生きるか死ぬか!?アルティメットデスマッチ
今回は四天王入れ替え戦。史上初の新デスマッチをどうぞご覧あれ!
シルバリズムのプロレス会場では大勢の観客が坐っていて、満席御礼となっていた。そのリング中央にリングアナが姿を現し、マイクを手に取る。
「さあ、四天王入れ替え戦の始まりだ!この試合について説明しよう。まずはこの試合はアルティメットデスマッチ!基本的ルールはハードコアの電流爆破となっているが、この試合は蛍光灯、電流爆破バット、電流爆破ボード、爆破ミサイルもある!しかし、蛍光灯にも爆薬が仕掛けられている為、かなりダメージが大きいので注意だ!因みに火薬の量は……いつもの5倍!野郎共、準備はいいか!?」
「「「イェーッ!!」」」
リングアナの掛け声に観客達は拳を上げる。
「ありがとな!さあ、これより試合の始まりだ!まずは挑戦者のスグマ!」
音楽が鳴り響いたと同時に、ブルーゲートの扉が開かれようとしている。そして扉が開かれたと同時にスグマが姿を現した。
「スグマ!今回は勝てよ!」
「四天王昇格してくれー!」
観客からの歓声にスグマが応える中、彼はリングインする。
「青コーナー、シルバリズムランク3位。スグマ!」
スグマのリングアナコールに歓声が響き渡り、セコンドにペルミラ、シャンリー、ナターシャが付く。
「頑張って、スグマ!」
「ああ……」
すると音楽が変わり、反対側のレッドゲートが開く。そこにはテツジの姿が見え、セコンドにはミカポンがいる。
「テツジとミカポンだ!相変わらずお熱いな!」
「畜生!俺だって彼女欲しいよ!」
「レッスルヒーローズに行って奪えばいいじゃないか!」
「いや、殺されるから嫌だよ!」
観客席から変な声援が聞こえ、テツジは気にせずリングに上がる。
「赤コーナー、四天王。テツジ!」
テツジの方も歓声が上がり、更にミカポンも投げキッスでアピールする。
「何よ。アピールなんかしちゃって」
この光景を見たペルミラが嫉妬で頬を膨らます中、ホンゴウがリング上に移動する。
「ルールについては先ほど説明したが、今から準備を行う。はっ!」
ホンゴウが気合を入れて魔術を発動した途端、四方のロープには電流爆破の有刺鉄線と爆薬入りの蛍光灯、更には電流爆破バットまで姿を現した。
「かなりデンジャラスだな……」
この光景を見たテツジは、思わず冷や汗を流してしまう。このデスマッチは初めてであり、流石としか言いようがないだろう。
「なお、この昇格戦についてだが……敗者に関しては即公開処刑となる!この戦いはそれぞれの人生を賭けたギャンブルバトルだが、異論はないか?」
ホンゴウの質問にテツジとスグマはコクリと頷く。
「よし。では、レフェリーを!」
ホンゴウがコーナーポストに登って飛び降りた後、レフェリーが壇上に姿を現し、テツジとスグマはコーナーに移動する。
「では、始め!」
ゴングが鳴り響いたと同時に、テツジとスグマは飛び出して殴り合いを始める。
「実況はこのクラウニアがお届けしよう!最初から殴りっぱなしの展開だ!」
クラウニアの実況と同時に、テツジとスグマの蹴り、殴る音が響き渡るが、何故か顔面には当てておらず、ガードしながらも互角の展開となっていた。
「凄い打撃戦だけど、これじゃあムエタイじゃない!」
「全然プロレスじゃないよ!」
ペルミラとミカポンのツッコミに反応したテツジとスグマは、すぐに間合いを取って睨みつける。
「ならばこれで!」
テツジは蛍光灯の一本を掴み取り、そのままスグマの頭に降り下ろそうとする。
「させるか!」
しかしスグマは回避したと同時に、強烈なドロップキックでテツジを蹴り飛ばす。するとテツジが蛍光灯付属のロープに激突してしまい、蛍光灯が割れたと同時に二重の爆発を起こしてしまった。
「これはかなり痛い!先制を仕掛けたのはスグマだ!」
「よし!」
クラウニアの実況の後にシャンリーがガッツポーズをしたその時、スグマはテツジを肩車してリングマットに背中を打ち付ける。
「そのままフォールだ!」
「1、2!」
「があっ!」
テツジはカウント2でフォールを返し、そのまま立ち上がってスグマを睨みつける。腹には蛍光灯の破片が突き刺さって血が流れ、爆発の跡も残っていた。
「やってくれるじゃねえか……ここまで俺を追い詰めるとはな!」
