保育士としてのプライド
今回は新しく入った光子の戦いです!
光子がシャイニングウィングスに入ってきた事に皆が驚きを隠せずにいた翌日、彼女は佳乃と共に島内を歩いていた。
「本当に後悔していないの?」
「ええ。自ら決断した事です。古川さんが戦っているのに、私は何をしているんだと感じていたので、保育士を辞めて戦う事を決断しました」
「そっか。それなら大丈夫だね」
佳乃が微笑む中、何処からか楽しそうな声が聞こえる。
「ん?あそこにいるのって……」
佳乃と光子が声のした方を見ると、オクチョンとHARUKAが相撲をしていた。しかし、彼女達の腰には変わったまわしであるサッパが着用されていた。
「何をしているの?」
「オクチョンがシルムを教えているの」
「ああ。韓国の相撲の……」
すみれの説明に佳乃が納得したその時、オクチョンがHARUKAを投げ飛ばそうとするが、逆に投げ飛ばされて地面に肘をついてしまう。
「中々やるじゃない」
「プロレスラーやからね」
「面白そうだし、私もやろうかな」
佳乃と光子も参加する中、次は朧丸が土俵に上がる。
「あの……本当に大丈夫でしょうか?身体が触れちゃいますし、恥ずかしさを感じますが……」
「シルムというのは大体そうだからね。朧丸も女性の身体に触れる事に慣れないと」
「はあ……」
朧丸とオクチョンはお互いに相手のサッパを持ち、肩と背が真っ直ぐな状態で組み合う。そして試合が始まり、彼の顔が徐々に赤くなってしまう。
「あちゃー……朧丸は女性に触れる耐性があまり無いから……」
佳乃がため息をついた直後、朧丸は倒れてしまい、オクチョンは彼を起き上がらせる。
「大丈夫?」
「なんとか……けど、やはり俺には女性に触れると何故か赤くなってしまいますからね……」
朧丸が苦笑いする中、光子がある事を思い付く。
「でしたら、私に良い提案があります!」
「「「?」」」
光子の提案にオクチョン達は首を傾げた。
※
「で、この方法で大丈夫なのか?」
朧丸は佳乃を抱き締めたまま、光子に質問する。この方法に何の意味があるのか疑問に感じているのだ。
「ええ。まずは身近な人から触れてみて、少しずつレベルを上げていきます。そうすれば克服できると思いますよ」
「なるほど。このくらいなら大丈夫かな」
光子の説明に朧丸が納得した直後、佳乃が離れたと同時にすみれが代わりに彼を抱き締める。
「どう?」
「なんとか……」
朧丸が言い切ろうとする中、いきなりカレンからの放送が鳴り響く。
『緊急事態!緊急事態!またしても偉人が発見されました!今度の偉人は楊貴妃です!』
「楊貴妃……中国絶世の美女だな。確かこっちには詠春がいる。サーチイアで頼むぞ!」
「はい!」
詠春は自らの耳で位置情報を探り、楊貴妃の居場所を見つける。
「分かりました!楊貴妃さんは高田馬場にいます!」
「よし。すぐに高田馬場へ向かうぞ!」
朧丸達は一箇所に集まり魔法陣を展開。そのまま高田馬場へと向かい出した。
※
高田馬場に転移した朧丸達は優里亜達と合流。そのまま楊貴妃がいるおとめ山公園に辿り着いた。
「確かこの辺りに……いました!」
詠春が指差す方を見ると、楊貴妃はすやすやとベンチの上で眠っていた。
「疲れて寝ていたのかも」
「仕方が無い。彼女を安全な場所に……」
優里亜が指示しようとしたその時だった。
「そうはさせるか!」
「「「!?」」」
全員が声のした方を見ると、数人の転生者が姿を現して朧丸達の前に立ちはだかる。
「また雑魚か……だが、数が多いとなると……」
「ここは私に任せて!」
佳乃は駆け出したと同時に、カタールを構えて転生者達に襲い掛かる。
「秘技、風の刃!」
「「「ぐはっ!!」」」
強烈な連続斬撃が転生者達の首筋を切り裂き、彼等は首から血を吹き出しながら倒れて消滅する。
「今の内に!」
「ここは我々に任せてくれ。ラン!」
「はい!」
優里亜の合図でランと呼ばれた女性が駆け出し、楊貴妃を背負って安全な場所に移動する。しかも、その衣装は袖無しでオールインワンスタイルの青のアオザイだ。
「救出完了しました!」
「あっ、ランさん!?」
ランの姿に朧丸は驚いてしまい、彼女は彼に視線を移す。なんと彼等は同じ部課で働いているのだ。
「龍二……いや、今は朧丸だったね。それにしてもシャンバラで凄い活躍しているじゃん」
「まあ、大した事じゃないけどさ……」
ランに指摘された朧丸は頬を掻く中、増援の転生者が姿を現す。
「ここは私が行きます!」
光子は薙刀を構え、襲い掛かる転生者に立ち向かう。
「やっ!」
