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Green Way 〜記憶を失って転生し、絶望を知る〜  作者: SS
1章 英雄の誕生編
21/49

異世界っぽい日常①

 朝6:30ぐらい。小学生特有の謎に早い目覚め。ユズは着替えを済ませると、掃除をする。

 ユズは潔癖症であった。もちろん病院なだけあって、クルメト院はクルメトによって綺麗に保たれているが、ユズはどうせならもっと綺麗にしたいと思って、魔法でピカピカにする。

 そのあとは本の執筆だ。1ページ約5分という異常な速さで、絵と文字を完成させる。大体朝2時間程度書けると考えると、この時間だけで20ページほど作られてしまうのだ。


「あ、おはよう先生」


「うーん...... おはよう......」


 クルメトが眠い眼を擦らせやってきた。キキョウが起きる頃にはピシッとしているが、今は千鳥足みたいになっていて危なっかしい。

 洗面所的なところで顔を水魔法で洗い、とりあえず言葉はまともに話せるようになった。


「よし、じゃあ行こうか」


「はい」


 クルメトはユズのことを全く気にせず着替え始めた。ユズは既に着替えているので本を書きながらチラ見する。

 靴だけ履いたら......


「水魔法」


 そう、農耕だ。とはいっても、ほとんど魔法でなんとかなるから、力仕事をしている感覚はない。物体操作魔法でぶわぁやるだけの、簡単なお仕事だ。

 クルメトは引きこもりで日差しに弱いから、料理を作ってもらっている間に僕が農耕をする。元々は体力高めのミゼが1人でやっていたわけだけど......


「正直もうミゼが来る必要ないよね」


「でもタイミング的には丁度いいですよっと。ユズ〜、おはようっ」


 ミゼもここで合流する。僕は抱かれる感覚を味わっていた。異世界万歳。


「おは〜」


 キキョウは夜更かしが多いから、起きる時間もマチマチだ。大体は9:00前に起きているけれど、日が高くなるとミゼかクルメトが起こしたりもする。


 肩を揺さぶりながら、

「起きて、キキョウっ。もう日が高いよっ」

 と、さも妹かのように起こそうとするミゼ。


 肩を揺さぶっても

「起きて。朝食ができているよ。......起きない」

 と起こすことができないクルメト。

 うん、尊い。


「僕が朝食作るよ」


 料理はキキョウが刃物で自分の指を切り落としてから、キキョウを除いた3人でやっている。その3人は料理は上手い。

 ユズは甘いものが好きなので、大体は甘めのパンだ。健康には問題はないと思う。クルメトも医者なだけあって、栄養がバッチリ取れる献立が多い。

 しかしミゼは、ユズが来てから朝食とおやつが完全にスイーツになっている。太りそう。




 午前か午後のどっちかは、大体外に遊びに行っている。キキョウ+ユズ+近所の家、時々ミゼも加わる形となる。

 というわけで、怒涛の8連続、参ります。


①ドッジボール キキョウVSそれ以外 魔法なし

 ユズとキキョウのみがコートに残っている。


「危なっ!」


「くそっ、ちょこまかと。キャッチ! 喰らえ!」


「緊急側宙! シュた」


「やっている途中に喋るな!!」


 結果:キキョウの粘り勝ち


②サッカー キーパーなし 魔法なし

 ユズのフェイント入りアクロバティック空中ドリブルというカッコよすぎる魅せ技により、0:3の3点差。


「ポコ! アテナ! シュインク! ユズを3人係で止めろ!」


「「「ラジャー!」」」


「よし、必殺ロングシュート!!」


「いやずるいずるいずるい!」


結果:1:20で19点差でユズ側の勝利


③ラグビー キキョウVSそれ以外 (ユズとキキョウ以外は魔法OK)


「物体生成魔法!」「結界魔法!」


「ゴリ押しタックル!」


「ダメだ、全然効かないよ」「ミゼ!」


「物体生成魔法っ!」


「ゴリ押し頭突き!」


 結果:俺の頭から血が出る


④双六


「なんかキキョウ強くない?」


「まあ神様も俺を贔屓しているんだろうな」


「......」


 結果:キキョウが技術で好きな目を出していたが、ユズにバレたため不正負け。ラフタイさんの勝利


⑤人狼

 2戦目でユズがまさかの人狼で村側最速負け。以降占い師はユズを毎回初手に占うことになり、それを利用したメタゲームが発生。途中から、ユズはゲームマスター固定になりました。