テツジはすかさずコーナーポストの上に登り、そのままジャンプして両足でのミサイルキックを繰り出す。しかし、それもスグマに足を掴まれてしまい、すかさずボディスラムを決められてしまう。
「悪いな。俺も負けられない理由があるんだよ」
スグマはすかさず首の気管を締め付け、チョークスリーパーで落とそうとする。
「こ、こいつ……!」
テツジも負けじと立ち上がり、スグマの足の甲を踏み付ける。
「ぐっ!」
スグマが怯んだ直後にテツジはチョークスリーパーから解放され、ロープに設置されている蛍光灯を手に取る。
「お返しだ!」
テツジが蛍光灯をスグマの頭に叩き割った途端、強烈な爆発が起こり、スグマは仰向けに倒れてしまう。
「ここでテツジがお返しの一打!」
「まだまだ行くぞ!」
テツジの宣言に観客席からリズムの拍手と足踏みが起こり、彼はコーナーポストに登ってスグマに狙いを定める。
「ここでダイビングアタック!」
テツジはジャンプしてダイビングアタックを繰り出し、追加のダメージを与える。
「フォール!」
「1!」
「させるか!」
しかしスグマは起き上がり、テツジの顔面を殴り飛ばす。
「ぐほっ!」
顔面を殴り飛ばされたテツジはすぐに態勢を立て直し、スグマの方を睨みつける。彼の髪はボロボロで、頭には蛍光灯の破片も刺さっている。
「そう簡単にはいかないよな!」
テツジは7本の蛍光灯を次々と手に取り、そのままガムテープを取り出して巻きつける。
「これで準備万端だ!」
蛍光灯の束をリングマットに置いた後、テツジはすかさずスグマを持ち上げようとする。しかし、彼も抵抗している為、中々持ち上げる事は不可能だ。
「こいつめ!」
「俺を甘く見るな!」
スグマはテツジをボディスラムの態勢で持ち上げるが、すかさず垂直になったと同時に、一気にノーザンライトボムで蛍光灯の山に頭を激突させた。
その瞬間、蛍光灯の山は割れてしまい、強烈な爆発で驚きの声が出た。
「テツジ!」
ミカポンが叫んだ直後、爆発の煙が晴れてきた。そこには立っているスグマと、頭はボロボロのアフロになっているテツジがいた。
「今がチャンス!」
ナターシャの合図でスグマがフォールし、いつの間にか全身鎧のレフェリーがカウントに入る。
「1、2!」
「うあーっ!」
「なんとカウントはギリギリ!2.99だ!」
クラウニアの実況に場内から歓声が起こり、ボルテージも最高潮に。両者のコールが鳴り響く中、テツジはすぐに立ち上がる。彼はボロボロの姿だが、何度やられても立ち上がる姿に場内は驚きの声を隠せずにいた。
「俺はここで死ぬわけにはいかないんだよ……ここで死んだら……ミカポンが悲しむからな!」
「テツジ……!」
テツジの決意の表情に、ミカポンは目に涙を溜めながら口を抑えていた。
「なるほどな。俺だって仲間達と共にこの腐敗した制度を終わらせなければいけないからな……何が何でも勝つのみだ!」
スグマは強烈なラリアットでテツジの顔面に直撃させるが、彼は平然と立っていた。
「ラリアットが効かない!これはどういう事だ!?」
予想外の展開に観客達がざわつく中、ナターシャがその原因を見つける。
「分かったわ!彼にはプロレス専用の特殊スキルがあるわ!」
「「特殊スキル?」」
ナターシャが見つけた事実に、ペルミラとシャンリーは首を傾げる。
「ええ。ある程度の条件を満たせれば発動できる特性の事よ。テツジの特性はウルフドライブ。ある程度のダメージを受けてしまい、ミカポンが悲しんでしまうと……彼の強さと防御、素早さが上がっていくの」
「という事は……テツジは愛する彼女の為に戦っているという事ね!」
「ええ。一人には絶対にさせない。たとえどんな事があろうとも……愛の力は無限大だという事を……」
「マジかよ……アタイなんて彼氏に裏切られて……」
シャンリーは退屈座りで落ち込んでしまい、ペルミラが彼女を慰める。どうやら生前シャンリーは彼氏に裏切られた事で死んでしまい、今に至るという訳だ。
「ウルフドライブを発動させた俺は止まらない。それに……お前達四天王以下の者は、まだこの様な特殊スキルを持っていないからな!」
テツジの宣言はスグマの心に突き刺さるが、彼は見事耐え切る事に成功する。
「言われてみればそうかも知れない。だが、スキルがあろうとも無かろうとも、俺は負けるわけにはいかない!死んでしまったヘルバス、ルータスの為にも……俺が勝たなきゃ意味ないんだ!」
