暴君の降臨
今回は新たな敵の降臨です!
「あの……一つ聞いていいですか?」
「何?」
朧丸は怪訝な表情をしながら、キョトンとしているリサに呼びかける。
「なんで俺が皆のスキンシップに参加しなければならないのですか!?」
朧丸はリサに抱かれて頭を撫でられながら文句を言うが、他の皆も抱き合いつつ、色んな所を触りながらスキンシップを楽しんでいた。
「しょうがないでしょ?仲良くする為には、お互いの身体を触れ合いながら交流しないと」
「そうそう。エヴァのお胸気持ちいい〜」
「こらこら」
佳乃の意見にキララも同意し、エヴァの胸の中に顔を埋める。エヴァも苦笑いしながらキララの頭を撫でていた。
「だからといって俺はこういうのは苦手です!お願いだから抜けさせてください!」
「おっと、逃さないわよ」
「私もやる!」
「僕も!」
「私もしようかな?」
朧丸は逃げようとするが、リサは彼を強く抱き締め、右には佳乃、左はヒヨリ、後ろはランと抱き着いて四面楚歌になってしまった。
(うう……オーバーオールのデニム生地とアオザイの感触が気持ち良くて倒れそう……)
朧丸の赤面も上昇してしまい、失神してしまうのも時間の問題となっている。それにも関わらずリサ達のスキンシップは止まらない。
「こうなったら……忍法、変わり身の術!」
「「「!?」」」
朧丸は変わり身の術で木の人形を置いてその場から逃げてしまい、全員がこの光景に驚いてしまう。
「逃げられた……」
「しかも、変わり身の術で……」
「忍者って、本当に実現したのね……」
リサ達は朧丸の忍法に驚きを隠せず、ボニー達も同意する。
「私達も最初は驚いたけどね。詠春」
「はい!」
ボニーは詠春の方を向き、詠春はサーチイアで朧丸の行方を探す。
「見つかりました!彼は河川敷にいます!」
「河川敷ね。どうせ彼の事だから筋トレをしているみたいし、取り敢えず探しに向かいましょう!」
佳乃の提案に全員が頷き、その場から立ち上がって一斉に朧丸を探しに向かい出した。
※
「ハァ……俺はスキンシップに耐性が無いからな……」
朧丸は河川敷でヒンズースクワットをこなしている中、右側にある橋の下で大きなカバが退屈座りをしていた。
「ん?このカバ、何処かで……」
朧丸はすぐにカバに近付き、声を掛け始める。
「こんな所で何をしているんだ、ヒポゾウ」
「あれ?君って……龍二君だっけ?」
「今は朧丸だけどな。それよりもなんで脱走なんかしたんだ?」
「実は……」
ヒポゾウはこれまでの事を朧丸に話し始めた。
※
「あれ?あそこにいるのって……ヒポゾウ?」
佳乃達が朧丸を探している中、彼女はヒポゾウの姿を見かける。その様子を見たエヴァは彼女に近付く。
「どうしたの?」
「あそこにいるの……ひだまり動物園のヒポゾウだけど、どうしてこんなところにいるのかな?」
「そう言えば……今朝のニュースでひだまり動物園のカバが脱走したと聞いたけど……もしかしてあのカバじゃない?」
朝のニュースでエヴァがヒポゾウを見て思い出したその時、朧丸が立ち上がる。
「なるほど。脱走したのは自分が喋った事で報道陣に追いかけられ、もう嫌になって逃げたのか」
「そうなんだ。そういう朧丸君も?」
「ああ。俺もスキンシップのやり過ぎで酷い目に遭いまくりだからな……それで逃げてきたんだよ」
朧丸がため息をついたその時、佳乃とエヴァが姿を現す。
「見つけた!」
「うわっ!見つかったか!」
「あれ?佳乃ちゃんも来ていたの?」
佳乃に見つかった朧丸は慌てるが、ヒポゾウはキョトンとした表情で見ていた。
「ヒポゾウがここにいるなんて驚いたけど、動物園に戻らないの?」
「うん。また報道陣に詰め寄られるのが怖くて……」
ヒポゾウはガタガタ震えてしまい、佳乃が彼の身体を撫でる。
「大丈夫。落ち着くまで私達のいる場所に住めば良いわ。私達が面倒見るから」
「へ?もしかしてあのカバを私達の島に入れるの?」
佳乃の提案にエヴァがキョトンとしたその時、報道陣の足音が聞こえる。
「ヒポゾウさん、何処ですか!?」
「あっ、隠れろ!」
朧丸達が隠れたその時だった。
「見つけたぞ、朧丸!」
「!?」
全員が声のした方を見た途端、空から一人の男が姿を現す。
「何者だ!?」
「わしの名は燕山君!偉人軍団の一人だ!」
「燕山君!?朝鮮王朝の暴君だが……見た目とは全然違うな……」
燕山君の自己紹介に朧丸は驚くが、彼の姿に唖然とした表情をしていた。
「黙れ!わしは転生したらこんな姿になるんだ!」
燕山君が吠えた直後、赤い韓服の女性も姿を現す。
「見つけたの、貴方?」
「おお、ノクス!」
(張緑水……オクチョンさんと同じ韓国三大悪女の一人か!)
