アメリカ大手団体からの果たし状
今回はアメリカの団体からの宣戦布告ですが、更には夜のイベントもあります!
アメリカのオーランドにある高層ビル。その中にある部屋ではオールワールドレスリングの代表であるジョージ・チャンスと、ワールドバトルレスラーズの代表であるシャギー・スコールマンが話し合っていた。
「我々の所にいる日本人レスラーだが、女子レスラーは0になってしまった。男性レスラーはマッド真田と内山昴の二人だとなっている。男子戦線はいいとしても……女子戦線はこのままだとまずいと感じている」
ジョージが頭を抱えて不安に感じる中、シャギーも同じく頷く。
「私のところも日本人女子が0でして、男子レスラーはHashinaka、深田義則がいる。こちらは他団体参戦ができないのが問題点だが……ツバサ達を取られたのは結構痛い……」
シャギーも項垂れる中、ジョージが手を叩く。
「そこで私から提案がある。レッスルヒーローズとストライクウォリアーズは魔界で対抗戦を行っていると聞いている。そこで……我々も彼等に対抗戦を行おうと思う」
「なるほど。我々が勝てば選手達の引き抜きとツバサ達を取り返す事が可能だな」
「ああ。しかし、彼等も忙しいからな……取り敢えずは伝えておくとするか」
「後は選手達の日程調整も考えないとな……彼等にも事情があるし……」
ジョージとシャギーはレッスルヒーローズとストライクウォリアーズとの対抗戦に向けて色々相談しながら話を進めていた。
※
「は!?オールワールドレスリングが俺達に対抗戦の果たし状!?」
それから翌日、アリアンからの報告に朧丸達は驚きを隠せずにいた。因みに彼等はシャンバラで巨大モンスターであるサーベルレオを討伐し終えていたところだ。
「はい。どうやら私達が日本人女子を奪い取った事で、この様な事が起こりました!その結果、対抗戦は避けられないと」
アリアンからの予想外の事態に朧丸は真剣な表情をする。
「となると……どうやら戦いは避けられないという事だな。日程については?」
「日程に関しては魔界軍との対抗戦の後になりますが、8月中旬のハリウッドで彼等との対抗戦が発表されています」
アリアンの説明にリサは驚きを隠せず、すぐに彼女の手を握る。
「ハリウッドなら好都合じゃない!折角だから映画デビューするのもありかもね!」
「リサさんはハリウッド女優でしたね……でも、私達で大丈夫でしょうか?」
リサの笑顔にアリアンが映画デビューできるかどうかに疑問に感じ、エヴァ達も同様になる。
「私も映画デビューしたいけど……」
「大丈夫かな……」
皆が不安になる中、リサがアリアンと佳乃の両肩を掴んで背後から抱き着く。
「大丈夫よ。監督さんは私の知り合いだから許可できるわ!」
「知り合いなら大丈夫そうかもね。後は色々対応して……」
エヴァが言い切ろうとする中、朧丸が手を挙げる。
「待て。俺達は魔界軍との対抗戦に向けて強くなるんじゃなかったのか?」
「「「あ」」」
朧丸からの忠告に、リサ達は今の状況を思い出してしまった。
「大変!どうにかしないと!」
「で、魔界軍との対抗戦は宇都宮だったよね」
「ああ、あの丸山部長がいる場所だよ……なんでこんな場所で行うんだよ……」
朧丸は丸山部長がいる場所で開催される事に絶望し、そのまま地面に両膝と両手を着いて落ち込んでしまう。
「そう言えば……確かあそこ、丸山部長がいる栃木支店があるよね……」
「しかも、会社が会場の近くだし……」
「見つかってしまったらまた投げられるかもね……」
ラン達がヒソヒソ話をしている中、佳乃が朧丸に近付き、苦笑いしながら、彼の頭を撫でて慰め始めた。
※
同時刻、対抗戦の会場である宇都宮アリーナの前では、レッスルヒーローズ&ストライクウォリアーズ連合軍と魔界軍団の対抗戦ポスターが貼られていた。そこに丸山部長がトボトボと歩いてくる。
「ハァ……栃木に転勤してから変わってしまった……娘が問題を起こしてしまい、教育の厳しい幼稚園に入れられた。そこはマナーや行動に厳しく、泣いて退園する児童もいるからな……なんとか娘に笑顔を見せて……ん?」
丸山部長がポスターの方を見ると、そこには朧丸、ランの写真も載せられていた。
「彼奴等……この大会に参戦するのか……折角だから気分転換に見てみるか」
丸山部長は観戦する決意を固め、そのまま家に戻り始めた。
※
「そうか。分かった」
それから翌日、ジャクソンビルにあるオールワールドレスリングの本部では、ジョージがシャニスからの連絡を受け終えていた。
「まさかすぐに許可を得てくれるとは驚いたが、この対抗戦は双方に取っては良い刺激となるだろうな。さて、後は選手達を誰にするかだ。あそこは女性だらけだから女性選手を多く出すとして、選手2名を派遣しておこう。男性は……予選会を行って考えるとするか」
ジョージは今後の日程を確認しつつ、様々な対戦カードを考え始めた。
※
ストライクウォリアーズでもワールドバトルレスラーズとの対抗戦を承認していて、くるみ達がざわつきながら話をしていた。
「まさかワールドバトルレスラーズと対抗戦を行うとは驚きましたね」
