第5話:パラディオン到着【後編】
*今回も長めになってしまいました。申し訳ありません!
「ご……ごめんなさい……やっぱり無理かもッ」
「止めて下さい」
タツのギブアップ宣言に、ラブニールさんが馬車を止めてくれる。その瞬間、タツは飛び出すように馬車から出て行ってしまった。
「大丈夫ですか?」
「ご、ごめんなさい。乗り物から降りたらすぐ元気になるんで……。僕は歩いて行くから、2人は先に行ってて……」
「わかりました。このまま水路を辿っていけば着きますので、気を付けて来てくださいね」
「え!? ちょッ────」
タツを置いて、再び馬車が動き出す。
タツ……なんてタイミングで行ってしまうんだ。俺も降りようと思ったが、今降りれば謝罪の機会を失ってしまうかもしれないことに躊躇してしまった。車内には、重苦しい雰囲気が漂っている。しかも変に間が空いてしまったせいで、どう謝ればいいか分からない。
いや、俺も男だ。ここはキッチリと土下座して命乞いすることにしよう。俺は立ち上がり、両膝と両手、そして額を地面に擦り付ける。俺の素早い行動に、ラブニールさんがビクッとしていた。
「申し訳ありませんでしたぁぁ!!」
「な、何をそんなに謝っているのですか……?」
「緊張のあまり名前を間違えてしまいました! 今後この様なことがないようにしますので、どうか命だけはッ──」
「命? 何を言っているのです?」
ん? なんか……別に怒ってない感じか?
「あれ、怒ってないです?」
「何故怒る必要があるのですか? 私の事は好きに呼んでもらって構いません。皆私の事は色んな呼称で呼んでいますよ。ラヴィとかラブりんとかラブっちとかラブニーとかラクちゃんとか姐さんとか────」
指折り数えるラヴニールさん。何か極妻みたいなのも混じってたけど……。
「た、沢山あるんですね。よく覚えてますね」
「悪意のない呼称が増えるのを、私は喜ばしく思っています。ですから貴方も好きに呼んでもらって構いません」
姐さんはいいのか!?
口元が隠れてるから表情は分からない。……でも、確かに怒っている感じはしない。むしろ喜んでいる様に見える。ラヴニールさんと呼んでもいいけど、向こうもこう言ってくれてることだ。折角だし愛称で呼んだ方が親密度が上がるかも。
「え、えと……その……ラヴィさん?」
「呼び捨てで構いませんよ。さぁ、いつまでも土下座なんてしてないで、席に座ってください」
「呼び捨てにしたら打首って事はないですか?」
「どこからそんな物騒な情報を…………カザンに何か吹き込まれたのですか?」
俺は即座に首を縦に振った。カザンめ、こんな天使の様な美女に対して脅かすような事言いやがって。思い知るがいい!!
「ハァ……もう、仕方ないですね。カザンには後で言っておきます」
「い、いやまぁ。間違えたのは俺だし……すいません」
俺は席に座り直し、再びラヴィと向かい合う。
「敬語も無理して使わなくていいですよ。年上なんですし」
「え、そう? じゃあお言葉に甘えて。あ、でも……俺こう見えて18なんだよね。ラヴィより年下だ」
確かラヴィは20だったはずだ。しかし俺の言葉に、ラヴィが眉をひそめる。完全に信じていない。
「いや、ボケてないから! マジで18なの!!」
「流石にそれは……」
「何でかジジイになってるけど、18なんだって! さっきのタツだって、本当は16歳だぞ!!」
「嘘……を言っている様には見えませんね」
「マジだから! 俺の本当の姿については後でタツに聞いてみてくれ。物心ついた時からずっと一緒だから、あいつの方が俺の事は詳しいはずだ」
俺の必死の弁明が通じたようで、年齢詐称という汚名は着なくて済みそうだ。ラヴィは手を口元であろう場所に当て、何かを考えている。
「貴方が18歳で、タツが16歳なのですか?」
「え? あ、あぁ。そうだけど」
再び車内を沈黙が包み込む。何か変な事言ったか俺? ラヴィは何かを考え込んでいる。
こ、この沈黙……少しは打ち解けたけど、やっぱり緊張する。何かを話さなくては!と考えてしまう。
「え、えーと……ラヴィ」
「…………? 何ですかシン」
ラヴィが俺の名前を呼んだことに、胸がドキリとする。いつも呼ばれている自分の名前が、特別な響きのように感じた。
「えーと……趣味は?」
「しゅ、趣味ですか??」
何聞いてんだ俺は!? お見合いじゃねぇんだぞ!!
