表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

脱衣所は異世界への入口

何となく異世界転移物を書こうと思ってしまった。

 俺の名は勇正義いさみまさよしボクシング部だ、もう少し攻める事が出来れば判定では勝っていたかも知れないがスタミナ切れで体力が残っていなかった。


 対戦相手に殴られた箇所がヒリヒリするが、俺はボディソープを一気に滑らせ最大限の痛みを堪能する。


「うぉっ! くっ………良いぞ、誰にも理解されないかもしれないが俺の人生で最も幸福な行為がコレなんだよなあ。」


 いつしか俺は痛みの虜になっていた、初めは痛いのが嫌で逆の考えで慣れる為にボクシング部へと入部したが今となっては、その気持良さに恍惚な表情さえ浮かべる自分がいる。


「ああ、そんな………もう痛みが引いていく。」


 幸福な時間とは身近く感じる物だ、あまり長く風呂に入っている訳にもいかず俺は体を洗い終えるとドアノブに手をやり脱衣所へ出たと思うとそこには何やら西洋風な城の様な場所だった。


「何だ? 幻覚でも俺は観てるのか?」


 周囲を見渡すと鎧を身に着けた兵士の様な格好をした人達と玉座の様な椅子に腰掛けるゲームに登場してきそうな王様の風貌をした老人がいる。


 その隣には、お姫様だろうか? 金髪でストレートヘアーのとても美しい女性が両手で顔を覆い隠しているではないか。


「オホン……、勇者よ! よく参られた、お主には魔王の脅威から国を救っていただきたく……。」


 何やら老人は急に語りだし俺は困惑するが、まず一つ無視できない事態が起こっているのを理解しているのだろうか?

そう今の俺は素っ裸なのである、先ずは服を用意するのが普通なのではなかろうか?


「やってくれるな勇者よ!」


「その前に一つ良いか?」


 俺が老人に服の用意をしてもらおうとした瞬間、何者かが窓ガラスを割り侵入して来る。


「な、何者だ!」


「おっ、そいつが勇者か? なんだよ、アッサリ終わりそうだな!」


 窓から侵入してきた、そいつは頭部が鰐で体は人体の様になっており右手には剣を持っていた。


「何だ、今度は着ぐるみか?」


「お主達、なんとしてでも勇者を護るのだ! 今ここで死なせる訳にはいかん!!」


「うおおおおっ!!」


 兵士達は一斉に鰐の魔物に対して斬りかかるが頑丈な鱗は刃を通さず弾き返し、鰐の魔物はその隙をつき兵士達に斬りかかる。


「なんだよ、つまんねーな。 少しは楽しませて欲しいものだな。」


「万事休すか……。」


「安心しなよ、爺さん俺は勇者を始末したら帰っからよ? ま、勇者召喚した事を魔王様が黙ってないだろうがな?」


 鰐の着ぐるみ?はそう言うと俺に歩み寄り手に持った剣を振り上げ、俺に振り下ろすが動体視力に自信の有る俺はアッサリと躱し、鰐の着ぐるみの首元に両手をそえ持ち上げようとしたが鰐は後方へと飛び退く。


「何!? 躱しただと!!」


「ったく、危ねえな……そんなん着てないで素顔見せたらどうだ?」


「今、何をした?」

(こいつ、俺の攻撃を躱しただけでなく首の骨を折りにかかってきやがった!)


「何って、着ぐるみ取ろうとしただけだが?」


「着ぐるみだと?」

(なるほどな、こいつは俺を着ぐるみに見立てる事で如何に自分の正当性をアピールしようとしているのか……まるでサイコパスだな。)


「良いだろう今日のところは、このくらいにしておいてやろう。 サラバだ!」


 鰐の着ぐるみ?は何かを納得した表情になり、城から逃げ去って行った。


「何だアイツ? いきなり斬りかかってきたかと思えば今度は一目散に逃げて行きやがった。」


「何て勇敢な方なのでしょう!」


「やはり、格好はアレだが勇者で間違いないようだ。」


「あのさ、さっきから何言ってるか分かんねーけどこの人達手当した方が良いんじゃないか? 血出てるし何故か鎧から。」


 そう言うと何処からか白いローブの様な物を着た人物が現れ、兵士に手を翳して何かをブツブツと唱え始めた。 


(おいおい、死んでもないのにお経とか不謹慎過ぎるだろ。)


「おお、それよりお主には悪い事をしたな……まさか修行中だとは思っておらんかったのだ。」


「は?」


「だから、素っ裸でしたのね。 最初は変質者に見えていましたが、先程の戦いを観て見方が変わりましたわ! 逞しい筋肉に……その、大変ご立派な物をお持ちで……。」


 お姫様は、さっきから俺の下半身のソレを顔を赤くしながらチラチラと見ては目を逸らすのを繰り返していた。


「修行中って何の話だ? それより服を……。」


「そうであったな、流石にその格好のまま歩き回られてはワシも困る。 彼に服を着ている様に見える視覚魔法を!」


「はい、傷の回復が終わりましたので勇者様に視覚魔法をおかけしますね。」


 先程の白いローブを着た人物が両手を俺に翳すと床に魔法陣が現れ、また何やらブツブツとお経の様なものを唱える。


「この者に姿無き服を与え給え! “ユニーク魔法フクミエール”!」


 ローブを着た人物がフクミエールと唱えると俺の体は一見服を着ている様に見えるホログラムの様な服が展開された。


「す、凄えな……いや待て結局裸なの変わってねえ!!」

(もしかして、異世界ってのは他の世界の人間には服を着せない風習でめあるのかもしれないな。 ま、服ぐらい我慢するか。) 


「ところで、勇者様の名前を聞いておらんかったな。」


勇正義いさみまさよしだ。」


「マサヨシ様、良いお名前ですね。」


「では、マサヨシよ! 我が国の為、魔王を倒してくれるな?」


「イヤです。」


 俺は右も左も分からない様な世界で魔王討伐なんて訳の分からない事を速攻で断ると周囲の人達の表情は真っ青になっていた。


 一方、鰐の魔物は魔王城に帰還し勇者の事を魔王に報告していた。


「魔王様の予測した通り、あの国は勇者召喚を行っていました。」


「ほう、無論勇者は始末したのであろうな?」


「いえ、それが……勝ち目が無いと判断したので仕方なく報告だけでもと。」


「この、役立たずが!! 妾がなんの為に貴様を送り出したと思っておる! もし、チャンスをやろう次で仕留められなかったら命は無いと思え!!」


「はっ! 仰せのままに!!」


 鰐の魔物は魔王に恫喝され、再び正義マサヨシの元へと向かう事になり、頭に二本の角を生やし背中には蝙蝠の様な翼を持った幼女の姿をした魔王は玉座に深く腰掛け勇者を亡き者にするべく色々と考える。


「勇者なぞ、妾自ら手を下せば他愛もない存在じゃが部下の為にならんしな。 ここまで来るなら返り討ちにしてくれようぞ!!」

まあ、うん不定期投稿するかな?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