⑥かくれ鬼


鬼:俺&ミゼ


「ユズ、どこ行っちゃったのかなぁ。問題ないといいけど......」


「絶対どっかで隠れているだけだって」


「ほんと? 全然見つからないよ?」


 結果:全員で探し、ルーパラがユズを見つけ出す



鬼:ユズ


「タッチ!」


「......え?」


 結果:開始2分、キキョウが逃げる暇もなく死角からタッチされる。タイカルが頑張るも15分でユズの勝ち


⑦バレーボール(協力型)


「197,198,199,200! 終了!!」


 結果:無限に続く


⑧7並べ


「......7並べって、こんなに勝率が傾くゲームだっけ?」


「7並べは頭脳戦だぜ」


 結果:ユズVSそれ以外でいい勝負




「ユズと先輩が強すぎてゲームにならない!」


「うんっ」


「それな。分かる」


「昔からの悩み」


 協力型でも対戦型でも、ゲームバランスが崩壊している。タイカルやミゼ (村の元最強クラス) が魔法ありで、ようやく魔法なしのキキョウやユズとタイマン張れるぐらいだ。


「なんか良いゲームを考えようぜ」


「双六は誰かさんが変なことしなければ普通に楽しめたよ?」


「でもアレ所詮運ゲーじゃん。流石に俺の歳で双六にキャッキャウフフできない」


「じゃあ人生ゲームはどうかなっ?」


「なるほど! 良いかもな」


「え、双六と同じじゃないです?」


「一応運以外の要素も作ることは可能だよ」


 解説。人生ゲームは、双六にゲーム内通貨の概念が追加されたゲームである。しっかりと凝れば、例えば特殊なアイテムを買うか買わないかなど、運以外の要素も追加可能。


「できるだけ運の要素を削らないまま、けど戦略を活かせる感じにしよう」


「対象を選んで金奪いとるアイテムとか作れば、ユズに一斉攻撃できるな」


「あ、それ良いっ!」


「なんでonly僕」


「1位を何度も取っているし、そろそろビリも経験しよう」


「くっ、波の収束には人は抗えない......」


 なお、キキョウがふざけて作った-10億円のマスを自分で踏んで、ビリになって大笑いされたのはまた別の話。




 じゃあ、遊んでいない時は何をしているのか。ユズは本を書いて、クルメトは観察に没頭して、ミゼはお菓子作ったりクルメトを手伝ったりして......


