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レッスルヒーローズ  作者: バルクルーバー
第一章 異世界からの戦士達
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冒険の始まり

今回は冒険の始まりだけでなく、最後の辺に敵も登場します。

 異世界転移から数日後、会社では龍二達が突如転移されていた事で話題となっていた。


「まさか近藤さんが異世界に転移されてしまうとは驚いたわ」


「俺も異世界転移されたかったな……」


「けど、近藤はシャニスという女神から本格的に異世界を救う戦士として選ばれたしな!プロレスラーのHARUKA、ナツミ、更には保育士やヤクザの娘と共に行くなんて羨ましいぜ!」


 同僚の杉本亮介(すぎもとりょうすけ)が龍二を指さすが、当の彼はため息をついていた。


「羨ましい部分はあるけど、お陰で仕事を休まなければいけないんだぞ。会社からは社長から直々で、『選ばれたからには我が社の誇りとして頑張ってくれ。仕事はこちらに任せろ』と。俺としては複雑な部分もあるが、やるからには精一杯頑張るのみだ」


「お前ならそう言うと思ったぜ。俺達も応援するからな」


「それが応援のつもりか?」


 杉本が肘で龍二を突きまくり、彼はそのやり方に反論する。


「そう言えば言い忘れたが、社長もあのシャンバラという世界に転移し、無事に帰ってきたと言っていたからな……詳しくは帰ってきてから話すって……」


「社長もなのか!?ともかく出発は明日だし、無事に帰って来てくれよ!後で俺達にもその話を聞かせてくれよ!」


「言われなくてもそのつもりさ。まあ、丸山部長がいない分はのびのびできるから……あ」


 龍二は後ろを振り向くと、丸山が怒りでワナワナと震えていた。


「近藤。社長からの直々の使命は果たす様に……しかし……」


「しかし……?」


「ワシがいなくてのびのびできるとはなんだァァァァァ!!」


「やっぱりかよォォォォォォォ!!」


 龍二はまたしても丸山に投げ飛ばされ、窓を突き破って14階から地面に向かって落下してしまった。


「相変わらずだな!けど、俺を舐めるなよ!」


 龍二は空中で回転し、見事地面に直立で着地した。この光景をその場で見ていた人達は、拍手喝采をしてしまった。


「どうです、丸山部長!俺だってやられているままでは終わらないんですよ!」


「なんて奴だ……」


 龍二は笑顔でお客さんに一礼し、丸山はグヌヌと彼を睨みつけていた。





「ええーっ!?先生、異世界に行ってしまうの!?」


 同時刻、佳乃が務めている保育園では、彼女の発表に園児達は驚きを隠せずにいた。


「うん。あの出来事があってから、私は異世界に行く事になったの。だから皆と会えるのは今日で最後なの」


「そんなの嫌だ!先生がいいの!」


 園児の一人は佳乃に抱き着くが、園長先生が教室に姿を現す。


「君達の気持ちは分かります。けど、古川先生にも事情があるのです。君達は先生が戻ってくるまでいい子にしておく。それが君達の大切な約束なのではないでしょうか?」


「園長先生……」


 園長先生の言葉に園児達は俯き、抱き着いていた園児も佳乃から離れる。


「ごめん、先生……いい子にするから……」


「だから、無事に帰ってきてね」


「うん。大丈夫だから……園長先生、この子達をお願いします」


「はい。後任の先生が来る予定なので、任せてください」


 佳乃は立ち上がって教室から出て行き、その直後に園長夫人と出会う。


「あなたの気持ちは分かります。今は自分の使命を全うしなさい。彼等は先生よりも強く生きるから大丈夫ですよ」


「はい。行って参ります」


 佳乃は引き締まった表情で頷き、ロッカーの方へ向かい出した。





 城山組の事務所では、すみれが父親であり城山組の組長でもある城山権蔵(しろやまごんぞう)と話をしていた。


「まさか俺に続いてお前も異世界行きとなったか……」


 予想外の展開に権蔵は真剣な表情をしていた。


「はい。お父様も異世界に向かわれたのですか?」


「ああ。お前が生まれる前の頃、俺も同じくシャンバラに飛ばされ、この世界を救う事ができた。あれから30年経ったが、勇者のヒロスケは元気にしているのだろうか……」


 権蔵は窓の外に視線を移しながら、過去の事を思い浮かべる。その様子は懐かしさを感じさせる様だった。


「お父様?」


「すまない。過去に浸っていた。それにお前が異世界に飛ばされて戦う事になった以上、これをプレゼントしよう。松本!」


「はい!」


 ヤクザの一人である松本は、一本の赤い番傘を権蔵に差し出す。


「その番傘は?」


「からくり仕掛けの万能番傘だ。シャニスの姐さんに頼んで作っておいた。それにお前が成長した証として送ろうとしていたが、渡しそびれていたからな……」


 権蔵はすみれに番傘を手渡し、彼女は真剣な表情で前を向く。


「城山組の名誉に賭けて、必ず悪の組織を倒し、生きて帰ります!」


「頼むぞ」


 すみれの決意に権蔵は頷きながら答え、組員達も一礼した。





 プロレス団体「ドリームバトルズ」の会社では、社長の菊原流星(きくはらりゅうせい)がHARUKA、ナツミと話をしていた。そこにはシャニス、ジャンヌ、アリアン、ベトラ、カルミナもいる。