せめて “いい天気ですね“ とかだろ! ……って、それもお見合いっぽいか。
「…………食べる、ことですかね」
引かれたかと思ったが、ラヴィは少し考えた後に、俺の質問に答えてくれた。その顔は少し赤くなってるように見える。
「へぇ、ちなみに何料理が好きなんだ?」
「何でも食べますが、お肉料理が好きですね」
意外。失礼だが、見た目だけで言うと果物とか食べてそうな感じだから。
「肉料理かぁ。そうそう、俺こう見えて料理得意なんだよ!」
「そうなのですか。意外ですね」
まぁよく言われる。しかしここ最近は料理らしい料理もしていない。継続しないと腕が落ちるんだよなぁ、特に包丁と鍋捌きが。
「料理が得意なのでしたら、丁度料理人を募集してる店がありますよ」
「料理人……」
「店とは言っても、まだ計画の段階でして。【マリナー】という店なのですが、簡単なおつまみとお酒だけを出す店だったのを、今度王都に出す支店では、料理とサービスにも力を入れようとしているのです。そこでこのパラディオンで、一時的にテストオープンしようとしているのです」
「へー、それで料理人を探してるってことなのか」
「はい。料理人と共にウエイトレスも募集しているのですが、中々集まらないようで。もし興味があれば、一度オーナーのフリントに話を伺ってみたらどうでしょう?」
「確かに料理は好きだけど……つっても家庭料理だぜ? 調理師免許持ってるわけでもないし、どんな料理でも作れるわけじゃないしなぁ」
とはいえ、この街で暮らすなら仕事はしないといけないよな。好きな料理を仕事に活かせるなら、一度話を聞いてみるのもいいかも。役に立つか分からないが、タツも一緒に。
「よし、無事に戦争が終わって帰ってきたら、話を聞いてみようかな」
「……もしかして、あなた達もカザンと行く気なんですか?」
「あぁ。カザンにはもう言ってあるけど、タツもそのことは了承してる」
「そうですか。カザンもそれを了承しているのですね?」
「もちろん。大笑いしながら喜んでたぜ」
「大笑い、ですか。わかりました。あなた達の助力に感謝します」
ラヴィが頭を下げてくる。別に、そんな気にしなくていいのに。頭を上げるように言おうとした時、馬車が緩やかに止まった。
「着きましたね」
(……長かったような、短かったような)
もう少し話していたい気持ちを抑え、俺は馬車から降りる。目の前には立派な建物があり、多くの人が行き来している。
「おぉー」
自然と感嘆の声が出てしまった。アマツクニでは見なかった規模の建物、そして造り。やはり俺が思っていたより文明は進んでいるようだ。船には通信機みたいなのもあったしな。
「色々と案内したいところですが、とりあえず私の執務室へ行きましょう」
「あ、でもタツを待たないと──」
「居場所は分かってるので大丈夫ですよ。さぁこっちです」
「あ、あぁ」
歩き出したラヴィの後を付いていく。何かしらの方法で、タツの居場所が分かってるってことなのだろうか……もしかして魔法か?
すれ違う人達、みんながラヴィに頭を下げている。やっぱりこの街のトップなんだなぁ。タメ口で本当に大丈夫か?
