フンドシ親父の再臨
今回はフンドシ親父が再び登場します!
オクチョンが朧丸達の仲間になったその夜、路地裏ではルータスが自身の生みの親を追い詰め、今でも襲い掛かろうとしていた。
「待ってくれ!お前を虐待したのは悪かった!だから命だけは……」
「黙れ!散々虐待した癖によく言うよ!アポロンの拳!」
炎に包まれた両方の拳が、生前の両親の腹に直撃する。
「マルスの炎で終わりだ!」
その直後に両親の足元から火柱が噴出し、二人は炎に包まれた。
「「ギャ(嫌)ァァァァァァ!!」」
両親は炎に包まれながら塵と化してしまい、彼等が死んだ事を確認したルータスは炎を自ら消した。
「続きは地獄で捌かれなよ。さてと、僕の私怨も終わったし、確か任務がいきなり入ったみたいだが……」
ルータスはスピリアを起動しようとしたその時、クラウニアが彼の前に姿を現す。
「その様子だと成功したみたいだね」
「クラウニア。いきなり入った任務だが……」
「この世界にいる偉人転生者達を捕まえる事だよ。レッスルヒーローズは既に動き出していて、一人を保護したみたい」
「なるほど……」
クラウニアからの報告にルータスは納得の表情をする。
「まっ、この任務は放っておいたら怒られるし、受けるしかないよね。明日は忙しくなりそうだな」
「そうそう。取り敢えず帰ろうか」
ルータスとクラウニアは明日に備える為、早く自分達の陣地へ戻って行った。
※
それから翌日、龍二と佳乃の住むアパートにオクチョンが住む事になり、3人はアパートを出てそれぞれの職場に向かっていた。
「オクチョンさんは龍二の会社に行く事になるけど、私達はこのアパートからそろそろ引っ越さないといけないみたいね」
「佳乃姉ちゃんは今日が保育園最後の勤務日だからな。それが終わり次第、荷物をまとめて神殿に引っ越しておこうぜ」
朧丸の提案に佳乃も笑顔で頷くが、オクチョンがある事を思い付く。
「確か午前中に終わると言っていたけど、ボニー達も同行するの?」
「はい。彼女達も手伝いますし、素早く終わらせますので」
「分かったわ。私達も後で手伝うから」
オクチョンは納得の表情をし、彼女達はそれぞれの職場へ向かって行った。
※
「今日で最後の日。寂しくなりますね」
保育園では佳乃、ボニー、キララの3人が園長夫妻と話をしていて、彼女達の保育園勤務最後の日を感じていた。
「ええ。自ら決めていた事なので、後任の不破先生には色々教えてあげました」
「今後はどうするつもりなのですか?」
「神殿へと戻り、転生者軍団との戦いとプロレス、最近では耳かき専門店でも働いていますので、そちらに専念したいと思います」
「分かりました。あなたのこれからを楽しみにしています」
園長先生の笑顔に佳乃達も微笑んだ。
※
園長夫妻との話を終えた佳乃達は、黒いミディアムヘアで彼女の後任となる不破光子と園児達と出会う。
「話が終わられたのですね」
「ええ。片付けも終わってやるべき事は終わりを告げた。後はあなたが園児達を守ってあげて。私は戦いに専念するから」
「はい。必ず守ります」
不破が一礼した直後、園児達が佳乃の元に駆け寄って抱き着いてきた。
「先生!」
「行っちゃ嫌だよ!もっとここに居て!」
「戦いに行くなんて嫌だよ!」
園児達が泣きながら嫌がっていて、佳乃は彼等の頭を撫でていたその時だった。
「ふーん……まさかこんな所にいたとはね……」
「「「!?」」」
佳乃達が声のした方を見ると、ルータスがいつの間にか彼女達の元に姿を現していた。
「ルータス!あなたいつの間に!?」
ルータスの姿を見たキララとボニーは戦闘態勢に入り、彼は腕を鳴らしながらコツコツと接近し始める。
「ここにキララ達がいると確認したからね。生みの親は始末したし、後はアンタ等を始末すればこっちの物だ」
「そう来ると思ったわ。佳乃、行くわよ!」
「ええ!」
佳乃は立ち上がったが、まだ園児達が彼女にしがみついていた。
「ここから先は私は戦わなければならないの。安全な場所に避難して」
「嫌だ!」
園児達は佳乃からしがみついて離れず、不破先生も園児達を引き剥がそうとする。
「こら、佳乃先生から離れなさい。怪我をしてしまうわよ」
「離れたくない!」
この光景にルータスはため息をつき、どうするか考え始める。
「なるほど。こいつ等は別れを惜しんで離れたくないみたいだな。仕方が無い、ここは僕がどうにかしよう……」
ルータスは素早い動きで次々と園児達の首に、人差し指を突き刺す。ただ触れただけで傷もなく、彼はすぐに離れた場所に移動する。
「終わりだ」
「「「!?」」」
ルータスが指を鳴らした途端、園児達は糸の切れた人形の様に気を失ってしまい、次々と佳乃から離れて倒れてしまった。
