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レッスルヒーローズ  作者: バルクルーバー
第一章 異世界からの戦士達
15/48

ゴブリン達との戦い

今年も残り後3日。では、どうぞ!

 ゴブリン達との戦いが始まりを告げ、カルミナ、アリアン、ボニー、詠春、朧丸、キララはゴブリンの群れと戦っていた。


(数は40匹でレベルは低い。それならこれで!)


 カルミナは矢を天井に向けて放った直後、空から矢の雨が降ってくる。


「レインアロー!」


「「「ぎゃあああああっ!!」」」


 矢の雨はゴブリン達の体に次々と直撃。これでゴブリンの4分の1がやられてしまった。


「やるわね。けど、私達にも残してよ!フレイムナックル!」


 キララはゴブリンの一匹に駆け出し、強烈な炎の拳で殴り飛ばす。


「発勁!」


 詠春も強烈な発勁の一撃でゴブリンを倒し、後ろにいるゴブリンも回し蹴りで倒した。


「ラピッドファイア!」


「ぐわっ!」


「ウゲッ!」


 ボニーの二丁拳銃による炎の銃撃も炸裂、7匹のゴブリンの頭を撃ち抜き、残るは20となった。


「こいつ等、強過ぎるぞ!」


「だが、あのメイドさえ倒せば!」


 ゴブリンの半数がアリアンに襲い掛かるが、その前に赤いドラゴンが立ちはだかる。しかも、人間サイズの大きさで、アリアンが既に召喚していたのだ。


「「「あ」」」


 ゴブリン達が気付いた時には既に遅し。ドラゴンの炎のブレスで真っ黒焦げとなり、そのまま素材と金貨になってしまった。


「甘く見るからよ」


「残りは俺がやる!忍法、火炎の術!」


 朧丸が火炎の術を発動させ、口から火を吹いた。


「ぎゃあああああ!!」


「俺達こんな役かよー!!」


「生まれ変わったら善良になりてー!!」


 ゴブリン達はそのまま素材と金貨になり、残るはビッグゴブリンとなった。


「チッ、役立たずが!だが、俺はそう簡単にはいかないぜ!」


 ビッグゴブリンは大きな棍棒を振り回すが、HARUKAは跳躍して棍棒の上に乗る。


「何!?」


「そこ!」


「ガハッ!」


「私も行きます!」


 HARUKAの踵落としがビッグゴブリンの頭部に炸裂。ビッグゴブリンがよろけたと同時に、ナツミも跳躍して後頭部を蹴り飛ばす。


「ナイス連携!私も!」


 ベトラもドワーフアックスを構えて、横一閃にビッグゴブリンを斬り付ける。ビッグゴブリンは切り傷を負ってしまい、後退してしまう。


「俺を舐めるな!!」


 するとビッグゴブリンが咆哮をしてしまい、攻撃力が上がっただけでなく、傷もすっかり消えてしまった。


「嘘!?」


 まずはナツミを片手で掴んでそのままポイッと投げ飛ばす。


「きゃあああああ!!」


「危ない!」


 すかさずキララがナツミをキャッチするが、今度はHARUKAが投げ飛ばされる。


「させるか!」


 朧丸が駆け出してHARUKAをキャッチするが、彼女と視線が合わさった途端、思わず下を向いてしまった。


「どしたん?」


「何でもないです……にしても、これはまずい事になりましたね……」


 ビッグゴブリンの強くなった姿に朧丸は冷や汗を流し、HARUKAも唇を噛み締める。


「けど、ここで諦めるのは良くないからね。佳乃ちゃん、まだやれる?」


「ええ。どんなに強い相手でも、子供達が人質になっていると黙ってはいられません。私は子供達のヒーローとして、負ける訳にはいかない!」


「良く言った!」


 佳乃の諦めない決意にHARUKAはグッドサインで返し、朧丸も頷く。人質にされた子供達も感銘を受けたその時だった。



「それならわしも黙ってられない!」


「そ、その声は……」



 全員が恐る恐る声のした方を見ると、なんと褌男のフンドが堂々と姿を現していた。


「出た、ふんどし親父!」


「この様な事態になったのはわしの責任。しかし、教え子達を誘拐した以上、お前を許す訳にはいかない!」


「ほう!筋肉おっさんに何ができる!」


 ビッグゴブリンが笑いながらフンドを睨みつけるが、彼は臆することなく、朧丸に歌詞カードを渡す。


「歌詞カード?この歌を歌えばいいのでしょうか?」


「うむ。リズムに関しては後ろの太鼓隊がしてくれる」


「へ!?」


 全員がフンドの指差す方を見ると、何故か褌一丁の男3人が太鼓を既に用意して構えていた。


「行くぞ!」


「「「ウス!!」」」


 太鼓の音色が鳴り響き、フンドは朧丸の方を向く。


(頼むぞ)


(了解!)


 フンドの合図に朧丸は頷き、彼はそのまま息を吸い込む。


「ガリバタ名物、何も無い♪だけど、俺たちゃ褌一丁あれば良し♪」


「「「あ、それ!!」」」


 朧丸の歌と男達の合図と同時に、フンドは踊り始める。それは力強く、燃える炎の様に舞っていた。しかし、人質の子供達は顔を真っ青にしてしまい、ビッグゴブリン達も唖然とする。