建物は四階建てで、その最上階にラヴィの執務室があった。どうやら私室もあるようで、実質ラヴィの家ということだ。俺は無駄にドキドキしながら執務室へと入っていく。
部屋を案内された俺は、大きなソファーへと腰掛けた。ラヴィは紅茶を淹れてくれている。部屋の中に、紅茶の甘い香りがフワリと漂い始める。そういえばこっちにきて、ほとんど酒しか飲んでなかったな。
「お待たせしました。どうぞ」
「ありがとう。うーん、いい香りだ」
ラヴィの淹れてくれた紅茶の香りを楽しみ、口に含む。優雅な香気と渋みが鼻を突き抜け、思わずため息が出る。
「いやー、紅茶なんて久々に飲んだぜ。うまいなぁ」
「それはよかったです。沢山あるので、おかわりしてくださいね」
ラヴィも外套の口元を開き、紅茶を飲む。
顕になったラヴィの顔…………分かっていたことだが、やはり美人だ。紅茶を飲む姿が凄まじく絵になっている。しかし、完全に外套は外さないんだな。正直ドラキュラみたいに見える。
「カザンからは、どこまで聞きましたか?」
「え……」
唐突な質問に狼狽えてしまった。カザンから聞いたって……多分船で聞いた話のことだよな? カザンから聞いた話はほとんどが秘密の話だったわけだが、ラヴィは全て知ってるはずだ。話しても問題ないだろう。
「え、ええと……最終的には神を殺すって言ってたな」
「オウガのことについて、何か聞きましたか?」
「あぁ、死んだことになってる王子様って事は聞いたな」
「それだけですか?」
「それだけだな」
「…………」
押し黙るラヴィ。間が怖いよ、間が!!
でも、流石に俺に教えたことを、ラヴィが知らないってことはないだろう。
「分かりました。どうやらカザンはあなた達を全面的に信頼している様ですね」
「え……あ、あぁ」
返ってきた言葉は、意外にも悪くない言葉だった。さっきの間は何だったんだ!?
「でも、オウガと会うまで教えれないことがあるとも言われたな」
「そうですね。それは私も同じことです」
うーん、まあそりゃそうだろうな。実質のリーダーの判断を仰ぐってのは、別におかしいことじゃない。
「なぜオウガに会ってからなのか、その理由をお話ししておきましょう」
「理由?」
「はい。私達のリーダー、オウガは2つのレガリアを所有しています。一つは、過去に王宮で起きた暗殺事件にて、オウガの命を救う為に母君であられる “ツキナギ様” から渡されたレガリア」
「えと……レガリアって魂みたいなもんなんだよな? それって渡せるものなのか?」
「条件さえ合えば譲渡は可能です。ツキナギ様はA・Sでした。それ故にオウガに自身のレガリアを渡すことができたのですが……」
「たしか……亡くなったんだよな?」
「はい。オウガが口にした毒は、ライザールの神テクノスによって生成された魂を蝕む呪い。破邪の力を持つツキナギ様のレガリアを以ても、打ち消すことはできませんでした。ですがツキナギ様は自身の命を費やし、全ての力をもってテクノスの呪いを食い止めたのです」
そうか、そんなことがあったのか。神の呪い──正直俺には想像できない。人が抗えるものなのか?
