集結、ストライクウォリアーズ
今回はライバルチームの降臨です!
楊貴妃保護から数日後、図書館で朧丸はオクチョンと共に韓国偉人について調べていた。
「個人的に気になった偉人がいます」
「気になった偉人?」
「はい。燕山君です」
朧丸は燕山君の写真を指差し、それを見たオクチョンはすぐに察する。
「この偉人……もしかすると何処かで聞いた事があるような……」
「知っているのですか?」
「この世界にいる偉人だって……」
「ま、まさか!?」
朧丸が驚きを隠せない中、彼の後頭部に何かが当たる。
「ん?」
朧丸が後ろを振り向くと、なんとヒヨリが背後にいて笑顔を見せていた。
「ヒヨリ!」
「えへへ。気になって来ちゃった。それよりも燕山君でしょ。僕も聞いたけど、なんかこの世界でとんでもない組織を作ったって」
「組織?まさか偉人転生者で構成されているのか?」
朧丸の質問にヒヨリはコクリと頷く。
「うん。詳しい事は分からないけど……」
「となると、これは新たな波乱が起こるかもね。十分に警戒しておかないと」
オクチョンからの忠告に朧丸とヒヨリもコクリと頷いた。
※
それから2日後、会社では龍二がオクチョン、ラン、マリー、プラム、阿国と話をしていた。
「いよいよ明日ですね。社長と権蔵さん達が仲介人として来てくれるのは有難いのですが、あの女神達は……」
「こうなると私達の手で止めなくてはならないわね。ラン、そっちはどう?」
マリーの質問にランは首を傾げながら考え始める。
「うーん……こっちは大丈夫だけど、私としても騒動を起こさないか心配だからね……でも、いざとなったら抑えるから!」
「了解!後で仲間達の紹介も楽しみにしているから!」
プラムの笑顔にランも笑顔で答える。
「ところで……丸山はんの姿が見えへんけど……」
阿国が丸山部長がいない事に気付くと、ランはある事を思い付く。
「ああ。丸山部長はお子さんが問題を起こしてしまい、宇都宮市にある厳しい幼稚園に入れさせなければならなくなりました。それで丸山部長はこの会社の栃木支店に配属を依頼し、数日前にこの会社を去ったそうですよ」
「それって佳乃姉ちゃん達が働いていた職場じゃないか!まさかあの騒動で丸山部長も巻き込まれて栃木に向かわれたとは……いい気味だぜ!」
龍二は丸山部長がいなくなった事にクククと笑い、ランも同じく口を抑えて笑ってしまう。
「本当だよね。あの人は真面目すぎるし、よく龍二を投げ飛ばすし。今までの行いにバチが当たったかもね」
「お陰でこっちは楽になったぜ。早く明日を楽しみにしているけど、今やる仕事も楽になりそうかもな」
龍二は明日を楽しみにしながら、今の仕事を再開し、ラン達も後に続いた。
※
そして翌日、運命の日がやってきた。サルベルダにある広場では、朧丸達がグレイア達の到着を待っていた。
「いよいよだね」
「ああ……なんだか緊張するな……」
佳乃の呼びかけに朧丸が緊張する中、キララが別の方向を向いていた。
「ところで、この黒くて長い髪の人は誰なの?」
キララは黒い長髪をしている韓国人に視線を移す。黒い長髪で白いチューブトップと青系テコンドーズボンを着用している。
「彼女はパク・アリン。私と同じガールリング所属で、韓国のアイドルなの!」
「「「韓国のアイドル!?」」」
ナツミがアリンを自己紹介し、キララ達は驚きを隠せずにいた。
「ええ。話はナツミから聞いたわ。私も異世界には興味あったし、アイドルレスラーとして私も戦うから!」
「こちらこそ宜しくお願い致します。けど、敵はそう簡単にいかないけど、大丈夫なのですか?」
「心配無用!」
アリンは前に出てテコンドーの演舞を披露する。素早い動きと攻撃は勿論、空中バック転まで披露した。
「アリンはこう見えてもテコンドー、シルム、パプキドで世界大会を制したし、更には男子レスラーまでも倒した実績を持っているの」
「其の為、韓国の神童と呼ばれているわ。そうだ。折角だからシルムで勝負してみない?」
アリンが提案したその時、浩輔、権蔵、優里亜、くるみ、ラン、楊貴妃が姿を現す。
「待たせたな」
「社長、権蔵さん、優里亜さん!」
「お父様!」
優里亜達の姿を見た朧丸達は、一斉に彼等の方を向く。勿論アリンもだ。
「待たせてすまない。仲間達も連れてきた」
「いよいよですね」
「ああ。皆、来てくれ!」
優里亜の合図と同時に彼女達の仲間が姿を現す。獣人などの種族は勿論だが、全員女性である。
「女性ばかりですね」
「ああ。こちらも女性達の為のチームで構成されている。では、紹介するぞ」
