魔導頂上決戦で優勝したい!?
エメスから任務のことを告げられた翌日、俺はバリウスに呼び出された。
隣には、リージアの姿もあった。
「来てくれてありがとう、ユウタくんとリージアくん。実は、裏生徒会に新しく任務が言い渡されてね。その任務の内容とは、魔導頂上決戦へと出場して優勝することだ。僕とユウタくんとリージアくん……この三人で優勝を掴み取ろう!」
魔導頂上決戦……それは、学院のあるヴァザーナの隣国、”ソティアス”で行われる強さを競う大会だ。
この大会はソティアスで4年に一度開催され、模擬戦闘と同じような形式で試合を行い、一番強い人を決めるために行われる。
3人で1チームとして行われるが、3対3というわけではなく、1対1を繰り返してどちらかのチームが全員負けるとそこで試合終了である。
この魔導頂上決戦は、昔はソティアスの内部だけで行われていたのだが、ソティアス東部が世界の中心に近い位置に存在していることもあり、今では各国の代表が集まって競う国際的にも意味のある大会となっている。
もちろん、観衆も世界各国から集まり、開催期間である5日間は大きな盛り上がりを見せる。
そんな世界的に見ても一大イベントである魔導頂上決戦なのだが、そこで優勝を狙うとは本気だろうか?
「とはいえ、まずは経緯の説明をしようか。まず、僕たちが今いるヴァザーナは、例年、魔導頂上決戦には参加していないというのは知っているよね?」
「ヴァザーナが中立的な立ち位置を保っているから……でしたっけ?」
「そのとおりだ。ただ、今回は魔導頂上決戦が国際的な地位を確立してから、10回目の開催という節目の大会なんだ。そこで、開催国であるソティアスが、ヴァザーナも参加してはどうかと持ちかけてきていたんだ」
「そうだったんですか」
「ただ、それだけじゃない。君たちも、魔導頂上決戦の優勝チームはソティアスが用意した価値ある品の中から好きな一品がもらえることを知っているだろう」
魔導頂上決戦の優勝チームは、ソティアスが事前に用意した宝物の中から、好きなものがもらえるというのは誰でも知っていることだ。
貴重な魔道具や魔法触媒、芸術品など、莫大な価値あるものが用意されている。
「どうやら、その賞品の中からいくつかの品が盗まれたらしい。事前に賞品リストは世界に向けて公開されているし、それらの品が盗まれたことが露呈しては国の威信に関わる。そこで、隣国のヴァザーナに協力を依頼してきたというわけだ」
「つまり、その犯人を捕まえるのが任務というわけですか?」
「いいや、違うよ。僕たちに依頼されているのは魔導頂上決戦での優勝だ。つまり、何食わぬ顔で盗まれていない品を希望して受け取り、何事もなかったかのように振る舞う……それが任務というわけだ」
つまり、何も事情を知らないチームが盗まれてしまった品を賞品として希望して、この事件が公になってしまうことを防ぐのが依頼ということか。
「……でも、ヴァザーナは中立を謳っているのに、ソティアスに肩入れするようなことをして大丈夫なんですか?」
「ははは、心配要らないよ。そもそも、裏生徒会の任務には周辺諸国の問題解決も含まれていると説明したよね。つまり、元々ヴァザーナは表向きに中立を保っているだけで、裏では色々と手を回しているというわけさ。そういう努力があって初めて中立が保てるというわけだね」
なるほど、中々国交というものは複雑に回っているようだ。
「それに、今回は魔導頂上決戦も節目の回で、より一層お祭りムードが漂っている。ヴァザーナが学院の生徒でエントリーするというのも、盛り上がるだろう。本来は国の代表が競う場ではあるが、受け入れやすい空気はできているさ」
「そういえば、岩院家から絶縁状態の俺はいいとして、バリウスさんやリージアは自国の代表として参加しないんですか?」
「ああ、言ってなかったね。僕はヴァザーナ出身だから心配はないよ」
バリウスはヴァザーナ出身だったのか。知らなかった。
しかし、リージアはメルヴァニアの王族で、実力も申し分ないはずだ。
何故、メルヴァニアの代表として参加しないのだろうか。
「私は、メルヴァニアから何も連絡をもらっていない。だから、問題ない」
ということみたいだ。
「この3人が集められたのは、事前に参加できることを確認しているからだよ。他のメンバーは自国の代表として参加する者が多くて、必然的にこの3人で任務を行うことになったというわけだね」
「なるほど」
「格上の者と戦うことにもなるだろうけれど、存分に頑張ってくれたまえ。もちろん、この任務は難易度が高いから最悪の場合は失敗しても問題はない。ただ、成功したら追加の報酬があるんだ」
そういって、バリウスが紙を取り出して見せてくる。
「そこに書かれているのは、盗まれていなかった魔導頂上決戦の賞品のリストだ。今回、僕たちが優勝したらそこから好きな品を一つ貰えることになっているんだ。まぁ、優勝したらもらえるものだから、当然と言えば当然だけどね」
そこに書かれていたのは、様々な魔道具や芸術品の名前だった。
誰でも知っているような、有名なものも含まれている。
こんなものまで賞品になっているのかと、驚いてしまう。
俺の横で、リージアも一瞬驚いたような反応を見せていた。
「そんなわけだから、優勝を目指して頑張ろう!」
バリウスは中々張り切っているようだ。
「特に、ユウタくんには期待しているよ」
バリウスが期待を含んだ視線を向けてくる。
俺も以前とは変わったとはいえ、魔導頂上決戦の会場で、トオヒサとの戦いで見せた魔法と同じだけの魔法を使えるとは限らない。
中々、厳しい戦いになりそうだ。
だが、自分の過去を知った俺は、以前ほどの不安はなかった。
「……さて、まずは僕たちで模擬戦闘を行ってみようと思うんだけど、どうかな? ユウタくんの実力もまだ測りきれていないことだしね」
って結局こうなるのか!!!
それが一番不安なんだよ!
この日は、模擬戦闘を後日行うことが決定して解散となった。
作者である自分は、今まで数々の世界を救ってきた勇者です。
当然、【評価ptの数だけ戦闘力が上がる】チート能力を保持しています。
というわけで、広告の下にある☆☆☆☆☆より評価をしておいてください。
約束ですよ。




