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僕は夢の為にベストを尽くす  作者: kazu
想い馳せる時……
4/5

四、


 あの子…… いくつだろう


 ジニョンは気になっていた。

日本に来て、初めて自分と同じ年頃の子供と接したからである。

少し痩せていて、だけど元気そうでいて、人懐っこそうな女の子。


また、逢えるだろうか?


帰る方向は同じ様だった事もあり、そんな事まで考えていたのである。

そうこうしている内に、シンドンの家に辿り着いたジニョンだった。

「帰りは、思ったより近く感じたな」

 そう一言漏らすジニョン。それもその筈、考え事をしながらの道中だった事で、周りの景色なども一切見ないまま、ただひたすらに歩いていたのだ。

「ただいまッ!」

 玄関の土間に入りながらそう叫ぶジニョンに、

「お帰りッ! 何処に行っていたの? お昼の時間だから、さあ早く入って食事をしなさい」

 そう言いながら迎えてくれたのは、シンドンの嫁であるハラだった。そしてその向こうから、

「ジニョンッ! 久しぶりッ!」

 と叫びながら走ってきたのは、その息子のミルだった。ミルは、ジニョンよりも一つ年上だったので、逢う度にいつも一緒に遊んだ仲だった。

「ミルッ! 学校は終わったの?」

 ミルの姿を見て、今まで暇を持て余していたジニョンは、一気にテンションが上がっていた。

「今日は出校日やったきね。午前中で終わったんよ。それよか、早ようご飯食べて外に遊びに行こうや」

 手招きをしながらジニョンを呼び寄せるミルだった。ジニョンが来るのを心待ちにしていたのが、よく解るほどの興奮気味だった。

 それに応える様に、靴を蹴り飛ばしながら土間からあがると、急いで食卓の方に向かうジニョン。そんなジニョンに、

「ほらほらぁ、早よう遊びに行きたい気持ちは解るばってんが、脱いだ靴はちゃんと揃えなつまらんぞ」

 そう言って、玄関の方で靴を揃えるシンドンの姿があった。それを見て、しまったという顔で頭を下げるジニョンに、シンドンは、

「ミルも返って来たし、昼から下の海にでも連れて行っちゃろうかの」

 と言うと、目を丸くして喜びの表情を見せたジニョンとミルが、顔を見合わせていた。そして、

「やったねッ! 早よ食おうや」

 とミルが言った。それに賛同するかのようにジニョンも、

「そうだね。水着も買ってきたから、早く食べて一緒に泳ごうね」

 と言って目の前の茶碗を握ると、ご飯を流し込む様に口の中に入れるのだった。そして、ミルも同じ状況だったのである。すると、いきなりむせ始めるジニョンは、

「ゴホッ、ゴホッ。叔母ちゃん…… お水……」

 と苦しそうな顔で言った。それを見たハラは、吹き出しながら、

「言わんこっちゃない。慌てて食べるきそげんなるとばい」

 と、水の入ったコップを差し出すのだった。そして、その状況にみんなはドッと笑っていた。


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