天使と悪魔、同時召喚。
「…」
なんかめっちゃ怒ってらっしゃる…。
しかし、今の話で怒るところなんて、あったか?
主任の話をしてから、急に怒りだしたな…。主任との仲は別に悪くなかったよな。
んーー。よくわからん。
「はあ…。まあいいでしょう。ほんと油断ならないですね。先輩は」
「なんかすいません…」
特に悪いことはしてないつもりだが、なんか怒られた。
とりあえず、膀胱がやばいので、トイレをお借りしよう。
「あのー…。お手洗いお借りしてよろしいでしょうか…?」
「別にもう何も、怒ってないですよ…。なのでその喋り方やめてください。キモいので。トイレは階段を下りたところにあります」
「わ、分かった…。サンキュー…」
「ふぅー」
トイレを済ませて、鏡に映っている、陰キャ野郎を見ながら、手を洗っている。
あ、この陰キャ野郎は俺のことだったわ。
にしても、内山はなに考えてるのか分からん。急にキレるし。まあ、根はいい奴なんだけどなー。
仕事もできるし。綺麗だし。あんだけ綺麗だったら、さぞかしお母さんも綺麗なんだろう。
そんな事を考えながら、階段を登ろうとすると、玄関の扉が開く音が聞こえた。
「ただいまー」
「今帰ったぞー! 桂也乃ー!」
「はあー…。うるさいしばくぞ」
「すんません」
「はあー…。ほんとに……、ん? あら、お客さん?」
「客…? ん…? んん!? 誰だ貴様は! なんで若い男がこの家にいる! 回答によっては、貴様をスクラップにすんぞ! ああ!?」
拝啓、天国にいるお母さん、お父さん。僕も、もうすぐそっちに行けそうです。




