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レッスルヒーローズ  作者: バルクルーバー
第一章 異世界からの戦士達
16/48

孤児院襲撃の真実

今年最後の投稿です!!

 ゴブリン達との戦いが終わり、神殿に帰還した朧丸達。夕食を食べた後、キララ、ボニー、詠春が皆を集めてとある話をする事になった。


「皆を集めたのは他でもないわ。私達の孤児院が襲撃された事について説明をしないといけないの」


「あのルータスという少年に、多くが殺されたという事ね」


 すみれの推測にキララ達も頷く。


「そう。今から話す事は残酷な真実。あれは、数日前の頃だった……」


 キララは当時の事を思い浮かべながら、これまでの事を話し始めた。





 西国にあるリミテッド王国から数km離れた場所に、一件の大きな家が建てられている。そこはキララ達の孤児院「セントルート」だ。

 ここには多くの孤児、捨子、訳ありの子供達だけでなく、彼等の面倒を見るシスター達もいる。因みにキララ、ボニー、詠春もこの孤児院に拾われてここで生活していたのだ。


「あっ、キララ姉ちゃん!」


 その日、キララはシスターの手伝いで荷物を運び終えた後、子供達の面倒を見ていた。


「良い子にしていた?」


「うん。それよりも聞いたよ、ボニーお姉ちゃんと詠春お姉ちゃんと共に賞金稼ぎを始めるって」


 一人の子供の話にキララは勿論頷く。


「そうなの。今、孤児院が大変な事になっていてね。施設の老朽化で今にも壊れそうなの」


「本当!?何処にも壊れてないと思うけど……」


 一人の子供が壁に手を触れた途端、何故か壁の一部分が押されて貫通してしまった。


「「「へ!?」」」


「そのぐらい古いって証拠よ」


「「「いやいや、普通はそうならないから!!」」」


 キララの説明に子供達がツッコみ、そこに最年長のシスターが姿を現す。


「あっ、ウルスラシスター」


「キララさんの言う通りです。確かにこの孤児院は今、施設の老朽化で大変な事になっています。私が産まれた時に建てられていたので、築70年経っています」


「だったら改築すればいいのに……あっ、お金がなかった……」


 少女がアドバイスしたが、事実を知ってすぐに縮こまる。


「そうです。今だからこそ、彼女達は賞金稼ぎを始めるのです。因みにボニーは既に賞金稼ぎを始めています」


「ボニーお姉ちゃんは行動力高いし、ガンマンだからね……」


「ええ。あの子は本当に心優しいですが、それと同時にお金好きで困った者で……」


「ウルスラシスター!!」


 ウルスラがため息をつく中、ボニーが姿を現して子供達は驚いてしまう。


「あら、いたのですか」


「キララを呼びに来ましたが、私がお金好きってどういう意味ですか!そりゃ、子供達の為にしていますけど」


 ウルスラの愚痴にボニーは頬を膨らましながら怒っている。子供の為に頑張っているが、お金好きの一面もある為、手段を選ばない悪い癖がある。本人はそれを否定しているが……


「あなたはお金を得る為なら手段を選ばないですからね。特にこの前もギャンブルで大金を得ていましたし」


「いいじゃないですか!それを言うならシスターだって、踊り子として活動していましたし」


「あーっ……気色悪くて引いていたのがね……」


 ボニーがウルスラの秘密をバラす中、彼女の話にキララが同感していたその時、ウルスラがボニーの背後を掴む。


「シスター・バックドロップ!」


「ギャス!!」


 なんとウルスラはバックドロップを繰り出し、そのままボニーは脳天を打ち付けてしまった。


「秘密をバラさない様に」


「いつつ……もう良いわよ!行くよ、キララ!」


「あっ、ちょっと!?」


 ボニーは涙目でキララの腕を引っ張り、彼女と共に孤児院を去って行った。


「シスター、いいの?こんな事をして」


「いいのです。彼女達がとんでもない非行に走らない為にも、私がしっかりしないと駄目ですので。さあ、教会へ戻りましょう……」


 ウルスラは皆を連れて、教会へと戻り始める。しかし、彼女達は気付いていなかった。ルータスが教会にこっそりと入ってきた事を……





「冗談じゃないわよ!あのクソシスター!!」


 その夜、近くにある街「ベルス」での酒場では、ボニーが涙目のやけ酒となっていて、キララと詠春は苦笑いをしていた。


「しょうがないわよ、ウルスラシスターも理由があるんだから」


「話は聞きましたが、まさかウルスラシスターが踊り子をしていたとは驚きました。あんな秘密をバラしていいのですか?」


 詠春は苦笑いしながらボニーに尋ね、彼女は首を縦に振る。


「いいのよ!ウルスラシスター、過去に踊り子としてバイトしていたけど、気持ち悪くて年寄りがするとイメージダウンするから辞めさせられたのよ!私もそれを聞いて大爆笑したわ!」


