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タツノシン ~Astral Stories~  作者: コーポ6℃
第三章 邂逅編 ゲヘナ城塞攻略戦
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第5話:パーティー編成【前編】

 必ず成功する──そう豪語したオルメンタに、全員の視線が集まる。だが、まるで臆することなくオルメンタが説明を始めた。


 

「まず城塞内部に潜入するメンバーですが、これはオウガ様は外せません」

「そうだな。俺が行かねば始まらないからな」


「はい。そして、地獄炉の位置が変わるかもしれない事を考慮して、タツに同行してもらうのが最善かと」


 まぁそうだろうな。って事は必然的に俺も一緒に行く事になるだろう。そう思い名乗りを上げようとした時、先にカザンが代弁してくれた。


「ならシンも一緒に行くべきだ。こいつらは2人の方が力を発揮する」

「分かった。なら、オウガ様とタツとシン。そしてガウロンが一緒に行けば、索敵も戦力的にも問題はないかと」


「……いいだろう。では俺たち4人で城塞内部に潜り込むとしよう」

「はい。オウガ様は地獄炉へ直行してもらい、敵の対処は残りの3人にしてもらいます。その際だが、シン──」


 オルメンタに名前を呼ばれた。こんな時になんなんだが────すごく仲間してるって感じがして、素直に嬉しい。



「ガウロンにも言っておくが、ヴィクターと対峙しても、なるべく時間を稼いで欲しい。オウガ様が地獄炉を掌握すれば、恐らくタツなら分かるだろう?」

「あぁ。どうやって掌握するのか分からんが、タツなら分かるだろうな」


「地獄炉と繋がったヴィクターは3人。奴らがどう動くかは私にも分からないが、奴らを倒すのは掌握してからが好ましいんだ」

「分かった。……今のうちに聞いておきたいんだが、どうやって潜入するんだ? もう一回壁を破壊するのか?」


「それについてもアテがある。俺に任せてくれ」


 そうオウガが言い切る。敢えて言わないって事は、今は秘密なんだろう。……まぁ俺もタツには必殺技のこと秘密にしてたけど、言っといた方がいいと思うんだけどな。



「敵は任意に地獄炉を暴走させる危険性がある。それを避ける為にも、潜入の精度を高める必要がある。オウガ様、その為に私達姉妹は、城塞から2キロ離れたこの丘へ向かいます」

「そんなとこで何するのよ?」


「姉様の花粉をばら撒いてほしい。毒じゃないからね? 姉様の魔力を含んだ花粉で、戦場を覆って欲しいんだ」

「なるほどな。A・S(オールシフター)の魔力で覆い尽くせば、俺たちの存在も秘匿できるかもしれん。だが、タツとガウロンの索敵に支障が出ないか?」


 チラリとオウガが俺を見る。うーん、花粉ってのがどれほどのもんか分からんが、スギ花粉くらいの霞み方なら多分大丈夫じゃないかな? それよりも、花粉症を発症しそうで怖い。

 っていうか、リリシアって花を作れるのか。この美貌で花を作り出す能力って、なんか色々噛み合ってる気がする。……性格は残念だが。



「多分大丈夫だと思う。ガウロンは分からんが」

「そうか。2人が戻ったら確認するとして、とりあえずその作戦で話を進めようか」


「ちょっと。勝手に話を進めてるけど、あたしの花粉は風に乗っていくのよ? そう上手いこと戦場だけ覆うなんてできるかしら」

「何言ってるんだよ姉様。だから私が一緒に行くんじゃないか」


 呆れたように言うオルメンタの言葉に、リリシアが閃いた様な顔になっている。そして俺は、何のことか分かっていない。そんな俺を見かねたのか、オルメンタが説明してくれた。



「私の共鳴魔力レゾンは風なんだ。姉様が作り出した花粉を、私が風で飛ばす。……ただ、一つ懸念することがある。私は風を操れるけど、風から魔力を吸収することができないんだ。大規模の風を行使するとすぐに魔力切れになってしまう。だからフラウ、一緒に来て欲しいんだ」

「うん、大丈夫だよ。オルちゃんが魔力切れになっても、すぐに私が補充してあげる」



 ニッコリと微笑むフラウエル。A・Sは魔力が多いとは聞いていたが、そんなにも違うものなのか。



「ティナ、ここから魔力砲は狙える?」

「多分大丈夫だと思うけど、狙えるのは一門だけだよ? 同時発射されちゃったらどうしようもないかも」


「それで十分だよ。私達が向かう場所は、恐らく地獄炉の範囲に入ってる。敵がここにレヴェナント達を転移させてくる可能性も十分ある。だから、私達の護衛をルリ姉にお願いしたいんだ」

「えぇ、任せてください」



 護衛? ルリニアさんが? とてもじゃないが、戦える人には見えないんだが……。



「いいのか? ルリニア」

「その為に私はここに来ました。みんなは私が守ります」


 オウガの質問に、軽く微笑むルリニアさん。だが、その表情は決意に満ちていた。侮るようなことを考えていた、さっきまでの自分を叱りたいほどに。



「最後に、正面からの陽動部隊だ」

「へッ、やっと俺の出番か?」


「カザンは、カシュー・ペロンドと共に全軍を率いて正面から戦ってくれ。無論言うまでもないが、ヴィクターに対しては時間稼ぎをして欲しい」

「あぁ、任せな」



 自信満々にいい放つカザン。確かに、こいつなら安心して任せられる。それにカシューとペロンドもいる。こいつらがレヴェナント達に負けるとは到底思えない。

 ここまでの作戦を聞いていると、確かにできる気がしてきた。適材適所、うまいことメンバーを分けたオルメンタに感心する。


 俺が感心していると、オルメンタの表情が曇りだす。



「ただ……どうしても拭うことのできない不安要素があるんだ」


 そう言ったオルメンタは視線を落とし、手で自分の腕を強く掴む。恐怖に震える体を、無理矢理抑えようとしているかのように。そんなオルメンタの肩をオウガが優しく触れ、静かに話し始めた。


 

「分かっている。死の翠星ルジーラのことだな」

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