光子は薙刀を巧みに使いこなし、次々と転生者達を切り裂いていく。切り裂かれた転生者達は消滅してしまい、彼女は薙刀を回転して構え直す。
「おお!薙刀使いか!」
「ええ。中学から薙刀をしていました」
光子が笑顔でマスターラビットに応えた直後、カグヤマが彼女達の元に姿を現す。
「ほう。君がヘルバスを倒した朧丸か」
「何者だ?」
「俺はカグヤマ。あのシルバ6とは大違いだぜ!」
カグヤマはすぐに戦闘態勢に入り、朧丸に襲い掛かる。
「狙いは俺か!」
朧丸がすぐに戦闘態勢に入り、カグヤマの攻撃を弾き返した直後、光子が薙刀の先をカグヤマに向ける。
「私が相手になります!」
「不破さん!?」
光子は薙刀を構えながら戦闘態勢に入り、カグヤマはすぐに距離を取ってニヤリと笑う。
「なら、プロレスで決着を着けるとしよう!」
「プロレス?」
光子が首を傾げたその時、地面からリングが姿を現してカグヤマはプロレスコスになる。
「この方が手っ取り早く済むからな。さあ、お前もプロレスコスになれ!」
「ちょっと待って!不破さんはまだプロレスの取得が……」
アリアンが言い切ろうとする中、光子はリングに上がって戦闘態勢に入る。
「やるわ。たとえあなたが相手でも容赦はしない!」
「ほう。で、そのままの姿でやるのかい?」
「コスチュームならあるわ」
光子はすぐにコスチュームにチェンジし、戦闘態勢に入る。それは赤いショートデニムパンツに黒い袖無しタートルネックのコスチュームだ。
「さあ、始めるわよ!」
光子の宣言と同時にゴングが鳴り、エンターブラザーズとコロナが姿を現す。
「今回は不破光子とカグヤマの一戦!エンターブラザーズが今回もお送りするぜ!」
「出た!エンターブラザーズ!」
エンターブラザーズのいきなりの登場に朧丸達が驚く中、優里亜は納得の表情をする。
「なるほど。プロレスの試合となると彼等が出る仕組みなのか。しかし、上手く出来るのか?」
「甘く見ないでくださいよ。俺達はこう見えてもベテランなのでね。さて、試合はいきなりカグヤマがラリアットを炸裂!光子の首に激突した!」
「ぐっ!?」
強烈なラリアットを喰らった光子は、すぐにリングマットに背中を打ち付けてしまう。
「今のラリアットは強烈過ぎるな。奴もそれなりに努力をしたのだろう」
優里亜が真剣な表情で試合を見る中、光子はすぐに立ち上がって強烈なビンタをカグヤマに浴びせる。
「凄いビンタ!」
ベトラが叫んだ直後、光子はすかさずカグヤマを持ち上げ、ボディスラムを炸裂させた。
「いきなりボディスラムとは……やるわね」
カルミナが息を呑みながら見守る中、すぐに光子はフォールを取る。
「1、2!」
「チッ!」
カグヤマはフォールを返し、すぐに立ち上がって光子の顔面を殴り飛ばす。
「顔面パンチ!」
「汚いわよ!」
キララとボニーの叫びにコロナが反応し、カグヤマに注意する。
「顔面のパンチは反則です!」
「うるせぇ!」
「キャア!」
コロナはカグヤマに殴り飛ばされてしまい、彼はすぐにリングから降りてリング下から凶器を取り出した。
「あれは……パイプ椅子!」
エリザベートが持ち込んだ凶器を察した直後、カグヤマはリングに入って光子にパイプ椅子を振り下ろそうとする。
「させない!」
フレイヤが駆け出したと同時にカグヤマからパイプ椅子を奪い取る。
「何をするんだ!」
「卑怯な事をするなら、こっちもしてやるわよ!」
フレイヤは口から火を吐いてカグヤマを炎に包ませる。
「あぢぢぢぢ!水!水!」
「お望み通りくれてやろう、くるみ!」
「はい!」
優里亜の指示でくるみはバケツいっぱいの水をカグヤマに浴びせ、ボロボロのカグヤマは片膝をついてしまう。
「早くレフェリーに薬を!」
「私は光子に水を与えるわ」
「私も手伝います!」
ボニーはコロナに薬を塗り、詠春は光子を支え、キララは光子の口にペットボトルの水を流し込む。
「大丈夫?」
「なんとか……」
コロナと光子が立ち上がった直後、カグヤマがフラフラと立ち上がり始める。
「俺を……馬鹿にするな……」
カグヤマはすかさず光子をグーパンで殴り飛ばそうとするが、彼女は彼の手首を掴み、そのまま上手投げで投げ飛ばした。
「おーっと!上手投げが炸裂!」
「光子選手を調べたところによりますと、彼女は合気道の達人です!」
「「「ええっ!?」」」
インパクトの説明にヒヨリ達は驚きを隠せず、光子は更にハイキックでカグヤマの側頭部に衝撃を与える。
「側頭部へのハイキックだ!」
「これは流石にカグヤマがどうなるかね」
ヒヨリの叫びとキリカの推測の直後、光子はカグヤマをボディスラムの態勢で抱え、そのままノーザンライトボムで頭部を見事にリングマットに打ち付けた。