「私もそれは爆笑したけどね……」


 ボニーの話にキララは苦笑いするしかなく、詠春は唖然とする。


「実際に思い浮かべると、なんだか引いてしまいますね……それに、シスターは私達で賞金稼ぎをするのを反対していますよ。危ない事をするのは止めなさい。仲間を巻き込むなと」


「あのシスター、私の考えに反対して……!私は孤児達の為に頑張っているのに!巫山戯んじゃないわよ!!」


 ボニーはグラスを机に強く叩きつけ、その衝撃にキララと詠春は驚いてしまう。


「そんなに反対するんなら、自分等でやれっつーの!もうあんな孤児院なんか二度と戻るか……うあああ……」


 ついにボニーは机に突っ伏して泣いてしまい、詠春とキララが彼女の頭をよしよしと撫でたその時、一人の男が慌てながら入ってきた。


「てぇへんだ、てぇへんだ!事件が起きたぞ!」


「どうした、ハチノスケ!」


 店主が慌てて入ってきたハチノスケに声をかけ、彼は息を荒げながらも店主の方を見る。


「セントルートで爆発事件が起きた!しかも、多くの孤児達が殺されたぞ!!」


「「「!?」」」


 ハチノスケの報告にその場にいた全員が驚き、ボニーは涙を引っ込めて呆然の表情をする。


「急ぎましょう!何やら嫌な予感がします!」


「そうね。ボニーお姉ちゃんも行くわよ!」


「う、うん!代金置くから」


「あいよ!」


 ボニーは代金を払った後、キララ、詠春と共にセントルートへ戻り出した。





 セントルートに戻った3人は異様な光景に驚きを隠せなかった。


「嘘でしょ!?」


「こんな事って……」


「そんな……」


 なんと孤児院は破壊されて炎が燃え上がっている。更に多くの孤児達の遺体が次々と転がっていて、中にはバラバラになった物まであった。


「そう言えば、シスターは!?」


 キララが辺りを見回したその時、ウルスラが向こうから吹っ飛んできたのが見えた。


「あっ!」


 すかさず詠春がウルスラをキャッチした直後、ルータスが姿を現す。


「まだ生き残りがいたとはね……」


「あなたは!?」


「僕はルータス。シルバリズムの特攻戦士さ」


 ルータスは自己紹介した直後、血濡れの拳を見せる。


「その拳は!?」


「ブラッドナックル。相手に出血を与える必殺技さ。孤児達は一撃でやられちゃったけど、あのシスターは3発耐え切っていた。結局僕に勝つのは無理だったけどね」


「まさか!?」


 詠春がウルスラの方を見ると、彼女の腹の部分から血が流れていた。


「私の気功回復術で治療します!」


「あいつは私達に任せて!」


 詠春はウルスラを気功による回復術で治療し始め、キララとボニーは戦闘態勢に入り、ルータスを睨みつける。


「なんでこんな事をしたの!?」


「ホンゴウ様からの命令なのさ。言っておくけど、僕を倒すのは無理だって」


「やってみなければ分からないわ。良くも皆を殺してくれたわね……」


「アンタは絶対に許さないんだから!!」


 キララは一直線にルータスに襲い掛かり、爪を光らせて胸元辺りを引っ掻いた。


「やってくれるな。アポロンの拳!」


「ぐはっ!!」


 炎を纏った拳はキララの腹に直撃し、彼女は両膝をついて腹を抑えて蹲ってしまった。


「こいつ!ラピッドファイア!」


 炎の弾丸がルータスに襲い掛かるが、彼は回避して手刀の構えに入る。


「真空刃!」


 手刀から刃の形をした波動弾が襲い掛かり、ボニーの服を切り裂く。


「嘘!?」


「僕を甘く見るなよ?」


 ルータスがニヤリと笑った直後、いきなり通信が入り、彼はスピリアを起動させる。


「何だよ、こんな時に……はい……へ!?すぐに戻れ!?分かりました」


 ルータスは通信を終えた後、キララ達の方を見る。


「命拾いしたね。けど、次会う時はそう簡単にはいかないよ」


 ルータスがその場から転移して去った後、キララがようやく立ち上がる。


「大丈夫!?」


「なんとか……ボニーお姉ちゃんも服が……」


「後で修繕するから。それよりもウルスラシスターは!?」


 キララとボニーがウルスラの方を見ると、詠春が彼女を治療し終えていた。


「大丈夫です。出血も終わり、回復しました。スヤスヤと眠っています」


「良かった……でも……」


 ボニーが後ろの方を見ると、燃えている孤児院、多くの孤児達の遺体が転がっている光景に、彼女は唇を噛み締めながら身体を震わせる。


「皆は殺されてしまい、ルータスに手も足も出なかった……悔しい……許せない……」


 ボニーの目から涙が流れ、キララも彼女に近付いてそのまま抱き締める。


