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ドアを抜けるとそこは雪国でした。
なんて事はなく、テンプレ通り草原でした。
「さて、んじゃこっから一番近い・・・」
町の方向を聞こうと振り向くとすでにドアは消えていた。
・・・・にゃろう、逃げやがったな。
いきなり独り言炸裂で恥ずかしいじゃねぇか!!
ま、いいか。どうせ食料は問題無いし、適当に歩くか。
ある程度歩けばイベントが起きるだろ、たぶん。
そう思ってた時期が俺にもありました。
なんにも起きねぇっ!!!!!!
魔物も出ないし、キャラバンも居ないし、女の子のピンチも無し!!
なにコレ?ひたすら歩いて飯食って歩いて飯喰って歩いて飯食って寝る。
起きたら、ひたすら歩いて飯食って歩いて飯喰って歩いて飯食って寝る。
その繰り返しが一週間続いてますよ?一週間ですよ、奥さん!!
風景がほっとんど変わらないんですけど!?もう見渡す限りの
草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草俺草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草草
あああああもうヤベェ・・・頭おかしくなりそう・・・・・・。
前略、さらに一週間が経ちました。
もしかして此処には生き物がいないのでせうか?
太陽で方角はわかるので同じ所をグルグル回ってるわけではないハズです。
正直マジでへこたれそうです。
今度あの馬鹿に会う事があったらブッ殺そうと思います。
魔法で転移も出来るけど、『行った事のある場所』にしか行けないんだよね。
つまり、現在俺が転移出来る場所は草原のみなわけですよコンチクショ~!!
探査の魔法は10キロ以内の索敵が出来るけど反応無・・・あ、あった。
あった!!ありましたよ!!進行方向にギリギリ10キロ!!
人間と思われる反応が複数!!あとは馬かな?コレ?
うはっテンション爆上がりまくリング!!
ダッシュ!!ダッシュ!!ダッシュ!!
キック&ダッシュ!!
いやキックいらないから!!
とにかく全速前進!!ゴーアヘッ!!
うおっ!?こっち来てから初めて全力で走るけどなんじゃこの加速は!?
うむぅ、ちょっと怖いので速度を落とそう。
止まれなくてぶつかったら困るし、とか言ってるうちに見ぃえぇてきたぁあああああああああああああああああああああっ!!!!!!!」
あまりの喜びに後半は思わず口に出しちゃったけど、良いよね!!
だって二週間振りの他人だよ!?
いくら俺にぼっち耐性があるからってこれはひどい!!マジ無理!!
考えてもみろ。ただ引き篭って他人と接触が無い状況と、自分以外の人間が居ない状況とどちらがよりつらいのか?答えは当然後者だろう。自分以外の気配の無いなか二週間も生きるのは本当につらかったんだよぉおおおおっ!!うぐ、ぐ、ぐふぅ、な、泣いてなんかないんだからね!!
いやそれより第一接触異世界人達だ!!俺の感傷など些細な事だよ、明智君!!(ダレダヨ
え?あれ?みなさんなんで倒れてるの?馬も?なにこれ怖い。
襲撃でもされたのか?あれ?でも外傷は無さそうだし、血の匂いもしないぞ?
とにかく近づいて確認するしかないか・・・。
・・・伝染病とかじゃないよね?大丈夫だよね?
やっぱ怖いから一応ちょっと離れた所から集団に回復 と治療 を掛けておこう。
うん、安全第一、俺様第一でいきませう。
魔法は問題無く展開できたしもう近づいても大丈夫かな?
ヒュゴッ!!
物騒な音と共に炎が飛んできた!?反射的に無効化出来たけど、なにこれ!?
第一接触異世界人の集団から?いつのまにか一人立ち上がってる!!
「待った!!待ってくれ!!いや待ってください!!俺が怪しいのは分かりたくないけど分かる!!だけど敵対するつもりは無いから!!いや本当に!!マジでマジでぇっ!!いや!いやぁああああっ!!こ、攻撃しないでぇ!!本当に!!怖いからぁ!!暴力反対!!大反対!!話し合い大事です!!平和が一番!!電話は二番!!ラブ&ピース!!うおぉおおおっ!?」
両手上げて降伏の姿勢してんのにドカドカ魔法飛んでくるんですけどぉおおっ!!
どうする?逃げるか?うおっ!?雷撃系も混じり始めたよ!?
くそっ!も一回説得して駄目なら戦略的撤退するしかないか!?
「頼むから俺の話を聞いてくれ!!何度も言うがこちらに敵意は無い!!
少し話しがしたいだけだ!!お願い!!もうやめてぇ!!信じてぇ!!オナシャス!!オナシャス!!」
と、止まっ・・・た?最後に土下座したのが良かったのか?
あ、でも腕は上がったままでいつでも魔法を発動出来るようにしてる。
「お、お話、してもよ、よろしいでしょうか?」
恐る恐る聞いてみる。両手は上で固定。白旗揚げるのはこっちでも通じるのかなぁ?
「・・・その体勢のままゆっくりこっちに来なさい。妙な動きをすれば撃ちます」
「・・・わかった」
うっおおおおおっ!?声の感じからすると若い女性っぽい?フード付きのマントを着てるから体型は判らないけど、結構小柄だしまず間違いなく女の子だろ!?テンプレキタコレ!!良し!なんとかして誤解を解いて仲良くならないと!!うっはぁああ!!心臓バクバクしてるぅ!!
「・・・止まりなさい。フードをとって」
「・・・わかった」
そういや俺もフード被ったままだったわ。そりゃ怪しいよね、うん。
こっちに来るときに外見は弄ってないから元のままだけど大丈夫だよな?
美的感覚が違いすぎてて超ブサイク認定とか止めてくれよ?
・・・逆なら大歓迎だけど。
とりあえずフードをとって、両手はまた上へ。
「これで良いか?」
改めて相手を見る。
ぬ!?ぬぬぬぬぬっ!?ちょっと顔が見える!!
うひょっ!?か、可憐だ・・・。素晴らしい。グゥレイトッ!!
なにこれ?なにこれ?テンプレ的には俺はこの娘とアレな感じになるわけじゃん?
よし、許す。あのクソ馬鹿をブチ殺すのは許してやろう。
こんな娘と仲良くなれるなら、あの二週間の苦行も納得だ。
なんて事を顔に出さない様にしながら、超高速で思考してると女の子と眼が合った。
眼が、合ってしまった。
彼女は、
一瞬動きを止め
大きく眼を見開き
小刻みに震え始めた。
そして
「おぅえええええええぇぇぇっ!!!!!!」
・・・・・・・・・・・えっらい勢いで吐いた。