陽気に当たってのんびりしていた。

しばらく座って鈍った身体をぐーーっと伸ばして欠伸をして、そして、何の気も無しにふっと上を見上げた。そこにはーー


「…………え?え?えぇぇぇぇえ!??」


(何という事でしょう、ついさっきまで何もなかった青空から、大きな竜巻が伸びてくるではありませんか!自然界の猛威は、ぼーっとしている平凡な高校生を、トイッターやウィンスタ映えする不思議な高校生へと生まれ変わらせたのです!!じゃねーよ!!え?なにこれ!?嘘だろ……あぁ、走馬灯が見えるわ……父さん、母さん、妹はん、そして友と彼女よ、俺、死ぬわ。)



最後に見たものは、JK達が空中にとばされた俺を動画にとってトイッターに上げようといって騒いでいる瞬間だった。

(本っ当に、俺ってついてねぇな)

そこで、俺の人生は幕を閉じたーーー


 ーーーーと、思っていたのだがーーーー


『本当にすまない!こちらの馬鹿のせいで死なせてしまったのに、こちら側の勝手な都合により、異世界に転生させる事になってしまって……なので、罪滅ぼしに何か望みを叶えさせてくれ。何かあるかい?』


今、俺こと栄沢謙信サカエザワ ケンシンはそこらのライトノベルのテンプレ、いわゆる

『手違いで死んだからチート渡されて俺TUEEEEEEEEEEE!!風の異世界転生』的な展開に陥っている。

因みに、其処にいる背中に羽の生えた女の子、銀髪のおかっぱをなびかせ、頬をピンク色に染め、蒼目を申し訳無さそうゆ垂れさせている、頬のプニッとした幼児体型の幼………ゲフンゲフン、神様が言うには、俺の死因は別の酔っ払いの神の飲み会の余興で下界に自然災害を一つランダムでランダムに発生させようゲーム、とやらで発生した竜巻が直撃して死んだ、という事になるらしい。


たった十七年の人生でも、必死こいて生きた人生の終わり方がこれだと何とも微妙な感情が出てくるが………

いや、この際もういいか。なんせ……………


(本っ当に嬉しいことしてくれたなぁオイ!!ナイスタイミングだぜ殺俺神様!ちょーどやること無い時に転生チャンスをくれるなんて……愛してるぜ、俺を殺した神様!!)


『君、少し失礼だけど良い子だねぇ…今までの転生者は皆「元の世界に返せ!」とか「ふざけんなチビガキ!!」とか、前者は分かるけど後者は僕のせいじゃないし!!しかも神に罵倒とか頭おかしいんじゃないのかな…………まぁ、今までの転生者クソドモと比べると君は接しやすいんだ、気に入ったよ。しかも珍しく驚いていない。でも神様を幼女呼ばわりは心の中でも失礼だよ?』


むーっ、と腰に手を当てて唸る。


まぁ、驚かないのはどうしてかと言われれば、ただ単に感情と思考が臨界点を通り過ぎて、一周回って冷静になってるだけなんだが……

てかさぁ…え?何俺の心の声聞こえんの!?……ワーサッスガメガミサマダナーースゴイスゴイ


『馬鹿にしてるの?』


「さーせんっした!!」

うわぁぁぁ……スッゴいジト目で睨んでくるんだけど………

うわ怖っ!幼女怖っ!!マジか、幼女ってこんなに怖くなるのか!!でも結局可愛いんだよなぁ……。 


何だろう、新しい扉が開ける気がする……その境地の名はロリコ……

いや、何もないな、うん、何もない。


おっと、話がそれたな。



さて、そろそろ本題に入るとするか……


「所で俺の望みなのですが……」

『お、そうだったそうだった!忘れるところだったよ~』

頭を掻きながら、決まりの悪そうにえへへ、とはにかむ。


あー、可愛い。

これって目覚めちゃってもいいよね!?そうだよね!?


『目覚めるって何にだい?』


さて、俺の望みだがこれはとある時に考えた物をそのまま伝えることに決めているのだ。

………ん?スルーするなって?ははっ、僕には何のことか分かりかねますなぁ……ま、気にするな!

俺の考えた力は少し地味かもしれないけど………な?

そして、その望みはーー

「触れた物の記憶の読み取って、解析をする能力を下さい。」

異世界の歴史をこの目で見て、知り尽くす力ーー。


元々、歴史には疑問に思う点が多い。

前の世界の授業を見ていても、この書物は本当に正しいのか?

