夢の中での出会い
今回から第2章が始まります!!
「ん……」
朧丸は目を覚ますと、そこは歪んだ空間で、彼はタイルの床の上に座っていた。
「あれ?俺は寝ていた筈なのに……」
朧丸が起き上がったその時、先程スグリューの屋敷を探索した女子高生が、彼の身体の上に乗っかって抱き着いてきた。
「君が朧丸。本名は近藤龍二だね」
「お前は誰だ?というより、いきなり抱き着くか!?」
女子高生は朧丸を強く抱き締めていて、右肩に顎を乗せて、両腕を背中に回しながら右手で彼の頭を撫でていた。
「ごめんね。僕はヒヨリ。津村日和で転生者。シルバリズムとは敵対関係なんだ」
「えっ!?転生者の中にはシルバリズムを憎んでいる者もいたのか……」
ヒヨリの自己紹介に朧丸は驚きを隠せずにいた。
「僕は相手の夢の中に入り、イタズラなどをする事が特典なんだ。因みに魔術剣士として活動していて、プロレスも勿論やっているよ」
「ヒヨリもプロレスをやっていたのか」
「うん。ムーンサルト・プレスも簡単だよ。朧丸もムーンサルト・プレスを練習しているみたいだけど、諦めなければ必ずできるし、忍者である君ならできるよ!」
「励ましの言葉、ありがとな」
朧丸はヒヨリの頭を撫で、彼女は嬉しそうな表情をする。
「それよりも……オーバーオールが可愛くてとても似合うな」
「えへへ。僕のお気に入りなんだ。制服さえオーバーオールにすれば気分も爽快なのにな……」
ヒヨリはオーバーオールを引っ張りながら笑顔になるが、その直後に不満な表情をする。
「確かアメリカではオーバーオールを制服にしていた学校があったと聞いていたな……」
「その高校が日本にあれば良かったのにね。自由を認めさせて欲しいな」
(いや、色々アウトが増えるからな……)
ヒヨリは口を3の字にしながら不満な顔をしていて、朧丸は唖然としていた。
「後、なんで裸オーバーオールなの?」
「ああ。この方がとても似合うし、素肌で感じるのが好きなんだ。君の温もりも暖かくて気持ちいいよ」
「うわっ!?」
ヒヨリは朧丸を自身の胸に埋め込み、そのまま彼の頭を撫でまくる。
「スキンシップも程々にしてくれよ……苦しい……」
「ご、御免!」
朧丸が苦しい事に気付いたヒヨリは、慌てながら彼を胸から引き剥がす。
「色々話したい事はあるけど、時間がないみたいだね。最後に次の戦いを教えてあげるよ。シルバリズムは次の転生者を繰り出す。その転生特典はグラム、カタール、カリバーンの3つ。なお、転生偉人はフランス革命のジャコバン派。君なら知っているよね?」
「ロベスピエールか。確かマリーさんを処刑した……」
「そう。彼は革命を起こしてとんでもない事を仕出かしているの。僕もこの事については危険視しているし、必ず奴等を止めて欲しいんだ!」
「任せてくれ!必ず阻止してみせる!」
朧丸の強い決意にヒヨリは微笑む。
「君ならそう言うと思ったよ。僕は当然君の事を信じているよ。今は仲間になれないけど、ある程度進めば仲間になるから。その日まで待っててね」
「ああ。必ず約束する!」
「いい子だね。じゃあ、お願いね」
ヒヨリが笑顔で朧丸を強く抱き締めた直後、二人はそのまま光りに包まれた……
※
「ん……」
朧丸は再び目を覚ますと、そこは自室で太陽の光が差し込んでいた。
「夢だったのか……けど、あの夢が本当なら話すつもりだけど、また何処かで出会えるかな?」
朧丸はベッドから降りた後、いつもの服に着替えて顔を洗い始めた。
※
「えっ?夢の中で次の敵を教えてくれた?」
神殿の広い食堂で、朧丸が話してくれた夢の内容に、佳乃達は驚きを隠せずにいた。
「ああ。ヒヨリという女子高生から教えて貰った。シルバリズムはグラム、カタール、カリバーンの転生特典を持つ3人を用意しただけでなく、更には転生偉人のロベスピエールもいる事を聞いたんだ」
「ロベスピエール……もしかしてフランス革命のジャコバン派の……」
「かなりとんでもない奴よ」
全員が声のした方を見ると、マリーが食事を持ちながら朧丸の隣に座る。
「マリーさん!」
「彼は生前、フランス国民のために立ち上がったけど、あまりの酷い暴君で多くの人が処刑された。何もしてない人達まで処刑するのは酷過ぎるし、私も無実の罪で……」
