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フランは気味悪がっている(仮  作者: まつり
聖騎士

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釣り

「馬っ鹿じゃないのアンタ。

見損なったね!

孤児の面倒見が良いって感心してたのに、あの子らを狙わせて誘き寄せようなんて恥を知れってんだよ!」


セトとレンの安全を考えると、ダンダリアの協力は不可欠。

なので、さっきまでの話し合いの内容を伝えた所、彼女は激昂しておつまみのイカを俺に投げつけた。


酒瓶を投げられないだけマシだと言うものだろう。


話し合いの場であいつらの覚悟を知らないと、そうなるだろうと思う。

俺が報告を受けた側だったら普通に手が出てる。


「ちゃんと最後まで聞いてくれ、ダンダリア。

俺は勿論止めたさ。

なんなら今からでも止めたいくらいだ。


だがな、男が覚悟したんだ。

見守ってやらせるのが大人の責任ってもんだろ。」


「知らないよ!男がどうとか。

爺ちゃんも父さんも偶に言い出す戯言だけどね、私は産まれて一度もそんなもんに納得した事なんてないね!


説得する労力をサボった言い訳を、カッコよく言い換えてんじゃないよ。」


それは正論だ。

はは、そうか、ランパードもダンダリアの父も言うのか。

そいつは深刻な欠陥だな。


「なんにしろダンダリアの言う通りだ。

だが、アイツらは自分の意思で囮になると決めて、俺にはそれを諦めさせる言葉を持たなかった。

お前が話しても良いが、まぁ、無理だろうな。


だから頼むんだ。

俺はアイツらを気に入っているし、危ない目に遭わせたい訳じゃない。


やりたがっているからと言って、学びの段階に失敗して欲しいなんて考える教育者がいるかよ。」


正直言って俺はリアンに習った剣を続けているとはいえ、使える奴を相手に人を守りながら戦えるなんて自信はない。

精々素人の喧嘩程度なら可能だろうが、ここに来て接触してくる様な相手側にプロが居ないなんて甘えた予測は出来ない。


「…手伝うのは良いよ。

言ったって止めないってなら、私だって子供を危険な目には遭わせたくないのは一緒さ。」


助かる。

これで少しでも危険な目に遭わせる可能性が減るだろう。


「でもね、私が陰ながら護衛するよりも、もっと確実な手があるよ。」


ほう、さすが正規の聖騎士様じゃないか。

俺にはダンダリアを引き入れるくらいしか有効な手が浮かばなかった。

もしかして他の聖騎士も近くに居るのだろうか。


「フラン、アンタも子供達と一緒に屋台に出な。」


いやいや…。

もしかしてそんな思考で調査していたから見つけられて無いんじゃないのか?


「それじゃあ囮にならないだろう。

俺の様な明らかな大人が一緒に居たら来ない様な慎重な輩だから苦労してんじゃないのか?」


寝起きのまま着替えたのか分からない肌着を指で引っ張りって、パタパタとしながら呆れた様な顔をしている。

全く、だからそう、肌を見せつける様な仕草を止めろと何度言ったら分かるのか。

恥ずかしく無いのか。


苦い顔をする俺を鼻で笑ったダンダリアはバカにする様に一言。


「あのね、アンタが大人の男に見えてたら、私だって流石に恥じらうってもんだよ。」


なんて失礼な奴だ。


次の日、セトとレンと3人で屋台の準備を始めていると、ダンダリアがそこへやって来た。

朝出る時に起こして来たのだが、結構経った今やっと動き出したらしい。


「ジャリン子3人、お姉さんが見守ってやるから安心しな。」


俺を入れるな。

しかし、信頼してやる。

直接手合わせをして、明らかに俺より強かったからな。


「セト、レン、俺はお前らと屋台を一緒にやって護衛をしてやるからな。」


二人は準備の手を止めて、気まずそうにこちらを見る。

ふふふ、やはりな。

本物の子供から見ればそうだろう。


「残念だったな、ダンダリア。

俺はやはり子供には見えない様だぞ。」


昨夜の反論が出来て嬉しい。

外から守るしか無いのは残念だ。

あぁ、全くもって残念だが、立派な大人にしか見えないのなら屋台に混ざるわけには行かないからな。


「いやぁ…。」


セトが申し訳無さそうだ。

良いんだぞ、年上の聖騎士相手だって違うことは違うと言うが良い。

俺が庇ってやるからな。


「フラン様はどこからどう見ても子供に見えるんですけど…。」


なっ!

セトはレンに同意を求める様に目配せをする。

ははは、ギリ、な?

ギリ子供っぽく無いから、どうかって確認だよな?


確かに12歳あたりらしいレンの方がデカいし、セトと身長は変わらないかもしれないが、こう、醸し出す落ち着きとか、威厳の様な物は成人男性のそれのはずだ。


生える気配はないが、ヒゲなんかも似合うぐらいに精悍なはずなのだ。


「あぁ、フラン様はどっからどう見ても子供に見えるが、俺たちには混ざれないな。」


…そうか。

あれか、忍びないのだな。

良いんだ、聖騎士の俺を屋台で使うのは問題はない。

むしろ今回は俺たちの仕事に二人を手伝わせているのに近いからな。


そんな、俺が子供に見えるだなんて嘘をつく必要なんてないんだ。


「なんだい、子供に見えるならアンタらに混じったって大丈夫だろう?

