後輩が俺にだけ毒を吐いてくる(自殺レベル)
「おはようございまーす…」
「おはよう。内山さん。相変わらず眠そうね。寝不足は美容によくないわよ」
「いやー、昨日は寝ようと思ったんですけど、スマホいじってたらいつの間にか深夜になってまして」
「まあ、プライベートまでとやかく言えないけれど、ほどほどにね」
「はーい」
今入ってきたギャルってる女性社員は、俺の後輩の内山桂也乃。
セミロングの髪を茶色に染めて、耳にも何個かピアスが開いている見るからにギャル。誰がどう見てもギャル。ギャルの中でも、顔も整っていて、出てる所は出てる絶妙なスタイルを持っている。
職場のモテ度で言えば、主任と同じくモテる。主任と一緒で、食事のお誘いをされいるところとか、デートに誘われているところと頻繁に見かけるのだが、もれなく全員玉砕している。
いやほんとになんで断るんだろうね。あなたたちレベルなら、男の十人や二十人くらいできるだろうに。そこまでして彼氏を作らない大事な理由があるんだろうか。まあ、別に知らんけど。
とりあえず俺もちゃんと挨拶はしておこう。さっき主任に注意されたばっかだし。
「おはよう」
「……おはようございます……」
「……」
「……なんすか? じろじろ見て。普通にキモ」
いやなぜに? 俺普通に挨拶しただけやん。なんもしてないやん。
この内山桂也乃という女は、俺にだけ当たりがめちゃ強い。マジでなんも心当たりがないが、俺にだけこういう態度をとってくる。まあ、前からだが。入社した当初は元気よく挨拶してくれてたんだけど、去年あたりから急に当たりが滅茶苦茶強くなった。
最初は、さすがに戸惑ったが、慣れてくるとあまり気にしなくなった。いや慣れって怖いね。
俺も部長並みのメンタルを持ち合わせているのかもしれない。
ここは一つ先輩としてアドバイスをしてあげよう。俺はビビりながら内山に話しかける。
「う、内山くん。君の先輩として、一つアドバイスをしてあげよう。特定の人だけにあまり素っ気ない態度をとっていると、この先苦労しちゃうよ? いや、俺は別に気にしないけどね? うん全然気にしないから」
ほんとは普通に気になるが。
「……そういう事じゃないっての」
そういう事じゃない……? わからん。これでも人のことはちゃんと見えてるほうだと思うが、内山のことはマジで分からん。この際、俺の事が嫌いなのか思い切って聞いてみよう。これで嫌いなんて言われたら首吊って死の。俺は恐る恐る内山に話かける。
「なあ。内山さんってもしかして俺の事、嫌いな感じ……?」
「そんなわけないでしょっ! むしろ…っ」
なんかキレられながら全否定された。まあ、嫌われてるわけじゃないらしい。良かった。
内心ちょっと怖かったが。てか、人に自分の好感度を聞くなんて、普通にイタイやつやん。
これから聞くのやめよ。