ヘルジスへの突入
第二部も終盤に入ります!
ルイ16世の処刑から翌日、サンソンは朧丸達を連れて議会部屋の扉を開こうとしていた。
「ここに彼等がいる。この革命を終わらせる議員達だ」
「ロベリアはジャコバンズだけでなく、他にも派閥がいるのですね」
「彼等はベルクスと言って革命を終わらせるだけでなく、国民主権、人権の尊重の2つを大事にする信念を持っている。今、開くぞ」
サンソンが扉を開くと、そこには多くの議員達がいて、女性の議員も10人ぐらいいた。
「お待たせしました。彼等がレッスルヒーローズです」
「リーダーの朧丸です。宜しくお願いします」
朧丸が一礼し、議員の一人が彼に近付く。
「私はシュヴァリア。ベルクスのリーダーだ。我々はジャコバンズにいたが、国王を処刑するロベスピエールのやり方に耐え切れずに脱退し、ベルクスを設立した」
「ジャコバンズにも派閥があったとは予想外でした。他にも彼等のやり方に反発する人達もいるのですか?」
「他にもあるが、それよりも作戦だ。オットリア」
「はっ!」
シュヴァリアの合図でオットリアはスピリアからスクリーンを出し、作戦の映像を見せる。
「明後日、ロベスピエールは住民達に対して宣言をしてくる。そこに我々が突撃して奴等を倒すという事だ。住民達にも事前に説明し、一斉攻撃を行う」
「なるほど。総攻撃という事ですね」
シュヴァリアの説明に朧丸達は納得の表情をするが、オットリアは次の映像を見せる。
「ただし、ヘルバスがいる限りは油断できません。グラムという特典を持っています」
「北欧神話の魔剣か……そうなると朧丸がいけるんちゃう?エクスカリバーとカリバーンを持っているし」
「確かにいけますが、俺は特典はこれ以上必要ないですね」
オットリアの説明にHARUKAが朧丸に質問するが、彼は苦笑いしながら解答する。エクスカリバーとカリバーンがある以上、特典はこれ以上必要ないと判断したからだ。
「じゃあ、すみれは?」
「うーん……洋剣は流石に……」
佳乃はすみれの方を向くが、彼女も苦笑いで否定する。
「他はどう?」
「あっ、私は欲しいかも」
なんとエリザベートが手を挙げ、全員が彼女に視線を移す。
「エリザベートはグラムに興味があるの?」
「興味ないけど、護身用の武器を手に入れるのならチャンスだからね。回収は私がするわ」
「じゃあ、エリザベートに回収をお願いするわ」
ベトラはエリザベートに頼み込み、彼女は笑顔で頷いた。
「さて、彼等が来る時刻だが、恐らく10時ぐらいには来るはずだ。しかし、もう一つ方法がある。それは奇襲作戦だ」
「確かヘルジスという監獄に潜入し、ロベスピエール達を殺すのですね」
「そういう事だ。しかし、奇襲するとしても奴等は何を仕掛けてくるか分からない。もしかするとそれ以前に襲い掛かる事もあり得る」
シュヴァリアの推測に議員達も同意するが、マリーが手を挙げる。
「その事だけど、私に策があるわ!ヘルジスに潜入する方法が一つだけあるの」
「何かあるのか!?」
マリーの宣言に全員がざわつき始め、シュヴァリアが彼女に質問する。
「ヘルジスの構造をカルミナちゃんと共に調べたけど、後ろの方に勝手口があり、そこは警備も薄くて誰も知られていない。そこから入って奇襲したら上手くやれるわ」
「なるほど。逮捕については我々に任せてくれ。今からでも潜入すれば遅くないだろう」
「そうと決まれば早速やりましょう!皆、行くわよ!」
「「「おわっ!?」」」
マリーは朧丸達を連れて、そのままヘルジスへと向かい出した。
「やれやれ。サンソン君も生前は大変だったね」
「ええ。本当に苦労しましたが、今は彼等が苦労していますね」
シュヴァリアとサンソンはマリーの行動に苦笑いしつつ、議員達は唖然とするしかなかった。
※
その後、朧丸達はマリーの案内でヘルジスの勝手口の前に辿り着き、ボニーはすぐに鍵を開ける。
