5
前略、あのクソ神のせいで俺の人生は山あり谷ありです。
しかも山はエベレスト級、谷はマリアナ海溝級です。
・・・・・・・どうしてこうなった・・・・orz
「すみません、なんで俺が討伐対象なんでしょうか?
俺はこちらに来てまだ間がありませんし、なにもしてません。
貴女方とも初対面ですよね?」
このままだと本気で討伐されるかもしれないので無理矢理再起動。
何がしかの誤解が有るとしか思えないので弁明してみる。
「あなたの存在自体が問題なのよ」
うわお、そうきましたか、そうですか、俺自体が汚物ですか、そうですか、ヒャッハァ~!!と消毒されるべき存在なんですね、わかります、いやわかりたくありませんがそういう事ですか、マジですか、そうですか・・・・・・・・・ぃいいいぃやぁぁああああっ!!!
「あなた自分の状況を理解してる?」
「してません」
「・・・あなた何者なの?魔王?それともさらに上位の魔神?」
「いやいやいやいや人間人間!!超人間!!」
「人間、ねぇ・・・。普通の人間はそんな物騒な魔力なんて持ってないんだけど?」
「・・・物騒な魔力と無害な魔力があるのでせうか?」
「確かに魔力にも質というか性質とかあるけど、今問題なのは質より量なのよ」
・・・・・・そうか、そういや俺転生システムでレベル1だけど総レベル53万ぐらい逝ってるんだったわ。この場合魔力ってMPの事だろうな、やっぱ。ステータスチェック。ついでにこの娘を鑑定してMP確認。うん、こりゃヤバイわ。この娘が一般的な値として、その10万倍ってのはヤバイわな、やっぱ。
「・・・理解した。録でもねぇわ、俺。」
「あなたの存在は10日ほど前に確認されたわ。特級魔力災害の数百倍の魔力が移動してるって判った時は世界の終わりだって騒がれたし。国軍は間に合いそうにないからギルドから決死隊が討伐、もしくはなんらかの情報を得る為に出発したの。それが私たち。」
「随分とご迷惑を掛けて申し訳ないです。
それで?なんで他の方は倒れてるんですか?」
「はぁ~・・・、理解できてないじゃない」
「い、いや、俺の魔力が録でもないのは理解できましたよ?」
「そのせいなのよ」
「なにが?」
「私以外が気絶してるのはあなたの魔力に中てられたからなの!!」
うおうっ!?急に怒らないでくれよ!!怖いから!!今の俺のメンタルはボロボロなんだからな!
泣くぞコラ!!さっきまでの泣きでなく、本気で号泣するぞゴラ!!
・・・少し落ち着こうか、俺。
つまり、アレか?魔王の前とかで「くっ!?凄いプレッシャーだ!!」とか「そこに居るだけで潰されそうだっ!」みたいな?戦士の殺気で平民が失神するとか?そんな感じなんだろうか・・・。
「重ね重ね申し訳ない。それで?なんで貴女だけ意識があるんですか?」
「さっきまでは皆もなんとか耐えてたのよ。
でも、あなた魔力を込めた咆哮をしたじゃない?
あの時に一瞬で皆気を失ったわ。私も含めてね。私がすぐに気が付いたのは私自身も強大な魔力を有する超絶天才大々魔導師様だから。」
あぁ、この娘良い性格してるわ。咆哮、ねぇ?あ、あれか?さっき歓喜のあまり出しちゃった声か!?あれが元々俺の魔力に圧迫されててギリギリだったこの人達の緊張の糸をブッ千切っちゃったわけか。
てか、超絶天才大々魔導師様?強大な魔力を有する?・・・俺オワタ。
そんな娘の10万倍の魔力って・・・・、普通に生活できるわけないじゃねぇかっ!?
もしかして今まで生き物を見かけなかったのも皆逃げたからじゃね?
たぶんそうなんだろうなぁ・・・。
?もしかしてそうすると・・・。さっきのは、そういうことなのか?
「じゃあこの装備は魔力を抑えて会話出来るようにって事で良いですか?」
「うん。そのフードにも隠蔽が掛かってたのに、私も不注意ね。
やっぱり、今まで自分が最強だと思ってたのが覆されて混乱してたみたい」
「・・・俺の顔を見て吐いたわけじゃないって考えてもよろしいのでせうか?」
「え?違うわよ!!直で魔力に晒されて、とんでもない魔眼に睨まれたのよ!?
発狂するかと思ったわよ!身体中が拒絶反応で凄かったんだからっ!」
・・・良かった。俺がこの娘を嘔吐させる程のブサイクでなくて良かった。
嘔吐させちゃったのは申し訳ないけど、俺の顔が汚物でなくて良かった。
よか、よかったよぉおおおおおおお!!」
思わず声を出して号泣する。膝を付き泣き崩れる。
恥?外聞?知るかっ!!今の俺の心境は俺にしか分からん!!
「ちょっ!?いきなりなに!?」
「う、うぐ、よかった・・・」
「え?」
「お、俺の顔が、吐くほど醜かった、わ、わけではないんですね?」
「・・・あ、うん、あのえっと」
そこは肯定していただくのが人の道というものではないでしょうかぁああっ!?
それはアレか?吐くほどではないけど結構アレな感じなのか!?
・・・・・・もう良いや。顔の事はもう言わない。この仮面が俺の顔です。
「大変不躾で申し訳ないのですが、この仮面はこのままいただく事はできないでしょうか?
今後の事も考えるとこの仮面とかが無いと生活できそうにもないので・・・」
「腕輪とかは私の予備だから別に良いんだけど・・。その仮面はちょっとねぇ・・・」
「駄目、ですか・・・」
「とりあえずしばらくは貸してあげるわ」
「!?本当ですか!?あ、ありがとうございます!!
今は手持ちがありませんが、近いうちに働いてお礼は必ずお渡しします!!
それまでは俺に出来る事はなんでもやりますので!!」
「お金は大丈夫よ。問題ないわ」
「え?そういうわけには・・・」
「大丈夫大丈夫!報酬が入るからっ♪」
「報酬?」
「うん、あなたの討伐の」
はい?