3話 水の都ヴェネツィア
前回のあらすじ
船旅でクラーケンに襲われ見事撃退した咲良達は
水の国アクアリムの都ヴェネツィアに到着した
船の旅を経て、水に囲まれた街ヴェネツィアに到着した。
ここは、咲良達の世界で言うイタリアのヴェネチアを連想させる風景だ。
移動手段は小船を利用し、住宅は水面の上に柱を設置した家々が並んでいる。
先ずしなければならない事は、指定クエストと、転送装置の登録だった、そうでなければ青い宝玉、水の宝玉を返す手掛かりも進まない。
早速ギルドに到着し、指定クエストを確認した。
「きちんと公平に決めたよね?」
「だ、大丈夫ですよ、あはは」
夏海が念を押してギルドのお姉さんに問いただした。
前回サラマンドで指定クエストは各冒険者によって違う事を知らされたからだ。
「じゃこれ指定クエストです」
内容は、ピザとパスタの材料にエビと蟹を使いたいので、材料調達を手伝って下さい、詳しくはレストランブルーオーシャンまで。
「これある意味おいしいかも」
「蟹とエビだよ夏海ちゃん」
船であれほど食べて、まだ食い意地があった夏海と咲良だった。
レストランブルーオーシャンの看板を発見し、早速中に入ると見た目が貧弱そうな、髪を一縛りした男が出迎えた。
「いらっしゃいませ」
「ピザにピーマン抜いて下さい」
「コラコラッ咲良!」
夏海が止めに入るが当初の目的はどこへやら・・咲良は食べる事しか頭になかった。
「僕の名前はジャンと言います、この店のオーナーです」
話によれば、蟹とエビをふんだんに使ったパスタとピザを作りたいらしく、それには大量の蟹とエビを必要としていた。
「量を集めるよりはでかいの獲ればいいんじゃない?」
夏海の一言であっさり話が決まった、大物を狙う事となる。
「港に僕の姉さんのアルバと言う女性が居ます僕の紹介状書きますからこれを渡してください」
街の地図を頼りに港へ向かうと、バンダナを巻いた、長身の長い髪の女性が居た。
「あのアルバさんですか?」
紹介状を見せながら華凛が女性に話しかけた、この女性こそがジャンの姉のアルバだった。
「そうだよ、弟の依頼かい?」
話がわかっているのか、あっさり船に乗せてもらった。
「獲物はこいつさ!この巨大エビと巨大蟹だ!」
ターゲットのエビと蟹のモンスターの絵を見せられた咲良達は、やはり食べる気満々だった。
「マヨネーズあれば良かったね」
「さ、咲良ちゃんとりあえず食べる事から離れよう」
華凛が咲良に言い寄り、いざ出港。
船が沖に出て、アルバが言うにはエビと蟹のモンスターはキングロブスターと、キングクラブと言うらしく、厄介なのはキングロブスター大きい割には素早い、先ずはキングロブスターを捕獲する事にした。
「着いたよここでヤツを待つ」
ポイントに着くとアルバが餌を用意した。
魚は釣れるが目的のキングロブスターはまだかからない、網を投げ込み一網打尽にする漁だ。
「ちょっと休憩だ」
そう言うとアルバが釣れた魚で漁師メシを振る舞ってくれた。
「うわぁこれ美味しいね」
「庶民の味ですわ」
船酔いのトラウマがあるのか冬華は妙におとなしかったが漁師メシを食べて元気を取り戻しつつあった、だが咲良はアルバが誰かに似ていると疑問に思い出した。
「ねぇアルバさんてわたし達の知り合いに似てますね?」
「ん?」
「マジェスタさんに似てますね」
咲良がそう言うとアルバが驚きをあらわにした。
「マジェスタを知ってるのかい?あいつはあたしの親戚さ」
「うふぇー!?」
アルバからとんでもない事実を知らされた、確かに喋りや容姿が似ている。
4人は開いた口が塞がらずその場を立ち尽くす。
ゴゴゴゴゴゴッ!