「皆!」
「しっかりして!」
佳乃達は倒れている園児達に声を掛け、ルータスはあくどい笑みを浮かべていた。
「僕の指圧は園児ぐらいなら殺せるさ。まあ、今の威力は死んだかどうか分からないけどね」
「ルータス……アンタという人は!!」
キララは怒りを爆発し、ボニーはミューリーとナイチンゲールを呼び始め、不破先生は園長夫妻に報告、佳乃はルータスに近付き始める。
「あなた……人の命を何だと思っているの?」
「どうでもいい事だよ。僕はただ破壊し尽くすだけだ」
「あなたは絶対に許さない……すぐに終わらせる!!」
佳乃は目に涙を浮かべながら怒りの表情となり、ルータスに襲い掛かって強烈な左ストレートを彼の顔面に当てた。
「な……!?」
「今の攻撃……早かった……」
ルータスはふっ飛ばされながら驚きを隠せず、キララは驚きの表情をしている中、ミューリーとナイチンゲールが魔法陣での転移で駆け付けてきた。
「今、ミューリーとナイチンゲールが駆け付けたわ!治療を!」
「任せて!」
ミューリーとナイチンゲールが駆け付けたと同時に治療と検査が始まる中、ルータスは地面を2、3回転して仰向けに打ち付けられてしまった。
「こ、こいつ……」
ルータスは起き上がり、アルテミスの回復術をしようとするが、佳乃は素早く蹴り飛ばして連続パンチでダメージを与える。
「キララ、ボニー!」
「「了解!」」
キララとボニーは素早く駆け出し、強烈なハイキックでルータスをダウンさせた。
「こいつ等……前より強くなっているのか……だが、ここで負けるわけにはいかない!!」
ルータスは立ち上がって殴り返そうとするが、佳乃達の素早い連続攻撃を次々と被弾してしまい、更にはボニーのラピッドファイアで大ダメージを受けてしまった。
「あなたはここで終わりよ。孤児達の仇を取るわ!」
「こいつ等……終わらせてやるよ、僕の最大奥義で!」
ルータスが宣言したその時だった。
「そこまでにしてもらおうか!」
「この声は……」
全員が声のした方を見ると、フンドが塀の上から飛び降りて地面に着地した。
「褌一つあれば上等!悪を滅ぼす正義の褌男、フンドだ!」
「「「ゲゲーッ!!」」」
フンドの登場に佳乃達は勿論、ルータスまでも驚いてしまい、治療を終えたばかりのミューリー達は固まっていた。
「なんでアンタがここにいるのよ!」
佳乃はフンドがここに来た事で怒っているが、彼は平然と彼女に視線を移す。
「わしはガリバタ村でふんどし踊りを広めようとしたが、子供達は嫌がって引き籠もってしまったままだ」
(あの子供達、あれから改善してなかったのね……)
フンドの説明を聞いたキララは苦笑いしながら、ガリバタの子供達の事を思い出す。
「そこでわしは決意した!ふんどし踊りを世界に広めようとガリバタ村を去り、この世界に来たのだ!」
「あの踊りを広めたら皆が馬鹿になるから止めて!どう責任を取るつもりなの!?」
フンドの決意に佳乃がツッコむ中、ルータスはフンドを睨みつける。
「ふんどし踊りは僕も気に食わないからな。始末してやる!」
ルータスが素早くフンドに襲い掛かるが、フンドはすぐに右手でルータスの左手首を掴み、左手の空手チョップで右肘に衝撃を与える。
「ぐわっ!?」
ルータスが痛みで怯んだその時、フンドは強烈な拳骨をルータスの脳天に叩き込み、そのままダウンを奪う。
「最後の技だ!」
ラストはフンドはルータスをジャイアントスイングで5回回し始め、そのままパイルドライバーを決めて見事倒した。
「子供達の痛みを思い知ったか」
「こ、こんなおっさんにやられるなんて……」
「まだ終わってないわよ!」
するとキララが駆け出したと同時に、渾身のアッパーをルータスに叩き込む。その衝撃でルータスは宙を舞って打ち上げられた。
「最後の一発!」
ラストは渾身の左ストレートがルータスの右頬に炸裂し、彼は地面に激突して倒れてしまった。
「こんな事なら……襲撃しなければ良かった……僕は……間違っていたかも……」
ルータスはそのまま消滅してしまい、残っているのは大量の金貨とギリシア神話の特典が入っていた宝玉だ。
「そうだ!子供達は!?」
「大丈夫。治療をしたけど、安静が必要みたい。今、救急車が駆け付けるわ」
佳乃は子供達の安否がどうなったのか気になり、ミューリーは笑顔で報告する。
「良かった……」
佳乃がホッとした直後に救急車が駆け付け、園児達はそのまま救急車に乗せられて病院へと向かったのだった。
※
その後、後処理は保育園の職員達がする事になり、佳乃達は保育園を後にしてアパートの方へ向かっていた。