コイツは本当に強かったのか?等の疑問が浮かんでくるのだ。

なら派直接この目で確かめるまでだ。俺は、自分で見たものだけしか信じないようにしたい。

これは、過去の俺の経験から考えた事だ。まぁ、色々あったからなぁ……


あと、他人の恥ずかしい過去を覗き見してそれを相手に伝えて羞恥に悶えさせるのも……………ニヒッ


『へえ、これまた面白いけど地味な能力だね……分かった君にその力を与えよう。あと君は僕の気に入った転生者第一号だし、記念に他の祝福ギフトも与えておくよ。その力は君が思うように使うといいよ、善となろうと、悪となろうと、僕は君を見守っているから。じゃあ、良い異世界生活を!』


神様がそう言い終わった後、俺は白い光に包まれる。

「あ、後身体もそのままでお願いしまーす」

『え、今!?えっと、これをこうして、よっ、あれ?』

そう言い残すが最後、慌てふためく女神を尻目に俺の意識は途絶えた。

新たな世界に思いを馳せながらーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

目を開けるとそこは、大きく開けた草原だった。

どこからどこまで草、草、草。そよ風が肌を撫でるように吹いている。この日の出方なら、今はお昼時頃だろうか、気を緩めたらコテンと眠ってしまいそうだ。

そんな心地よい草原に放り出された俺の異世界第一声、それはー


「うおっ、マジで来ちゃったよ……」


これである。感受性無さ過ぎるぜ、おれ。

着いてから数秒間は実感が沸かなかったが、幻想として抱いていた男子ラノベファンの夢ランキングぶっちぎり一位(独断)の転生をしたと考えると、じわじわと実感が沸いてくる………

そしてーー

「……!異世界転生キッッッタァァァァァーーー!!イエェェェェイ!!」

ーー数秒後、俺は草原の真ん中で叫び出す頭のおかしい十七歳の

阿呆な青年に変貌していたーー

◇◆◇◆

「ふぅ………さて、一通り騒いでテンションが上がった所で……」


(いや、これは言ってしまっていいのだろうか?

これを言ってしまったら、それを認める事になる……

しかし、言わなければならない!!)


決意を固めた俺は、大きく深呼吸をして、叫んだ。


「スゥゥ……此処はどこだぁぁぁ!!」

だぁぁ……

だぁ……

ぁ…

……


 ーー異世界転生初日、第一試練、『街に行こう』始動。ーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「う~む……しっかし本当にどうすりゃいいんだ?迷子の時は動くな、とか聞いたことあるし待とうかな……」

全力で叫んだ俺は、木陰に入って気にもたれ掛かり腰を下ろす。

しっかし暇だ、何か暇つぶしを考えねば……

一人ジャンケン?一人カラオケもどき?うーん……

あ、そうだそうだ忘れてた!!俺とした事がお約束を忘れていたぜ……

それでは言ってみよう、某番組風に………


「そうだ、ステータス見よう」

さーてそれでは早速~……♪……………あれ、何か大事な事を忘れてる気が………あ、見方知らないんだった!


あーもう!!こうなりゃ意地でもステータスを見てやる!!


額に指を当てて考え、俺はふと思い出した。そういやラノベの奴らってステータスとか言ってなかった?でも出てこなかったら恥ずいし……いや、何を恥ずかしがるか栄沢謙信!!ここだれもいねぇよ!!セーフゾーンだよ!!


よし、物は試しだ!!


「よし、そんじゃあ……ステータス」


そうして呟くと、目の前に白い小さい魔法陣のような物が出現し、周りに光を放ちながら複雑な模様を描いて変形し、紙状になった。

「おぉ…何か感動」


現れたそれに触れると、ジューっと肉が焼ける時のような音をだしながら、サラサラと黒い文字が浮かび上がってくる。

良く分からん暗号みたいな異世界語で書いてあるが、その内容を読み取ることは出来る。

これが恩恵ってやつか?


