天使と悪魔、同時召喚。②
「誰じゃい貴様は! 桂也乃に何か用か!」
「いや、あの……」
誰か助けて下さい。命の危機です。一番会いたくない人物たちに、遭遇してしまった。
それも、相手方の家と言う名の魔王城で。
「ちょっと。ビビらしてどうすんの。あと、うるさいって言ってんでしょうが。どつきまわすぞこの野郎」
「すいませんでした」
「…」
なんか、めっちゃ尻に敷かれてんな。この親父さん。
見た目は、どっかのヤクザかと思ったぞ。髪の毛は白に染めてあって、オールバック。
あと、とにかく体がごつい。ラグビー選手かよ。
「ほんとに……。ごめんなさいね。こいつ、娘のことになると、見境がなくなっちゃうのよ」
「いえ…。お気になさらず…」
「それで? あなたは? 見たところ桂也乃の友達みたいだけど」
「あ、すいません。自己紹介が遅れてしまいました。。影山と申します。娘さんとは、一緒の会社で働かしてもらってます。一応、私が先輩にあたる関係です」
「あら、ご丁寧にありがとうございます。桂也乃の母の、紗也乃と申します。娘がいつもお世話になっております」
「いえいえ! お世話になっているのは、むしろ僕の方で」
「すごい謙虚なのね。あなたが、あの先輩さんね。会えて嬉しいわ」
「あの…?」
お母さんはの方は、予想通りというか、すんげぇ綺麗な人だ。姉妹と勘違いされても、おかしくない。
茶色に染めた髪の毛を、肩まで伸ばして、スタイルも抜群。
そら、こんな美人な母親を持っていたら、自然と娘も綺麗だわな。
「ほら、あんたも挨拶しなさい。将来、息子になるかもしれないでしょ」
「なんだと!? 俺は絶対に認めんぞ! こんなヒョロヒョロな男に、桂也乃を渡せーー」
「いいから挨拶しろや。てめーをスクラップにすんぞ」
「すんません」
いや怖すぎて草超えて森林。ちゃんと引き継いでんな。
あと、この親父さん、見た目に関わらず、メンタル豆腐じゃねーか。ちょっと同情する。
「あー、俺はかやたんの父親をやっている、、磨と言う。よろしくするつもりはないがな!」
「よろしくしろやぶっ殺すぞ」
「あ、はいすんませんよろしくお願いします」
「……」
いつもこんな感じなのか。内山家は。一人暮らしをするのに、お父さんが認めてくれないと言っていたが、当分は無理そうだな。すると、階段から、ものすごい勢いで内山が降りてきた。
「マ、ママ!? パパ!? 今日は遅くなるんじゃなかったの!?」
「それが、予定よりも、早く用事が終わって。そしたら、例の先輩君が、家にいたって感じね」
「例の…?」
「か、桂也乃! この男は一体誰だ!? 会社の同僚とか言っていたが、ほんとにそうなのか!? ほんとはか、彼氏とかではないのか!?」
「かかか、彼氏!? ま、まだそんな関係じゃないわよ!」
「ま、まだ!!!?? と、ということは…」
「あらあら。今日は赤飯ね」
「ぬわー----!! 絶対認めんぞ! パパは絶対に認めませんからね!」
「……」
なんか置いてきぼりにされてる…。
でも、いい家族だな。なつかしい感じがする。
俺の家族は、もうこの世にいないが、それなりに仲は良かったな。あの時までは。
まあ、こんな時に、そんな事を考えても、しゃーない。
今は、目の前のことに、集中しよう。