「オウガは今も、その呪いと……ツキナギ様のレガリアと共に生きています。この呪いを解くためには、呪いの根源たるテクノスを滅ぼすしかありません」
「それでカザンは、神殺しをするって言ってるのか。オウガを救うためなんだな?」
俺の言葉に、ラヴィの表情が曇る。
「そう……ですね」
そう答えたラヴィの顔は、悲しみに満ちていた。だが、すぐに無表情になり話し始める。
「話が逸れてしまいました。オウガが持つもう一つのレガリア。これこそがオウガ自身のレゾンの結晶、魂の武具。私達は “時のレガリア“ と呼んでいます」
「時のレガリア……」
「はい。オウガは未来を視ることができます」
「未来!? 未来を視るってことは、攻撃を予測したり、この先の出来事が分かるってことか!?」
オウガの能力のスケールのデカさに、つい興奮して声を荒らげてしまった。その俺を制止するように、ラヴィがコホンと咳払いする。
「説明上、未来が視えるとは言いましたが……オウガが言うには、感じる程度らしいです。正確な未来のビジョンが見えるわけでも、戦闘にて攻撃を予測できるわけでもない。だからオウガは、自分の能力を “よく当たる占い” と評しています」
「よく当たる占い……それはそれで、十分すごい気もするが」
「私もそう思います。オウガは卑下して占いと言っていますが、私達はこのオウガの占いに従って、ここまでやってきました」
「あ!? それで俺達のことも占ってもらおうってことか?」
「その通りです。吉と出るか凶と出るか……オウガの判断をもって、あなた達に話したいと思っています。あなた達にとっては、不愉快な話かもしれませんが……」
「いや、それで構わない。俺達も、この街に不幸を呼び込む気は無いんだ」
アマツクニでの件もある。俺達が原因で何かが起こってしまったら、悔やみきれない。
「その言葉を聞いて安心しました」
「いや、むしろ厄介な問題を持ち込んだみたいで悪いなぁ。俺もタツも、この世界のことはまるで分からなくて……居場所を提供してもらって感謝してるよ」
って、そういえばタツがまだ来ていない。流石に遅くないか?
「タツおせぇなぁ」
「タツなら上に行ってるみたいですね」
「上?」
上って……ここが最上階じゃないのか?
「このセントラルより、更に上に登って行くと、1本の木があります。彼はそこにいるようです」
「はあ? あいつ……なんでそんなところに。迷ったのか?」
ラヴィが立ち上がり手招きをする。この部屋には四方に窓が設置されており、元々高い位置にあるせいか、街を見下ろすことができる。そして街の反対側にある窓から外を覗くと、そこには確かに一本の木が見えた。
「あの木……船に乗ってる時に見えたやつだな」
「はい。あれこそが始まりの12柱の神 ────【メルキオール】です」
はい?
唐突すぎて頭が追いつかない。あの木が神様だっていうのか??
「惹かれてつい行ってしまったのでしょう」
「いや、えと……そういうことじゃなくて、マジで神様なの?」
「はい。ちなみにこの街に張り巡らされた水路の水は、全てメルキオールが汲み上げた地下水です」
ラヴィがあっけらかんと答えてくるが、どうやら本当のようだ。それにしても、神様が水汲みやってるのか?
「働かざる者食うべかざるです」
俺の疑問を察したのか、ラヴィがキッパリと言い放つ。神様といえど働かされる街パラディオン……恐るべし。
「この事についても、オウガに会ってから話すとしましょう」
「あぁ、分かったよ」
俺はふと反対側の窓に目をやる。
「しかしこの水路すごいよな。街全体に張り巡らされて……まるで “蜘蛛の巣” みたいだな」
「蜘蛛の巣……ですか」
うっ、表現が悪かったかな?
どこにいても近くに水路がある。その様相を表したかったのだが……ラヴィは少し悲しそうな表情をする。
「ご、ごめん。悪い意味じゃなくて、幾何学模様的な意味で言いたくて──」
「いえ、別に謝ることはありません。蜘蛛の巣……そう表現するのが、正しいのかもしれません」
「この街は、メルキオールが水路を通して見張っています。そしてメルキオールの得た情報は、私へと共有されます」
「あ、それでタツの居場所が分かったのか」
なるほど。この街は常に監視が入ってるってことなのか。変なことしないように気をつけないといけないな。
「タツのやつ、気に入ったもんがあるといつまでも見続けるからなぁ。ちょっと迎えに行ってくるよ」
「分かりました。あ、シン。最後に一つだけ──」
そう言って、ラヴィがズイッと俺との距離を縮めてくる。フワリと香るいい匂いに、俺の心臓が高鳴る。
「なななッ、なんでしょう!?」
「この宝石に触れてもらっていいですか?」
ラヴィが指し示したのは、自身の額に飾られた赤い宝石だった。まるで宝石自身がこちらを見ているかのように、眼光のような輝きを放っている。
「ど、どうして?」
「オウガを待つだけではなく、私もあなた達のことを調べておきます。その為に必要なのです」
必要な事とはいえ、女性の額に触れるという行為に緊張が隠せない。それにこの石……何か凄い力を感じる。
「さ、触った瞬間に爆発ってことは──」
「爆発したら私も死んでしまうでしょう。さぁ早く」
背伸びをして額を差し出してくるラヴィ。
か、可愛い────じゃなくて、そんなに近付かなくても触れるって!