「ナイス、ロリ女神」

心の中でグッドサインを送る。


ゾクッ


「うおっ!?」

なんだ?今背筋に冷たい殺気が送られた気がしたぜ……ま、気のせいだろ。


そして、ステータス紙に目を通す。

「どれどれ、お約束のチートは~♪」


∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

サカエザワ•ケンシン

クラス SSS

ジョブ  無職

残命 1000/1000

魔力 1000

物攻 1000

魔攻 1000

俊敏 1000

スキル 『読込ロード』 『隠蔽』 『鑑定』 『言語理解』『無詠唱』

魔法 『究極回復《シア•ヒール》』

称号 歴史を覗く者 神に気に入られた者 転生者 

∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

「………うわっ………これはアカンで神様」

おっと、訳分からずに関西弁で突っ込んでしまった。

でも……

「無職は……何か心が痛む」

そう、マジで無職はキツイ。将来割と真面目に給料高めの職に就こうとしていた為、無職はマジ泣きたくなる。ま、異世界来たから関係無いか!いや、異世界でもニートは駄目か。

あと、このステータスって高いのかな?SSSって書いてあるし……

さてと、一通りステータスについて確認した所で……………


「目下の問題は全く解決してないんだよなぁ…」

そう、結局街への道はわけわかめなのよねぇ…

てかこの世界街って在るの?無かったら僕泣いちゃう!!


……あぁ、イカンイカン、動揺でキャラぶれまくってるな……

うーむ、どうしたもんか…………

考える人のようなポージングで額に手を当てて考えているとーー


「誰かぁぁぁーーー!!」

ん?

(今、人の声が聞こえたぞ!?しかも何か穏やかな感じがねぇ!

声の主は近い、声の方向は………後ろか!!)

そしてばっと後ろを振り返ると、其処にはーー


「お、降りれなくなっちゃいましたーー!助けて~!!うえぇぇん!!」

俺が寄りかかっている木の上で、枝にしがみついてて泣いている女の子がいたーー

「はぁ……………バッカみてぇ」

めっちゃ肩の力が抜けた。

◇◆◇◆

「本当に街に案内するだけでよろしいのですか?」

この少女の名前はニヒル•ハイデリッヒ、俺が初めて出会った異世界人に当たる人物だ。

金髪金眼で可愛げな顔立ちをしており、おっとりとした性格。

身長は低すぎずも高過ぎず、丁度可愛いって言われる身長位だ。

コイツを見てると子犬のポメラニアンを思い出す。何か今にも尻尾振ってワンワーンとか言って走り出しそうだな。

更に、ボディもなかなかに爆発的ダイナマイティーと来た。手を出さない俺マジ紳士…いや、普通か。

今まで少し話した程度だが、悪い奴ではなく、とても人懐っこい良い奴だ。むしろ、その天性であろう良い人相で悪い人、まるで駄目な男、『まだお』にに引っかかりまくりそうである。


現在俺は、ニヒルに助けて貰ったお礼として街に案内してもらっている。

その間、彼女から色んな話を聞いた。

この世界には、魔物を生み出す元凶の魔王率いる魔王軍レイと、王国の聖騎士団、聖士団ロイヤルズ、そして実力未知数の帝国軍隊、執行者ディメンジョンなる三つの三代勢力が存在する事。

その他にギルドという組織が有り、そこで冒険者という職業に就き、モンスターを倒す事で生計を立てて居る者がいること。

この世界には5つの大陸が有り、西には比較的平和で友好的な種族、ドワーフやエルフなどの生息する西ノ大陸サウス


東には三代勢力の内の一つ、聖士団率いる王国が構えている他、裕福な国家も多数合併している東大陸イースト


南には、許可を得た者以外が立ち入ることの出来ないとされている五大陸の中で最も広大な大陸、三代勢力の一つの魔王軍の本拠地、魔王城のそびえる危険区域、南大陸ウエスト


北には、どの種族とも交流を取らないとされているが、絶大な力を誇ると噂される種族、エディルフィアの治める完全閉鎖国家、

死楽郷デスエデンと呼ばれる国が位置する場所、北大陸ノース


そして、三代勢力の中で、唯一実力の程が解らない謎の組織、執行者ディメンジョンの本拠地の帝国が位置するにも関わらず、極一部の人間しか場所を知らない幻の大陸、幻影大陸イリュージョンが有ること。

因みに俺が今いる大陸は西大陸らしい。

ほっ、と胸を撫で下ろす。異世界転生直後に治安最悪のラリラリピーポー共に絡まれたら笑えねぇしな、そこら辺は配慮してくれたのか。

…………………してくれたのか?