「ええ。けど、今のメンバーで勝てるのか気になるわね」
「噂によればWBR女子王者のライカ・ミヤケはハワイ出身の日系人レスラーだ。それに優里亜が勝てるか気になるが……」
「お嬢様なら大丈夫ですよ。それに、この対抗戦ですが……ウォーゲームとなっています」
「「「ウォーゲーム?」」」
くるみの説明にアイラ達が首を傾げる中、優里亜、ツバサ、雅、ユリコが姿を現す。
「ウォーゲームはチーム対抗戦だ。まず、2チームが別々のケージに入り、各チーム1名ずつによって試合が開始する。1分経過ごとに各チームから一人ずつメンバーが出場し、全ての選手がケージの中に入るまで試合を行う。」
「それってノーDQ戦なの?」
優里亜の説明を聞いたメイリンの質問に、ツバサがコクリと頷く。
「そうだ。全選手の入場が終わると試合が正式にスタートする。試合の勝敗はギブアップ、ピンフォール、サブミッション、ノックアウト、レフェリーストップだ」
「となると、レッスルヒーローズも同じ展開になるかもね……」
アイラの真剣な表情にくるみ達も頷く。
「メンバーについては5人制。私、ツバサさん、雅さん、ユリコさん、アイラで立ち向かう!」
「確かにアイラならやれるよな。暴力でぶっ飛ばすし」
エミリーの陽気な発言に、くるみ達は思わず一歩下がってしまう。しかもエミリーの後ろには黒い笑みを浮かべたアイラがいた。
「エミリー?どういう事かしら?」
「あ」
エミリーが気付いたその時、恐怖の叫び声が島中に響き渡った……
※
その夜、レッスルヒーローズの神殿では、自室で朧丸がため息をついていた。
「オールワールドレスリングとの対抗戦が決まり、俺は男子レスラーとのシングルマッチとなるな。その前に魔界軍との対抗戦があるけど、丸山部長に見つかったらまた悲惨な目に遭う……何だか不安で眠れないや……」
朧丸が窓の外に視線を移したその時、ノックの音が聞こえる。
「どうぞ」
朧丸の合図と同時に扉が開き、エヴァが入ってきた。しかも彼女は青緑色の裸オーバーオールの姿となっている。
「エヴァさん!どうしてここに?」
「うん。私も眠れなくなっちゃって……隣いいかな?」
「はい……」
朧丸は頬を掻きながらも承諾し、エヴァが彼の隣に座り込む。
(ヤバい……なんでエヴァさんが隣に来ているんだ?俺、こう見えても二人きりで話すと緊張するんだよな……)
朧丸が心の中で赤面したその時、エヴァが彼をじっと見つめ始める。
「顔赤いよ?大丈夫?」
「正直言うと照れ臭くて……」
「そっか。じゃあ、緊張を解さないとね」
エヴァは朧丸を抱き寄せて仰向けに倒れ、彼をうつ伏せの状態にして自身の上に覆いかぶせた。
「よしよし」
「ますます恥ずかしいですよ!」
そのままエヴァは右手で朧丸の頭を撫でてしまい、彼はますます赤面をしてしまう。
「けど、こうしておかないと眠れなくて……」
「弟さん達の事を思っていたのですか?」
エヴァは不貞腐れの表情で左の人差し指を口に咥え、朧丸は彼女から離れて起き上がる。
「うん。弟が四人で妹が三人なの。一番上の弟が木こりで家業を継いでいるけど、次男はアメリカにある団体の格闘家、三男は軍人、四男は大学生。妹達の方は一番下が高校生だけど、双子の三女と次女はアメリカでプロレスラーとして活動しているの」
「双子の妹さんがいたのですか!けど、何処の団体に?」
朧丸の質問を聞いたエヴァは起き上がり、そのまま俯いてしまう。
「オールワールドレスリング……」
「それって……対抗戦となる団体の!」
朧丸がエヴァの解答にすぐに察した直後、彼女の目から涙が溢れる。
「エヴァさん……」
「私……魔界軍との戦いは勝つ気持ちでいるけど……オールワールドレスリングとの戦いでは参加したくない……妹達とは戦いたくない!どうすればいいのか分からないよ!」
エヴァはそのまま朧丸を抱き締め、子供のように嗚咽を出しながら泣いてしまった。すると彼は彼女の頭を撫で始める。
「俺にも妹がいるけど、彼女は俺とは違う道を進んでいます。もし、俺があなたと同じ立場なら、俺は全てを受け止める覚悟で立ち向かいます。もしかすると向こうも同じ気持ちで立ち向かうかも知れません」
「全てを……受け止める……?」
エヴァは泣き止んだと同時に、泣き顔で朧丸の方を見る。その顔は涙に濡れて、鼻水まで出していた。
「ええ。もしかすると妹達もエヴァさんと戦いたいという気持ちが心の中にあると思います。だからこそ、彼女達の思いを真剣に受け止めて立ち向かうべきです。そうした方が妹達も喜ぶのでは無いでしょうか?」
朧丸の笑顔にエヴァはティッシュで涙と鼻水を拭き取る。
「ありがとう……お陰で楽になったわ……でも、今日は悪いけど、ここで寝かせて。まだ落ち着き足りないから……」
「構いませんよ。俺も丸山部長に見つかったらどうなる事か……」
「なら、私が抱き締めてあげるから」
朧丸とエヴァはベッドに移動して寝転がる中、彼女は彼をじっと見る。
「慰めてくれて……ありがとう」
エヴァは笑顔を見せたと同時に、朧丸の唇にそのままキスをした。
(へ……!?)