朧丸はノクスに対して警戒心を強める中、ボニー達が駆け付けてきた。
「一体何があったの!?」
「燕山君とノクスが俺に戦いを挑んできた。どうやら優里亜さんが言っていた転生偉人軍団かも知れない」
「キララ、サーチアイで調べてみて」
「ええ」
キララがサーチアイで燕山君とノクスの確認をし始め、その正体を察知する。
「分かったわ!彼等はゴッドレジェンズ!歴史の偉人達で構成されている転生者軍団よ!」
「「「ええっ!?」」」
キララの説明に佳乃達が驚く中、燕山君は彼女達に視線を移す。
「ほう。いい女が沢山いるな……」
「「「ひっ!?」」」
燕山君が佳乃達を見て目を光らせ、彼女達が怯えてしまう。
「あなた?」
「うおっ!?す、すまない……」
ところがノクスの睨みに燕山君は驚いてしまい、そのまま縮こまってしまった。
「浮気せずに奥さんを大事にしなよ。その方が夫婦円満に暮らせるぞ!」
「そう言われるとキツい……こうなったら……プロレスで勝負だ!」
「望むところだ!」
燕山君の宣言に朧丸が同意した直後、フレイヤが手を挙げる。
「待って!今から行うとしてもここじゃまずいわよ!それに……報道陣も来ているから……」
「「「あ」」」
フレイヤが指差す方を見ると、報道陣に既に見つかってしまい、全員が声を上げてしまった。
「ヒポゾウさん、こんな所にいましたか!あっ、HARUKAさんにナツミさんまで!」
「写真を撮らせてください!」
「見つかってしまったか……」
朧丸がガックリと項垂れる中、燕山君が前に出る。
「プロレスバトルを宣言すると聞きましたが、何処で行うのですか?」
「路上プロレスだ。場所についてはわしがいい場所を知っている」
「その場所とは!?」
「ひだまり動物園だ!」
燕山君の宣言にその場にいる皆が驚きを隠せずにいた。
「いやいや、動物園に迷惑掛かるから!それに許可を得ないと!」
「その事なら事前に話したからな。許可を得てもらった」
ランが慌てながら止めるが、燕山君の説明に彼女達はズッコケてしまう。
「用意周到ね……」
「というか、どうやって説得したの?」
「さあ……」
起き上がったベトラ、カルミナ、アリアンが気になる中、HARUKAが燕山君の方に視線を移す。
「それならウチも戦う。路上タッグバトルで勝負や!」
「いいだろう!今から移動するぞ!」
「今からやるの?」
レイミがポカンとしながら燕山君にツッコみ、彼女達はそのままひだまり動物園へと向いだした。
※
「という事で……ひだまり動物園路上プロレスを開始致します!」
ひだまり動物園園長の白樺土左衛門の宣言と同時に、路上プロレスが始まりを告げられる事になった。
「土左衛門さんが許可を得るなんて驚きました」
「動物園の集客アップにもなるし、人気のレッスルヒーローズが来るのは良いアピールになるからな」
「なるほど……」
土左衛門の説明にプラムとマリーは納得の表情をする。
「さて、今から始めるけど……レフェリーについては私がやるわ」
エリザベートが前に出たと直後、コロナとエンターブラザーズが姿を現す。
「おっと!ここは我々に任せてもらおう!」
「出た!エンターブラザーズ!」
いきなりの登場に驚く中、エンターブラザーズとコロナは準備に入る。
「レッスルヒーローズの戦いを伝えるのは我々エンターブラザーズ!今日も激しくお伝えします!」
「幸い報道陣もいるし、これは俺達が盛り上げないとな!」
「アンタ達すっかりやる気ね……」
エンターブラザーズのやる気にキリカが唖然とする中、燕山君とノクスがプロレスコスで姿を現す。朧丸とHARUKAは通常の服だ。
「HARUKAさん、タッグを組んでくれてありがとうございます。俺、あなたとタッグを組むのを楽しみにしていました」
「ウチも。やるからには勝ちに行くで」
「はい!」
朧丸とHARUKAは戦闘態勢に入り、ゴングはジャンヌが鳴らして試合が始まった。
「大丈夫かな……」
ヒポゾウが朧丸とHARUKAの事を心配する中、燕山君がタックルで朧丸を弾き飛ばそうとする。
「させるか!」
朧丸はジャンプして回避し、空中回し蹴りで燕山君を倒してしまう。
「ここで空中回し蹴り!忍者ならこの技も可能だ!」
「チッ!」
燕山君はすぐに立ち上がり、朧丸の足首を掴んでジャイアントスイングをしてしまう。
「ジャイアントスイング!偉人達もプロレスを覚えていたなんて!」
「この世界ではプロレスが有名だからな。だからこそ、我々はプロレスを学んだのだよ!」