優里亜の合図と同時に、メンバーが一人ずつ前に出る。まずは黒いオーバーオールを着ている黒猫獣人の女子高生だ。
「彼女はメイリン。黒猫の獣人族でスパイをしているが、医療関係も得意としている」
「私はメイリン。医療の事なら任せておいて。宜しくね!」
メイリンは笑顔で呼びかけると、朧丸に視線を移す。
「君がリーダーの朧丸だね。噂は聞いているよ」
「俺の事を知っているのか」
「そう。私も君の真似ができたら色んな事ができるのにな……」
メイリンが左の人差し指を口に加えていたその時、タヌキの獣人女性が彼女に近付き始める。
「ほう。イタズラの幅を広げるつもりか?」
「ゲッ、マリエス!?」
マリエスと呼ばれた狸の獣人女性は、メイリンの頭を掴む。
「貴様は少し限界という物を知った方がいいな……」
「痛い痛い!勘弁してよ!」
頭を握られたメイリンがジタバタする中、マリエスは朧丸の方を向く。
「すまないな。私はマリエス。格闘家として活動している。宜しく頼む」
「こちらこそ」
朧丸が一礼した後、マリエスとメイリンが下がったと同時に、今度は白い狐の獣人が前に出る。
「私はテンコ。マリエスとは幼馴染で同じく格闘家だけど、魔術も使えるの。宜しくね」
テンコが笑顔で応えた後、入れ替わりにオレンジ色の髪をしたロングヘアの女性が前に出る。その姿はカウガールだ。
「アンタが朧丸か。噂は聞いているぜ」
「俺の事を知っているのですか?」
「アタシはエミリー内原。アメリカ人でヒヨリ達と同じ転生者だ」
エミリーの自己紹介にヒヨリとキリカも前に出る。
「僕達と同じ転生者がいるなんて……」
「意外な事もあるのですね」
「まあな」
ヒヨリとキリカの驚きにエミリーは笑顔で返すと、すぐにメイリンのお仕置きを終えたマリエスの方を向く。
「けど、マリエスは相変わらずだな……規律規律で煩いし、自由に過ごせば問題ないだろ。オバさんみたいだぜ」
「いや、それはあなたが……」
キリカがツッコミを入れようとした途端、マリエスがいきなりエミリーの頭を掴み、そのまま何処かに行ってしまう。
「あ、このパターン……」
「ギャアアアアアアア!!」
「やっぱり」
キリカがすぐにこの状態を感じた途端、何処からかエミリーの悲鳴が聞こえる。それを聞いたキリカはため息をつくしかなかった。
「いつもこうなの?」
「大体はな……」
佳乃の質問に優里亜がため息をつく中、トナカイ属の少女が駆け付けてきた。赤髪でロシアの服を着ている。
「初めまして。クルーラです。不束者ですが、宜しくお願い致します」
「トナカイ属の少女もいるのね。角も可愛くて似合うし」
「大した事じゃないですよ」
すみれの褒め言葉にクルーラが苦笑いする中、銀髪の少女も前に出る。
「私はアナスタシア。この子のパートナーとして活動しているわ」
アナスタシアの自己紹介にキララがすぐに正体を察する。
「もしかして……ロシアの姫のアナスタシア?」
「その通り!今は姫君じゃないけど、戦士として戦っているからね。あと、アンに会いたい人がいるの」
「私に?」
アンが首を傾げた直後、ピンクの髪をしていて海賊帽子を被っている女性が姿を現す。
「もしかして……アンなの?」
「め、メアリー……!」
メアリーの姿を見たアンは目から涙が溢れ、彼女に駆け寄って抱き合う。
「良かった……もう会えないかと……!」
「私も会えて良かったよ……!」
アンとメアリーは抱き合いながら嬉し涙を流していて、キララ達はもらい泣きしてしまう。
「再会できて良かったわね」
「ええ。次は誰かしら?」
ボニーが気になった直後、紫色の髪をした女性が前に出てきた。
「私はクリア。以後、お見知りおきを」
「宜しくお願い致します。けど、無表情ですね……」
詠春がクリアの自己紹介に気になる中、ランが彼女に近付く。
「この子、無表情なの。けど、感情を出す為に日々努力しているから」
「そうですか。私も良かったら手伝います」
詠春の笑顔にクリアが一礼した後、オレンジの髪をした女性が前に出る。
「私はアイラ・ストラヴォルグ。ドイツ人の転生者でチームのまとめ役よ」
「あら。まともな人もいるのね」
「ええ。特に彼女達には苦労しているわ」
アイラが指差す方を見ると、お仕置きされたエミリーが下を俯き、メイリンとテンコが落ち着かせる。
「でも、彼女達ならやる時はやるけど、もう少し教育避せた方がいいんじゃない?」
エリザベートの提案にアイラも同意する。
「そうなのよ。悪い子にはお仕置きしないとね……」
アイラから黒いオーラが発せられ、鳥達が一斉に逃げ出してしまった。
