あのときの女子上級生にまた絡まれた
振り向くと、そこに居たのは、いつぞや廊下でぶつかってしまった……風変わりな女子上級生だった。相変わらず、トンガリ帽子にメガネで目立っている。
「いや……大丈夫だ」
少し悩んだが、これは裏生徒会絡みのことであり、大事にするわけにもいかない。
誰かの手を借りるわけにはいかないのだ。
「ああ、もし、人に言えないと思っているのなら、気にしないでくださいー! 裏生徒会絡みかつ、天理外道教団絡みでもあることは分かってますからー」
「!?」
裏生徒会は、一部の教員ですら存在を知らない程度には秘匿されている組織と聞いている。一般の生徒が知っているはずなどないのだが……
「なんで、あなたは裏生徒会のことを知ってるんですか?」
「あたしが裏生徒会のメンバーだからに決まってますー」
「いや……裏生徒会の第五席までは遠征中だと聞いている。そんなはずはない」
「ああ、そういうことになってますねー。でも、実際には違うってだけですー」
「すみません、あなたの名前は……?」
「あたしは第五席のエメスですー」
エメス……確かに第五席として聞いていた名前と一致する。
「あたしとあなた、良い取引ができると思うんですよー」
「取引?」
「岩院ユウタくん、あたしはあなたの才能に興味があるんですー」
一体どういうことだろうか?
エメスの言動には不明な点が多すぎる。
果たして、敵なのか味方なのか、それすらも分からなかった。
「まず確認したいんですー。ユウタくんのその魔力を持たない身体は意図してやっているんですか? それとも、生まれつきのものなんですか?」
「生まれつきのものだが……」
と、答え、違和感を覚える。
……何故そのことを知っている?
周囲の人間が例外なく俺のことをスゴイ魔法使いだと思い込んでいる状況で、魔力がゼロであることを指摘されたのは初めてだった。
「それと、学院のすべての人間が幻覚系魔法をかけられているのは、ユウタくんが意図してやったことですかー?」
「幻覚系魔法?」
「ああ、その反応だと、知らないと見て良さそうですねー。うーん、おかしいですねー。ユウタくんに関することだけが認識改変されていたようなので、てっきりユウタくんがやったことだと思っていたんですけどー」
「まさか、俺が裏生徒会に入ることになった原因を知ってるんですか?」
「むしろ、知らないんですねー。困りましたー」
エメスは難しい顔をすると、顔に手を当て、斜め下を向いてぶつぶつと独り言を言い始める。
「うーん、このパターンも想定していたとはいえ、可能性としては低いと思ってたんですけどねー。どうしましょうか……。取引自体はしやすくなったと喜ぶべきでしょうかねー。ただ、完全に信用するというのも……」
しばらく独り言を言うと、考え事が終わったのかこちらに向き直る。
「分かりました。あたしは説明が苦手なので、全部もう一人に丸投げしてしまいましょうー。誰かに聞かれても困りますしね。あ、絶対に変な動きはしないでくださいねー。下手に刺激するともう一人は怒るんですよ。こう見えても、あたしはあたしより強い魔法使いを見たことがないんですー。命の保証はしませんからー」
エメスが何を言っているのかよく理解できなかったが、直後、エメスは右手をそっと胸元くらいの高さまで上げる。
そして、その後に俺が見たのは信じられない光景だった。
作者である自分は、今まで数々の世界を救ってきた勇者です。
当然、【評価ptの数だけ戦闘力が上がる】チート能力を保持しています。
というわけで、広告の下にある☆☆☆☆☆より評価をしておいてください。
約束ですよ。




