プロレス大会の開催
今回はプロレスバトルです!
シャイニングウィングスはサルベルダという島にあり、そこは自然豊かで多くの野生動物も生息している。クレタ島ぐらいの大きさで、形は長方形ぐらいだ。
そんなある日、シャニスはシャイニングウィングスの現在の状況を確認していた。
「今、シャイニングウィングスは大きな神殿はあるとして……牧場、畑、採掘場、釣場、自然観察エリア、温泉、広場、ツリーハウス、自然のプール、トレーニングルーム、コロシアム、図書館がある。何か足りないのよね……」
シャニスは今の状況を見て何か足りないと感じていて、ジャンヌは疑問に感じる。
「何か足りないのですか?」
「ええ。プロレスでの戦いも多いとなると……そうだ!いい事思い付いた!」
「?」
シャニスが手を叩いてアイデアを思い付き、それにジャンヌが首を傾げた。
※
「「「プロレス大会!?」」」
神殿内部の祭壇では、シャニスからの宣言に朧丸達は驚きを隠せずにいた。
「ええ。朧丸達が来てからプロレスを皆が学ぶ様になり、既に上達している者達も続出しています。そこで、プロレス大会を開いて皆様の実力を試そうと思います」
シャニスの説明に皆がざわつく中、朧丸がこの提案に目を輝かせていた。
「俺は賛成です!プロレスができるのなら好都合ですし、これまで鍛えた成果を試されるチャンスです!」
朧丸の熱意にシャニスは微笑み、HARUKAやナツミもお互い頷く。
「ウチも実践は久々やから、やってみたい!」
「私もやりたいです!」
二人の参加する姿勢に佳乃達もお互い見合わせる。
「私も参加したい!」
「私も!」
「やってみたい!」
「私のパワーならいけるかも!」
「私もしたい!」
「ドラゴンパワーならいけるかも!」
佳乃、すみれ、アリアン、カルミナ、ベトラ、フレイヤも参加する意向を示し、キララ達も前に出る。
「私も参加します!」
「私もやる!」
「詠春拳を見せましょう!」
「面白そうね」
「僕もやる!」
他の皆も面白そうだと参加する意向を示し、キリカはため息をつく。
「これはしょうがないわね。じゃあ、参加します!」
「なら、決定ね!1週間後に開催するわよ!」
「「「はい!!」」」
シャニスの宣言に全員が答え、そのまま解散になった。
※
「まさかプロレス大会が開かれるなんて驚いたけど、朧丸さんは参加する気満々ですね」
神殿内部の食堂では、朧丸の本気の賛同にキリカは苦笑いしていた。
「だってプロレスをやれるチャンスなら、参加しなければ意味がないからな。シャニス様がくれたチャンスだからこそ、参加するのみだ」
朧丸の説明にHARUKAもウフフと微笑む。
「朧丸らしいね。ウチも実践をしていないし、やってみようと思ったの」
「私もこの世界に来てからプロレスの試合をしていないし、これはチャンスかもね」
HARUKAとナツミも笑顔で同意していて、佳乃達もウズウズと参加したい気持ちがあった。
「私達も参加したいし、パラダイスロックを披露するチャンスかもね」
「佳乃姉ちゃんも戦いたかったからな。けど、対戦カードはどうなっているのか気になるが……」
朧丸が苦笑いした後に考え込んだその時、マスターラビットがある事を思い付く。
「さっきジャンヌと話をしたのじゃが……バトルロイヤルをするとの事じゃ。出場選手についてはこちらじゃ」
マスターラビットは対戦カードを朧丸達に見せる。その出場選手はこうなっていた。
バトルロイヤルマッチ(オーバー・ザ・トップロープルール)
朧丸、古川佳乃、城山すみれ、HARUKA、澄川ナツミ、アリアン、ベトラ、カルミナ、キララ、ボニー、詠春、エリザベート、フレイヤ、ヒヨリ、キリカ、ジャンヌ、マリー
「まずは17人か……アメリカの大手団体であるワールドレスラーズでは、30人出ると聞いているぞ」
朧丸は出場選手のリストを見て、少し冷や汗を流しながら、アメリカの団体の事を思い出した。
「シャニスは主催者だから参加できないみたいじゃ。本当は参加したかったのじゃろう……」
「女神様が参加したら絶対にまずい予感がするからね……彼女を傷付けたらどう責任を取るかだけど……」
キララの推測に朧丸達は一斉に冷や汗を流してしまった。
「ともかく、私達で盛り上げないと!やるからにはいい試合だよ!」
「優勝したら何が貰えるのか気になるけど、皆には負けないから!」
「其の為にも鍛えないと!」
「その意気だ。レッスルヒーローズの底力、見せてやろうぜ!」
朧丸の掛け声に佳乃達は一斉に頷き、1週間後の試合に向けてトレーニングする事を決意した。
※
それから1週間後、コロシアムではメル達が観客席に座っていて、バトルロイヤルの開催を待っていた。
「私もでたかったな……」
「まあまあ、チャンスは来るから」
レイミは自身も出たかったと落ち込んでいて、プラムが苦笑いしながらレイミを慰める。
「そろそろだけど……あっ、カリン!」
メルが指差す方を見ると、カリンがリングアナとして観客席から姿を現し、コロシアムの中央にあるリング内に入ってきた。
「それでは、バトルロイヤルを開始します!選手入場!」
カリンの合図で音楽が鳴り始め、朧丸が入場口から最初に入ってきた。
(これがプロレスの大会……さあ、暴れまくるぜ!)
