チームの結成
今回で第一章が終わります!
神殿へと帰還した朧丸達を待っていたのは、シャニス、カリン、カレン、メルの4人であり、メルに至ってはいつもの服であるオーバーオールを着ていた。
「皆さん、お帰りなさい!」
「只今戻りました!」
朧丸が笑顔で答えた直後、メルが佳乃に抱き着いて嬉しさ全開となっていた。
「よしよし。甘えん坊さんね。それで他の皆は?」
「はい。私達は酪農、農業、料理担当の3グループに分かれて行動しますが、2名が佳乃さんと共に戦う事を志願しています。今、訓練を終えたばかりなので休んでいますが」
「そうか。それなら私が色々教えておかないとね」
「お願いします」
メルが笑顔でお願いする中、すみれは嫉妬の表情で頬を膨らましていた。
「すみれ、もしかして嫉妬?」
「別にそんなんじゃないから……」
すみれが横を向いた直後、メルが佳乃から離れてすみれに近付く。
「あの、すみれさん。実は私の仲間の一人が、あなたの戦い方を教えて欲しいと懇願しています。私達と違って鶏族の鳥人です。もし、良ければ教えて貰えないでしょうか?」
「えっ!?私の戦い方を!?別にいいけど……」
「ありがとうございます!」
すみれは驚くが、頬を掻きながら承諾し、メルは彼女に一礼する。
「すみれも後輩ができて良かったね。もしかすると、極道チームを結成したりして」
「それはどうか分からないけど、やってみる価値はあるかもね。にしても、メルを含めて奴隷が100人いたとは想定外だったけど……」
すみれが苦笑いをしたその時、シャニスが彼女達に近付く。
「お帰りなさい。無事に任務を完了しましたね」
「ええ。今回は転生者が二人いましたが、無事に特典を回収しました」
朧丸と佳乃はそれぞれ手に入れた特典をシャニスに見せる。
「なるほど。ですが、シルバリズムには多くの転生者達がいます。今のところ分かっているデータはこうなっています。カレン」
「はい」
カレンはすぐにパソコンを動かしてスクリーンを出現させ、転生者達のデータを見せる。
「シルバリズムについて分かるのは、ルータスだけでなく、四天王もいます」
「「「四天王?」」」
シャニスの説明にHARUKA達は首を傾げるが、朧丸は冷静にウインドウを見ていた。
「まず、四天王の一人であるシュンリ。彼女は中国の上海出身の転生者で、魔術を特典としています。格闘技術も駆使していますので要注意です」
「格闘……そうなると黙ってはいられませんね」
「うむ……」
シュンリの説明に詠春は真剣な表情をしていて、マスターラビットも頷いていた。
「次に、四天王のユンリンは京劇役者です。京劇の特典で様々な役に変化し、相手を翻弄してきます。ただし、プロレスでは素顔です」
「流石にあのメイクでのプロレスは怖いからな」
「私もそう思う」
朧丸の意見にナツミも同意するが、エリザベート達は首を傾げていた。
「ところで京劇って、何?」
「京劇は中国の伝統的な古典演劇でもある戯曲だ。今では国劇で伝統文化と言われている。特に中国文学を元にした題材が多いし、あのメイクはゾッとするからな……」
朧丸の説明にエリザベート達はガタガタと震えてしまう。
「次にテツジ。不良で金色の狼の特典を持ちます。格闘・プロレス技術はとても高く、強い人と戦いたいのが願望です。しかも、彼女持ちです」
「彼女もいるんだ。で、その彼女は……」
「こちらよ」
カレンはミカポンの画像を見せるが、その画像に佳乃達は赤面してしまう。何故なら……18歳以下には見せられない物だ。
「何これ!?」
「破廉恥過ぎる……」
「おい!なんで俺の目を隠すんだ!?」
「朧丸は見ちゃ駄目!」
朧丸に至っては佳乃の両手によって目を隠されている。しかも、背中に胸を押し付けながら……
「カレン、どういう事!?」
「しまった!生前の危ない写真を見せちゃった!」
カレンは慌ててしまい、カリンが急いで別の画像を映し出す。
「まったく、カレンは!どうしてあの写真を見せるの!」
「ごめんちゃい。改めてこれが今のミカポンよ」
「ああ……ギャル全開やね」
「もういいよ」
「お、おう……」
朧丸はミカポンの画像を見て、その姿に納得の表情をする。
「なるほど。テツジならこの様な彼女と組むのは当然だな」
「だよね。あんな不良達には負けたくないし、絶対に好き勝手にさせてはいけないよ!」
朧丸の意見に佳乃は拳を握りしめ、すみれ達も彼女の決意に同意する。