「この件に関しては許可しよう。シャンバラにプロレスを広められるいい機会だ」


「ありがとうございます。私達は必ず生きて帰ります」


 HARUKAとナツミは一礼し、ジャンヌはすぐに他の方からの連絡を確認する。


「龍二さん、佳乃さん、すみれさんの方も許可を得る事ができました。龍二さんの方は丸山部長という方に14階のビルから投げ飛ばされましたが、着地して事なきを得ました」


「佳乃ちゃんから話は聞いたけど、龍二君って異常過ぎへん?」


「地面に激突してもすぐに立ち上がるなんて、普通あり得ないからね」


 龍二の異常な行動にHARUKAとナツミはドン引きしてしまう。


「彼にはもしかするとプロレスラーとしての素質があるみたいだ。戦いが終わり次第、スカウトしてみる価値はあるな」


「プロレス好きですから、すぐに食い付くと思いますよ。一切迷わずに」


 菊原の推測にHARUKAが苦笑いをしながら答え、すぐにアリアン達に視線を移す。


「アリアン達もプロレスを体験してもらったけど、初めてにしては凄いんやね」


「ええ。多くの戦いを経験していますし、プロレスについては転生者達の情報を見て確認しています。シルバリズムはプロレスで決着を着ける人もいますし、もしもの時に実践して良かったです」


「私は怪力だから、男性プロレスラーを軽々と持ち上げたわ。ビックリさせたのは申し訳ないけどね」


「私はテクニックを駆使していい動きをする事ができたわ」


 3人の感想にHARUKAとナツミだけでなく、菊原も感心している。初めてなのにいい動きをしている為、プロでもやっていける実力を見ていたからだ。


「もしかすると、ドリームバトルズの女子部門の設立もありかも知れないな。其の為にも戦いを終わらせておかないとな」


「勿論です!シャンバラにはいい選手も多くいますので、スカウトしておくのもありですね」


(((シャニス様、乗り気だ……)))


 菊原の提案にシャニスも同乗し、HARUKA達は唖然とするしかなかった。





 それから翌日、龍二達はシャンバラの神殿に転移し、シャニスから職業の説明を受けていた。


「この様に剣士、戦士、魔術師、格闘家など、様々な職業があります。では、貴方方の職業適性検査を確認してもらいます。まずは佳乃さん」


 呼ばれた佳乃は前に出て、シャニスの前に跪く。


「あの……跪なくてもいいので、立ってもらえますか?」


「あっ、ごめん!女神様の前だとつい……」


「堅苦しいのは無しですよ」


 佳乃は慌てて立ち上がり、シャニスは苦笑いをする。


「では、参ります。オートスキャン!」


 シャニスは杖を光らせ、魔術による適性検査を始める。すると、佳乃の両手には棘付きのリングがいつの間にか握られ、衣装は白いチューブトップと青いオーバーオール、更には短いエプロンが腰に付けられていた。


「衣装はいつもだけど、エプロンが追加されているわね。この方が私らしくてピッタリ似合うし」


「佳乃姉ちゃんはオーバーオールがお気に入りだからな。クラスはどうですか?」


「クラスはヒーラー。回復術を中心とした攻撃だけでなく、魔術、リングカタールなどの短刀類を使った格闘攻撃が可能です。また、佳乃さんは世話焼きで保育士の為、家事全般のスキルも高めです」