「処刑されたという事ね。それにしても、ロベスピエールもこの世界に転生したという事は、とある場所で革命を起こしていたりして」
「その可能性もあり得るわね……」
マリーの説明にフレイヤが意見を述べ、エリザベートも真剣な顔で推測する。
「少なくとも奴等と戦わなければならないか。取り敢えずそれ等の関連のクエストが出るまでは、トレーニングやクエストに挑んだりして頑張ろうぜ」
「そうね。シャニス様から話があるかも知れないし。早く食べましょう」
朧丸の提案にマリーも同意し、彼等は朝食を食べ始める。
「ところで……そのヒヨリはどんな子なの?」
佳乃の質問に朧丸はドキッとしてしまい、エリザベート達も彼に視線を移す。
「ああ。彼女は津村日和。女子高生の転生者だが、シルバリズムとは敵対している。夢の中に入る事を特典としていて、魔術剣士として活動している」
「魔術剣士か。味方になれば心強いわね」
朧丸の説明にベトラはヒヨリの事を感心する。シルバリズムと敵対してるのは勿論、戦闘力も高い為、味方になれば心強い存在となるからだ。
「プロレス技も修得しているが、彼女はオーバーオールを着るのがとても好きで、スキンシップも大好きなんだ。夢の中でも俺に抱き着いてスリスリしていたからな……」
朧丸の更なる説明に全員が佳乃の方を見る。
「何?」
「佳乃と同じ行為をするから、似ているんじゃないかな……」
「確かに言われてみればそうかも……」
「まあ、そうなるわね」
すみれの指摘に佳乃は赤面してしまい、ボニー達は苦笑いをしていた。
「で、服装は?」
「裸オーバーオールで巨乳だった」
「私と同じね。けど……」
フレイヤは自身の胸の大きさを見て、思わずため息をついてしまった。
「落ち込まないの。元気出して」
(アリアンも大変ね……)
アリアンはフレイヤの頭を撫でて慰めていて、カルミナはこの光景に苦笑いをしていた。
「他には?」
「自身の胸に俺の顔を埋めさせ、そのままよしよしと……あれは苦しかった……」
朧丸の説明に佳乃は目を光らせてしまう。
「朧丸、後で私もやらせてあげるからね。今までやった事ないでしょ?」
「いや、流石に勘弁してくれ。これ以上やったら今日のクエストに影響が走るから!」
佳乃の笑みを見た朧丸は手を合わせながら、必死に懇願してしまう。
「確か今回は山賊狩りみたいね。じゃあ、クエストの終わりにしてみたら?」
「いいね!それ採用!」
「マジでやるのかよ……」
すみれの提案に佳乃は喜ぶが、朧丸はガックリと項垂れてしまい、HARUKA達は哀れな目で見つめるしかなかった。
※
それから数日後、シャニスは朧丸達レッスルヒーローズだけでなく、マリーも呼び出していた。
「先程新たなクエストが発令されました。今回の任務はロベリア王国の革命騒動を終わらせる事です」
「ロベリア王国といえば、確か中世のフランスを元にしていた……」
「そう。そこではロベスピエールによって革命が行われていて、シルバリズムも全面協力しているとの事です」
「やはりか!この革命には裏があると思っていたぜ」
シャニスの説明に朧丸は冷や汗を流しながら、真剣な表情をする。
「まずは革命の八端はロベリア王国での王族と貴族の無駄遣い、転生者達に対する出兵で経済的大ピンチに。そこで貴族達からも税を出す事になり、それが切欠で課税に対する対策会議が行われました。しかし、王族、貴族、平民の身分別で会議をする事になったのです」
「確かにロベリアは王族、貴族、平民という身分差別があるし、それによって住民達は反発していますね」
シャニスの話にマリーも真剣な表情で同意する。
「そこにロベスピエールとシルバリズムが姿を現して住民達の味方になり、ジャコバンズが結成されてしまったのです」
「フランス革命でもジャコバン派が結成されていましたからね。中には派閥もいたとか」
「テルミドールも其の内の一つですからね」
ジャコバンズの誕生にナツミが意見を出し、朧丸が補足しながら説明する。