あ、あとこの世界での職業は、冒険職に就くならギルドの鑑定石やら何やらを使い、適正な職に就けるらしい。

良かった……これで無職問題は解決したぜ……

それから暫くの間雑談しある程度打ち解けた頃に、うっすらと街の面影が見えてきた。

「見えてきましたよケンシンさん、あそこに見えるのが私の住む街、リキールです!良かったぁ……ちゃんと帰ってこれで……グスッ」

ニヒルは一瞬ハイテンションになったかと思うと、急に泣き出してしまった。

情緒不安定かよこの子……

「お、おい泣くなよ……」

てかマズイッ!この絵図等は‘‘若めの男がロリっ娘を攫って、攫われた娘が泣いてる,,としか見えん!!これは誰かに見られたらシャレにならん!!

頼む、泣きやめぇぇぇ!!

「あ、すびばせん……わだし、嬉しくて……もう帰れないと思って……」

「木登りが人生変えるとか、この世界シビア過ぎんだろ……日本だったらまず有り得ないな…」

「ニホン?聞いたこと無い所ですね……」

「俺の生まれ育ったは遠い東の国だ。ま、気にすんな。ほれ、街も近づいてきたぞ」

いつの間にかニヒルは泣きやんでいた、それどころか街に近づくにれて上機嫌になっていた。良かった~誰かに見られる前で……

それから数分、特に何もなく俺にとっての始まりの街、リキールに到着した。

初めての異世界街の感想というか、第一声。それはーーー


「スッッゲェェェーー!!」

この一言に尽きるのだった。

見渡す限り美人、可愛こちゃん、イケメン、ガチムチおっさんは置いといて、街中美男美女と亜人で溢れていた。

しかも、夢に見た獣人もいる。耳とか尻尾とかをピクピク動かしながら買い物をしている者もいれば、街中で見物客ありきのストリートファイトをしている者もいる。てか、ストリートファイトってマジであるもんなのか、胴着を着たムキムキが竜が昇るくらいの威力の拳でも繰り出す物としか思ってなかったけど、意外に静かだな……ちゃんとルールとかも決められてるっぽ「おいてめぇ!!ふざけんじゃねぇぞオラァァ!!」「んだよテメェコラァ!!どうせルールなんてねぇだろーがよ!!」………あれ?うーん、おかしいなぁ?ま、とにかく俺は何も見ていない。


それにしても、耳とか尻尾とかってやっぱりふわふわしてるのか?いつか触ってやるぜ!

その他には竜と人が合体したみたいな種族、『リザードマン』や

背が低くて少し厳つい『ドワーフ』、珍しいのでは『シュラ』という四本腕の種族だろう。地球の阿修羅に少し似ている。

そして、その他所々に建ち並ぶ屋台からは、食欲をそそる美味そうな匂いが漂ってきて、思わず顔が緩んでしまう。

中世ヨーロッパのような街並みと、様々な種族が入り乱れる光景から、異世界に転生したという事を改めて実感する。


「いい街だな、ニヒル!」


ニヒルの方を振り向くと、何やら顔を赤くしてもじもじしている。


「どうした?ニヒル」


「ひゃあ!?……あの……そのぉ……大変申し上げにくいというか、恥ずかしいというか……」


先程まで赤かったニヒルの顔は、更に熱を帯び、少し汗ばんでいるようにも見える。

か、可愛いぃ……


「なんだ?言ってみないと分からんぞ?」

俺は、少し調子に乗って‘‘ほれほれ、ちょいといってみ?,,といった感じで問いかけてみる。

なるべく隠したつもりだが、恐らく、いや確実に顔のにやけを抑えられなかっただろうがな。


「あ………あの……………………」

声が小さくては聞き取れないのて、もう一度聞き直す。

「ん?なんだ?」

聞き直した瞬間、ニヒルの顔が最高潮に赤くなったかとおもうと、街中に響くような声でーー

「お、おしっこが漏れそうなんですーー!!…………って、何言わせるんですかーー!!」

叫び、その後直ぐに俺目掛けて平手打ちを放ってきたーー

「おい、ちょま………!?」

………あれ?女子のビンタって()()()()()()()()()()?亀の歩み並みに遅ぇ!!昔何度も受けたあのビンタは何だったんだ?もしかして、これが普通でアイツらが異常だったのか?異世界人最弱説発動!?

そんな事を考えながらニヒルのビンタのガードに移る。


「ほいっ」

肘を曲げて右腕を顔の横に持ってきて少し身構える。そしてビンタが腕の寸前まで来た所で、腕を上に上げるようにしてビンタする手を跳ね上げた。



「………えぇ!?」

数秒間をおいてから、ニヒルはものっすごい変な顔をして驚いたと思うと、直ぐにその場にしゃがみこむ。

「も、もう限界です~!!」

マズイッ!このままでは『トイレに行きたいという事を暴露させて尚引き止めて漏らさせた変態』というレッテルを貼られてしまう!!でもトイレ分からんぞ!?どうする!?考えろ、考えるんだ!!



