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レッスルヒーローズ  作者: バルクルーバー
第二章 花咲くロベリアの革命
30/48

革命の終焉

戦いが終わり、その後の話です。

「う……」


 ヘルバスは目を覚ますと、青い空が映り込んでいた。


「そうか……俺、負けてしまったのか……身体も……動かねえな……」


 ヘルバスは自ら負けを実感した直後、目から涙が溢れてきた。自身の身体はボロボロとなっていて、負けてしまったら消滅してしまう厳しい掟に従わなくてはならないのだ。


「ペルミラ……ルータス……スグマ……ナターシャ……シャンリー……俺は……ここまでだ……弱い俺で……本当に……ごめんな……」


 ヘルバスは涙を流しながら仲間達に謝罪し、そのまま光の粒となって消滅してしまった。残っていたのは大量の金貨とグラムだけとなった。


「ヘルバスが……!」


「負けたら消滅……それがシルバリズムの厳しい掟なのね……」


「ええ……」


「俺も最初に見た時は少し驚いたが、哀れとしか思えないな……」


 ヘルバスの消滅に誰もが言葉を失ってしまう中、エリザベートがグラムに視線を移す。


「最初は私にしようと思ったけど、HARUKAにあげるわ」


「えっ?ウチでええのん?」 


 エリザベートはHARUKAを指名するが、当の彼女はキョトンとしていた。


「ええ。私は大鎌があるし、あなたならピッタリだと思うわ」


「じゃあ、遠慮なく」


 HARUKAがグラムを回収すると、グラムは粒子化して彼女のスピリアに浸透。その直後に彼女は特典を確認する。


「特典は……あった」


 HARUKAはスピリアを起動させ、特典を選択する。すると、彼女の手元にグラムが現れたのだ。


「うん。ウチにピッタリかも!」


「そうね。ロベスピエール達は?」


 マリーが辺りを見回した直後、サンソンが駆け付ける。


「お疲れ様。ロベスピエールはこちらの手で逮捕させて貰ったよ。ここからは僕達で何とかするから」


「そうですか。ヘルバスは消滅し、ロベスピエールは捕まった。これで革命は終わりとなりますね……」


 朧丸が安堵のため息をついたその時、リングが消えてしまい、エンターブラザーズとコロナも帰ってしまった。


「また彼等は来るだろうな……」


「プロレスの試合となると神出鬼没ね……」


 エンターブラザーズ達の行動に朧丸は唖然とし、ボニーは苦笑いをしていた。


「じゃあ、任務を終えましたので、私達も戻ります」


「君達がいなかったら革命を終わらせる事はできなかった。本当に感謝するよ。報酬に関してはシャニス様に伝えておくから」


「分かりました。ロベリアの今後を楽しみにしています」


 朧丸達が一礼をした後、サンソンはマリーの前に跪く。


「女王陛下。陛下の思いを胸に……必ず生きてください」


「ええ。必ず……」


 マリーが笑顔で応えた後、彼女達は魔法陣を展開し、そのまま神殿へと転移しながら帰って行った。


「彼等ならこの世界を救う存在となりますし、我々はできる事をしましょう。ロベリアの未来の為にも」


「ああ。頼んだぞ、レッスルヒーローズ」


 サンソンとシュヴァリアは空を見上げ、レッスルヒーローズの活躍を心から願っていた。





「任務成功みたいだね。お見事だよ!」


 遠く離れた塔の上では、ヒヨリが笑顔で拍手をしていた。スクリーンには朧丸が映っていて、彼の繰り出す技に彼女は凄いと感じているのだ。


「ヒヨリ、朧丸にすっかり興味を持ったわね。」


 隣りにいるキリカは笑顔になっているヒヨリに声を掛けると、彼女は笑顔で頷く。


「うん!だってムーンサルトプレスだけでなく、飯綱落としまで繰り出すなんて凄いよ!それにピンチの瞬間をひっくり返したし、最高の一言にしか過ぎないよ!」


 両手をブンブン振り回しながら興奮するヒヨリに、キリカは苦笑いをするしかなかった。


「実力も凄いみたいだし、そろそろ会いに行く?」


「そうだね。彼となら興味ありそうだし、シルバリズムのトップランクの戦士を倒したんだ。これからは僕達も彼等と共に戦おう」


「そうね。後、夢の中に入った事は謝るようにね」


「うへー……あれ、覚えていたの……謝るから勘弁してよ……」


 キリカの指摘にヒヨリは口を3の字にしながら不貞腐れるが、すぐに魔法陣を展開する。


「さっ、会いに行きましょうか」


「そうだね。楽しみだな〜」


 キリカとヒヨリは朧丸に会えるのが待ちきれなくて興奮する中、彼女達は朧丸達の拠点である神殿へと転移したのだった。





 シルバリズムのアジトにある会議室。そこにはルータス、ペルミラだけでなく、筋肉質の男のスグマ、眼鏡をかけている女性のナターシャ、金髪のカンフーガールのシャンリーの姿もいる。どうやらヘルバスがやられた事でシルバ6の緊急会議が開かれているのだ。