「えーじゃねーかよー、えーじゃねーかよー♪」


「「「あ、ヨイサ!」」」


「俺たちゃ皆、馬鹿だから♪褌一丁踊るのさ♪」


 すると、ビッグゴブリンの全ての能力がガクッと下がってしまい、それをマスターラビットは見逃さなかった。


「今じゃ!とどめを刺せ!」


「あの踊りで唖然としたけど、今はそれどころじゃないよね!」


 佳乃は素早く跳躍し、リングカタールに風の力を込め始める。すると、リングカタールに風が纏われ、緑色に光る刃と化した。


「風の刃!!」


 リングカタールによる斬撃は見事ビッグゴブリンを真っ二つにし、彼女は地面に着地する。


「しまった……!相手を間違えたかも……ルータス……許さねえぞ……」


 ビッグゴブリンはそのまま倒れてしまい、素材と金貨に変化。子供達に関してはフンドが踊っている隙に、アリアン達が素早く救出し終えていた。


「皆は無事?」


「はい。ですが……」


 アリアンは子供達に視線を移すと、彼等は絶望の表情をしていた。あの踊りと歌声に絶望を感じていたのだろう。


「ガリバタ村は何も無い……」


「こんな村に生まれなきゃ良かったのかな……」


 するとフンドが絶望している子供達に近付き、笑顔を見せる。


「大丈夫だ。君達にはふんどし踊りが……」 


「「「死ぬ方がマシだ!!」」」


「あっ、皆!」


 子供達は一斉にその場から走り出して逃げてしまい、この光景に朧丸達は呆然とする。


「あの踊りはまずかったんじゃ……」


「いや、あのふんどし踊りはかつて敵を倒す為に使われた奥義。敵のやる気を削ぐだけでなく、相手の能力を完全に下げてしまう神秘の踊りだ」


「あのふんどし踊りが!?」


 フンドの説明にすみれ達は驚きを隠せずにいた。


「左様。この踊りは天下無敵の踊りと言われていて、この踊りがあるからこそ、今の村がある。その継承者達は次々と減ってしまい、残るはわしだけとなってしまった」


「そうだったの……あの時は殴り飛ばしてしまって御免なさい……」


 事実を知った佳乃は、すまなさそうにフンドに謝罪する。


「いや、お主は悪くない。子供達の事に関しては私に任せてくれ。お前達はお前達のするべき事に集中し、シルバリズムを倒して欲しい。それがわしの願いだ」


「うん。必ず私達の手で終わらせてみせる。だから、子供達をお願いね」


「任せろ!」


 佳乃の願いにフンドはグッドサインで答え、青年達と共にその場から立ち去った。


「真実を知った子供達、今後どうなるのかな?」


「分からない。ただ、彼奴等がどうなるかは俺達が関わるべきじゃない。この村の問題に首を突っ込むのは良くないからな」


「朧丸の言う通りね。それに……ビッグゴブリンが言っていたルータスという奴……私達の孤児院を滅ぼした元凶よ」


 ボニーの説明に朧丸達は驚きを隠せず、キララと詠春も頷く。


「その事については村長さんと話をしてからね。ひとまずガリバタ村に戻りましょう」


 キララの提案に全員が頷き、素材と金貨を回収し終えた後、すぐにガリバタ村へ転移した。





 ガリバタ村に戻った朧丸達は、村長に事の顛末を報告していた。その内容に村長は驚きを隠せずにいた。


「まさかふんどし踊りが神秘的な踊りとは……」


「ええ。フンドさんの踊りは本当の伝統の舞でした。それよりも子供達は?」


「いきなり家に戻ってしまいましたが……何故か引き籠もってしまいました」


「ああ……あの歌を歌うのはまずかったな……」


