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祖父と曾祖母と

記憶が断片的なところがあり上手く伝えられてない所もありますがご了承下さい。


残酷な物では無いですし、ふーん、世の中フシギダナー位の気持ちで読んで頂けるといいかと思います。それと同じような体験をしたかたいらっしゃれば、感想なり、メッセなり頂けるとうれしス!


もう1度言います、実話です。



 私が実家を離れ、大阪の大学に通い出して1年が過ぎた6月末ぐらいの頃。

 その日は土曜日で朝だけ授業があり、帰宅後、家でサッカーゲームをしていた。その時、実家から電話がかかってきました。

面倒くさいと思いつつ、普段はほぼ無視しているのだが、その時は気まぐれに電話をとった。ただの気まぐれで取った電話の内容は、祖父が行方不明だと言うこと。


 私の実家は兼業農家で、祖父祖母が農業を営み、両親は自営業をし、自営業の合間に農業を手伝っている。その祖父が朝、山の様子を見に行くと言ったきり、3日帰ってきてないと母からの電話。

 母は、明日あなたは学校休みだから、帰ってきて捜索に協力して欲しい、あなたが帰ってきたらお爺ちゃんも帰ってくるかも、と言うので、いつもの私なら「すぐ見つかるかから面倒くさい」と断っていただろう。しかしその時は何故かいつも重い腰を軽々とあげすぐに身支度をした。


 特急にのり、2時間半程かけ、実家のある駅に到着し、駅前にあるロータリー、いつもの場所に母の車が止まっていた。私はい母の車に乗る。


 実家に帰ると、冠婚葬祭等の行事毎でしか見たことが無いような人達が団欒としていた。祖父の行方が分からないというのに、私から見ると久々の再会だったのだろうか皆、昔話に花を咲かせているようだった。その中には祖父の兄弟が3人、弟1人と妹2人。他には父の兄弟、母の兄弟姉妹が、近所の大人達も沢山いる。なかなかここまで集まることも珍しい。


 祖母はというと、警察の人と何やら話しをしている。私は祖父を探しに来たのに、この人達に悲壮感や不安、心配の感情があまり見られないこと。勿論、私も特に心配はしていないし、取り乱すことも無かった。紛れもなく、私と血の繋がった人達なのだなと改めて思った。


 そんな様子の中、もう少しゆっくりしたかったが母だけは、皆と違い少しやれやれと、ため息の聞こえてきそうな顔で母は私に車に乗り、思い当たる所を探しに行こうと言ってきた。母の困った顔を見て私は、仕方ない付き合ってやるかと、車に乗り母の運転するままに山の方へ向かった。


 到着した先は、私の住む地域で没した昔の人が祀られている、山の中にあるお寺? 神社? 良く覚えていないが私にとっては少しトラウマのある場所。小学校の頃悪いことをすると、母に夜連れてこられて、車から降ろされそうになっていた場所。本当にあの時はこの場所が恐かった。今はもう連れてこられて降ろされても歩いて帰るだけだが・・・。

 麓に車を止め、長い石の階段を登り、建物が2軒か3軒ほど。中を覚えているのは1軒だけ、仏像だったと思う、そんな物が祀られているだけで、中はよく見るお寺の内装で、異質なところは天井に染みや御札が数枚貼られているぐらいだったと思う。

 そこから脇に山道があり、気温も上がり夏も迫ってきているのに、その山道からは、冷たくてひんやりした風が吹いてきていて、大人になっても妙な恐怖を感じる程、薄気味悪い。


「こんな所にはおらんなぁ・・・本当にどこいったんや」


 母ん声に私は少し驚き、びくっとした。母の言葉は面倒くさいのか、それとも心配からくるイライラなのか、私には後者の方にも捉えられたが、本人にしか分からない。母はそのまま山道の方に体を向け歩こうとするが、私はもう帰ろうと母に言う。母は、山道の先も念のため探さないといけない、と言うが私は嫌だったので母に「その先探しても、険しいところは私達は入れないし道で倒れていたら住職さんが見つけているはず」と何とか説得した。

母も納得したのか、そうかといった感じで引き返し、また長い階段を降り車に乗る。

その後は何処で降りることも無く、車でひたすら行きそうな場所で辺りを見回す程度だった。時間にしたら3時間ぐらい探していたと思う。今日は諦め家に帰ると、御馳走が振る舞われていた。決して何かを祝うとか、そういったことでは無くて、捜索に協力してくれた人達へのお礼とかそういったものだ。私も御馳走を平らげ、明日は学校があるのですぐに帰ろうとしたが、祖父の弟が口を揃えて