「うん!これで決まりね!」


 佳乃は笑顔でVサインをし、次はすみれの番だ。


「オートスキャン!」


 すみれは衣装は赤い袴は変わらないが、上は白い晒布と赤い振り袖となっていた。手には愛用の万能番傘を構えている。


「クラスは極道。万能番傘を使った攻撃は勿論、格闘技術もスキルは高め、刀類を使った攻撃も可能です。また、魔術系統としては炎を使えます」


「うん。これなら私にぴったりね」


 すみれはニコニコしながら笑顔で下がり、HARUKAが前に出てシャニスからオートスキャンを受ける。するとHARUKAの衣装は私服からコスチュームへと変化した。


「HARUKAさんはプロレスラーですね。プロレス技術だけでなく、他の武器も使用可能です。また、怪力特性を持つのでどんな物でも持ち上げます」


「魔術系統としてはどうなん?」


「魔術に関しては自身を回復させる事と、プロレス技に様々な属性魔術を付与する事が可能です」


「じゃあ、ウチはそれにする!」


 HARUKAは笑顔で承諾し、次はナツミが前に出る。


「私もHARUKAさんと同じくプロレスラーなのかな?」


「それはやってみなければ分かりませんよ。オートスキャン!」


 ナツミはHARUKAと同じくコスチュームとなり、手にはマイクが握られていた。


「もしかしてアイドルとプロレスラー?」


「アイドルレスラーですね。プロレスラーと同じですが、アイドルとしての能力も兼ねています。ソングパワーによって味方をパワーアップしたり、回復させたり、歌いながら攻撃もできます」


「アイドルとの二刀流をしているし、私にはこれが似合うかな」


「ナツミちゃんはその方がいいと思う。ウチはあまり歌わへんけど……」


 HARUKAが苦笑いをする中、最後は龍二の番だ。


「では、オートスキャン!」


 龍二の姿は忍者服となり、忍者刀が手に握られていた。しかも、額当てや口隠しの頭巾までも着用している。


「職業は忍者か!けど、なんで忍者なんでしょうか?」


「龍二さんは高いところから落ちても全然平気で、すぐに立ち上がるだけでなく、着地まで成功しましたからね。他の職業だと適性はあまりなく、忍者しかないとの事です」


「まあ、これに関してはしょうがないとして……使えるスキルはどうなっていますか?」


「武器としては忍者刀、苦無、手裏剣、爆弾など多数使えますが、格闘術も様々な技を取得できます。勿論プロレス技も取得できますよ」


「おお!俺にとっては天職ですね」


 龍二はガッツポーズを取りながら笑顔になる。


「忍術全般は勿論、それを駆使した魔術を使える事が可能。更には素早さを活かした行動もできます」


「龍二にとってはいい職業だね。他に何かあるの?」


 佳乃の質問にシャニスは深刻な表情をする。


「ただ……今の名前では忍者として活動はできないので、忍名を付けなくてはなりません。それでも大丈夫ですか?」


「構いません。忍名については考えていますし、それをリングネームにしようとしていました」


「その名前は?」


 龍二の説明にシャニス達は気になって首を傾げる。


「朧月夜を見て考えた結果、朧丸(おぼろまる)という名前にしました。これでどうでしょうか?」


「いい名前ですね。では、龍二さん……いや、朧丸さん。今後はその名前で呼ぶ事にしますが、宜しいでしょうか?」


「勿論です!」


 龍二改め朧丸は一礼し、すぐに佳乃達の元に移動する。


「では、これで職業適性検査が終わり、ここから冒険の旅が始まります。私達の目標は2つの世界を行き来しながらシルバリズムを倒し、全員生きて帰る事です」


「私は基本シャニス様からの連絡担当ですが、ピンチになった時は私も助太刀します!」


「頼りにしているね、ジャンヌちゃん」


 HARUKAの笑顔にジャンヌも笑顔で応える。


「朧丸さん、佳乃さん、すみれさん、HARUKAさん、ナツミさん、アリアン、ベトラ、カルミナ。貴方方の活躍とご武運をお祈りします。さあ、冒険の始まりです!」


「「「了解!!」」」


(ここから始まるのか……俺達の新たな冒険が……!)



 朧丸は心の奥底からそう思いながら、佳乃達と共に回れ右をしてその場から移動し始めたのだった。





 高い山にそびえ立つ大きなお城。そこは屑転生者達がいるシルバリズムの本拠地だ。

 城の中にある豪華な部屋では、一人のアサシンが三つ編みの中華っぽい服を着た女性に報告をしていた。


「そう。シャニスが……報告を感謝するわ」


「はい。失礼します」


 アサシンが去った直後、その入れ替わりに京劇の服を着た女性が姿を現す。


「シュンリ、さっきアサシンと話をしていたけど、何かあったの?」


「あっ、ユンリン。実はシャニスが異世界から召喚した戦士達を仲間にしたの。その数は5人ですって」


 シュンリからの報告にユンリンは冷静に頷いていた。


「なるほどね。けど、私達シルバリズムは王の為に戦わなければならない」


「彼がいたからこそ、今の私達がいる。ここで立ち止まる訳にはいかない」


「「このシャンバラを……ホンゴウ様が天下を取るその日まで……」」


 二人が手を取り合いながら誓い合う中、外では風が強く吹き始めていた。

二人が言っていたホンゴウ王とは誰なのか。それは今後のストーリーで明らかになります!


後は設定資料集を作成し、キャラ紹介でイラスト挿入しますので、完成次第投稿します!

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