「私も悔しいよ……あいつだけは……あいつだけは……うああああ……!!」


 キララは大泣きしてしまい、詠春も彼女達に抱き着く。


「悔しいです……悔しいです……!!うわああああ!!」


「私だって悔しいよ!うわああああ!!」


 燃え上がっている孤児院を背景に、3人は抱き合いながら大泣きをしていた。その様子を起き上がったばかりのウルスラが見つめていた。


(私も手を出せなかったのには悔しさを感じています。ですが、あなた達なら強くなれる事を信じています。今は気の済むまで泣きなさい。この悔しさを力に変えて、シルバリズムを倒す事を願っています。そして、死んでしまった子供達とシスター達よ、天国へ向かわれる事をお祈りします)


 ウルスラは静かに祈りを捧げ、その場から立ち去った。誰も見られない様、静かに涙を流しながら……





「これがその結末よ……」


 キララは涙を流しながら語り終え、ボニーや詠春は勿論、佳乃達も涙を流していた。朧丸だけは怒りで震えていて、すぐに立ち上がる。


「シルバリズム……絶対に許さない……!無関係のない人達を殺すまで外道過ぎる……!」


 朧丸は怒りで震えたまま、その場から立ち去ろうとする。


「朧丸?」


「すぐにトレーニングしてくる。俺も今のままじゃ絶対に勝てないと感じている。だからこそ強くなり、シルバリズムを倒す!それが俺にできる事だ!」


 朧丸の決意に佳乃達も立ち上がる。


「私も付き合うよ。孤児達を殺すなんて許されない!」


「私も参加する!ルータスは私達の手で倒さないと!」


「ナツミちゃん、ウチ等も」


「はい!」


「私も向かいます!」


「私も頑張らないと!」


「孤児達の無念を晴らさないと!」


 佳乃達も次々と訓練に参加し始め、この光景にキララ達は驚きを隠せずにいた。


「ねえ、どうして私達の事をそこまでして助けてくれるの?」


 キララは突然の行動に気になって質問すると、朧丸が彼女達の方を向く。


「もう既に仲間じゃないか。それにこの話を聞いた以上は放っておけないし、シルバリズムにはまだまだ多くの敵がいる。其の為にも俺達皆が強くなって奴等を倒す。勿論キララ達もな」


「「「!……うん(はい)!!」」」


 朧丸の笑顔にキララ達は涙を浮かべてしまうが、すぐに笑顔になり、彼等の元に駆け寄る。


「シャニス様、彼等をこの世界に呼んで大正解でしたね」


「ええ。特に朧丸は異世界転移してから、その実力を発揮し、更には皆を引っ張っていける存在となっていけると感じています。彼等に期待しましょう」


 シャニスの笑顔にジャンヌ達も頷くが、アンジェが何かを思い付く。


「シャニス様、気になっていた事がありますが……」


「どうしました?」


「今、戦える戦闘メンバー……彼等しかいないみたいです。仮に遠征や元の世界に帰還する時、この場合は如何致しましょうか?」


 アンジェの質問にその場にいた全員の動きが止まってしまい、特にシャニスは呆然としてしまった。


「うう……私は駄目な女神です……」


「うわーっ!!落ち着いてください!!」


 シャニスは顔を覆いながら泣いてしまい、アンジェは慌てながらでんでん太鼓で彼女を慰め始める。


「確かにアンジェの言う通りね。この場合は味方を増やさなければならないみたいだし……」


「でも、何か宛があればいいんだけど……」


 ローズ達は今の状況を考え始める中、カレンがある事を思い付く。


「そう言えば……私の仲間達が、奴隷にされているという情報があったわ!」


「「「奴隷!?」」」


 カレンの報告にローズ達は驚きを隠せず、シャニスも涙を止めてしまった。


「奴隷禁止法もあるのに、何故この様な事に!?」


「今でもその法律に従わない悪党もいるけど、中にはシルバリズム関連もいる。兵士達も大変だって聞いているわ」


 カレンの説明にシャニスは真剣な表情をする。


「となると、彼等には経験を積ませてからこのクエストに取り掛からせましょう。後は他にも人脈があればスカウトをお願いします」


「はい。でしたら私の友人が何人かいますので、呼んでおきます」


「私もスカウトしますので」


 シャニスの説明にアンジェ、ローズが手を挙げる。


「私もスカウトに携わります」


「お願いします、3人共。明日から忙しくなりますので頑張りましょう!」


「「「はい!!」」」


 シャニスの合図にジャンヌ達は勢いよく返事をした。それと同時に彼女達の陣営も本格的に動き出したのだった。

来年も宜しくお願いします!良いお年を!

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