 「明日も学校か? こんな時に学校休まなくて勿体ない無いな」


 と笑いながら茶化す。


 「あした、学校は昼からで行っても行かなくてもいいから休んでも大丈夫だけど、休むなら1ヶ月休みたいです」


 と私は返すと祖父の弟は


 「そら、あかん!そんなら今日は泊まって、朝に墓参りだけして帰りな」


 面倒くさいから嫌です。何て言えるわけ無い、だけども流石にそれは言えないので何とか帰る口実をつくる。


「課題が残ってるんです。テストも近いので、帰らないと」


 うまく逃げ切った思う、だが母だけは嘘を見抜いていた。駅まで送ってもらう時に母に上手く逃げたねと言われた。


その後、市内には祖父の捜査協力の張り紙や、警察もそこそこの数を動員して捜査にあたってもらったが、手がかりも無く何も見つからなかった。皆、1ヶ月もするともう死んだと受け入れたのかいつもの、のどかな生活に戻っていった。


 私はと言うと、とんでもない妄想で結論づけた。


 母と探しに行ったお寺のような所、祀られている昔の人は有名な忍者説があった、私の祖先はその忍者だった。祖父は忍者の末裔として死ぬ事を誰にも知られたくなかったのではと、もしくは何処かの国のスパイだったと。


そんな有りもしない妄想で、祖父の死を面白おかしく補完した。



 ※※※※ ※※※※ ※※※※ ※※※※


 その祖父の行方不明から半年後ぐらいたった、学校にはだいぶ飽きてきて、特に学食にいたってはもう飽き飽きだ。私は学食が嫌だったので、友人を誘い近所のスーパーにお弁当を買いに行くことにした。学校から出て200メートルぐらい先にあるスーパーに到着したが、朝も食べてないのに、どうも食欲が無くなってきた。私は誘った身だが外で待つことにした。

 外でタバコを吸い、歩道で友人の帰りを待っていると左側から「お兄さん」と明らかに私の方に向かって声をかけてくる。声のする方を見ると、70才~80才位のお婆さんがいた。


 私は、急に知らない人に喋りかけられても、特に警戒心など抱かない性格なので特に驚きもせず。なんだ、この人? まぁ友人が帰ってくるまで暇つぶしにはいいか。程度に思っていた。「はい、なんでしょう?」と私が返事をする前にお婆さんは喋りだした。


「先祖を大切にしとるか? 墓参りはちゃんといかなあかん、あんたが今、健康に生きてられるんも、ぜーーーんぶ先祖のお陰や、その先祖は今も見とる、悪いことはしたらあかんわかったか?」


 急に何を言い出すのですか? このお婆さん、家で構ってもらえないからって、俺に面倒くさい事言ってくんなよ。と内心思いつつ「はい、すいません」と何故か受け入れてしまった。


 その後、そこからどうやって友人と学校に帰ったか、そのお婆さんとどうやって別れたか本当に憶えていない。お婆さんの言葉がその後の出来事で強烈に残ったせいだろう。


 それから2日後、曾祖母が死んだ。本当に嫌いな曾祖母だった、実家の隣に住んでいて、曾祖父は私が小学生の頃亡くなった、それ以降何かにつけて我が家にあがりこみ、祖母や母にいちゃもんをつける。私達が食べるご飯でさえ目の敵。曾祖母が家に来ると雰囲気は最悪だった、私もその頃は中学生で多感な時期だったため、何度も突っかかっていったし

、殺したいとも思った。それでも母と祖母は曾祖母を庇った。


 そんな曾祖母も、死ぬ間際は祖母の手を握り息を引き取るまで


「ありがとう、今までありがとう、これからもずっと見守っているから、ありがとうね」


と言い、息を引き取ったそうだ。私には分からない曾祖母と祖母の関係があったのだろう。


 それにしても、スーパーの前で出会ったお婆さんは、私の曾祖母の死を予知していたのかもしれない。しかし、まだ若い私は偶然だろう、生きていればそんなタイミングのいいこともあるさ、と曾祖母のお葬式も途中で退席し、最後まで見届ける事無く大阪へと帰った。今、考えると本家の長男としては、あまりにも軽率な行為だったと思う。


 この後、10年程は身内に不幸など無く、平凡な日々を過ごした。強いて言うなら私が高校生の時に拾ってきた、オメガと言う飼い犬が死んでしまった事だろう。


この後2度自身の身に、奇怪な出来事が起こるとは全く思ってもいない。






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