「マジですか!?プロレスって……そんなに有名クラスになっていましたっけ?」
アリンが疑問に感じる中、イリスがスマホで検索して調べている。
「どうやら……日本ではプロレスが有名となってしまったみたい……」
「嘘!?どういう事!?」
イリスの説明にメイファンが驚く中、ジャンヌがある事を思い出す。
「どうやらシルバリズムとの戦いで有名になったのが原因です……」
「なるほど……それにしても燕山君は危険と言えるわ。初めてなのにも関わらず、プロレスの熟練度は高い……もしかすると、かなりの強敵かもね」
ケリーナが燕山君を見て推測したその時、ノクスが蹴りを繰り出そうとするが、HARUKAに止められてしまう。
「はっ!」
HARUKAの強烈なハイキックが炸裂し、ノクスはダウンで倒れてしまう。
「ノクス!?」
「今だ!」
ノクスが倒れていたのを見た燕山君が驚く中、朧丸が彼の腰を掴んで投げ飛ばしてしまう。
「うおっ!?」
「まだまだ!」
朧丸が攻撃を仕掛けようとするが、いきなりゴングが鳴る。
「「?」」
「ここで試合終了!勝者、HARUKA!」
スリラーの宣言と同時に試合が終わり、朧丸はHARUKAの元に駆け寄る。
「もう終わったのですか!?」
「うん。大した事なかったけど」
「いくら何でも早過ぎません?」
HARUKAのケロッとした表情に朧丸が唖然とする中、燕山君はノクスの元に駆け寄る。
「ノクス、無事か!?」
「御免なさい……」
ノクスは涙を流しながら謝罪し、燕山君は彼女を背負いながらHARUKAの方を向く。
「この屈辱は忘れないぞ」
燕山君は魔法陣を展開し、ノクスと共にその場から転移する。
「また来るけど……呆気ない展開で終わっちゃったわね………」
ソフィアの苦笑いに朧丸とHARUKAも頷いていた。
「そうだな……これじゃ、流石に観客達も物足りないな……」
「じゃあ、折角だからもう一試合しておく?」
HARUKAの提案に全員が彼女の方を向く。
「それは良いアイデアや!」
「私もやってみたいかも」
阿国やオクチョンも同意し、他の皆も同意する。
「こうなるとシャニス様に伝えておかないとな……」
朧丸がシャニスに連絡し始めるが、すぐに彼女が姿を現す。
「いいでしょう。レッスルヒーローズを皆に知ってもらうチャンスとなります!」
「いつの間に!?」
朧丸が驚く中、美奈子達が一斉にプロレスコスになる。
「よし!楽しまないとね」
「実践は初めてだけど、頑張らないと!」
「ボニーには負けないニャ!」
「折角だから盛り上がらないと!」
美奈子、メリアス、デイジー、ハピネスが気合を入れる中、更にはアルトス、ペルコ、アロアも駆け付ける。アルトスは水色のロングヘア、ペルコはピンクのボブヘアをした牛の獣人で、アロアは赤いボブヘアをした鶏の亜人だ。
「私達も戦います!」
「佳乃さんと共に戦いたいです!」
「すみれの姐さん、アタイも助太刀しますぜ!」
「大歓迎だよ!」
佳乃が笑顔で応える中、ヒポゾウはこの光景を羨ましそうにじっと見ていた。
「僕もやってみたいな」
「へ!?ヒポゾウも!?」
ヒポゾウはやりたそうな目でこの光景を見ていて、彼の発言に皆が驚きを隠せずにいた。
「うん。僕もこの試合を見てやりたくなったんだ」
「分かりました。それっ!」
シャニスがヒポゾウに魔法をかけた途端、彼はプロレスコスを身に纏い、カバの獣人となったのだ。
「おお!これは凄い!」
ヒポゾウが自身の姿に驚く中、新たに移籍してきた明華と松本ミリアがヒポゾウに駆け寄った。明華はサロペットスカートを着ていて、ミリアはアラビアンスタイルだ。
「とてもカッコいいよ!」
「ワシもこのカバさん好き!」
「ありがとう。じゃあ、始めようか!」
ヒポゾウの合図と同時に皆は戦闘態勢に入り、そのままゴングが鳴らされて路上プロレスの第2ラウンドが始まりを告げられたのだった。
※
さて、ゴッドレジェンズのアジトでは、燕山君とボロボロになったノクスを見て、部下達は驚きを隠せずにいた。
「ノクス様!?その姿は!?」
「HARUKAにやられたわ……まさかハイキックで倒れるとはね……」
ノクスの説明に部下達は驚きを隠せず、一人の部下が手を挙げる。
「でしたら私が向かいます!ノクス様の仇を取りに向かいます!」
「閔妃か。なら、頼むぞ!」
「はっ!」
閔妃と呼ばれた女性は一礼し、部下達と共にその場から転移した。ノクスの仇を取る為に……
路上プロレスは第2ラウンドへ。その戦いはどうなるのか!?




