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さて、最後の仕上げだ、そろそろ最初に入った奴らが仕掛けに引っかかる頃だろう。
丘の上に登り、森の中から逃げ出してくる奴を始末するために鉄砲隊を準備する。
もう皆んな腕をあげるのも辛いので、鉄騎兵の奴らに道具を運ばせた。
ズッドンンンン
腹を突き上げるような地響きと、森の奥の方から火炎が吹き上がる。
最初の火炎の後、仕掛けていた他の爆薬が連鎖的に吹き飛び、黒い煙と炎が上がる。
アンフォ爆弾だ。
油を少々イジって爆薬と化合させて作るテロリスト御用達のやつだ。
私は化学工場時代と高校時代の知識を使って、この世界でパンドラの箱を開けてしまっている。
あっという間に炎は森の中を走り、中にいる教皇から皇帝、そして各国の王族や国の首脳達、それに名もない兵士まで、地位に一切関係なく平等に消し炭に変えていく。
と、誰か森から出てきた。
鉄砲隊が射撃をする。
…ってあれ?
「あ、うあわわわ、辞めろ、射撃を中止ー中止」
ベックの奴を忘れてた。
あーあ、ドワーフの奴ら全員ズボンの前を濡らしてるじゃん。
私?私が悪いの?
あーどうしよ、ちょっと褒めて誤魔化すしかないか。
「姫様、撃たないって言ってたじゃないですか、グスン」
あーあ、泣いてるよもう、やっちゃった。
一人ずつ抱きしめながら褒めてやったら、皆んな喜んでたな。
一人調子に乗って胸を鷲掴みにしてきた奴がいたから、バックドロップで投げたがまあいい、多分こいつらが居なかったら私はとっくに潰れてる。
★決戦当日 夜 丘の上
僕は姫様に投げられた時にできたタンコブをさすりながら、森の炎をみている。
あそこで燃えてしまった偉い人達が居なくなっても、国は変わらない事ぐらい僕でも分かる。
王様の次はいくらでもいるんだから。
だけど、姫様は新しい価値観の苗木を植えるために必要な肥料だったと言ってる。
この世界は今日、絶対に変わらないと思っていた事が起きたのを目撃した、だから時間はかかるが、苗木は勝手に育っていくだろうって
言ってた。
僕には難しすぎて分からない。
姫様はあんなに戦争が大好きだったのに、もう戦争はやらないと言っている。すぐに向こうから恐怖で講和をしてくるだろうから、踏んだくれるだけふんだくって、ついでに不平等条約結んで貿易を始めるそうだ。
そのお金で魔獣や魔物がいる外の世界を開拓するから、お前の仕事はこれからまだあるぞって言われた。
横領で縛首だと思っていたのに、どうやら助かったみたいだ。
……また贅沢できるのかな? オッパイを揉ませてくれるお嫁さんが欲しいし、お給料もらえる技官を続けようかな、鍛冶屋に戻るのはもう少し後にしよう。
僕は右手の感触の記憶をじんわり思い出しながら、未来を考えていた。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
もう少し明るく楽しい話しで終わるつもりでしたがこんな感じになりました。
ベック君は小狡いオッサンだけといい奴なんです。多分。
本編の方もよろしお願いします。でわ
地図で読む異世界史のスピンオフ作品です。
現在これより24年前のティア目線の物語を書いています。
地図で読む異世界史『復活の女王』ハードモードもチート回数制限も平気です、人は考える葦なのです
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