「おいおい、どういう事だよ。何で俺達が集められているんだよ」


 トップランク5位のスグマは、なんで自分達が集められている事に不満を感じていた。


「4位のヘルバスが朧丸にやられたそうよ」


「あいつがやられたのは想定外というか、朧丸はアタイ等の想像を超えたからな……」


 ナターシャとシャンリーの説明に、スグマは驚きを隠せずにはいられなかった。


「馬鹿な!俺達シルバ6が負ける筈はない!何かの間違いだ!」


「間違ってなんかいないよ」


「ルータス!」


 スグマが必死に否定するが、ルータスは肯定していた。いや、どっちかと言えばせざるを得なかっただろう。


「ヘルバスが負けたのは彼を甘く見ていたからだ。執念も彼の方が上手で、僕達からしたらかなりの強敵と言える。恐らくシャニスによる切り札の可能性もあり得るだろう」


「ルータスの言う通りだ。スグマ、いい加減現実を見ろ。ヘルバスはもういない。朧丸はかなりの強敵で今のアタイ等では苦戦するのは確定だ」


 ルータスとシャンリーの説明に、スグマは拳を震わせながら、認めざるを得なくなった。


「確かにそうだ。しかし、このまま奴を放っておいていいのか!?お前等は仲間を殺されて悔しくないのか!?」


「悔しいに決まっているだろ!僕だって戦いたいのに、四天王の奴等はさっぱり分からない!一体何がしたいんだよ!!」


 ルータスは拳でテーブルを叩き、何もできない悔しさで身体を震わせていた。その様子を見たスグマも何も言えなくなった。


「悪かったな……けど、四天王の奴等からの通達はない以上、勝手な行動をしたら怒られるな。だったら入れ替え戦に挑むしかないな」


 スグマは席を立ち、入れ替え戦に向けてその場から立ち去った。


「あいつは相変わらずだよ。僕は僕で好きにするから」


 ルータスも去ってしまい、残るはシャンリー、ナターシャ、ペルミラの3人になってしまった。


「ったく、あいつ等は……しかし、ヘルバスの死でまさかこんな事になってしまうとはな……」


「ええ……一番辛いのは……」


 シャンリーとナターシャの視線の先には、俯きながら涙を流しているペルミラの姿がいた。彼女にとってヘルバスは大切な存在であり、親友でもあったのだ。


「ペルミラ……死んでしまった人はもう帰らない。その事は分かっているでしょ?」


「ええ……けど、彼奴だけは絶対に許せない……エリザベートの奴、とんでもない味方を連れてきてくれたわね……」


 ペルミラは涙を拭い、ヘルバスを倒した朧丸に憎しみを持つ。エリザベートにも仕返しをされた恨みがあり、必ず倒すと誓ったのだろう。


「無理もないな。次の指示についてはまだだが……」


 シャンリーが言い切ろうとしたその時、シュンリが彼女達の目の前に姿を現した。


「シュンリさん!」


「シルバ6のヘルバスがやられたのは予想外だったわ。朧丸については私達も誤算していたからね」


「ええ。お陰でルータスは好きにしていて、スグマは四天王の座を取りに行くと」


 シャンリーの説明にシュンリはため息をつく。


「そう……それならテツジが受けると言っていたわ。四天王入れ替え戦はテツジとスグマの対決となるわね」


「何れにしてもこの戦いはどうなるかですね。指示についてはどうでしょうか?」


 ペルミラの質問にシュンリは任務表を確認しはじめる。


「今のところは無いわ。また何かあったら伝えておくから。それじゃ」


 シュンリはその場から立ち去り、ペルミラ達は顔を見合わせ始める。


「今はないか……あいつ等がどう行動するかだが、今はスグマが四天王戦にどう挑むかだ」


「確か……消滅覚悟のデスマッチ形式と言っていたわ」


「「へ!?」」