「ミカポンは豹の特典を持つ転生者で、素早さを使った攻撃は勿論、誘惑もしてくるの。特に危ない事もするからね」
「その危ない事ってあれなの!?」
「あれしかないわよ。私も聞いた時は唖然としたし……」
ナツミの質問にカリンが即答で答え、ナツミ達は項垂れるしかなかった。
「彼女の悪い癖どうにかならない!?」
「私に言われても……本人に言わないと駄目よ……」
「そうするしかないみたいだね……」
佳乃はため息をついた後、すぐに皆の方を向く。
「今回の任務は無事に成功したし、転生者を二人倒す事ができた。それに、ジャンヌちゃんの因縁の敵も倒す事ができて良かったじゃない」
「そうですね。特に朧丸さんの一喝には見事だと感じています!あの一言は凄いですよ!」
「私もスカッとしたわ」
「大した事はないよ。ピエールのやり方に怒りを感じたし、何よりもジャンヌを処刑するのは酷過ぎると感じた。あいつは地獄に落ちて当然だからな」
佳乃達は口々に朧丸を褒めるが、彼は頬を掻きながら当然の事をしただけと応えていた。
「でも、あいつを野放しにしておけば、私達も処刑される可能性があったわ」
「そうそう。朧丸は仲間思いで勇敢があるし、私達のリーダーとして相応しいかも!」
「へ!?リーダー?」
キララのリーダー発言に朧丸が首を傾げたその時、彼女達が彼を囲む。
「実は皆で話をしました。私達のリーダーは朧丸さんでいいんじゃないかと」
「俺に内緒で決めていたのか?」
「はい。あなたならどんな困難でも乗り越えられますし」
「私達を率先して勇気を与えてくれ、その行動に私達も後に続いていく覚悟があるわ」
「無鉄砲なところもあるけれど、あなたとならどんな敵でも倒せるし、力を合わせればシルバリズムを倒す事も夢じゃない」
「だから、私達のリーダーになって欲しいの!」
アリアン達の懇願を聞いた朧丸は口元を笑顔にし、彼女達に近付く。
「仕方がない。この任務、受けるとするか!まだまだ未熟ですが、宜しくお願いします!」
「「「こちらこそ!!」」」
朧丸の一礼に佳乃達も返した直後、シャニスが彼等に近寄る。
「あなた達の一丸は見事です。それと同時にあなた達はチームとして行動した方がいいと思います」
「チームですか?チーム名は決まっているのか気になりますが……」
「はい!プロレスを駆使する最強ヒーロー達「レッスルヒーローズ」です!」
シャニスのチーム名発表に朧丸は驚きの表情をするが、その名前にHARUKA達は賛同し始める。
「レッスルヒーローズか……悪くないかもね」
「はい。プロレスを駆使する技も使えるのならこの方がぴったりだと思います」
「私もこの名前がいいわ」
「私も!」
朧丸は笑顔のHARUKA達の様子を見て、シャニスに視線を移す。
「俺もこの名前には賛成です。ヒーローとしての責務を果たし、必ずシルバリズムを倒します!シャンバラを救う為にも!」
「ええ。あなた達の活躍に期待していますよ」
「はい!」
朧丸が笑顔でガッツポーズをした直後、佳乃が彼に正面から飛び付いてきた。
「さっ、今日はゆっくり休んで、次に向けて頑張りましょう!」
佳乃の意気込みにすみれ達も一斉に頷く。
「私、温泉入りたい!」
「和菓子を食べて入ると効率的にいいんだって」
「私、和菓子持ってくるね」
「ジャンヌちゃんも一緒に行こう!」
「はい!」
すみれ達はワイワイガヤガヤと温泉に向かい、この様子に朧丸は微笑んでいた。
(こういうのも悪くないかもね。俺も行くとするか)
朧丸は佳乃を抱っこしたまま、すみれ達の元へと歩き始める。
(彼等はシャンバラだけじゃなく、彼等の世界を救ってくれるヒーローになれると信じています。彼等の活躍にご加護を……)
シャニスは朧丸達の後ろ姿を見つめながら、静かに祈りを捧げた。
※
その日の真夜中、無人となったスグリューの屋敷では、一人の女子高生がキョロキョロと辺りを見回りながら歩いていた。
衣装は裸に青いオーバーオールで、ポケットに手を突っ込んでいた。
「ふーん……あのイカれた領主が捕まるとはね……僕としても予想外だったけど、無事に解決できて良かったよ」
女子高生はポケットから手を出して黒いスピリアを起動し、朧丸の画像を見る。
「朧丸か……もしかすると彼ならこの世界の命運、いや、元凶となる敵を倒せるかもしれない。少し彼と話をしておこっと!」
女子高生は微笑んだと同時に、その場から姿を消してしまった。朧丸のこれからに興味を持ちながら……
次章も精一杯頑張りますので、皆様応援宜しくお願い致します!




