2話 船だ!海だ!
前回のあらすじ
クラスチェンジにより、レベル1に戻ってしまったがレアモンスターブラックスライムを倒し
レベル18まで戻ったのだった。
王都から港を経て、海を越える事になった、咲良達はセレナとクリムに挨拶をすませるのだった。
「次はアクアリムに行くのですか?あそこは水に囲まれ、天候に恵まれたいい場所らしいですよ」
「わたくし、一度バカンスに行った事あるから、あそこはリゾート地ですわ」
セレナとクリムがアクアリムについて説明していた。
さらに、クリムの説明によると、港で船券を買い、定期船に乗れるらしい。
以前指定クエストは終えているから、港へは簡単に行けた。
ここ、ウィンドール港は運河を経て、海に出る。
「すいません4人分の船券下さい」
「4人で3200Gだよ」
華凛が船券の発券所でお金を払うと、船券が発行され、いざ船の中へ。
船に乗り込んだ咲良達、他の冒険者や一般の人が乗客として乗っていた。
「うわー船だよ!海に出るよ夏海ちゃん」
「あたしの名前にピッタリだね」
何の話だか意味不明だった。
船内アナウンスが流れ、この船は、アクアリム行きで所要時間は約2時間だった。
運河を出て広大な海原に出た。
「うわぁ海だよ夏海ちゃん」
「船に乗る前は船だよ~てはしゃいでたな咲良」
船に乗る前と変わらない咲良と夏海の会話だった。
やけに大人しいのは冬華だった。
「うぷっ船酔いしてしまいましたわ」
「冬華ちゃんはいっお水」
冬華は船酔いでグロッキー状態で、華凛が看病していた。
「華凛ちゃーんお腹空いたよ~」
「向こうに着いたら何か食べようね」
はしゃぎすぎた咲良は今度はお腹空いたと言い出した。
この船は、乗客に食事も提供しているが別料金であった。
沖に出たその時だった。
「うわぁ!モンスターだ」
「こいつはクラーケンJr.じゃねーか」
船員と、タバコをふかしながらマッチョの船長が騒いだ矢先に起きた出来事であった。
船の甲板にモンスターが侵入し、イカのモンスタークラーケンJr.だ。
咲良達は騒ぎを聞きつけ、甲板に出たその数は5体だった。
「誰か冒険者の方が居たら手を貸してください」
船員の呼びかけに辺りを見渡すと、咲良達しか居なかった。
「あたし達しか居ないよやるよ!咲良!」
「ほーいイカ焼きにして食べちゃおー」
咲良は相当空腹で、クラ―ケンJr.を食べる気満々であった。
「咲良ちゃん、夏海ちゃん、冬華ちゃんは船酔いで無理だから二人で持ちこたえてくれる?」
「任された」
冬華が船酔いにより、戦闘不能、華凜は冬華を客室に移動させていた。
これも、ニートの強運なのか・・・いやあり得ないこればかりは。
クラーケンJr.が10本の足でボクサーのジャブを打つような感覚で、夏海と咲良に襲いかかってきた。
「この!イカ!刺身にしてやるーー!」
「夏海ちゃんショウガと醤油がないからイカのお刺身は無理だよーやっぱイカ焼きだよー」
「んじゃーイカスミパスタに、ペスカトーレだーー!」
食い意地を張りながら応戦する咲良と夏海、今の危機的状況を全くわかっていない。
「このイカ!海の男をなめんじゃねーぞ!!野郎共!客を非難させたらイカを捕獲しろ!これでマグロを釣って一攫千金するぞー!」
船長はこの船は客船だという事をすっかり忘れている、と言うかこの船はいつからマグロ漁船になっているのだ?そしてこのノルンディアにもマグロが釣れるとは意外だった。
咲良と夏海が2体相手をし、船長と船員が残り3体を相手にしていた、何も会話もないのに船員達とやけに息ぴったりだった。
「おまたせー」
そこへ、華凜が助太刀にきた。
「華凜ちゃんイカ焼きとパスタどっちがいい?」
「えっ?あははっ食べる気なのね・・」
気を取り直して、戦闘再開、相手も足を鞭のように振り回してはスミを吐いていた。
「わたしはとりあえずマリネでいいかな」
華凜も食べる気満々だった。
流石に船の上では魔法が使えない、とっさにロングボウを取り出し狙いを定めた。
夏海が空気を読んだのかクラーケンJr.を一列に誘導し麻痺針を使用し、うまく相手を麻痺させた。
「夏海ちゃんナイス!」
華凜が放った矢がクラーケンJr.を貫通させ、見事撃退した。
「姉ちゃん達すげーな!このイカ食うなら厨房に持って、調理してもらいな」
「わーいイカ焼き!」
咲良はもう空腹が限界のようだった。