仕方なく俺は、ラヴィの額で輝く赤い宝石に指先をあてがう。
指先が触れた瞬間、全身を弄られるような、こそばゆい感覚に襲われる。突然の感覚にビックリして、すぐにその指を離してしまった。
「なッ──」
「ありがとうございます」
俺に感謝の意を示して、一歩下がるラヴィ。一体今のはなんだったんだ……これも魔法か、魔法なのか!?
「なぁ、今のは一体──」
「占いみたいなものですよ。結果はまた後日に」
取りつく島もなく、ラヴィは席へと戻る。これは多分教えてもらえないやつだな。なんともスッキリしない感じだが、とりあえずタツを迎えに行くか。
「あ、そうだ。悪いけどこれ預かっといてくれないか?」
俺は大量の太陽石が詰まった皮のリュックを、机にドンと置く。これから飯を食いに行くのに、ハッキリ言って邪魔だ。
「?? ……いいですよ。とりあえずこの部屋で預かっておきますね」
「悪いな! それじゃあタツを迎えに行ってくるわ」
ラヴィに見送られ、俺は水路を登るように歩き、上へと向かった。
遠くからでも視認できたその木は、近づくほどにその大きさが顕になってくる。そしてそれとは対照的な、小さな子供が立っているのを発見した。
「おーい、タツ」
「……あ、シン!」
俺に気づいたタツが手をブンブン振っている。
「こんなところで何やってんだよ」
「ごめんごめん、歩いてたらこの木が見えてね。つい来ちゃったんだ」
そう言うタツは、未だにその木から目が離せないでいる。木の根本からは水が溢れており、その水がいくつにも枝分かれした水路に流れ込み、街へと降っていく。
「この木、神様なんだってよ」
「へぇ〜、どおりで」
特にびっくりすることもなく、タツが返事をする。まぁタツの目には、俺には見えないものが見えているのだから、何か感づいてたものがあるのだろう。
「すごいね、この水。多分魔力を含んでるんだろうけど、僕の目には街全体の水路が光って見えるよ!」
「へぇ、夜だと一層綺麗かもな。そういや日も傾き始めたな」
空はオレンジ色に染まっている。いつの間にか、こんなに時間が経っていたのか。暗くなる前に戻るとしよう。
「行こうぜタツ。カザンも迎えを寄越すとか何とか言ってたしよ」
「うん。ごめんね待たして」
「迎えが馬車だったらどうする?」
「あ、歩いて行くよ」
「今度は俺も一緒に行くよ。お前すぐ寄り道するし」
「はは、ごめんごめん。ところでラクタさんに怒られなかった?」
「そうだ! お前とんでもないタイミングでいなくなりやがってッ!!」
「怒られたの?」
「いや、それがさぁ──────」
「──────ははは」
夕焼けに照らされ、タツと笑い合いながら歩いている。
この世界に来る前、ゲームを手に入れて帰路についていた時のことを思い出す。
あの時は、まさかこんなことになるなんて思ってもいなかった。予想だにしなかった出来事の連続……恐らく、それはこれからも続くのだろう。休んでいる暇なんて、本当はないのかもしれない。でも今は────
「しかし予想以上の美人だったぜ」
「見惚れるのも分かるけど、シンは今おじいちゃんなんだよ」
「ゲェッ! しまった!! 思い返すとキモい行動ばっかだったかも!!」
「ははは、つい忘れちゃうよね!」
────今はこの時間を 大切にしたい。
拙作を読んで頂きありがとうございます。感想・質問・指摘などしてもらえると嬉しいです。
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