「まさかフンドが来るなんて思いもよらなかったわ。仇を取れたのはいいけど……」
「私達でも倒せていたけど、あの一撃とプロレス技は見事としか言えないわね……」
キララとボニーは唖然とするが、フンドは前を向きながら歩いていた。
「金貨と特典も回収に成功し、私はこの特典を手に入れた以上、人々の為に戦うのみだ」
「アンタが言っても説得力はないけど……」
フンドの発言に佳乃はジト目で彼を見る中、ミューリーとナイチンゲールは保育園の事を気になっていた。
「でも、この騒ぎで保育園は大変な事態に追われる事になるわね。下手をすれば閉園の可能性もあり得るわ」
「けど、私達がいるからこそ保育園も狙われるし、彼等が安全に過ごせる為にも辞めて正解だったかも知れないわね……」
「うん……命に別状はないけど、皆、大丈夫かな……」
佳乃は病院に運ばれた保育園の皆を心配する中、キララは彼女の肩を叩く。
「大丈夫よ。彼等ならきっと大丈夫だから」
「うん!」
キララの笑顔に佳乃も笑顔で返し、彼女達はすぐにアパートへと駆け出し始めた。
※
「ええっ!?ルータスが死んだ!?」
シルバリズムのアジトではクラウニアからのルータス死亡の報告に、ペルミラ達は驚きを隠せずにいた。
「その通りだよ。佳乃達の猛攻、そしてフンドのパイルドライバーで消滅してしまった。ホンゴウ様はお怒りでこの任務をカグヤマに譲るとの事さ」
「カグヤマ!?いつの間に復帰していたの!?」
ペルミラが驚きを隠せずにいたその時、カグヤマが姿を現した。
「ヘルバスに続いてルータスも死んだとはね……シルバ6も落ちぶれた物だな!」
「テメェ、アタイ等の仲間を馬鹿にするのかよ!」
シャンリーは怒りでカグヤマに襲い掛かるが、クラウニアが間に入る。
「まあまあ。カグヤマ、言っておくが彼奴等はかなり強い。甘く見ていると酷い目に遭うぞ」
「分かったよ。精一杯やるからさ」
カグヤマが後ろを向いて去った直後、クラウニアはシャンリー達に視線を移す。
「スグマが四天王入れ替え戦に挑戦する以上、君達は任務に参加できない。まあ、成功したら君達の任務の内容も変わるだけでなく、裕福な展開も待っている。精々頑張りなよ」
クラウニアはその場から姿を消し、残ったのはシャンリー達だけとなった。
「言われてみればそうだな。よし、必ずスグマを四天王にする為にもアタイ等で支えようぜ!」
「そうね。ここで落ちこむ訳にもいかないし」
「何としてでもスグマを四天王にして、憎き朧丸達を倒そう!」
「「「ファイトー、オー!!」」」
シャンリー達は手を合わせてスグマを四天王にする事だけでなく、朧丸達を倒す事を誓ったのだった。
※
それから数日後、佳乃がいた保育園は思わぬ襲撃と保護者からの苦情によって閉園する事に。しかし、不破先生の証言により、先生達の指示に従わなかった園児達にも問題がある事が発覚されていた事が判明された。
「その保護者達も責任を問われる事になってしまい、自身の子供達の教育の見直しは勿論、教育に厳しい幼稚園へと転園させる事になってしまった。園児達にとっては自業自得かも知れないな」
新しくシャイニングウィングスに入ったフンドの説明に、朧丸達は驚きの表情をしていた。
「無理もないな。あれだけ騒動を起こせばこうなるが、保護者達にも責任が問われてしまうとはね……」
「いきなり奇襲されていたのは想定外だったし、私としても責任があるからね……」
「いや、佳乃姉ちゃんは悪くないよ。悪いのは指示に従わなかった園児達の責任だ」
「どういう事?」
朧丸の説明にキララ達は首を傾げながら疑問に感じる。
「先生の指示に従って行動していれば、彼等は怪我をせずに済んでいた。不破先生による証言がなかったら、今頃彼等はとんでもない子供に育っていただろう」
「確かにそうね。大人しく言う事を聞けばそんな事にはならなかったし、閉園によって園長夫妻と保育士達はそれぞれの保育園に転勤する事になった。どっちにしても皮肉としか言えないわね」
キララが納得したその時、来客が神殿に入ってきた。
「いらっしゃいませ、依頼ですか?」
「いえ、依頼ではないのです」
カリンの質問に来客がそう返した直後、佳乃はその来客を見て驚きを隠せずにいた。
「あっ!もしかして……不破先生!?」
佳乃が驚いた直後、不破先生改め光子は彼女に視線を移す。
「古川さん、私を貴方方のギルドに入れさせてください!」
「「「ええーっ!!??」」」
光子は一礼しながら懇願し、予想外の展開に朧丸達は驚きを隠せずにいたのだった。
ルータスを倒してフンドが仲間になりましたが、不破光子がシャイニングウィングスにやってきたという事態に!
果たして今後がどうなるのか!?