厨房へ行き、早速調理してもらうのだが、料理長の足が悪いのか杖をついていた。
華凜の錫杖を見るやいなや、行きなりこっちの話をする前に話を切り出してきた。
「そこの魔導師の姉ちゃんその杖いいな交換しねーか?」
よく見たら料理長の持っている杖は赤い色をした、炎のオブジェを模った杖だった。
「この杖は何か火が出せるらしいぜ、悪くねー取引だと思うがな」
華凜にとっては本当に悪くないし、MP節約になるので交換する事にした。
「ありがとうございます、船長さんに言われたのですがこのクラーケンJr.を調理して欲しいのです」
「おぅ、わかったお安い御用だ、後で呼びに行くから客室で待ってな」
と言う事で冬華の様子を見に行く事にした咲良達、さっきの事を話すのであった。
「まぁ!わたくしの雄姿を見せられず残念ですわね・・イカならわたくしはイカ焼きそばですわよ!!」
「すっかり元気になったね冬華ちゃん」
咲良達が心配するほどでもなかったようだ。
それにしても冬華がお嬢様らしからぬ、B級グルメの定番焼きそばを好むとは意外だった。
冬華を連れて甲板に出たその時だった。
「ぎゃーーーーーっ」
「なんじゃーーテメーは!」
今度はクラーケンJr.の倍の大きいイカのモンスターがあらわれた。
「貴様らよくもおれの息子達をやってくれたなー」
しかも、喋るこのモンスターはクラーケンJr.の親であるクラーケンだ。
「上等じゃコラーーッ酒のつまみにしてくれるわ!」
クラーケンは大きいだけあって、甲板が磯の香りと物凄くイカ臭かった。
「うわっクサッ!」
夏海が思わず口にしてしまうほど臭かった・・・。
「行くぞコラーーッ」
船長の自慢の拳をクラーケンに向けるが・・・。
「あまいわ人間!」
ドカッ!
バキッ!
バシッ!
クラーケンの足が船長の体を往復ビンタをするように滅多打ちし、K.Oされた。
「あーっ船長!」
「さぁ次はどいつだ?」
クラーケンは、足をうねらせながら身構えていた。
「あなたイカ臭いですわよ!」
「うるさいわ!イカなんだからしょうがないだろ!」
元気になった冬華はチェーンウィップを振り回し寄せ付けない戦法だ。
「うぐぐ!こしゃくな!」
意外とハマっているがどちらも睨み合いだけで攻撃に転じられない。
その隙に華凜が料理長から交換した炎の杖をふりかざした。
杖から火炎放射のように炎が噴き出しクラーケンに当たっている、うまい事に周りに燃え移ることもなかった。
「うぎゃーーー熱い!!とでも言うと思ったか?」
焼け焦げた匂いを放ちながら、クラーケンは余裕に思えたが・・。
「えいっ!」
咲良と夏海がその隙に背後に回り、夏海が麻痺針で足を麻痺させ、咲良が剣で足をさばいた。
「うげーーーー!俺の足がーーーー!!!」
「アサシンおもしいろーい!」
夏海はアサシンというジョブに完全にどっぷりハマっていた。
クラ-ケンの足と足ががんじがらめのように、夏海によって縛られた。
トドメは咲良がハリーさんでおもいっきり殴打し、クラーケンを倒した。
「みんなー大丈夫?わたしがみんなのナースになるよー」
何をわけわからない事を言い出すかと思ったら、咲良はナイトのジョブで回復魔法を習得していたため、使うに絶好の場面だった。
「ヒール!」
先ずは船長の怪我を癒すのだった、プリーストには劣るが回復魔法は機能していた。
幸い、怪我人は船長だけだった。
「華凜ちゃんわたしやったよ!魔法使えたよー」
「はいはいエライね咲良ちゃん」
華凜は咲良の頭を撫でて褒めていた。
「ナイトのお嬢ちゃんありがとな!この通り元気になったぜ」
「えへへっよかった」
一日一善何かを成し遂げたかのように、咲良は嬉しそうにしていた。
丁度、料理長に依頼したクラーケンJr.を使った料理が完成し、咲良達を始め、乗客に振る舞われたのだった。
「イカ焼きだーーー」
「イカスミパスタとペスカトーレもあるよーー」
咲良と夏海のリクエストが通ったようだ。
「姉ちゃん達頑張ってくれたからなこれはお礼だたくさん食べな!」
海の上でおいしい料理を食べながら、水の王国アクアリムの都、ヴェネツイアに到着したのだった。
リアルに仕事が忙しかったですが、ここで少し落ち着きました。
時間のある時に無理のない範囲で書いていきたいと思います。
読んで頂きありがとうございました。




