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【久遠】の二つ名を持つ魔法使い3

 加速する思考の中で、俺は、一つの可能性を思いつく。


 幻覚系魔法。


 そう、無限院の魔力の本質は夢幻だと、トオヒサが言っていたではないか。

 魔法であれば、魔眼で魔力が見えないはずがないのだ。


 マホロは、10年前の出来事を覚えていたのに、思い出そうとしないように無意識を改変されていた。それと同じだ。


 きっと、俺は魔力の軌跡が見えているのに、見えていないものだとして錯覚させられているのだ。俺は見ているつもりになっているだけだ。


 そして、先程、俺はトオヒサに向かって走っていったのに、全く距離が縮まらなかった。

だが、もし、俺がトオヒサに向かって走ったと錯覚しているだけだとしたら?

 辻褄は合うように感じた。


 それならば……!


 俺はトオヒサが居る方向を確認すると、賭けに出る。


「うおおおおおおおおおおお!!!!」


 大声で吠えながら、俺はまっすぐに走った。


 何も見ないように、目を瞑(つぶ)る。

 何も嗅がないように、息を止める。

 何も聞かないように、耳を塞ぐ。


 傍から見れば異常な行動だが、命を狙われている今、なりふりなど構っていられない!

 俺は、五感を自ら放棄することで、トオヒサの魔法が破ろうとしたのだ。


 ――5秒ほどして、目を開ける。


 しかし、トオヒサとの距離は、これまでと変わっていなかった。


 失敗だ……


「滑稽だ。でも、魔法が使えないなりに頑張ったのは認めよう」

「くそっ……」

「きっと君は、ワタシの魔法が幻覚系の魔法だと……そう思ったんだろう?」


 図星をつかれる。


「良い着眼点だ。実に素晴らしい。特別にワタシの魔法を正体を教えてあげよう」


 トオヒサが楽しそうに語り始めた。


「確か、君の考えどおり、ワタシの魔法は幻覚系の魔法だよ。だが、この魔法は五感と魔力、その全てから対象の感覚を狂わせる。君は、確かに視覚、聴覚、嗅覚を消したかもしれないが、触覚を消したわけではない。”久遠(くおん)”と名付けたこの魔法が少しでも作用している限り、君たちはこの魔法の支配下なんだよ。ワタシが魔法を解かない限り、正しくワタシを認識することはできない」


 予想自体はあっていた。

 しかし、想像していたよりも、ずっと強力な魔法だったのだ。


「”久遠”の影響下では、何をしようとしてもワタシに届くことはない。君たちは無意識で、ワタシとの間に遥かな距離を感じている。君たちは無意識に操られ、すべての行動がその遥かなる距離に阻まれる」


  トオヒサから見れば、走りくる俺はその場で足踏みをしているように見えただろうし、マホロの魔法はものすごくゆっくりと放たれて見えただろう。


「ワタシの魔法が見えないのも、遥かなる距離を無意識下で感じているからだ。遠くのものは見えない。ただそれだけのことだ。まぁ、これに関しては多少意図して隠している部分もあるがね」


 トオヒサは、確かに俺たちから見えている場所に居るはずだ。

 それなのに、絶対に攻撃が当たらない……

 動きを見ることすら敵わない。


「諦めたまえ。これを知ったところで、君たちに取れる手段などない。五感と魔力、そのすべてを消すことができれば破れるかもしれないが、現実的ではないし、そんなことをしたらまともに立っていることすらできんさ」


 実際、五感を完全に消すなど無理な話だ。

 そもそも、仮に消せたとしても、そんな状態ではトオヒサに攻撃をすることができない。それでは意味がない。


 トオヒサの”久遠”を破る手立ては、ないように思われた。

作者である自分は、今まで数々の世界を救ってきた勇者です。

当然、【評価ptの数だけ戦闘力が上がる】チート能力を保持しています。

というわけで、広告の下にある☆☆☆☆☆より評価をしておいてください。

約束ですよ。

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