………はっ!


そうだ、そうだよ!!俺にはアレが有るじゃねえか!!さっき手に入れたばっかの力が!!


「スキル使用の状況キタァァー!!」


「ふぇ!?ひゃうんっ!!」


「あ、スマン」

どうやら俺の突然の大声に対して驚いてしまったらしい。ふぇ!?、と可愛らしい声を上げたと思うと、体をビクンッと震わせてひゃうんっ!!とのけぞってしまった。大丈夫かマジで、色んな意味で。


おっとっと、今はそんな場合ではない。 

そう、俺は思いついてしまった、俺のスキル……『読込』の使い方をなぁ!!

ズバリ!!道行く人にコッソリと触れて過去を読み取り、トイレの位置を探る、というものだ!!そこ!!犯罪とか言わない!

さて、誰にしようかな…………お、あの男の人でいっか、フード深々被って気付かないだろ!

「『読込』」

そう唱えた瞬間、触れた箇所が光ったかと思うと、まず触れた部分の血管が張り裂けそうな痛みに襲われる。それは、どんどん奥に進み、やがて、脳に到達した。その瞬間、思わず吐いてしまいそうな感覚に襲われる程の気持ちの悪さと共に、見知らぬ人の記憶が流れ込んで来る。まるで、頭にゼリーでも入れられたかのような異物感に頭痛と目眩、吐き気も先程の倍程の物が溢れて腹と脳、いや、神経と血管までもを掻き乱す。


「あ、あぐぅぅぅぅ!!!??がびぃぃぃ……ギギ……フーッ、フーッ……がぁぁぁぉぁれ!頭が、あだまがぁぁあ!!気持ち悪るぅぅ!!痛い痛い痛いイタいイタい痛い痛い痛い痛いイタい痛いいだいいだいいたい痛いイタいイタい痛いイタい痛いイタい痛いぃぃぃぃぃ!!!」


俺はその場でのたうち回った。道行く人の顔は皆こちらを向いている。ニヒルの声もぼんやりと聞こえる程度で頭には入って来ない。が、すまんな、早くトイレ連れてってやるから……


「っあ!!…………ふう」

よ、よし、何とか……収まったな…たが、これで目的は達成出来たぞ!でっかい木造の人の多い建物だ!しかも北にまっすぐ百メートル!!

「よし、行くぞニヒル!!」

そして、俺は後ろにいるニヒルの方にバッと体を向ける。そしてーー

「ふぇぇ……も、もう無理……です」

そこには、死にそうな顔をして股を抑えながらぶっ倒れているニヒルの姿が有ったーー


「マズイッ!間に合えぇぇぇ!!!」

俺は、速攻でニヒルを担ぎ上げ、()()()

走った。走ってしまったーーー

「ってうおおおおおおおお!!???速ぁぁぁ!!?」

早々、言い忘れていたが、この世界の住人の足の速さはステータスの俊敏で決まる。ステータスの俊敏は、ペースを落とさずに一時間辺り全力で走った時の時速を表している。そして彼の俊敏は1000、つまり、時速千キロメートルで走れるのだ。

分速にして約17キロ、秒速にして0.28キロ、要するに、一秒に280メートルを進む事が出来る計算になる。

だが、トイレの有る場所への距離は百メートル、此処まで言えば、結果は言わずもがなーーーーー

バッゴォォォォォ!!

「グッハァァァ!!」

「もうやだぁ……」

そう、激突して、壁を破壊して突っ込んだのだ。

結局、其処の従業員に土下座してトイレを借り、大事を免れたのだった。ちなみに俺が土下座した人は、終始目を真ん丸くして口をぱっくり開けて頷いていた。

ーーーーーーーそして、現在ーーーーーーーー


「で、どうしてくれるんだ?君達、まさか許してくださいで許されるとか………おもってないよね?」

俺達は、先程ぶち破った建物の責任者、アイン•シルヴォーンという金髪金目の超イケメンの好青年に問いつめられていた。

結論を言おう。

(誰かたすけてくれぇぇ!!!!!!!)

    ーーー異世界転生初日、第二試練ーーー

ーー好青年からの許しを貰い、尚且つ穏便に済ませ、始動ーー


どうでしたか?少しばかり短いかもしれませんが、評価、ご指摘、ブックマーク、お待ちしております。

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