 ナターシャの説明にペルミラとシャンリーは驚きを隠せずにいた。


「消滅覚悟……何故!?」


「スグマはテツジに2度も負けてる以上、消滅覚悟で彼に挑むと言っていたわ。しかも、試合形式はデスマッチのプロレス。彼なりの覚悟で挑むって……」


「あいつ、そこまでやるとは……なら、やるべき事は一つだな」


 シャンリーは決意を固めたと同時に、ナターシャとペルミラに視線を移す。


「アタイ等でスグマを支えようぜ。彼が四天王になる為にも、そして、シルバリズム内に革命をもたらす為にも……!」


「やろう!私達で!」


「そうね。それが今、私達にできる事。ルータスはどうしているのか気になるけど」


「そうだな。早くスグマの元に行こうぜ!」


 シャンリー達は急いでスグマをサポートする為に、彼の元へと向かい出した。





 ルータスは一人外を歩いていて、青い空を見上げていた。


「ヘルバスの奴……約束したのにな……」


 ルータスがヘルバスの死に涙を流したその時だった。



「おやおや。仲間の死で泣いている一面があるとはね」


「その声……!」



 ルータスが涙を払って声のした方を見ると、一人の道化師が姿を現した。


「クラウニア!お前、何しに来た!?」


「僕はただ君の事を見に来ただけだよ。それよりもヘルバスが死んでしまったみたいだね。まあ、気持ちは分からなくもないけど、ホンゴウ様はお怒りのようだぞ」


 クラウニアからの忠告に、ルータスは黙り込んで何も言えなくなる。


「君も彼等に敗北したら、消滅する事は分かっているよね?」


「分かっているよ。けど、僕は生前虐待した両親へ復讐する事を決意している。しかも、彼等は僕と同じ世界出身。なら丁度いい……」


 ルータスは拳を握りしめながら決意したと同時に、クラウニアの方を向く。


「クラウニア、付き合ってもらうよ。僕の両親を殺す事を!」


「やっぱり君ならそう言うと思ったよ。ホンゴウ様には特別任務として伝えておくから。それじゃ」


 クラウニアはその場から転移し、ルータスは決意の表情で再び空を見上げる。


(もうすぐだ……もうすぐで僕の悲願が達成される……それまで死んでたまるか!)


 ルータスはすぐにその場から走り去り、悲願達成の為に死なない事を決意した。





 さて、その後のロベリアはどうなったかと言うと、裁判によってロベスピエール達は死刑判決が下され、広場での処刑が行われようとしていた。


「ロベスピエール、今度はお前の番だ!」


 ロベスピエールは処刑台の上に上がり、ギロチンに載せられてしまう。


「私は生前と同じ最期を味わう事になるのか……私は……またも間違えていたのか……」


「ロベスピエール、覚悟!」


 ギロチンの刃が降ろされた直後、ロベスピエールの首は切断された。そしてシュヴァリアが首を掲げた直後、民衆は大歓声を上げていた。


(ロベリアの革命は幕を閉じた。陛下、あなたの無念を晴らしました!)


 サンソンは笑顔で空を見上げ、心の中で天国にいるルイ16世に呼びかけた。

 ロベスピエール達の処刑によってロベリアの革命は終わりを告げられ、シュヴァリア達の政策によってロベリアは安寧の時代を築かれるのだった。

ロベリアの革命は終わりを告げ、第2章も残るは後1話です!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ヘルバスくん消滅してしまいましたね。負けたら消滅というのは大変ですね。スグマとテツジもプロレスデスマッチするんですね。楽しみです。 [一言] ロベリア編も後1話ですか。寂しいです。ヒヨリち…
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