「ボニーお姉ちゃんは鍵を開けるのが得意なの」
「こういうのもお手の物よ!さっ、入るわよ!」
ボニーを先導に全員が基地内に入り、そのまま奥に入ると、そこには党員達が歩いているのが見えた。
「間違いないわ。これはビンゴ!」
すかさずボニーが党員達の後頭部に銃弾を貫き通し、更にはもう一発の銃弾を警報器に当てて、警報を鳴らし始める。
「警報鳴らして何の意味が!?」
「決まっているでしょ?党員達を倒しまくるのよ!」
党員達が次々と出てきてしまい、ボニー達はすかさず戦闘態勢に入った。
「スナイプショット!」
ボニーの銃から銃弾が次々と発射され、党員達のおでこを次々と貫通して倒してしまう。
「私も負けられない!キラークロー!」
キララも負けじと乱れ引っ掻きのクローで、党員を次々と切り裂いて倒していく。
「回転脚!」
詠春も回し蹴りで次々と党員達を倒し、フレイヤが縄を投げて次々と縛り上げる。
「党員の数は……あと400!」
キララが党員の残り人数を確定し、党員達が次々と出てくる。
「ここは私達もやるわ!バーニングタックル!」
「そのまま喰らいなさい!」
フレイヤが炎を纏ったタックルで党員を弾き飛ばし、ベトラが強烈なアックスの一撃で次々と薙ぎ倒す。
「私も!シャインボール!」
「連続射撃!」
アリアンとカルミナのコンビプレーも炸裂し、残るはあと200人だ。
「余程恨み溜まっていたな……早く先に……って、お前等もかァァァァァ!!」
朧丸が視線を移すと、なんと佳乃はカタールで突き刺し、すみれは番傘で殴りまくり、HARUKAとナツミはプロレス技で壁に叩きつけ、エリザベートはダークスラッシュで切り裂き、党員達を次々と倒していたのだ。
「皆、恨みが溜まっていたのね」
「恨みがあったとしても、流石にここまでするか……?」
マリーが苦笑いする中、朧丸は佳乃達の行動に項垂れるしかなかった。
「うむ。彼女達はジャコバンズに対する恨みが溜まっていたのだろう。わしとしては仕方が無いと思うが」
「仕方が無いで済む問題ですか!」
朧丸がツッコむ中、残る党員はあと一人になった。
「逃さないわ!メタモルフォーゼ!」
マリーは姿を変えて狼となり、党員の一人に飛び付いて頭に噛みつく。
「ギャアアアアア!!」
党員は悲鳴を上げて倒れてしまい、マリーは元の姿に戻って手を叩く。
「マリーさん、あなたもですか?」
「我慢できなくなっちゃった」
「まったくどいつもこいつも……ともかく、この状態だとヘルバス達が出てくるかも……」
朧丸が辺りを見回したその時、ヘルバスとロベスピエールが姿を現す。
「騒がしいと思ったら……まさかお前らだとはな」
「ヘルバス、ロベスピエール!」
二人の姿を見た朧丸は戦闘態勢に入り、佳乃達は魔法陣を発動させ、倒れている党員達をサンソン達の元に転送した。
「党員達は全滅。残るはアンタ等や」
「やってくれるじゃねえか。けどな、俺はそう簡単にはいかないぜ」
ヘルバスがグラムを構えて朧丸に立ち向かい、彼も忍者刀を構えて戦闘態勢に入る。
「エクスカリバーとカリバーンは使わないのか?」
ヘルバスは朧丸がエクスカリバーとカリバーンを使わない事に疑問に感じるが、彼はニヤリと笑っていた。
「俺は特典は使わなくても、この忍者刀でアンタを倒す。それだけだ」
「そうかよ。思い通りにしてやる!」
朧丸とヘルバスは忍者刀とグラムをぶつけ合い、火花を飛び散らしながら激しい戦いを繰り広げる。
「私は逃げるから後は頼むぞ!」
ロベスピエールが逃げようとするが、マリーが素早く彼の前に立ちはだかる。
「そうはさせないわ!」
「丁度いい。貴様も殺してくれる!」
ロベスピエールはピストルを取り出してマリーを狙い撃とうとするが、カルミナが彼の右肩に弓矢を放って直撃させる。
「グッ!?」
「炎の波動!」
ロベスピエールが激痛を感じた直後、マリーは炎の波動を発射し、ピストルを燃やして爆発を起こした。