スグマは気合を入れたと同時に駆け出し、強烈な膝蹴りをテツジに当てる。
「甘いな」
しかし、テツジは素早くスグマを逆肩車で持ち上げ、そのまま駆け出してパワーボムを仕掛ける。
すると背中がロープに激突し、その衝撃で爆発が発生。スグマは背中に爆破ダメージを受けてしまった。
「これはダメージ炸裂!テツジの強烈なパワーボムの一撃が見事決まり、スグマは大ダメージだ!」
「がっ!」
スグマは背中の爆破のダメージで転がる中、テツジはリングから降りて用意されている電流爆破ボードをコーナーポストに設置する。
「もう一度行くぞ!」
テツジはスグマを掴んでコーナーポストに投げ飛ばそうとするが、逆に投げ飛ばされてしまい、コーナーポストに激突。
そのまま爆発が起こり、テツジも爆発のダメージを受けて倒れてしまった。
「こ、こいつ……」
テツジは爆発のダメージを受けながらも立ち上がり、場内は大歓声。試合時間は今の展開で10分を切っていた。
「これは凄い展開!こんなデスマッチは今まで見た事ない!」
クラウニアも叫んでいる中、ホンゴウ達は観客席でこの様子を見ていた。
「彼奴等の覚悟は見事だ。しかし、この試合は勝つか負けるかだ。さて、どうなるかだな……」
ホンゴウはあくどい笑みを浮かべながら、引き続き試合に目を通した。
※
レッスルヒーローズの食堂でも試合が中継されていて、朧丸達はこの試合に誰も言葉が出ず、ハラハラドキドキしながら見ていたのだ。
「無理もないだろう……このデスマッチは史上初だけでなく、いくら何でもやり過ぎに限度があるからな……」
朧丸の推測にヒヨリ達も同意する。
「ホンゴウならやりかねないね。あいつは自身の野望の為ならどんな手を使っても構わないし、今回の試合だって……いくら何でも酷過ぎるよ……!」
ヒヨリはこの試合にホンゴウに対しての怒りを募らせていて、キリカが彼女の肩に手を置く。
「無理もないわね。アメリカではこんなプロレスはしていないし、あのホンゴウという男は異常じゃない?」
「リサの言う通りね。私だったら反抗するし、相手を投げ飛ばしてしまうわ」
リサとエヴァの提案にケリーナ達も同意する。
「お前等さ……怒る気持ちは分かるが……勢い余って試合をぶち壊すのは流石にどうかと思うぞ」
「そうかしら?アメリカじゃショービジネスだから」
「あのな……」
朧丸が項垂れる中、HARUKAが彼に抱き着いてブルブル震えてしまう。
「あー……HARUKAさんはハードコアやデスマッチが苦手だからな……他にも苦手な人もいるし……」
朧丸が辺りを見回すと、佳乃、光子、ボニーなどは目を背けていて、アリアンに対してはリサの胸に顔面を埋め込んでいた。
「アリアン、ハードコアプロレスが苦手だったのか?」
「はい……こういうのは苦手で目を背けています……」
「無理もないだろう。それよりも……」
優里亜がテレビに視線を移すと、テツジが電流爆破バットでスグマの胸に当てて爆発を起こした。
「胸に激突して爆発か。Tシャツを着てないので火傷は確定と言えるだろう」
「ええ。何れにしてもこの試合は時間無制限。どれだけダメージを受けて体力がどれまで持つかです」
「後はどれだけ電流爆破を喰らって耐えきるかね……」
優里亜、朧丸、エヴァの推測に佳乃達は息を飲んでしまった。
※
試合は白熱の展開となって盛り上がる中、ペルミラは目を閉じながら必死に祈っていた。
(スグマ……四天王になるのはあなたしかいない……もう私達はこれ以上後が無いの……だからお願い!絶対に勝って!)
ペルミラの祈る姿を見たシャンリーとナターシャはリングに視線を移す。お互い傷だらけで所々から血が出ている。顔面も血塗れになっていて、体力的にもキツい状態だ。
「時間は15分経過。まさかここまでやるとはね……」
「ああ……ここまで来たら彼奴等も止まらなくなる。果たしてどう決着を着けるかだ。アタイ等はアタイ等で支えておこうぜ!」
「ええ!」
シャンリーの決意にナターシャも頷く。それと同時にテツジとスグマの戦いも最終局面へと移ろうとしていたのだった。
普通なら不可能なデスマッチですが、魔術の進歩も発展しているので、シャンバラなら可能なのです!
次回で決着と同時に3章が終わりを告げます!