朧丸はダッシュで駆け出したと同時にジャンプし、前方宙回転をしながらリングに着地した。
「おお!ナイスリングイン!」
朧丸の入場に観客席から拍手が聞こえたその時、カリンがすぐに彼に視線を移す。
「異世界からの忍者、朧丸!」
「さあ、戦いの始まりだ!」
朧丸は歌舞伎のポーズで宣言した直後、次の音楽が鳴り響く。すると入場口からキララ、ボニー、詠春が駆けつけてきた。
「ファイティングキャット、キララ!」
キララはジーンズに赤い膝当て、黒いチューブトップと肘当てを着用していて、遠い距離からジャンプしてリングの上に着地する。
「ドッグガンマン、ボニー!」
ボニーは紫色のチューブトップと、デニムホットパンツというラフな姿をしていて、ダッシュで駆け出して普通にリングインした。
「ラビットカンフーガール、詠春!」
詠春は白いカンフー服をアレンジしていて、高くジャンプしてリングに着地した。
「それにしても、プロレスコスになると印象も変わってくるな……」
「まあね。こういうのも悪くないかも!」
キララが背伸びをしながら笑顔をした直後、別の音楽が鳴り響いてジャンヌ、HARUKA、ナツミも入場口から姿を現す。
「フランスの救世主、ジャンヌ!」
「京国のジャンヌ・ダルク、HARUKA!」
「ファンタジスタアイドル、澄川ナツミ!」
ジャンヌはプロレスコス、HARUKAとナツミはそのままの姿で普通にリングインしてきた。
「今度は誰やろか?」
HARUKAが辺りを見回したその時、次の音楽が鳴り響き、入場口からヒヨリとキリカが入ってきた。
「最強天才女子高生、ヒヨリ!」
「ヤッホーイ!」
ヒヨリは高くジャンプして宙回転し、リングの上に着地する。その姿は裸オーバーオールと変わっていなかった。
「ツッコミダンサー、キリカ!」
(まあ、ツッコミするからね……)
キリカは心の中で思いながら、普通にリングインする。彼女は白いキャミソールと金色のバングル、更にはジーンズを履いていた。
「まだまだこれだけじゃない!」
カリンが叫んだ直後に次の音楽が入り、佳乃、すみれ、アリアン、ベトラ、カルミナ、フレイヤ、エリザベート、マリーが入場口から一斉に入ってきた。
「心優しき天使、古川佳乃!」
「宜しくね」
佳乃はウインクしてリングインする。彼女はショートオーバーオールで、チューブトップと青いグローブだ。
「紅の極道、城山すみれ!」
「極道魂、お見せします!」
すみれはリングインして戦う意欲を見せる。衣装は水色袴と白いチューブトップだ。
「ドジっ子メイド、アリアン!」
「ドジっ子は気にしているんだから!」
カリンのコールにアリアンは頬を膨らます。衣装はメイド風のプロレス服だが、ボンテージスタイルだ。
「剛腕ドワーフ、ベトラ!」
ベトラは右腕を上げながら歓声に応える。衣装はオーバーオールスタイルだ。
「風のハーフエルフ、カルミナ!」
カルミナは一礼して笑顔で応える。衣装は緑のボンテージスタイルだ。
「ドラゴンガール、フレイヤ!」
フレイヤはジーンズとチューブトップのスタイルで、両手を上げながら歓声に応える。
「美しきヴァンパイア、エリザベート!」
エリザベートはいつもの服装をアレンジしていて、投げキッスでアピールする。
「メタモルフォーゼクイーン、マリー!」
マリーはチェックのチューブトップとジーンズでリングインし、礼儀正しく一礼する。
「以上17人が参戦します!それでは、準備はいいですか?」
カリンの合図に皆が頷く中、エンターブラザーズとコロナも姿を現す。
「始め!」
ゴングが鳴ったと同時バトルロイヤルが始まりを告げた。
「さあ、始まりました!実況と解説は何処でも駆け付けるエンターブラザーズがお送りするぞ!」
「俺達って何処でも呼ばれるんだよな……」
スリラーの実況にインパクトは唖然とした表情をしてしまう。
「先手必勝!」
皆が組み合っている中、ボニーがすかさずタックルを朧丸に仕掛けるが、彼は回避して彼女の腰を掴む。
「そう簡単にやられるか!」
