ゴブリン達との戦い
今年も残り後3日。では、どうぞ!
ゴブリン達との戦いが始まりを告げ、カルミナ、アリアン、ボニー、詠春、朧丸、キララはゴブリンの群れと戦っていた。
(数は40匹でレベルは低い。それならこれで!)
カルミナは矢を天井に向けて放った直後、空から矢の雨が降ってくる。
「レインアロー!」
「「「ぎゃあああああっ!!」」」
矢の雨はゴブリン達の体に次々と直撃。これでゴブリンの4分の1がやられてしまった。
「やるわね。けど、私達にも残してよ!フレイムナックル!」
キララはゴブリンの一匹に駆け出し、強烈な炎の拳で殴り飛ばす。
「発勁!」
詠春も強烈な発勁の一撃でゴブリンを倒し、後ろにいるゴブリンも回し蹴りで倒した。
「ラピッドファイア!」
「ぐわっ!」
「ウゲッ!」
ボニーの二丁拳銃による炎の銃撃も炸裂、7匹のゴブリンの頭を撃ち抜き、残るは20となった。
「こいつ等、強過ぎるぞ!」
「だが、あのメイドさえ倒せば!」
ゴブリンの半数がアリアンに襲い掛かるが、その前に赤いドラゴンが立ちはだかる。しかも、人間サイズの大きさで、アリアンが既に召喚していたのだ。
「「「あ」」」
ゴブリン達が気付いた時には既に遅し。ドラゴンの炎のブレスで真っ黒焦げとなり、そのまま素材と金貨になってしまった。
「甘く見るからよ」
「残りは俺がやる!忍法、火炎の術!」
朧丸が火炎の術を発動させ、口から火を吹いた。
「ぎゃあああああ!!」
「俺達こんな役かよー!!」
「生まれ変わったら善良になりてー!!」
ゴブリン達はそのまま素材と金貨になり、残るはビッグゴブリンとなった。
「チッ、役立たずが!だが、俺はそう簡単にはいかないぜ!」
ビッグゴブリンは大きな棍棒を振り回すが、HARUKAは跳躍して棍棒の上に乗る。
「何!?」
「そこ!」
「ガハッ!」
「私も行きます!」
HARUKAの踵落としがビッグゴブリンの頭部に炸裂。ビッグゴブリンがよろけたと同時に、ナツミも跳躍して後頭部を蹴り飛ばす。
「ナイス連携!私も!」
ベトラもドワーフアックスを構えて、横一閃にビッグゴブリンを斬り付ける。ビッグゴブリンは切り傷を負ってしまい、後退してしまう。
「俺を舐めるな!!」
するとビッグゴブリンが咆哮をしてしまい、攻撃力が上がっただけでなく、傷もすっかり消えてしまった。
「嘘!?」
まずはナツミを片手で掴んでそのままポイッと投げ飛ばす。
「きゃあああああ!!」
「危ない!」
すかさずキララがナツミをキャッチするが、今度はHARUKAが投げ飛ばされる。
「させるか!」
朧丸が駆け出してHARUKAをキャッチするが、彼女と視線が合わさった途端、思わず下を向いてしまった。
「どしたん?」
「何でもないです……にしても、これはまずい事になりましたね……」
ビッグゴブリンの強くなった姿に朧丸は冷や汗を流し、HARUKAも唇を噛み締める。
「けど、ここで諦めるのは良くないからね。佳乃ちゃん、まだやれる?」
「ええ。どんなに強い相手でも、子供達が人質になっていると黙ってはいられません。私は子供達のヒーローとして、負ける訳にはいかない!」
「良く言った!」
佳乃の諦めない決意にHARUKAはグッドサインで返し、朧丸も頷く。人質にされた子供達も感銘を受けたその時だった。
「それならわしも黙ってられない!」
「そ、その声は……」
全員が恐る恐る声のした方を見ると、なんと褌男のフンドが堂々と姿を現していた。
「出た、ふんどし親父!」
「この様な事態になったのはわしの責任。しかし、教え子達を誘拐した以上、お前を許す訳にはいかない!」
「ほう!筋肉おっさんに何ができる!」
ビッグゴブリンが笑いながらフンドを睨みつけるが、彼は臆することなく、朧丸に歌詞カードを渡す。
「歌詞カード?この歌を歌えばいいのでしょうか?」
「うむ。リズムに関しては後ろの太鼓隊がしてくれる」
「へ!?」
全員がフンドの指差す方を見ると、何故か褌一丁の男3人が太鼓を既に用意して構えていた。
「行くぞ!」
「「「ウス!!」」」
太鼓の音色が鳴り響き、フンドは朧丸の方を向く。
(頼むぞ)
(了解!)