「できた、魔力式手榴弾......!」


 キキョウは魔法や現代技術を使って遊んでいます。


「ボンバー!」


 そして躊躇なくユズの部屋に投げつけた。結界魔法で爆風と音は防いでいるが、ユズは普通に喰らう。あと本が粉々になってもおかしくない。


「あっつい!」


 ユズはキキョウの気配に気づいていたのか、本を物体生成魔法で守っていた。だったら自分の身を守れよとは思うが、おそらくワザとだろうか。


「あちっ、あっちっち...... 治癒魔法っと」


「どうだ? 威力は」


「改造すれば普通に人殺せるよねアレ」


「ガチでやれば多分5mは地面ごと吹き飛ばせる」


 キキョウが今使ったのが親指サイズ。手のひらサイズのを使えば十分殺傷力は出るだろう。


「レシピは置いとくから、添削よろ〜」


「へいへーい」


 ちなみに、なぜこんなにも完成度が高いのかというと、ユズが手を貸しているからだ。キキョウの学習速度も相まって、最近の爆弾は手軽に人を殺せる火力が出る。


「そういやさ、ユズ。これ何だ?」


「どれ?」


「すっぱビーム!」


「あぶしっ!」


 光線魔法からの水鉄砲。初見殺しだ。流石のユズでも、何が放出されているかまでは理解できなかった。喰らっても問題ないと慢心していた。


「あぎゃっ、ま、待って! ただの果汁じゃないんだけど! 何これ!?」


「さっき火魔法で濃縮したぜ☆」


「料理できないのに何でそういうのはできるんだよ! 痛い! 治癒魔法じゃ治んない!」


「勝ったw ははははは! ユズ破れたり〜www」


 後にこの実験台は、フィルクに変わったという。




 夕食を食べたあとは、風呂だ。順番はランダムだが、キキョウは思春期なので小っ恥ずかしかったりする。他の人は貞操観念がうんちなので全然気にしないが。

 風呂から出るとパジャマに着替える。キキョウはパーカーのようなゆったりとした服が好きなので、パジャマ姿も大好きだ。柔らかズボンにちょっと大きめの前開きチェック柄を着て、御満悦である。

 「強いて言うなら緑色が良かったかな」とキキョウは言っているが、色は茶色か白色だ。少し貧乏っぽいというか田舎臭いのは仕方ない。実際田舎だもの。


 ミゼは途中で自分の家に帰宅する。クルメト院のすぐ隣だから、帰宅といっても1分もかからない。


「フルハウス、やったっ」


「......豚」


「ふっふっふ、ポーカーは運ゲーじゃないのさ。確率計算ゲーだから。ツーペア」


「イカサマゲーだろ」


「イカサマすんな豚」


 夜は大体は静かで頭を使わない (?) ゲームをすることが多い。騒音を気にして暇を持ち余しているキキョウへの、クルメトからの配慮だ。

 ユズが早めに寝ると、キキョウとクルメトで話す。しかもクルメトの部屋に移動してだ。何を話すか想像つかないだろう? 残念、正解は数学だ。


「内積を導入することによって、ベクトルを式の計算チックに扱うことがしやすくなるんだ」


「なるほど。頭いい!」


「ドヤっ」


 キキョウが誇ることではない。まあただ約30分の授業を毎日作っているため、そこは偉いか?

 クルメトは現代で通用するかどうかはおいといて、とても柔軟かつ論理性のある思考を持っている。楽しそうだし真面目だし、キキョウも教えていて気持ちがいいのだろう。


「キキョウ、今日は誰と会った?」


「ピリワさんと、ナータと...... 途中からクエも入ってきたぜ!」


「ふふっ、そう。そこら辺で遊んだのか」


「あぁ! ナータをクルメト院送りにして改めてすいませんでした」


「それはもういいよ。今度からは?」


「ユズと見間違えないようにします!」


「うん、ユズでもやらないでね」


 後ろ姿がユズとほぼ同じだったんだ。今度からユズの髪に輪ゴムでも付けといておこう。(注.めちゃ痛いよ。真似しないでね)


「じゃあ、おやすみ」


「あぁ、おやすみ〜」


 自分の部屋に戻る。時間は日本で言うなら夜の23:00ほどだ。ショートスリーパーのキキョウにとってはまだ眠くない。かといって爆発物を扱うと、万が一暴発したらみんなが起きてしまう。ユズのような本を書く趣味はない。いつもはそれでも何かをしているが、今日は本当に見つからなかった。

 やれることは、ベッドにもぐってただ想像するだけ。村中燃え上がるような終焉の炎と、それで肉を焼いているみんなを。


「ありがとキキョウっ、美味しいっ! 景色もいいしっ!」とミゼが笑う。


「酷い火傷だよ全く。下手したら僕でも死ぬとこだった。本当にすごい炎。おっ、お肉も美味しい」とユズが負けを認めて褒める。


「おぉ、すごい! すごい熱! 本当にあつい! 綺麗だなぁ......!」とクルメトがはしゃぐ。


「先輩何やってんの!? いやすごいけど、村滅んでんじゃん!」とタイカルは正論を言うだろうな。


「でもカッコいいだろ?」


「えぇ......」


 絶対に叶うことのない妄想。キキョウは自分が好きだ。


 やがて眠りにつく。

 楽しい楽しい異世界生活であった。




 次回予告


フィルク「お湯は張らなくていいわ。この身体を溶かして流しときたいだけだから」


キキョウ「こんな異世界生活は嫌だ」

 ちなみに、本編書くのに飽きてきたから書いただけで伏線も何もありません。強いていうならキャラ設定の深掘りですね。普段よりキキョウ意外の視点も多めで行きたいです。

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