1
・・・・・・・なんじゃこりゃっ!!!??
え?マジでなにこれ?はぁ?俺さっきまで部屋に居たよね?
半年振りの連休だからってゲームしてたよね?
んで、なんかぎゅっとしてボンッとなって・・・え?
とにかく部屋でなにかが起きたのは間違いない。
それがなんで、こんな殺風景な所に居るわけ?
ってか、殺風景どころか何もないやん!?
真っ白な地面とかなにこれ?
地平線見えてるじゃねぇか、オイ?
あれか?某龍玉のなんとかと時の部屋か?
っで、そこの赤いってかピンクのドアッ!!
お前どう見ても某青と白の球体で形作られた名状し難き声を出すアレのドアじゃねぇか!?
なにこれ?なんなのこれ?
とりあえず落ち着け、俺。
自分を取り戻すんだ、俺。
冷静な判断が必要だ、俺。
眼を閉じて落ち着け、俺。
こんな時は深呼吸だ、俺。
すぅ~・・・はぁ~・・・すぅ~・・・はぁ~・・・。
ひっひっふぅひっひっふぅひっひっふぅ・・・・。
「って、ラマーズ法かよっ!?自然分娩かよ!?何産む気だよ!?」
思わずセルフツッコミで横に手を出すと
スパンッ
と小気味良い音が響いた。
「はい?」
「くくく、なんともまぁ、面白い混乱の仕方だね?」
見るといつのまにか俺の横に男が立っていた。
身長180センチほどで細マッチョな金髪君。
Tシャツ、アロハ、短パン、サンダルってなんだそりゃ?
どこのビーチから来やがったんだテメェ・・・。
一瞬冷静になりかけて、さらに混乱したぞクラァ!!
ってか
それより
なんてぇかアレだ
び、美形だ!
つまり、敵だ。うん、敵だね。どうしようもなく敵だ。
とりあえず敵認定で間違いない。ギルティ。●だ。
今から俺はイケメンスレイヤー。イケメン死すベシ。
オレサマ、オマエ、マルカジリ。コンゴトモヨロシク。
「・・・あぁ~・・・混乱してるのはわかるけどちょっと落ち着こうか?」
そう言いながら男は水の入ったコップを差し出してきた。
む、実は話のわかる奴か?でも美形だ。信用なんかしてやるもんか!!
・・・とりあえず飲むけど。
お水さんに罪は無いからね。
お水美味しゅうゴザイマス。
グビグビっと一気飲みで色々オーバーヒート気味な頭を一気に冷やす。
「っぷはぁ~っ!!マズイ!!もう一杯!!」
「マズイわけないだろう?神水だよ?超神水だよ?」
「知らん!!それよりもう一杯・・・ってあり?」
見ればコップはすでに水で満たされていた。
とりあえず飲む。うむ、美味い。
今度はじっくり味わいながら、不安と混乱を飲み込むように。
・・・・・・もしかして、これはアレか・・・・・・?
「少しは落ち着いたようだし、ちょっとお話しないかい?」
そう言って 敵が腕を振るうと豪華なソファーが顕れる。
あぁ、うん、たぶん間違いない、アレだわ。
敵の向い側に座りながら現状を推測していく俺。
「状況的にあなたは神様かそれに類似する存在?」
「YESだね。神だよ。」
「そいつは失礼しました。お名前を伺っても?」
「無理に口調変えなくても良いよ。名前は『アルトケーニヒ』だよ」
「んぢゃアル君、俺は死んだのか?なんか気付いたらここだったんだけど?」
「NOだね。君は無くなったんだ」
亡くなったではなく、無くなった・・・か。なるほど。
わからん。
「簡単に言うと君という存在を無かった事にしたんだ」
「・・・最初から?」
「うん、最初から」
「・・・なんで俺なんだ?」
「あの時ゲームをしてたからだけど?」
っあぁあああああぁぁぁぁっ!!意味わっかんねぇっ!!
なんだそれ!?そんなん世界中に腐る程居るだろうがぁ!!
別に未練もなにも無いけどさぁああああっ!!
もうちっとマシな理由ないのかよ!?
「うん、厳正なくじ引きで君が引き当てられたんだよ」
「あぁ、もういいや。で?なに?俺になにをさせたいの?
言っとくけど俺超小市民だからね?基本的に無能だからね?」
「うん、異世界に行ってくれる?」
「はいはいテンプレテンプレ。そうだと思ったよ」
「行くのは所謂剣と魔法のある世界だよ」
「はいはいテンプレテンプレ。そうだと思ったよ」
「さっきまでやってたゲームのキャラの能力をプレゼントするよ」
「はいはいテンプレテンプレ。そうだと思ったよ」
「うん、それで適当に騒動を起してよ」
「はいはいテンプレテンプレ。そうだと思っ・・・え?」
「いや、最近は次代の神に色々引き継ぎも終わって暇で暇でしょうがなくて。
魔王と勇者も送ったけどそっちは王道として、もう一捻り欲しくてね」
・・・・・・つまり、俺という存在は神の暇潰しの為に無かった事にされたあげく、
送られた先の異世界では狂言回しで神を楽しませなさいって事かよ・・・・・・。
「ふっざけんなぁああああああっ!!!!!」