フンドの合図に朧丸は頷き、彼はそのまま息を吸い込む。
「ガリバタ名物、何も無い♪だけど、俺たちゃ褌一丁あれば良し♪」
「「「あ、それ!!」」」
朧丸の歌と男達の合図と同時に、フンドは踊り始める。それは力強く、燃える炎の様に舞っていた。しかし、人質の子供達は顔を真っ青にしてしまい、ビッグゴブリン達も唖然とする。
「えーじゃねーかよー、えーじゃねーかよー♪」
「「「あ、ヨイサ!」」」
「俺たちゃ皆、馬鹿だから♪褌一丁踊るのさ♪」
すると、ビッグゴブリンの全ての能力がガクッと下がってしまい、それをマスターラビットは見逃さなかった。
「今じゃ!とどめを刺せ!」
「あの踊りで唖然としたけど、今はそれどころじゃないよね!」
佳乃は素早く跳躍し、リングカタールに風の力を込め始める。すると、リングカタールに風が纏われ、緑色に光る刃と化した。
「風の刃!!」
リングカタールによる斬撃は見事ビッグゴブリンを真っ二つにし、彼女は地面に着地する。
「しまった……!相手を間違えたかも……ルータス……許さねえぞ……」
ビッグゴブリンはそのまま倒れてしまい、素材と金貨に変化。子供達に関してはフンドが踊っている隙に、アリアン達が素早く救出し終えていた。
「皆は無事?」
「はい。ですが……」
アリアンは子供達に視線を移すと、彼等は絶望の表情をしていた。あの踊りと歌声に絶望を感じていたのだろう。
「ガリバタ村は何も無い……」
「こんな村に生まれなきゃ良かったのかな……」
するとフンドが絶望している子供達に近付き、笑顔を見せる。
「大丈夫だ。君達にはふんどし踊りが……」
「「「死ぬ方がマシだ!!」」」
「あっ、皆!」
子供達は一斉にその場から走り出して逃げてしまい、この光景に朧丸達は呆然とする。
「あの踊りはまずかったんじゃ……」
「いや、あのふんどし踊りはかつて敵を倒す為に使われた奥義。敵のやる気を削ぐだけでなく、相手の能力を完全に下げてしまう神秘の踊りだ」
「あのふんどし踊りが!?」
フンドの説明にすみれ達は驚きを隠せずにいた。
「左様。この踊りは天下無敵の踊りと言われていて、この踊りがあるからこそ、今の村がある。その継承者達は次々と減ってしまい、残るはわしだけとなってしまった」
「そうだったの……あの時は殴り飛ばしてしまって御免なさい……」
事実を知った佳乃は、すまなさそうにフンドに謝罪する。
「いや、お主は悪くない。子供達の事に関しては私に任せてくれ。お前達はお前達のするべき事に集中し、シルバリズムを倒して欲しい。それがわしの願いだ」
「うん。必ず私達の手で終わらせてみせる。だから、子供達をお願いね」
「任せろ!」
佳乃の願いにフンドはグッドサインで答え、青年達と共にその場から立ち去った。
「真実を知った子供達、今後どうなるのかな?」
「分からない。ただ、彼奴等がどうなるかは俺達が関わるべきじゃない。この村の問題に首を突っ込むのは良くないからな」
「朧丸の言う通りね。それに……ビッグゴブリンが言っていたルータスという奴……私達の孤児院を滅ぼした元凶よ」
ボニーの説明に朧丸達は驚きを隠せず、キララと詠春も頷く。
「その事については村長さんと話をしてからね。ひとまずガリバタ村に戻りましょう」
キララの提案に全員が頷き、素材と金貨を回収し終えた後、すぐにガリバタ村へ転移した。
※
ガリバタ村に戻った朧丸達は、村長に事の顛末を報告していた。その内容に村長は驚きを隠せずにいた。
「まさかふんどし踊りが神秘的な踊りとは……」