 村長の説明に、朧丸はすまなさそうに頬を掻いていた。あの歌で子供達が今の状態になるのも無理なかっただろう。


「そもそもこんな歌詞を考えたのは一体誰なの!?」


「あ、わしのご先祖です」


 佳乃の怒りに村長が手を上げ、それと同時に彼女達はズッコケてしまった。


「ま、まあ、取り敢えずは無事に帰って来たので、これで任務は完了ですね」


「ええ。後は我々でどうにかします。本当にありがとうございます……」


 村長は朧丸に報酬を手渡し、そのまま立ち去って行った。


「で、キララ達はどうするの?」


「私達も同行するわ。それに、あなた達にルータスという人物を話さないといけないしね」


「彼もまたシルバリズムの一人。私達は彼等を倒す為に戦うわ」


「其の為にもあなた達の力になります!」


 3人の決意に朧丸は彼女達に近付く。


「分かった。俺達もお前達の力が必要になる。これから宜しくな」


「こちらこそ」


 キララは笑顔で答え、朧丸と握手をする。更にボニーとクライドも彼等に近づき、そのまま手を取り合って協力する事を誓った。


「さっ、ひとまずは戻りましょう」


 ベトラの合図で皆は彼女の周りに集合し、そのまま転移して神殿に戻ったのだった。





 さて、シルバリズムの本拠地では、ビッグゴブリンがやられた事をアサシンの一人が報告し、一人の少年は驚きを隠せずにいた。


「それは本当なのか!?」


「はい!変なおっさんの踊りによって弱体化してしまい、古川佳乃に倒されました。子供達も解放されてしまいましたが、何故か引き籠もったのは想定外でした」


「そうか。報告お疲れ様」


「失礼します」


 アサシンが去った後、少年は悔しそうに舌打ちする。


「チッ、失敗か」


 彼の名はルータス。シルバリズム所属の屑転生者であり、キララ達の孤児院を滅ぼした元凶である。ギリシャ神話の神々の力を特典として受け取っており、パンクラチオンを戦闘スタイルにしている小学生ぐらいの少年だ。


「まあ、彼奴等を使うのは誤算だったけど、異世界の戦士達の実力が、分かっただけでもいいとするか。けど、ムサ苦しいおっさんは嫌になってきた……」


 ルータスが吐き気を催していたその時、前方にユンリンが通りかかる。


「ん?ルータス、あなたどうしたの?」


「ユンリンさん、実は……」


 ルータスはユンリンにこれまでの事を話し、彼女もフンドの事で真っ青な顔になってしまう。


「あの変態おっさんは何考えているのか分からないわ。二度とあの村には関わらない方が良いかもね」


「ええ。今でも思い出すと吐き気が……もう駄目!」


 ルータスは我慢できずにトイレに駆け込み、ユンリンは唖然とした表情をしてしまう。


(確かにご尤もね……けど、我々の動きは止められる訳にはいかない。あの方の野望を叶える為にも……)


 ユンリンは手を叩き、一人のアサシンを呼び出す。


「お呼びでしょうか、ユンリンさま」


「いい?あなたの目的はあの忍者達を倒す事よ。失敗は許されないわ」


「お任せください。必ず期待以上の仕事をします」


「分かったわ。成功をお祈りするわ」


「はっ!」


 アサシンは両手を合わせて一礼し、その場から姿を消した。


「さて、お手並み拝見と行きましょう」


 ユンリンはそのまま回れ右をして、自分の部屋に戻って行った。その顔は邪悪な笑みを浮かべながら……

次回は今年最後の投稿です!

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