朧丸がエヴァの唇の感触を感じてしまった直後、彼女はすぐに仰向けとなり、彼を抱き締めて背中をポンポンと叩く。
「大好きだからね、朧丸」
「……」
エヴァは朧丸を抱き締めながらそのまま寝てしまい、うつ伏せの状態の彼は赤面状態のままだ。
(まさかファーストキスがエヴァさんだとは……こうなると……俺……彼女を幸せにしていた方が良いのかな……)
朧丸はその様な事を思いながらもエヴァの身体の温もりを感じつつ、深い眠りに落ちていった……
※
それから翌日、エヴァと朧丸は武器を使っての組手を行い、木製の斧と忍者刀がぶつかり合う音が響き渡る。
「うん。いい動きしているわね」
「こっちもですよ」
お互い頷きながら訓練を再開する中、この様子を佳乃達が見ていた。
「なんか二人共、動きが良くなったけど……」
「何かあったのかしら?」
「うーん……」
皆がヒソヒソと話す中、カルミナが彼女達に近付く。
「私、心眼で見ていたけど……昨日の夜、二人で寝ていてキスしていたみたい……」
「「「キス!?」」」
「「!?」」
カルミナの説明に佳乃達が驚いてしまい、エヴァと朧丸はギクッと背筋を伸ばしてしまう。
「そうか……なんか怪しいと思ったらこういう事だったのか……」
「エヴァさん、抜け駆けとはどういう事ですか……」
ヒヨリと佳乃は怒りのオーラを纏いながら、フラフラと彼女に接近し始める。
「う、うん……自身の気持ちを朧丸に打ち明けていたからね……そしたら、彼の優しさに触れて好きになっちゃって……」
「そうだったのか……少しはお仕置きしないとね!」
「ひやっ!」
ヒヨリはエヴァに抱き着いたと同時に、彼女のジーンズの後ろポケットに手を入れて、そのままお尻を揉み始める。
「うう……恥ずかしいから止めてよ!」
「駄目!こっそりとキスしたんだから!」
更に佳乃は朧丸にそのまま飛び付いて抱き締める。
「私を差し置いてキスするなんて、何考えているのかな?」
「いや、俺はただ慰めていただけで……」
「言い訳するなァァァァァァ!!」
「いだだだだ!」
佳乃は朧丸の脳天にグリグリ攻撃をし始め、この光景にラン達は苦笑いをしてしまう。
「まあ、恋愛に関しては今後どうなるかね」
「朧丸を好きなのは佳乃、ヒヨリ、エヴァの三人。また増えるかも知れないわね」
「うん……ウチも朧丸の事好きなんやけどな……」
「「「へ!?」」」
HARUKAの衝撃発言にカルミナ達が驚く中、騒動が収まったのはそれから十分後の事だった。
※
そして魔界との対抗戦当日。会場となる宇都宮アリーナでは双子の女性が会場前に立っていた。
「ここでエヴァ姉さんが戦うんだね……」
彼女はイリーナ・ベロノゴフとカリーナ・ベロノゴフ。エヴァの双子の妹達であり、オールワールドレスリング所属のプロレスラーだ。
「うん。相手は魔界軍のイヴリンと聞いているけど、姉さんなら大丈夫だと思うよ」
「そうね。けど、私達の目的は偵察もだけど、レッスルヒーローズとの対抗戦に向けてアピールしておかないとね」
「ええ。失敗は許されないし、頑張らないと!」
イリーナとカリーナは手を繋ぎ、そのまま会場の中に入り始めた。自身の姉との再会と、レッスルヒーローズに宣戦布告する為に……




