無限院トオヒサとの対話2
トオヒサについていってホテルの一室に入ると、そこは豪華な部屋だった。
国のお偉いさんが泊まるというだけあって、豪華でありながら品を損なわない素晴らしい空間が広がっていた。
寮もだいぶ広い作りだが、こちらはそれを遥かに超えている。
トオヒサが、ソファに腰掛ける。
「座りなよ」
マホロと俺は、テーブルを挟んで向かい側にあるソファに二人で腰掛けた。
「それで、何の用かな。わざわざ、サミット中にワタシを訪ねてきたんだ。大した用事じゃないなんてことはないだろう?」
「御祖父様に聞きたいことがあって参りました。何を聞きに来たのかは、御祖父様も分かっておられるのでしょう?」
「いやー、残念だけど全く分からないね」
さきほど、トオヒサは警備に混ざる俺たちを見て「なるほど」と言っていた。
記憶操作の魔法で俺たちが潜り込んだことを察しているはずだ。
だとすれば、分かった上で「分からない」と言っているのだろう。
なんとも性格が悪そうだな、と感じた。
「とぼけないでください。10年前のことです」
「10年前と言っても色々あったからねぇ。あ、もしかして、ワタシがタンスに隠していたへそくりが、いつの間にかなくなっていた事件のことかな?」
「とぼけるなッ!」
マホロがダン!とテーブルを叩く。
思わずビクッとなってしまった俺に対して、トオヒサは全く動じていない。
「おお怖い。でもねぇ、訪ねてきた方が要件を伝えるべきだろう? それが礼儀ってものじゃないか。もうちょっとしっかり教育するべきだったかなぁ」
マホロがギリギリと歯を噛んでいる音が聞こえる。
一方、トオヒサは何食わぬ顔だ。
すると、トオヒサがこちらに顔を向けてくる。
「おっと、ワタシも礼儀を欠いていたね。君は岩院ユウタだろう? ワタシは知っていると思うが無限院トオヒサだ。またあえて嬉しいよ。話には聞いているけれど、魔法が使えないそうだね。大変だろう?」
俺はトオヒサと会った覚えはないのだが、トオヒサは会った覚えがあるらしい。
トオヒサは俺を見てニコニコとしているが、隣のマホロはそれと正反対の怒気を纏っており、温度差が凄まじかった。
マホロはトオヒサのことを苦手だと言っていたが、たったこれだけの短い時間でも、それがよく理解できた。ただ、トオヒサはどう見ても性格が悪いので、そもそも得意な人の方が少ないのではないかと思う。
「話をそらさないでください。10年前、巨龍が倒れたあと、私とユウタくんは、御祖父様に呼ばれて屋敷へと行ったはずです。そして、そこで大森羅僻覚法によって記憶を操作された。違いますか?」
「……」
押し黙るトオヒサ。
5秒ほど沈黙したあと、トオヒサが口を開く。
「よく気づいたものだね。すごいじゃないか。あの魔法はよほど強い思いじゃないと思い出すことはないのに、自力で思い出すなんて恐れ入ったよ」
作者である自分は、今まで数々の世界を救ってきた勇者です。
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