「ギャアアアアア!!」
ピストルの爆発でロベスピエールは怪我をしてしまい、マリーはそのままロベスピエールの背後から両腕を回して腰をクラッチし、そのまま後方へと反り投げた。
「あの技は!?」
「ジャーマンスープレックス!!」
「ガバラァァァァァァ!!」
ロベスピエールは脳天を床に直撃してしまい、そのまま失神してしまった。
「私の大切な人を殺した罰よ。後はロベリアの皆に裁かれなさい」
マリーはすぐに魔法陣を展開し、ロベスピエールをサンソンの元に転送した。
「ヘルバス、残るはあなただけよ」
「チッ、とうとう俺一人になってしまったか!」
ヘルバスは朧丸から離れた直後、そのまま彼を指差す。
「どうせなら一騎打ちで決着を着けようぜ。プロレスの試合でな!」
「良いだろう!この勝負、受けてやる!」
ヘルバスからの宣戦布告に朧丸は承諾したその時、ヘルジスから突然爆発警告が発せられる。
「ヘルジスが爆発するのか!?」
「どうやらロベスピエールがやられた事で爆発する仕組みになっている。ここは脱出するぞ!」
ヘルバスはすかさず魔法陣を展開し、その場から一斉転移。そしてヘルジスは大爆発を起こし、大空に舞う塵となってしまった。
※
朧丸達はヘルバスの手によってシャルワルザへと転移し、爆発して粒子化したヘルジスを見つめていた。
「ヘルジスは滅び……残るは一騎打ちだな」
朧丸はヘルバスを睨みつけ、彼はすぐにリングを召喚してプロレスコスに姿を変える。
「プロレスで決着だ。ルールはノーDQルールだ」
「反則無しの戦いか……いいぜ、その勝負は一度やってみたかったからな」
朧丸とヘルバスはリングに上がり、佳乃達はこの光景に息を呑み始める。
「ノーDQか……レフェリーが危険と判断した場合以外、どんな攻撃でもいいんですよね……」
佳乃はHARUKAに質問し、その内容に彼女は頷く。
「そう。凶器攻撃もありやから荒れた展開になるのは間違いあらへん。けど、セコンドも攻撃できるから、ピンチの時は助太刀するで」
HARUKAの説明に佳乃達が頷く中、机が地面から姿を現し、エンターブラザーズとコロナも姿を現す。
「さあ、プロレスの試合が始まるぞ!今回の試合は朧丸VSヘルバスのノーDQルールだ!」
「実況と解説は俺達エンターブラザーズが務めるぜ!コロナ、レフェリー宜しくな!」
「任せて!」
コロナはすぐにリングに向かい、エリザベート達は彼女達を見てお互い顔を見合わせる。
「この人達、何時でも何処でも姿を現すし、何時もなら何をしているのかしら?」
「さあ……私にもそこまで……」
エリザベートの質問にすみれが唖然とする中、ナツミがスリラーの隣に誰かがいるのを見かける。
「あれってシュヴァリアさん?」
「嘘!?なんでスリラーさんの隣に!?」
ベルクスのリーダーであるシュヴァリアが、なんとスリラーの隣にいたのだ。
その事にナツミ達が疑問に感じる中、彼は彼女達に視線を移す。
「おお、君達か。実は突然スリラー達に呼ばれてしまってね」
「そ、そうですか……でも、プロレスのゲスト解説は大丈夫ですか?」
「心配無用。こう見えても私はプロレスファンなのでね。プロレスの事なら知り尽くしている」
ナツミの質問にシュヴァリアは自信満々に答え、スリラーとインパクトは驚きの表情をする。
「おお。見事な解説を期待します!」
「任せなさい。さて、試合はどうなるのか見せてもらおうか!」
シュヴァリアはリング上にいる二人に視線を移し、朧丸とヘルバスはコーナーに戻る。
(ヘルバスはシルバリズムのトップランク4位で四天王候補と言われている……それだけの実力があるのなら、俺は負けられない!)
朧丸は決意の表情でヘルバスに視線を合わせた直後、試合の開始を告げるゴングが鳴り響いたのだった。
ロベスピエールを捕まえ、いよいよヘルバスとの決戦!
ノーDQルールは危険なルールですが、果たしてどうなるのかに注目です!