「ええ。フンドさんの踊りは本当の伝統の舞でした。それよりも子供達は?」
「いきなり家に戻ってしまいましたが……何故か引き籠もってしまいました」
「ああ……あの歌を歌うのはまずかったな……」
村長の説明に、朧丸はすまなさそうに頬を掻いていた。あの歌で子供達が今の状態になるのも無理なかっただろう。
「そもそもこんな歌詞を考えたのは一体誰なの!?」
「あ、わしのご先祖です」
佳乃の怒りに村長が手を上げ、それと同時に彼女達はズッコケてしまった。
「ま、まあ、取り敢えずは無事に帰って来たので、これで任務は完了ですね」
「ええ。後は我々でどうにかします。本当にありがとうございます……」
村長は朧丸に報酬を手渡し、そのまま立ち去って行った。
「で、キララ達はどうするの?」
「私達も同行するわ。それに、あなた達にルータスという人物を話さないといけないしね」
「彼もまたシルバリズムの一人。私達は彼等を倒す為に戦うわ」
「其の為にもあなた達の力になります!」
3人の決意に朧丸は彼女達に近付く。
「分かった。俺達もお前達の力が必要になる。これから宜しくな」
「こちらこそ」
キララは笑顔で答え、朧丸と握手をする。更にボニーとクライドも彼等に近づき、そのまま手を取り合って協力する事を誓った。
「さっ、ひとまずは戻りましょう」
ベトラの合図で皆は彼女の周りに集合し、そのまま転移して神殿に戻ったのだった。
※
さて、シルバリズムの本拠地では、ビッグゴブリンがやられた事をアサシンの一人が報告し、一人の少年は驚きを隠せずにいた。
「それは本当なのか!?」
「はい!変なおっさんの踊りによって弱体化してしまい、古川佳乃に倒されました。子供達も解放されてしまいましたが、何故か引き籠もったのは想定外でした」
「そうか。報告お疲れ様」
「失礼します」
アサシンが去った後、少年は悔しそうに舌打ちする。
「チッ、失敗か」
彼の名はルータス。シルバリズム所属の屑転生者であり、キララ達の孤児院を滅ぼした元凶である。ギリシャ神話の神々の力を特典として受け取っており、パンクラチオンを戦闘スタイルにしている小学生ぐらいの少年だ。
「まあ、彼奴等を使うのは誤算だったけど、異世界の戦士達の実力が、分かっただけでもいいとするか。けど、ムサ苦しいおっさんは嫌になってきた……」
ルータスが吐き気を催していたその時、前方にユンリンが通りかかる。
「ん?ルータス、あなたどうしたの?」
「ユンリンさん、実は……」
ルータスはユンリンにこれまでの事を話し、彼女もフンドの事で真っ青な顔になってしまう。
「あの変態おっさんは何考えているのか分からないわ。二度とあの村には関わらない方が良いかもね」
「ええ。今でも思い出すと吐き気が……もう駄目!」
ルータスは我慢できずにトイレに駆け込み、ユンリンは唖然とした表情をしてしまう。
(確かにご尤もね……けど、我々の動きは止められる訳にはいかない。あの方の野望を叶える為にも……)
ユンリンは手を叩き、一人のアサシンを呼び出す。
「お呼びでしょうか、ユンリンさま」
「いい?あなたの目的はあの忍者達を倒す事よ。失敗は許されないわ」
「お任せください。必ず期待以上の仕事をします」
「分かったわ。成功をお祈りするわ」
「はっ!」
アサシンは両手を合わせて一礼し、その場から姿を消した。
「さて、お手並み拝見と行きましょう」
ユンリンはそのまま回れ右をして、自分の部屋に戻って行った。その顔は邪悪な笑みを浮かべながら……
次回は今年最後の投稿です!