「ジャコバンズは牢獄から奴隷や囚人達を解放させ、彼等を戦力に。議会もこれを聞いて人権宣言を発表し、王族に認めさせますが、これを王は認めなかったのです。それによって革命は激しくなり、王族の敗北と同時に戦いは終わりを告げました……しかし、ここからが本題です」
シャニスはウインドウを起動させ、とある映像を見せる。
「裁判ですね……」
「はい。ロベリア国王は乱を招いたとして死刑判決を受けてしまいました。しかも、不当な取り調べで……」
「そんな!」
「いくら何でも酷過ぎるよ!これがロベリアの……いや、ジャコバンズのやり方なの!?」
シャニスの説明にナツミ達は驚き、ベトラは怒りを滲ませながら反論する。
「無理もないだろう。貴族による贅沢や度重なる出兵が原因でこの様になった。しかし、処刑はやりすぎなのでは……」
「ええ。ジャコバンズは自らの名声の為、国王の処刑を実行しようとしています。しかも、今日です!」
「「「今日!?」」」
ジャンヌの説明に朧丸達は一斉に驚きを隠せず、シャニスは話を続ける。
「ええ。この判決で住民達の間ではジャコバンズを指示する者と指示しない者もいますし、処刑はやり過ぎで罪を償うだけでいいと住民一揆が起きました」
「その殆どが、ジャコバンズを離脱したメンバーを中心としているのですね」
「はい。しかし、ジャコバンズの虐殺で多くの死者が出ました。このままだとロベリアは大パニックになってしまいます」
「そこでこのクエストが出たのですね。朧丸、皆、これ以上彼等の野望を止める為にも、私達で頑張りましょう!」
「そうですね。このクエスト、受けましょう!」
マリーの意気込みに朧丸はクエストを受理。佳乃達も同じ気持ちだ。
「クエスト受理完了しました。お忘れ物は?」
「事前に準備しておいたで」
HARUKAはナツミ達の方を指差すと、彼女達は既に準備を終えていた。
「では、必ず無事に帰る事を願っています。お気をつけて」
「必ず生きて帰ります!全員出動だ!」
「「「おう!!」」」
朧丸達は集まったと同時に、スピリアを起動して魔法陣を展開。彼等はロベリアに向けて転移したのだった。
※
同時刻、この様子をヒヨリが水晶玉で見ていた。
「いよいよだね。頑張れ、朧丸!」
ヒヨリが朧丸に向けて声援を送る中、踊り子の少女が駆け付けてきた。
「ヒヨリ、そんなに朧丸が気になるの?」
「あっ、キリカ」
踊り子の少女は工藤霧香。ヒヨリの幼馴染で彼女と共にこの世界に転生。銃の特典を持つ心優しき女子高生だ。
「うん。彼はこの世界を救う最大のキーマンだからね。僕としても気になるし、もしかしたら……シルバリズムの総大将も倒せると思う」
「シルバリズムの総大将……ホンゴウの事ね。あいつもまさかこの世界に転生するなんて……」
キリカは怒りの表情で空を見上げる。どうやらヒヨリとキリカは生前、ホンゴウと何かあったのだろう。
「彼はこのシャンバラを自らの思い通りにするけど、もしかするとこの展開には裏があると思うんだ」
「彼を転生させた神様ね。あいつのやり方は気に喰わないし、何が何でも阻止させないと!」
「そうだね。いずれ僕達も彼等の元に合流し、共にホンゴウを倒すんだ!もう、あいつのやり方にはウンザリだ!」
ヒヨリが駆け出そうとするが、キリカが彼女のオーバーオールの肩紐を引っ張って止められてしまう。
「何するの?」
「ヒヨリは猪突猛進だからそれが悪い癖なの。この前、朧丸の夢の中に入ってスキンシップしていたでしょ」
「うっ!?なんで知っているの!?」
キリカの指摘にヒヨリは思わず冷や汗を流してしまった。
「あなたはいつも特典を使ってイタズラばかりしているからでしょ。しかも、自らの巨乳で朧丸を胸の中に埋めさせたし。私はあなたの行動を見逃せないからね」
「うう……ごめんちゃい……」
キリカの更なる指摘にヒヨリは縮こまってしまい、思わず謝罪の言葉を口に出してしまった。
「彼に今度会ったら謝っておく事も忘れない様にしましょう。私も一緒に行くから」
「うん……」
キリカはヒヨリの頭を撫でながら落ち着かせた後、二人はそのまま何処かに行ってしまった。
夢の中での少女は女子高生と判明。彼女の仲間もいますので、この作品のキーポイントになると思います!