「と、鳥が逃げた……」
「なんか怖い……」
アイラの怖い姿にエリザベートとフレイヤはゾッとしてしまった。
「次は誰なん?」
HARUKAの質問に一人の韓国人が前に出て一礼する。その衣装は白いチマ・チョゴリだ。
「ソン・ジウです。アンニョン!」
「アンニョン?ああ、韓国の挨拶ね」
ジウの挨拶にナツミは納得の表情をする。
「あなたも転生者なの?」
「はい。私はトラックに轢かれて死んでしまい、この世界に転生しました。斬馬刀を特典として戦っています」
「そうなの。他には?」
「サッカー部のエースとして活躍しています!」
光子の質問にジウは笑顔で答え、サッカーボールを取り出してリフティングを始める。
「凄く上手ね」
「えへへ」
ジウのリフティングに光子が感心する中、黒い肌の女性がバック転をしながら着地する。
「私も転生者の一人で、カミラ・ゴンザレス!ダンサーをしているわ!」
「ダンサーもメンバーに入っているのね」
「ええ。ストライクウォリアーズは色んな人が多いし、多様性が売りなの!」
カミラはウインクしたと同時に、ブレイクダンスを披露する。高度な技術にアリアン達は拍手をしていた。
「凄いです!」
「このくらいは朝飯前よ!」
カミラがグッドサインをした直後、次は黒紫のロングヘアをしたプロレスラーが前に出た途端、朧丸はその正体を見抜き通す。
「この人……世界団体『ワールドバトルレスラーズ』の神風ツバサさんだ!」
「ええっ!?あのアメリカで有名な団体のレスラーが何故ここに!?」
朧丸の説明にベトラ達が驚く中、水色の髪をした女神が前に出る。
「私が交渉したのよ」
「グレイア!!」
(この人が……女神グレイア様なのか)
グレイアの姿にシャニスが叫ぶ中、ヒヨリは心から納得する。
「ワールドバトルレスラーズの代表者と話をしてね。少し荒っぽくしたらすぐに渡してくれたの」
「どんな交渉したの!?」
「聞かない方がいいから。いきなり移籍されたのは驚いたし」
カルミナがツッコむ中、ツバサが彼女を落ち着かせる。
「まあ、決まった事は仕方が無いし、こっちの方が面白くなるからな。取り敢えず宜しく!」
「こちらこそお願い致します」
ツバサの笑顔に朧丸も笑顔で返す。
「次は彼女の番ね」
グレイアの合図で赤いズボンを着てお団子ヘアの韓国人が前に出るが、その姿を見たアリンは驚いてしまった。
「アンタ、キム・サラじゃない!なんでここにいるのよ!」
「ええっ!?知り合いなの!?」
アリンの叫びにマリーが驚く中、キム・サラはアリンに近付く。
「アリン。あなただけがいい気になると思ったら大間違いよ。今度こそ私が倒すから」
「返り討ちにしてあげるわよ。覚悟は良いかしら?」
「何を!?」
するとアイラとくるみが二人の間に割って入り、彼女達を落ち着かせる。
「落ち着きなさい。ここで喧嘩はダメよ」
「そうですよ。さっ、戻りなさい」
「「むう……」」
二人が渋々と元の位置に下がり、朧丸はアイラの元に駆け寄る。
「苦労しているのですね」
「けど、慣れたからね。これで全員揃ったわ」
アイラは仲間達の元に駆け寄り、ストライクウォリアーズの今いる17人のメンバーの自己紹介が終わりを告げた。
「レッスルヒーローズに負けない凄いメンバーですね」
「ええ。それにしてもグレイア。相変わらず馬鹿な事をしているわね」
「それを言うならあなたも同じでしょ?」
「なんですって!?」
シャニスとグレイアが睨み合う中、権蔵が間に入って落ちつかせる。
「今はそんな事している場合じゃねえだろ」
「分かっているわ……メンバーについてはこんなところね」
「おうよ。それにしても、これだけいるとシルバリズムの転生者達も楽に倒せそうかもな」
権蔵はレッスルヒーローズとストライクウォリアーズのメンバーを見つめ、その光景に浩輔も納得する。
「ああ。だが、油断はならない。今後シルバリズムだけでなく、新勢力も出てくるだろう。この先油断が起こらない事を願うが、新勢力について何かあったら連絡をする」
「分かりました。それにしても新勢力とは気になるけど、早めに調査しておかないと!」
「おっと、こっちも急ぐわよ!」
シャニスとグレイアは急いで調査を始めてしまい、その光景に朧丸と優里亜は顔を見合わせる。
「この先どうなる事か……」
「全くだ……」
朧丸と優里亜はため息をつくしかなく、今後の事も不安に感じるしかなかった。
ますます賑やかになりますが、シャニスとグレイアの喧嘩はどうなるのかが悩みの種。前途多難になりそうです。




