声援
ただ、走る、彼女を見て Op.113
白い息を吐いて
前を見つめて走る彼女を思わず後押ししたくなって
「頑張れ」と大声をあげた
人垣につられて何気なく覗いたその向こうに
ぼくが失くしたぼくがいた
吸い込まれるように前を見つめて走る彼女を思わず後押ししたくなって
「頑張れ」と大声をあげた
靴音に呼吸が「諦め」という言葉のない
とても素敵な彼女がいた
いつしか
「素直」という姿を失い
「夢」というすべてを諦め
「本当」から目を背けていた
そんな今の
間違いだらけの今を
ただ「走る」というそれだけで
彼女はぼくに教えてくれた
苦しみの向こうにある喜びを見つめて走る彼女の近づく白いユニフォームに
嘘などない真実
いつしか
「大切」なものを切り捨てて
「易しい」安売りに甘んじて
「見せかけ」の自分で誤魔化していた
そんなすべてを
間違いだらけのすべてを
ただ「走る」というそれだけで
彼女はぼくに教えてくれた
ゴールした後の彼女の瞳の輝きに
ぼくは「本当」の涙に出逢えた
スポーツはなぜひとを感動させるのでしょうか? その舞台に立つまでどれほどのことをしてきたのでしょうか? そしてこれからも挑み続けていくのでしょう。私はどれだけ怠け者なのか自分が一番よく知っています。弱い自分を知っています。ですが、芯が折れていないことも知っています。芯が折れそうで怠けそうなとき、私はスポーツ選手に声援を送って力をもらっています。