「キャッ!」
朧丸はボニーを投げ飛ばし、そのままロープを超えてリング外に尻餅をついて落ちてしまった。
「いきなりボニー選手が脱落!」
「うえ〜ん!そんなの無いわよ〜!」
ボニーは大泣きしてしまい、残りは16人。するとキララがベトラに強烈な蹴りを顔面に当てる。
「そしてそのまま……キャメルクラッチ!」
キララはベトラにキャメルクラッチを仕掛けるが、逆に捕まってしまう。
「そうはさせない!」
ベトラは自身の肩の上にキララを仰向けに乗せ、顎と腿を掴み、自身の首を支点としキララの背中を弓なりに反らせ始めた。
「いだだだだ!」
「アルゼンチンバックブリーカー!ベトラならではの得意技だ!」
「隙あり!」
しかし、ナツミがすかさずドロップキックで蹴り飛ばし、その衝撃でキララは解放される。するとキララはトップロープを掴み、その上に乗ってスワンダイブ式のミサイルキックをベトラに喰らわせた。
「ガハッ!」
ベトラが倒れたところをキララがフォールし、その上にHARUKA達が抑え込む。
「1、2、3!」
「ベトラ脱落!残りは15人!」
「悔しー!」
ベトラはリングから降りて悔しさで地面を叩く中、試合は白熱の展開で盛り上がっていた。
※
その後も試合は続き、カルミナ、アリアン、フレイヤ、すみれ、ナツミ、マリー、ジャンヌ、キリカ、詠春、エリザベート、キララという順番に脱落してしまい、残るは朧丸、佳乃、ヒヨリ、HARUKAの四人となった。
「最初から一気に!」
ヒヨリは佳乃に組み付き、そのまま自分の利き手を相手の股間から差し入れるようにしてオーバーオールを掴み、もう片手は佳乃の首元を掴む。
「ボディスラムか!?」
「違う、あれは……」
ヒヨリはボディスラムで抱え上げている体勢から、そのまま自ら体を捻りながら横方向へ倒れ込み、そのまま佳乃を頭部から叩きつけた。
「ノーザンライトボム!そのままカウントが入り……スリーカウント!」
「痛い……悔しいよ……」
佳乃は涙を流しながらリングを降りてしまい、その直後にHARUKAがヒヨリをトップロープ超えで投げ飛ばした。
「しまった!」
ヒヨリは頭に地面から激突し、そのまま上半身が地面に埋まってしまった。
「脱落だけど、なんでこうなの!?」
「今、引っこ抜くからね!」
キリカのツッコミが炸裂する中、佳乃がすかさずヒヨリを引っこ抜き、ヒヨリは佳乃に背中を叩かれて口に入った土を吐く。
「完全にやられました……」
「私もやられたけどね。残るはあと二人、頑張れ、朧丸!」
佳乃の声援が朧丸に響く中、彼はHARUKAを掴んで投げ飛ばし、そのままリングコーナーに登り始める。
「終わらせてやる!」
そのままムーンサルトプレスが炸裂するが、HARUKAはコーナーポストに転がって回避してしまい、腹をリングマットに打ち付けられてしまう。
「ぐっ!」
「そこや!」
そこにHARUKAがダッシュして、朧丸の顔面に強烈な蹴りを入れる。これこそストライクショットだ。
「フォール!」
「1、2、3!」
そのままスリーカウント。優勝はHARUKAとなった。
「ストライクショットで見事勝利!優勝はHARUKAだ!」
歓声が鳴り響く中、HARUKAは倒れている朧丸を起こし、彼の頭を撫でる。
「まだまだやね。けど、朧丸は確実に進化している。もしかすると、プロレスラーになれるのも時間の問題かもね」
「えっ!?本当ですか!?」
朧丸が驚く中、佳乃達もリングに上がる。
「朧丸は実践で鍛えられた実力もあるし、最後まで懸命に戦ったからね」
「私達もいい刺激を与えたし、頑張らないと!」
「活躍できなかった分は次に生かさないとね」
「皆……」
佳乃達の笑顔に朧丸は微笑み、コロシアムの天井に視線を移す。
(初めての実践プロレスはあと一歩だった。けど、この経験は必ず糧にして、夢に向かって追い求める。真の忍者レスラーになる為にも……!)
朧丸は決意を固めながら、仲間達と共に天井を見上げたのだった。
間章は終わり、次回から新章の始まりです!