第6話 入社
夏風邪で死にかけた。
まだ喉の調子がおかしい。
トローチ舐めよ。
有限会社ホタテ
マリンに俺はトランプ勝負で勝った。
「流石! 浜松社長。
マリンさんにトランプゲームで勝ったのは
社長が初めてですよ」
リミットがニコニコしながら褒めてくる。
「神のお前でもマリンに勝てないのか?」
俺は不思議でならなかった。
「ええ、まぁ神の僕は異世界では
神の力のほとんどを法律で使えないですからね。
僕の力はこの世界を壊しかねませんから。
僕が精々こっちで使えるのは空間を広げる力と
違う場所から何かを持ってくる力
あと異世界にいく門を開けるぐらいです。
その力でマリンさんの読眼に対抗する事は出来ませんから」
この神は今サラッと世界を壊すほどの力が
あるとか物騒なこと言ったな。
「神にも法律が有るんだな」
「ええ。
なんせ、世界を滅ぼしてしまいますから。
因みにミーヤさんの幻術も法律で
こっちの世界では使えません」
「詰まる所ミーヤはこの世界では…」
「はい。役立たずです」
リミットがキッパリ言い切った。
「酷いです〜」
ミーヤがマリンを連れて帰ってきた。
「おおマリンもう泣き止んだか?」
俺は笑いながらマリンに聞いた。
マリンはまだ涙目だった。
「うるさい! 人間如きが
偉そうにするな!」
マリンはまださっきのトランプの勝負で
俺が勝ったことに納得がいってないようだ。
「マリンさん。貴方は負けました。
浜松社長の入社を認めてくれますね」
リミットがニコッと笑いマリンを説得する。
するとマリンはと目をこすり
涙を拭き
「分かったわ。今回は神であるあんたの
顔を立てて負けを認めてあげる。
でも、人間! 次も同じ手が通じると思わないで」
マリンが俺を指差して言った。
あれ? おかしいぞ?
なんか俺がこの会社に入ることが勝手に決まっている気がする。
「まて、まだ俺は入社するとは言ってないんだが」
俺はリミットに訴えかけた。
「浜松社長〜 まだ駄々をこねるんですか?
そろそろ本気で怒っちやいますよ。
分かってると思うけど…
僕が怒ったら世界ごと社長の存在が
消えると思いや〜」
リミットはニターと笑い脅してくる。
リミットはキレると関西弁ぽい喋り方になる。
この神は平気で法律を破るのか?
「亮司社長! お願いです〜 入社して下さい! 世界がなくなる前に」
ミーヤは焦りながら俺を説得する。
ミーヤはリミットのことがかなり怖いようだ。
「そ…そうよ人間!
あんたは私に勝ったのよ。
入社するには十分な存在だわ
うん」
マリンが言う。
ここにももう一人リミットの事を怖がってる
奴がいた。
あんなに俺の事を嫌っていたマリンが
すんなり入社を認めた。
リミットはこの二人に一体なにをしたんだ?
「さぁ入社するんか?
世界と一緒に滅ぶんか? どっちや?」
リミットがニコニコしながら俺に
詰め寄ってくる。
もはや、二択というより一択だ。
「分かったよ! 入ればいーんだろ!
入れば」
「ありがとうございます。社長
いい返事が聞けてよかったです。
危うく世界を壊してしまうところでした」
リミットは普段通りの敬語に戻った。
ミーヤとマリンもホッとした顔をしている。
この神はなんて自己中な奴なんだ。
「入社おめでとうとございます。
亮司社長」
「まだ完全に認めた訳ではないんだから」
ミーヤとマリンが言った。
こうして俺はアナザー商事に入社した。
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「ところでリミット。
結局、異世界一の大企業って
実際何すればいーんだ?」
俺はリミットに聞いた。
「異世界では、会社が
ランキング形式になっており、309社が
毎日業績を競いあっている状態です。
その中で一位になるのが
社長が元の世界に戻るためのノルマです」
「なるほど、因みに今は何位なんだ?」
「309位です」
「はぁ?」
「309位です」
リミットは満面の笑みで答えた。
元の世界の皆様。
俺、浜松亮司は
神の気ままにより当分そっちの世界には
帰れそうにありません。
○とぅーびーこんてぃにゅー○
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のどヌール濡れマスクは効かない。
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