その時だった、目の前に渦潮があらわれ、ハサミを持ったモンスターが顔を出した。
「出やがったキングロブスターだ」
網を投げ込むがキングロブスターは、得意のハサミで網を引き裂いた。
「姉さん後方にも怪しい影が!」
船員が叫ぶと後方に水面が泡立ち水柱が立った、硬い甲羅に巨大なハサミを持った蟹のモンスターがあらわれた。
「おいおいマジか?キングクラブまで来やがった」
「冬華お前の強運が引き寄せたよな?」
夏海が冬華に疑いの目をかけるが。
「今回は認めざるを得ませんわね」
あっさり認めた。
「お前ら!先ずはキングロブスターから相手にするぞ!キングクラブはこっちが手を出さなければ攻撃してこない」
言った矢先にキングロブスターが敵意をむき出しにし、甲板に侵入してきた。
「うげ!エビなのにこいつやる気だよ」
夏海が構えを取り、相手の出方を伺う。
「お前ら銛を持って来い!」
アルバが銛で応戦するが、殻が固くて中々刺さらない。
「えーいこうなればわたくしが」
何をするかと思いきや、冬華がニートスキルかくれるを使用し、チェーンウィップでキングロブスターを縛り上げた。
「さぁ華凜さん!今ですわ!」
「そうか!冬華ちゃん冴えてるね」
華凜が冬華の考えを読み魔法を放った。
「サンダーボルト!!」
華凜のサンダーボルトが冬華のチェーンウィップを伝わり、電撃が走る。
キングロブスターは麻痺し、夏海が毒針で相手の急所を刺し、止めは咲良のハリーさんで殴打し、仕留めた。
(咲良・・・たまには剣使おうよ・・・)
「刺身には不向きかなこれ」
「夏海ちゃんマヨネーズで焼くとおいしいよ」
夏海と咲良の食い意地に再び火が付いた。
「エビフライもいいよね」
華凜まで・・・・・。
キングロブスターを退治し、今度はキングクラブをあいてにするが、キングクラブは危険を感じたのか泡を吹きだした。
キングクラブの泡が全身を覆いまさに泡の鎧、バブルメイルと言うべきか完璧な防御壁を作りそのまま甲板に侵入してきた。
ブクブクブクブク・・・・・・・
キングクラブの泡が次第に増していく、これではらちがあかない。
「固い上に更に固くなるのかこいつ!」
なす術がなく立ちつくす一行。
「咲良こいつは蟹しゃぶか?」
「ポン酢がないからわたしは塩茹でで食べたいな」
夏海と咲良、この2人はまだ言っている・・・。
「咲良ハリーさんで殴れ!」
夏海が妙案を浮かんだようだ、言われるがまま咲良はハリーさんで連打。
ドカッバキッ!!!
見事に咲良の一撃がキングクラブの防御壁を破壊していく。
「行ける!冬華!そいつを抑えろ!」
「命令しないで下さる!」
夏海の声で冬華のチェーンウィップが再び動きを抑えた。
「華凜さん今ですわよ!」
「サンダーボルト!!」
華凜の魔法がヒットしキングクラブを倒した。
むしろこれは、食欲で勝ったようなものだった。
今回の報酬により、レベルが20に戻った咲良達だった。
港に戻るとジャンが出迎えてくれた。
「姉さんおかえり」
「おうジャン!こいつらのおかげで大漁だ!」
早速ジャンの店で調理開始、キングロブスターとキングクラブをふんだんに使ったパスタとピザを振る舞われた。
当然お客にも提供され、ブルーオーシャンは大繁盛であった。
「お、おいしーーーーーーーい!!」
4人はジャンの料理に舌鼓を打つのだった。
その頃街では・・・・。
「この街悪くないわねウフフフッ」
街の中で謎の女性がフードを被り不敵な笑みを浮かべているのだった。
遅くなりましたが続き書けました。
食欲旺盛な話を2話つづけてしまいました。
読んで頂きありがとうございました