なにがダメなんだい。」


分かって無いなぁ、ダンダリアは。

気を遣っているんだよ。

子供とはいえ、孤児は大変なんだ。

育ちの良いお嬢様には分からないだろうがな、うちにの様に貧乏貴族にはよく分かるぞ、二人とも。


「フラン様はどっからどう見ても孤児に見えないので…。」


「あぁ、貴族様にしかみえんのです。」


「あはは、なんか偉そうだもんね。


だってさ、フラン。

アンタも私と陰から護衛だわ。」


笑うダンダリアに、苦笑いで頷く二人。

…納得がいかない。

それなら子供に見えるという所から否定して欲しかった。


「フラン、屋台は楽しそうに見えるかも知れないけどね、大変なんだよ?

まぁ、御貴族様のあんたにゃ分からないかも知れないけどさ。

だからそんな不満そうな顔してないで納得しな。」


そこでは無い。

俺の不満点は。



危険がある前提なので、チビは連れずに屋台を出す。

セト班の日はセトが屋台を出していたところに、レン班の日にはレンが屋台を出していた所へと交互に出していく。


俺とダンダリアは離れた所で見張り、異常があれば片方が後を追う予定だ。


初日、2日目は特に何事も起こらなかったが、3日目、遂に普段と違うことが起きた。


「おい!誰に断ってここに店出してんだ!

ナメてんのか、おら!」


強面の、それも大きなハンマーを持った3人組が屋台に並ぶ人を押し除けながら声を張り上げる。


「やめなよアンタ!子供がやってるお店なんだよ!」


世話焼きのおばちゃんやおっちゃんが間に入り、庇おうとしているが、3人組はそれを無視したまま睨みをきかせている。

しかし、ピリつく広場に響くコツコツという乾いた革靴の音が、その喧騒をかき消した。

その3人が開けた道をゆったりと歩いてくる派手な男。


ダンダリアが調べている先の一つであり、港町のマフィアのシェーダファミリー。

3人組が頭を下げて迎えるその男は、そこの幹部であるガンバーだ。


「坊主、ここらはシェーダの縄張りなんだ。

とっとと店を畳め。」


低い声でそれだけをゆっくり伝えるガンバー。

セトもレンは真っ直ぐ睨み返している。

気が強いなアイツら。


「畳まない。

屋台は誰が出しても良いはずだ。

手続きもしてるし、税も納めている。

アンタらに言われる筋合いは、無い。」


言い返して来た子供に少し驚いた後、ニヤリと笑い、顎で部下であろう3人組に指示を出した。

3人組はハンマーで屋台を叩き壊し始めた。


騒ぎは大きくなるが、ガンバーとセト、レンは睨み合ったまま動かず、そこだけ時が止まっている様だ。


「ちょっとフラン、助けに行かないと。」


ダンダリアはそう言うが、アレは違う。

アレは味方だ。


ただガキが持つにはデカい稼ぎを察知して、本当にヤバい奴らが来る前に止めに来ただけだ。


その証拠に人には一切手を出さず、商品にも手を出さず、子供の経済的ダメージが少ない、貸し出しである屋台だけを破壊している。

一番手っ取り早いのはセトとレンへ暴力を振るって従わせる事だろうに、明確にそれを避けている。


「ちょっと!フラン!」


「落ち着けってダンダリア。

あれは敵じゃない。

子供を心配して出て来た親切なおっさんだ。」


頭のおかしい奴を見る様に、こっちを睨むダンダリア。

だがそうとしか言えないのだ。

しかし、あんな乱暴にやらなくてもな。

2度と再開させない様にはしたいが、子供に暴力を振いたくはないと。


しかし実際に破壊行為はしている。

ここまでやるって事は、いよいよ本物が来るのが近いって事だろうな。


「俺はアイツらと話してくるから、ダンダリアはセトとレンのフォローを頼む。」


「ちょっと!」


何かを言いかけるダンダリアと別れ、俺は広場へと歩き出した。

俺を見つけ、少しホッとした顔をしたセトとレン。

その様子に気がついて、後ろを振り返るガンバーと目が合った。


「坊主、あん人は?」


「師匠だ、俺らの。」


俺から目を逸らさず、口を動かすガンバーは恐らくセトとレンに俺の事を問いでもしているのだろう。

あんまり怖い思いもして欲しくないからな。

とっととこっちへ来いよ、静かな所でお話しをするぞ。


「ほう、着いて来いってよ。

居るなら助けに入りゃあ良いのになぁ、薄情な師匠だ。」


「師匠が来ないって事は危なくないって事だ。」


何やら大笑いしているガンバーは、部下を止め、帰らせた。

そうか、一人で来るのかあいつ。


ガンバーはこっちへ近づくにつれ、楽しそうな顔から不思議そうな顔に変わって行った。

なんだ?強者のオーラでも出過ぎているか?


「なんだよ、どんな奴かと思えば可愛らしい女の子じゃねぇか。」


ほう、そうか、こっちを激昂させて冷静さを奪って優位に立とうってんだな?


「俺は男だし、成人もしている。

そっちの行きつけで良いぞ、話せる所に連れていけ。」


ガンバーはさっきと同じくらい笑いながら俺の背中をバシバシと叩いて、着いて来いと言った。



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