「決まった!ノーザンライトボム!」
オクチョンが指を鳴らした途端、すかさず光子はカグヤマをフォールする。
「1、2、3!」
「試合終了!不破光子がカグヤマを下し、白星を飾りました!」
スリラーの実況の直後、カグヤマの身体が消滅し始める。
「こんな奴に……俺が負けるなんて……」
カグヤマは光の粒となって消滅し、彼の特典と金貨が其の跡に置かれていた。
「これがカグヤマの特典?」
光子がカグヤマの特典をよく見ると、白い魔本が地面に置かれていた。
「彼の特典は魔本。それは不破が倒したからこそ手に取るべきだ」
「では、遠慮なく」
光子が魔本を手に取ると、魔本は粒子化してスピリアへと入ってきた。
「これで魔本は不破さんの特典になったね。もしかすると魔本と薙刀を組み合わせればできるかも!」
「じゃあ、リリィさんに頼んでみます」
光子が笑顔で応える中、彼女はリングから降りて皆の元に駆け寄る。それと同時にエンターブラザーズとコロナは帰ってしまい、リングも消えてしまった。
「やるじゃない!あのカグヤマを倒すなんて」
「皆さんのお陰で勝つ事ができました。まだまだ頼りない所もありますが、宜しくお願い致します!」
「こちらこそ大歓迎だ。宜しくな、不破さん」
「光子さんでいいですよ」
朧丸と光子が握手をした直後、ラン達も駆け付ける。
「楊貴妃さんについては今、起きたところ。彼女と話をしたら私達のチームに入る事になったわ」
「そうか。ところで他の仲間達もいるのか?」
「いるわよ。その事だけどグレイア様がメンバーを連れて皆に会いに行くって。多分……この後の展開は分かっていると思うけど……」
ランの俯きに朧丸達はこの後の展開に思わずゾッとしてしまう。
「一触即発にならない為にも私達の手でどうにかしないとね」
「そうそう。あの二人仲悪いし……」
「父上と城山殿が仲介人として行動するが、果たしてどうなるのかだな。騒動になる前にどうにかする必要があるだろう……」
ヒヨリ、キリカ、優里亜が心配そうな表情をする中、くるみが手を叩く。
「では、気分転換に秋葉原にでも行きましょう。メイドカフェにも行きたいですし」
「メイドカフェか。折角だから行くとするか」
「私も行きたい!」
「私も!」
「秋葉原か……楽しみね」
くるみの提案に優里亜は承諾し、キリカ達や楊貴妃もワクワクしながら同意する。
(俺は秋葉原でプラモでも探しに行くか……けど、カグヤマが倒された事でシルバリズムは今後どうなるのかだな……)
朧丸は心から今後の事を思い浮かべながら、キリカ達と共に秋葉原へ向かったのだった。
※
「カグヤマも失敗か……どおりで使えない奴だぜ。この任務は失敗。転生者達に即帰還せよと伝えてくれ」
シルバリズムのアジトにある玉座の間では、クラウニアからの報告に王であるホンゴウはため息をついていた。彼はエジプトの王の服を着ているが、現代風にアレンジしていた。
「了解しました。それに奴等はとんでもなく強いですよ。おまけにヒヨリ、キリカも奴等と行動をしています」
「俺達が殺した女子高生達か。そうなると……黙ってはいられないよな、キヨスケ、シオリ、ノグチ」
ホンゴウが後ろにいる3人に呼びかけ、彼等はそのまま玉座に近付く。
「まさか奴等があの忍者達と行動をするとはな」
「私としても興味あるけど、殺し足りないかもね」
「そうですね。けど、シルバ6と四天王、戦闘員達がいる限りは迂闊には動けない。動くとしたら彼等が倒されて、クラウニアと共に立ち向かうしかないですね」
3人の話を聞いたホンゴウは頷き、クラウニアの方を向く。
「クラウニア。もし俺達が倒されたら、あの神様も黙ってはいられないよな」
「ええ。ブラディア様ですね。彼はこのシャンバラを支配する為に動き出しています。彼の為にも我々でやるしかありません」
「だな。今は四天王入れ替え戦も行うし、取り敢えずは様子見と行こう。さて、試合形式は……」
ホンゴウはスクリーンに映っている試合情報を見た途端、あくどい笑みを浮かべる。
「シオリ。二人に伝えといてくれ。この試合のデスマッチだが、蛍光灯、棘付きボード、電流爆破などを加えた最大のデスマッチを行うと……」
「任せてよ」
シオリはそのまま後ろを向き、その場から転移する。それと同時にテツジとスグマによる四天王入れ替え戦は、史上初のアルティメットデスマッチとなろうとしているのだった……
シルバリズムは偉人転生者捜索から脱落。しかし、その一方では入れ替え戦に波乱が起こります!
後はキャラ紹介も書いていますので、完成次第投稿します!




